山田ウメ先生＆つくだ仁南先生インタビュー

平安男子のハレンチ古典BL！


日本史や古典の授業で覚えたあれこれがBLに!? 12月22日発売のコミックス『～おとぎぞうし～ 安倍晴明が本気の恋をするわけがない』は、タイトルにある通り、有名陰陽師の安倍晴明が登場！ 恋の相手となるのは、一般的にライバルとして知られる蘆屋道満です。原作の山田ウメ先生は、今作のように古典や、童話を題材としたBLがお得意。また漫画担当のつくだ仁南先生は、今作がBL初コミックスとなります。どんな物語が繰り広げられるのか、注目です!! それでは「801 AUTHORS 108」第1128回、山田ウメ先生＆つくだ仁南先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
山田 『御伽草子』や『宇治拾遺物語』、『今昔物語集』など複数の古典を元にBL改編した作品で、メインのお話は官人陰陽師の安倍晴明と、野良陰陽師の蘆屋道満です。どこまでもド下衆な安倍晴明に、田舎者の最強陰陽師である蘆屋道満が挑んで逆にどエロく返り討ちにされてしまいます。


もう一遍は、世界観が安倍晴明を介してつながっている源頼光と、酒呑童子のお話です。こちらは頼光が、退治した鬼の酒呑童子を独占欲も隠さず猛愛しているお話です。また、過去編では初々しい出会いを描いていますが、こちらは酒呑童子誕生譚と共に“無自覚な初恋”がテーマになります。


Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
山田 基本的にはどのカップルもドS×生意気(野郎系)受けなんですが、メインのお話は、キレイ系ド下衆な性格の晴明と、男臭い叩き上げ系(童貞)の道満になります。もう一本の方はイケメンすぎるドS帝王な頼光と、墓穴を掘っていくタイプの褐色生意気系受け(元色白おかっぱ美少年)の酒呑童子になります。

Q. 当て馬や重要な脇役は？
山田 お気に入り脇キャラは、お尻出し要員の、見た目は10歳、知能は3歳ぐらいの子狐(風神・雷神)たちです。つくだ先生の描くプリ尻の黄金ラインはただ眺めているだけで目頭が熱くなります。重要な脇キャラは、晴明の過去を知る師匠兼兄弟子の賀茂保憲になります。ショタ好きの残念イケメンですが、本性を隠した隠れSキャラだと思います。

つくだ 当て馬と言いますか、メインCPに絡んでくるキャラは生意気貴族や変態坊主など毎回いて賑やかです。普段はショタショタしている子狐たちが、見た目17歳くらいの姿で絡んでくるシーンは描いていてニヤニヤ致しました。あと、晴明の式神の“影”は黒髪＆ほくろキャラなので好みです。


Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
山田 こだわりというか好きでそうなってしまったんですが、キレイな顔の方がドS攻め、男臭かったり、褐色で生意気な野郎系が“無理矢理”受けにされてしまう、という設定です。また、どのカップルも根底はプラトニック・ラブで、一筋縄ではいかない恋の攻防を描きたいと思いました。あとは古典題材をBLネタにアレンジしていますので、実在する歴史人物も出てくるため、興味の広がりとして一つの入り口になればいいな……と!!

つくだ 絵を描く上で意識したところは、些細ですがキャラごとの体型や年齢差です。晴明の場合は年齢不詳なので、どの時代のシーンでもあまり見た目に変化が無いように逆に気をつけています。


Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
山田 題材的にも古典の基本ストーリーをどこかでリンクさせないとパロディにもならないんですが、それを重視するとBLラインの話に持ち込みづらい、という難点がありました。そのバランスをとるのに毎度話の組み立てで頭を抱えました。でもそうやって苦労したぶん、漫画になってできあがった時のシナリオを超える世界観、つくだ先生の描く美麗なイラストでビジュアル化されたキャラクターたちをイチ読者として拝めることができるのは最大の感動で、毎度楽しませていただきました。

つくだ シナリオが小説のように読みやすく、セリフやト書きのシーン説明までしっかり作られていて、毎回楽しく読ませて頂いているので、これを漫画の形にする際に台無しにしないよう必死に描いています。最初の頃は平安装束のバランスがよくわからず四苦八苦していましたが、あのたっぷりとしたシルエットがだんだん可愛らしく思えてきて、いまや愛しみの気持ちで描いています。


Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
山田 ボツというより、見せられる機会がなさそうなネタだけは山ほどあります。たとえば道満の式神である風神・雷神は元は子供の野狐なんですが、道満に助けられて拾われる出会いの話とか。晴明にもイケメンな式神の“影”がいるんですが、こちらは蝶の化身で、元を辿れば渡来系の八百万の神の一人で、神落ちしたあやかし(土着神)という裏設定があります。ほかに作中では半妖の噂がある晴明の出生譚とか。そういうエピソードはBLとは関係ない普通のサイドストーリーになってしまうので、何とか創意工夫してBL展開も絡めつつ出せないものかなぁとぼんやり妄想しています。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
山田 酒呑童子を描くに辺り、つくだ先生が鬼の祟りに怯えていたという話を後々聞いて、祟られるならまっ先に話を考えた自分だろうと思いました。罰当たりどころの話ではありません、すみません。晴明神社に願をかけました(こっちはこっちで罰当たりなキャラに仕立ててしまいましたが……)。

つくだ 鬼が出てくる作品にまつわるいろいろな作家さんの経験談を聞いたことがあるので、やはりお祓いのようなことはすべきかなと思い、たまにアシをしてくれる姉や家族も連れて地元の神社に行きました。晴明神社にも行きました。そろそろまた改めて参拝したいと思っているところです。

Q. 今、何かハマっていることは？
山田 今も昔も妄想。どんなに暴走しようと頭の中なので、お金もかからずTPOもわきまえず、通報されないのもありがたいですね。

つくだ 昔からハマっているのは1人カラオケに7時間ほど没頭することです。ストレス発散にもなるので定期的に行きたいのですが、ここ2年くらい行けていないのでムズムズしています。

Q. BL作家になったきっかけを聞かせてください！
つくだ 別のペンネームで一般少年漫画の単行本を出して頂いたことはあるのですが、BLでは初単行本です。男同士の恋愛に目覚めたのはパロディ同人誌がきっかけで、その後、自分も同人活動をするようになり、その流れで知り合った編集さんからお声をかけられてお仕事もするようになったという感じです。ご縁に感謝です。

Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
山田 最初は単行本化とは無関係のところから始まった企画モノ発進でしたが、それが実現したのはつくだ先生が描かれた漫画の力によるところが本当に大きいです。つくだ先生の描くイケメン揃いの平安古典BL絵巻、流麗な絵柄で大の男が押し倒されたり、おかっぱ美少年受けからの褐色鬼受けに至るまで、これが漫画で拝めることそのものが感謝の念に絶えません。生きてて良かった、ヒャッフー!!

つくだ 私がとても遅筆なので、作品が溜まるまでに時間がかかりましたが、気づけば単行本にまとまるくらい描き続けてきたんだなぁと感慨深いです。山田先生の丁寧な原作と、それをしっかり解釈した上で監修してくださる担当さんに支えられてここまできました。本当にサンキューソーマッチです。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
山田 手前味噌ではありますが、つくだ仁南先生の麗しい筆致で綴られた絵柄を見るだけでも一見の価値があるかと思います!! 古典題材ですが内容はバカBL＆エロスで、ラストに少しトキメキも……。イカつい男尻や褐色鬼受けが嫌いでない方はぜひお手にとってみてください。少しでも楽しんでいただけると幸いです。

つくだ 古典や歴史に詳しくない私でも楽しく読める原作で、ノリも軽いので気軽に読んで頂けると嬉しいです。収録される2つのカップリングともに、受けが強気やんちゃ系です。すましたS攻めを相手にめいっぱいジタバタしております。お好きな方は是非！


WEBLink担当編集より
原作の山田ウメ先生はこれまでも童話などを題材にしたBLコミックスの原作をされていますが、漫画担当のつくだ仁南先生は別ペンネームで少年漫画を描かれているものの、BLジャンルでは記念すべき初のコミックスになります。漫画は古典をモチーフにしたイケメン揃いのBL平安絵巻です。ドS安倍晴明がガッシリ体型の野良陰陽師・蘆屋道満を押し倒したり、源頼光に鬼の酒呑童子がガツンガツンに激しく攻められたりと、ドS攻め＆強気やんちゃ受け満載の一冊を、ぜひご堪能ください!!

コミックス『～おとぎぞうし～ 安倍晴明が本気の恋をするわけがない』

特典情報
・応援書店共通:描き下ろしペーパー
・ホーリンラブブックス限定:描き下ろしペーパー
※いずれもなくなり次第終了
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確実に手に入れたい場合は書店員様にお問い合わせいただけますと幸いです。

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