吉田実加先生インタビュー

シリアスの中に和み要素も♪ 時代物ファンタジー
主人公のアマネは、山奥で孤独に暮らす少年。人の肌に触れると心の声を聞く事ができる能力のせいで、幼い頃に村を追われて今に至ります。ある日、怪我をしたアマネは、旅の薬売りであるキサラギに助けられます。彼は、金髪に片目だけ紅い瞳を持っていて……。1月15日発売、吉田実加先生の初コミックス『少年と薬売り』。キサラギのその容姿を見れば、彼がこれまでどんな扱いを受けてきたか容易に想像できるアマネ。ともに孤独を抱える二人の恋を描く、時代物ファンタジーです!! それでは「801 AUTHORS 108」第821回、吉田実加先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
肌に触れると人の心の声が聞こえる力を持つため、一人山奥で孤独に暮らす少年アマネ(受/主人公)と、金髪に片目だけ紅い瞳という「鬼」と噂される容姿を持つ薬売り・キサラギ(攻)の異形の者二人が出会い、惹かれあっていく時代物ファンタジーなお話です。
時代設定はある程度決めていますが、ストーリーやキャラクターデザイン上あえて曖昧にしました。
Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
容姿のことで苦労はしているだろうがそれを感じさせない明るく、そしてひょうひょうとした性格の関西弁の薬売り×同じく不思議な力で迫害され、孤独な境遇にもかかわらず、人を嫌わず前向きで素直な性格の受の二人です。
Q. 当て馬や重要な脇役は？
主人公の親友であり、育ての親代わりでもある山犬のリクです。彼が側にいてくれたおかげで主人公アマネは寂しい思いをあまりせずに過ごすことができていましたし、キサラギが登場した後も、アマネとリクはワンセットという感じです。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
たとえ大勢に忌み嫌われるモノを持っていたとしても、「この人」と思う、そのたった一人に認めて受け入れてもらえて、「うん」と言ってもらえたら、人はそれだけで生きていけるんじゃないかな、というのがあって、それを表現しやすいのが時代物かな？ ということで大好きな着物が衣装の時代背景としました。が、これが泣く羽目に…。
Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
作画にとにかく苦労しました。私は絵を描き始めたのが最近で、ほとんど漫画も描いたことが無く、漫画を描く上でのセオリーやルールといったものに無知でしたし、和服や和柄は好きだけど歴史に関しても無知という…。編集の方に本当に漫画の描き方を一から教えて頂きながらの連載になりました。もうほとんどが「描いたことない、どうやって描こう？」の連続でした。歴史の資料も揃えたりしましたが、まだまだ足りなく、時代物の大変さを痛感しました。

逆に楽しかったことも同じで、苦労はしましたが、作画に悩みながら漫画の描き方を意識して他の作家さんの作品を読むと、工夫や努力、素晴らしさがますます伝わりました。やっぱりスゴイ！ と。

資料集めも楽しすぎて本を買い漁る私に「さすがにこれは関係ないんじゃないか？ 買い過ぎじゃ？」と家族に突っ込まれてました。

Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
前半二人がくっつくまでのお話、後半は攻めのキサラギの生い立ちや過去といったものを含めたお話、と予定していましたがページ数が足りるわけがなく、後半の話はボツになりコミックス収録の後日談へ変更となりました。本編がシリアスめなのでコミカルな後日談は描いてて楽しかったです。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
頭痛と手首の痛みがひどく、カイロプラクティックに通い始めたんですが、そこの先生に「左腕だけ(私は左利きなので)ものすごい筋トレしたみたいに筋肉硬いですね」と言われたことです。筆圧高いのは自覚してましたが、力込めすぎですね。でもそれから痛いけれどマッサージの魅力に取り付かれました。体の調子が全然違います！

Q. 今、何かハマっていることは？
歌舞伎にハマっています！ 能も好きです！ 日本の伝統芸能全般ハマっています。

Q. BL作家になったきっかけを聞かせてください！
ずーーーっとBLは好きで読んできました。自分でも描いてみたかったけれど、全くお話が思いつかず読む専門でした。
それが最近になって『少年と薬売り』の元になったお話を思いついて「描いてみようかな？」と思い、描き、それを本にしてイベントに参加したところ、今のお世話になってる編集さんと出会いました。
小学生の頃の夢が遅ばせながら叶いました…まだまだこれからとは思いますが、本当に嬉しかったです。

Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
読んでくださった方のお家の本棚にそっと『少年と薬売り』が加われたらいいな、と思っています。
あと考えるとドキドキして眠れないのであまり考えないようにしています。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
初めまして、吉田実加と申します。本当に幸運なことにフルールさんにて、こうしてコミックスを出して頂けることになりました。時代物、ということでちょっととっつきにくいかもしれませんが、そんなにかっちり時代物という感じではないので、気軽に読んでいただけると幸いです！ よろしくお願いいたします。
担当編集より
人に触れることを禁じられ、迫害されて一人で生きてきた少年・アマネを救ったのは、容姿のせいで「鬼」と呼ばれてきた薬売り。
孤独を抱えた二人が惹かれ合うのは、自然のなりゆきなのですが、すんなりといかないのが物語というもの。

試練を乗り越えて、結ばれたとき、あたたかな感動が胸に広がります。

ストーリーはシリアスタッチですが、アマネの親代わりの山犬・リクの過保護っぷりや、関西弁の明るく男前なキサラギに和まされます♪
もちろん、和の雰囲気たっぷりの華やかなシーン、エロティックな読み応えも◎です！
二人+1匹の、その後の旅の様子を描いた後日譚『薬種問屋は恋敵？』はコミックス描きおろし32Pで収録しています！
キサラギや、アマネがあんなことに!?
こちらは、本編よりもコミカルタッチな楽しい1話です。
健気に生き抜く二人の恋の行方を、是非、見届けてください！

店舗特典
◆アニメイト：4Pリーフレット(描きおろしマンガ2P収録)
◆応援書店/カドカワストア：描きおろしマンガペーパーA「匂いと記憶」
◆中央書店コミコミスタジオ：コミコミ限定イラストカード(カラーイラストA「幼い頃のキサラギ」使用+描きおろしマンガペーパーB「6年後のアマネ」)
◆とらのあな：とらのあな限定イラストカード(カラーイラストB「アマネと擬人化リク」使用)
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(c)吉田実加／KADOKAWA