華藤えれな先生インタビュー

受の密かな子育てのワケとは？ 著者初の濃厚プレイにも注目♥

BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第1692回
華藤えれな／八千代ハル／二見書房／シャレード文庫
小説『禁じられたアルファの子 ～誓いのはちみつマドレーヌ～』7月24日発売

STORY
運命でなくていい、お前が欲しい
子作り専用オメガを育てる学院の生徒・優杏は、自由に生きたいという願いを理解してくれた貴族でアルファのキースを密かに慕っていた。 発情期の夜、運命のつがいとして彼と結ばれるが、規則を破ったことで彼が狙われることに。 愛する人を守るため黙って姿を消す優杏。しかしその身には彼の子が。 四年後、ひっそり子育てする優杏を探し当てたキースは自身が子の父親だと知らず、裏切られたと勘違いしたまま執着してきて――。

――作品紹介をお願いします
英国が舞台のオメガバースです。英国といってもスコットランドです。しかもオメガバースなので、パラレルなスコットランド、つまり名前だけのファンタジー設定です。
今回は、オメガバースで、さらに子供が出てくる形になっています。ドラマチックなお話を書いてみたかったので、ストレートな王道メロドラマを目指してみました。
運命に翻弄される二人の恋愛の行方、それから子供はどうなるの？ というあたりがメインテーマなので、主人公がオメガですが、痛くもなく、エグくもなく、安心して読んでいただける内容になっていると思います。なので、よかったら読んでくださいね。


――主人公たちはどんな攻×受ですか？ 
攻のキースは、高位の貴族でアルファ。弁護士の仕事もしています。
優しくて温厚な英国紳士ですが、優杏との恋愛で傷ついたことがきっかけで、暴君と噂されるような一面が出て来たり、優杏に対しても劣情や執着が強くなることで、俺様な一面も出てきてしまうというタイプです。
要するに、執着溺愛攻ですね。でも内側はヘタレ。優杏に対しては、運命的な相手としてということだけではなく、胃袋までしっかり掴まれていて、結局、メロメロです。
受の優杏は、心のしっかりした健気受です。オメガの中でも、高位のアルファのつがいになれるようにとエリートばかりの学院で英才教育を受けていましたが、攻との恋愛によってエリート人生から転落してしまいます。周りの人が幸せな気持ちになってくれるようなお菓子を作りたいという夢を持っていましたが、学院の規則を破って妊娠してしまったことで……その子のために身を隠して暮らすようになります。キースに対しても子供に対しても、とにかく自分が愛した相手には一途で一生懸命なタイプで、どんなことにも絶対に屈しません。

――当て馬や重要な脇役は？ 
重要な脇役は、小さな男の子のジュリアンです。金髪で、アルファで、見た目はパパにそっくり。胃袋もパパと同じ。頭が良くて、いつでも優杏の味方です。攻のキースに隠れてひっそりとこの子を育てていたのですが、それを他に男がいると勘違いされて……という展開です。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう？ 
愛する相手のつがいになり、攻の子を妊娠してしまったけれど、ある事情からそれを絶対に告げることができなくて……という切ない流れがポイントです。
いろいろな事情から、攻のキースは、自分のつがいが優杏だとわからず、さらには二人の子供がいることも知らないまま話が進んでいきます。
それどころか、優杏のことを悪いやつだと勘違いしているので、そのあたりがちょっと切なく、キースの言動にムカっとするかもしれません。
ただ優杏が、そうした勘違いや誤解に対して、決して屈せず、へこたれないのが本作のポイントです。
あと、優杏の作るお菓子もこだわりポイントです。フランスのお菓子がメインですが、キースやジュリアンとともに、食べた気持ちになっていただけたら嬉しいです。

――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
苦労したところは、お菓子やスコットランド料理を書いているとやたらと空腹になったことです。その衝動を抑えるのが一番の苦労でした。
楽しかったのは、オメガバースならではの濡れ場を書くことです。発情期でも、つがいになる前とつがいになったあと、それから発情期以外……と、いろんな感じに挑戦できたのが楽しかったです。発情期の受、書いていてものすごく楽しいことに改めて気付きました。これからもいろいろと挑戦したいです。

――今作にまつわる裏話はありますか？ 
当初は、二人の子供のジュリアンはまだまだ赤ちゃんぽい感じだったのですが、もっとこまっしゃくれた感じでおしゃべりしてくれた方が可愛いし、お菓子もたくさん食べてもらいたかったので、ちょっと年齢をひきあげました。年齢的に、イクラちゃんからタラちゃんくらいになった……という程度ですが。あと、ジュリアンがお菓子の食べ過ぎで虫歯にならないよう気をつけないとと、あんまり関係のないことを考えていました。

――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
初稿執筆時に何をしていたのか、あまり記憶にないのですが、改稿時期にちょうど平昌五輪があり、羽生結弦選手の金メダルに感動したことが一番の思い出として記憶に残っています。地元なので、朝、晴明神社に行って、それから一人で平安神宮前のカフェに移動し、イヤホンをつけてずっとライブ画面で見ていました。

――今、何かハマっていることは？
ロシアや中欧諸国にバレエを観に行くのにもハマっていますが、一番コアで、一番特殊なハマりものは、闘牛でしょうか。1996年から、年に一度、二年に一度、年に二回……と、スペインと南仏に観に行っています。今年の五月は初めて自分でも闘牛の技に挑戦してみました。牛を相手にするのではなく、まだ闘牛のフォームを覚える初歩の初歩段階ですが、いつか牛の前に立てるよう、日本でも練習しようと半分だけ本物の道具を買ってきました。これから少しずつ頑張ろうと思っています。

――BL作家になったきっかけを聞かせてください
きっかけは、もちろんBLが好きだったからです。デビューの前、大学生の時に普通の小説で賞をいただいたり評論の仕事もちょこちょことしていたのですが、元々の知り合いだったBL作家の先生から「BLが好きなら投稿したら？」とおすすめいただき、リンクスの前身のエクリプスの新人賞に投稿して賞をいただいて……という流れでデビューしました。その当時、国家試験も目指していたのですが、受験勉強をさぼって原稿を書いている私の姿を見た試験の指導係の方が「そちらに集中された方がいいと思います。もしダメだったらまた戻ってきたらいいですよ」とおっしゃったのをきっかけに受験勉強を中断。その後すぐに法科大学院ができて受験制度も変わったので、戻る気力もなくなり、頭の中身も法律よりもエロスの方へ……。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？ 
毎回、発売前は、緊張で具合が悪くなってしまいます。どの作品も少しでも読み手の方に楽しんでいただいたり、読んでよかったと思っていただきたいという気持ちで挑戦しているのですが、それがきちんと伝わるのかどうか、本当に不安でしょうがないです。今回は、オメガバース、子供……ということで、お好きな方も多い設定だと思います。そのぶん、外していないか本当に不安ですが、どこかしら楽しんでいただけたら本当に幸せです。
キースも優杏もジュリアンも、皆様から少しでも愛されるキャラクターであることを心より願っています。

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！ 
初めましての方、普段から読んで下さっている方、ここまで読んでくださってありがとうございます。
実は感想もこっそり拝読しております。小心者でとても心が弱いので、マイナスはなるべく目に入れないようにしていますが(今後の参考になることも考慮すべき点があることもわかってはいるのですが……ごめんなさい)、その反対に、何度も読み返して心の支えにしているレビューもあります。自分の作品を少しでも楽しんでくださっている方がいることがわかって大変ありがたいです。この場を借りて御礼申し上げます。
またこちらのレビューがきっかけで、読んでくださるようになった読者さんもいらっしゃいます。私もまた漫画を購入するときの参考にする時もありますので、このように、たくさんの方が参加できる感想のサイトがあることはとてもいいなと思っています。今後のサイトのますますの発展とユーザーの皆様がまた新たな作品との出会いのきっかけとなっていくことを心から祈ると同時に、そこに私も少しでも加わっていられることに感謝を抱いております。本当にありがとうございます。

担当編集より
華藤えれな先生の新刊は、オメガバース第五弾、ドラマティックな再会もの。
二人の間には子供がいるのですが、父親であるキースはそのことを知りません。それどころか優杏が身を粉にして働き子供に仕送りしていることを「貢いでいるアルファ」がいると誤解。仕事を奪ったうえ「金がほしければ俺に身体を売れ！」なんて意地悪を。
そして、そんな二人のシークレットベビー・ジュリアンがめちゃくちゃ可愛いのです。小さいながらも、優杏を守るためキースに立ち向かっていく姿は立派なナイト。ラブシーンは華藤先生初というドキドキの濃厚プレイあり！ 八千代先生の可愛くてエロティックなイラストも必見です。
ぜひお楽しみください！

小説『禁じられたアルファの子 ～誓いのはちみつマドレーヌ～』

特典情報

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(C)華藤えれな／八千代ハル／二見書房