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 車折まゆ先生 インタビュー

2009/05/13 12:00

ダイナミックなタッチの人物と丁寧に描いた背景で、誰もが一度見たら忘れられない印象を受ける新進気鋭の漫画家 車折まゆ。
2008年に初単行本「コルレオニス 獅子の心臓」を発売、今年に入ってから立て続けに小説のイラストを担当し、8月には人気BLゲーム「sweet pool」のコミカライズを手がける。
そんな忙しい彼女に漫画家になるきっかけやこれからの目標を聞いてみた!


――最近は木原音瀬さんの小説「眠る兎」など小説イラストを立て続けに描いていますね。そして8月からは人気BLゲーム「sweet pool」のコミカライズを担当されるようですが…

車折
挿絵の仕事は前からやってみたいとずっと思ってました。小説を書かれる先生の文章から
イラストを起こすのはとても新鮮でした。コミカライズは自分自身にとって、初の連載という大きな仕事で、初めてお話をいただいた時、とても驚きました(笑)

――「sweet pool」はかなりホラーチックなBLですけど、漫画化にあたって車折さんが特別考えていることはありますか?

車折
「sweet pool」の世界観を上手く漫画に取り込む事、文章で説明されている部分を
漫画ならではの、コマとフキダシのセリフ又、動きのあるタッチで表現できれば、と
考えています。

――違った作風ということですが、車折さんは、もうすでに自分のスタイルをある程度確立しているのではないでしょうか? たとえば広い肩幅に独特の髪型、ごつい指先、そして細やかな背景。

車折
実は一番描いてて楽しいのは、背景だったりします(笑)人物がどこにいて、どういうアングルでコマに収めれば効果的に見えるか…まだまだ勉強中ですが、そういう事を考えるのが好きです。人物に関しては、ガタイが良い方が描きやすいんですよね。もっと描けるバリエーションを増やしたいと模索中です。

――初期のころと比べると、だいぶ画風がちがってきたようですが、絵はこれからは今描いているようなスタイリッシュな感じで行くのですか?

車折
そうですね。このスタイルで行きたいです。最近はずいぶん自分の好みが反映しすぎちゃってるなと思いますけど。

――車折さんが影響を受けた作家さんはいらっしゃいますか?

車折
鳩山郁子先生でしょうか。小学生の夏休みの宿題に、読書感想文で読んだ本の挿絵を描かれていた方なんですが、それまで少女漫画ばかり読んでた私にとっては衝撃的でした。
繊細な線、細かく描写された背景を見て、圧倒されたのを覚えてます。それに感化されて漫画を描き始めたわけではないんですが、当時感じた「細かいところまで丁寧」というスタイルは私の好みの原点であり、今目指している大きなポイントでもあるかと思います。

――最初は、GUNという名前でデビューしたようですね。名前を変えたのは何か意味があったのですか?「お前がガンなんだよ」なんていわれるのが言われるのが嫌だった?

車折
そんなことないですよ(笑)。ネットでイラストを公開するに当たってサイトを作る時に「何かインパクトのある名前を…!」と適当につけてしまったハンドルネームだったので。商業誌に載せていただく際に、何かケジメの意味で名前を変えたんです。

――それがデビューのきっかけなんですね。そして初めての単行本「コル レオニス 獅子の心臓」もなんとなく出したんですね。

車折
いえ、単行本はまさに「勢い」でした。編集さんからお話をいただいた時「はい!やります!」の二つ返事での即答です(笑)

――「なんとなく」じゃなくて、即決なんですね。

車折
こんなありがたいチャンスは滅多にないですしね。
しかし、コミックスを出すにあたり、これまで描きためたものもチョロっとあったのですが、ほとんどが描き下ろしだったので、とにかく死に物狂いで描いてたと思います。というのも描いてた頃の記憶がほとんどないです…(笑)

――そんなにつらかったんですか?

車折
漫画を描くのも相当ぎゅうぎゅうなスケジュールで描いてたので辛かったとは思うんですがそこよりも、最後の最後で大きなトラブルがありまして…(笑)

――どんなトラブルだったんですか?

車折
3本描き下ろしたうちの、一番最後の作品がもう少しで終わる~って時にいきなりパソコンが壊れまして…。私、作画は全てパソコンでやっているんですが、「もう少しで終わる」という事で、古いパソコンを無理矢理フル稼働させてたんですよね。数日分の原稿が一気に飛びました。私の魂も飛びそうになりました…。

――バックアップしてなかったんですか?

車折
はい。バックアップを忘れる程、集中してたんだと思います。しかもまさかこんな時にパソコンが壊れるなんて、そんな漫画みたいな展開なんて予想もしてませんでしたし。完全に私が悪いんですが…。事後、取り乱して深夜に友達と編集さんを電話で叩き起こしました…。

――編集さんもいい迷惑ですね(笑)

車折
すみません……そのときは、編集さんもびっくりして…電話口で叫んでました。

――夜中にそんな電話をかけられたら心臓がとまります。声が出ただけよかったんじゃないですか(笑)。

車折
実際、自分が何言ってたのか覚えてないんですよね…(笑)あそこまで取り乱したのは人生初だったんではないでしょうか。恥ずかしいお話です(笑)

――絶対絶命のピンチ、いったいどうしたんですか?

車折
沢山の友達に助け船を出してもらいました。情けない…(笑)迷惑をかけても心配して助けてくれた事に大感謝ですね。彼らがいなければ単行本もきっと仕上がってなかったと思います。私1人だけで作った単行本ではないという事です。

――次の目標は、「sweet pool」の漫画化を成功させることと、友達にお礼を言うことですね。ぜひ実現するといいですね。

車折
これからも日々精進して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

紹介者 高坂ミキ

初めて彼女のイラストを見たのはBLサイトを個人で運営している方ならおそらく誰もが知っているであろうと思われる有名な某BL専門検索サイトの企画の一つである、絵師企画だった。

「あなたの書いた作品に登録絵師さんが絵を付けてくれます」

 そんな歌い文句の企画は現在も進行中のようで、日々沢山の絵師様の名前が新しく登録されているのを未だ見かける。その企画登録されているイラストの一つに車折さんの絵を私が見かけたのは今から2年ほど前のことだろうか。

 当時はまだ今のPNの「車折まゆ」と言う名前を使ってはいなかったが、掲載されているワンカットのイラストに心惹かれた私は彼女のサイトを即座に訪れた。

 既にBL界で絵師として活躍している方たちと何処か似ているようでいて、やはり何処かまったく違う雰囲気を持っている特徴のあるイラスト。とりわけ目を引 いたのがサイトに掲載されているカラーイラストだ。
絵を見た瞬間、私の脳裏に彼女の絵でストーリーが浮かび、いつか自分の書いた話にイラストを付けてもら いたいと思い切って告白したのが始まりだ。

 当時から既に商業の世界で活動をされているようだったが雑誌を買わない派の私にはその辺りの事情にはかなり疎く、何時も気軽にメールの返事や日記のコメン トを返してくれる彼女は私にとって憧れの絵師様というよりももっと身近な存在であったから、デビューコミックスが出たと知ったときには嬉しいと思う反面、何処か 寂しい気持ちもしたものだ。

 初めて手にした車折まゆ名義のデビューコミック、そこに描かれる作品は、良く見知っている彼女の絵ではあるものの、商業誌より出版され1冊の本にまとめられているというだけで私には何処か眩しく感じられた。

 告白した当初書いてもらいたいと思っていたイラストは、私のオフが忙しくなったりで話が書けず、妄想段階で終わってしまっているため、J庭でご本人にお会いする夢はかなったものの、そのコラボ企画が実現していないままなのが悔やまれるのだが、おそらく彼女の方は既に忘れているであろうその告白を私は未だ密かに心の中で温めている。

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