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 山田ぼたん先生 インタビュー

2009/06/30 12:00

6月15日、二冊目のコミックスが発売となった山田ぼたん先生。
その作品「秘め夜伽」はオール遊廓もの。純和風のお話です。
一冊目「Ai Death GUN」と、随分雰囲気が違うので、
同じ作家さんと分ったときは驚きました。
しかも「Ai Death GUN」へ葡萄瓜さんよりいただいたレビューは、
何? かっ海外!??? と、なんとも興味深い内容だったのです。
気になるアレコレ、質問してみることにしました!!


――商業誌デビューの経緯と、ペンネームの由来について教えてください

山田
雑誌投稿です。ペンネームは関西のお笑い芸人「中田カウス・ボタン」師匠をリスペクトで。友達と二人で同人活動をしていたので、何かコンビ的な名前がいいなー、と。ちなみに友達の名前は、山田カウスでした。

――「Ai Death GUN」「秘め夜伽」の山田ぼたん先生と「Lets Draw Manga: Yaoi」のBotan Yamada先生は同じ方だと知ったときは驚きました! 今後、Botan Yamadaとしても活動をされるのですか? 「Lets Draw Manga: Yaoi」が生まれるきっかけやエピソード、これを描かれたとき の先生のお気持ちなど、教えてください

山田
はい、お仕事がいただければいつでも、Botan Yamadaで活動します……! 「Lets Draw Manga: Yaoi」は、「アメリカのBL好きの読者のために、やおい漫画の描き方をレクチャーする How to 本を作ってほしい」という依頼でしたが、かなり自由に製作させていただきました。発行元であるアメリカのDMP社さんに、当時お世話になっていた日本の編集さんから、推薦していただきました。初心者向け……ということで、内容はBL限定というより、漫画を描くということを、広く・浅く触れるよう心がけました。

――影響を受けた漫画家について、ボーイズラブの作家さん、ボーイズラブ以外のジャンルの作家さん、両方教えてください

山田
藤たまき先生・石原理先生・やまねあやの先生・猫田リコ先生
BL以外だと、川原泉先生、荒木飛呂彦先生です。

――漫画に限らず、お好きな絵画・映画・小説・音楽など、作品に影響を及ぼしていると思われる物事がありましたら教えてください

山田
映画好きです。色々影響されていると思います。

――構図・デッサン・コマなどについて、漫画を描かれるときに、意識されていること、参考にされていることを、教えてください

山田
構図・コマ割についてはとにかく「見やすい・読みやすい」のを心がけているつもりです。デッサンは…よく狂ってます…苦笑 でも、勢いがあればいいかなと……。いやダメですね、がんばります!

――これから漫画や絵を描いてみたいと思っている読者へ、先生お勧めの上達術や練習方法など教えてください

山田
漫画の上達法は、面白い漫画や素敵な漫画を、ただ読者として見てるだけでなく、『何故おもしろいのか?』など、違った視点で見てみるといいかも…しれません。
絵に関しては、よく『資料を見て、それを二次元に書き起こすのが練習になる』って言われますが、描き始めって、三次元を二次元にするのって、とっても難しいんですよね。なので、最初からそれは上手く描こうとしないで、じっくり・焦らず・たくさん描く…でしょうか……?

――ストーリーはどのようにして考えていますか?

山田
描きたい場面が思いつくまで落書きしたりします。

――ボーイズラブというジャンルに目覚めたきっかけを教えてください

山田
『人間愛って性別超えるな』と、感じた作品に出会えたことです。

――いままでに描かれた作品の中から、先生ご自身の一番のお気に入りを教えてください

山田
BL雑誌に初めて掲載された「愚者の楽園」です。

――お仕事が大変なときや終えられたときなどの、リフレッシュ・リラックス方法について教えてください

山田
買い物! です。100均とかでも満足します。

――これから挑戦してみたいと思われる漫画について。それはどのような作品か教えてください

山田
任侠モノが今熱いです。今のところ読むオンリーですが、いつかは……。

~山田先生よりメッセージ~
BLでは初の単行本をエンターブレインさんより出していただきました。「秘め夜伽」という遊郭ものです。少しでも興味がございましたら宜しくお願い致します。ここまで読んでくださってありがとうございました! 向こうでのヤオイコンのレポなどするかもしれませんので興味がございましたらブログなども覗いてやってください。(でも更新遅めです……)
★☆ぼたんブログ☆★


亜米利加の801ちゃん作家

紹介者 葡萄瓜

筆者が“山田ぼたん”と言う名を知ったのは2006年のこと。アメリカで刊行された「Zowie! its Yaoi!」と題されたBoys Love小説アンソロジーの新しいカバー絵作者さんとしてでした。(刊行発表当時は現在流通のイメージとは全く方向性が違うカバー絵でした)

もっとも往時は差し替え予告の段階から最後まで“Botan Yamada”と言う名前の表記しか情報がなく、また色遣いの加減も本邦の作家さんと著しい差異が認められたため、「日本人名を名乗られている海外の作家さんであろう」と迂闊にも思い込んでいたのです。

そしてしばらく後、彼女は新たに立ち上がった18歳以上の読者を対象とするYaoi漫画出版レーベル・801media Inc.にイメージキャラクター作家として関わっています。

そのキャラクターこそが実は“801-chan”です。多分日本の“801ちゃん”とは何の繋がりも無いはずです。版元名からのネーミングがたまたま被ったのでしょう。そこで筆者は少し首を傾げ始める訳です。

801media Inc.の12月20日付ブログ記事に掲げられた直筆色紙には“山田ぼたん”と署名があり、12月22日付記事には801-chanとその相方Tomo-chanのキャラクター図が掲げられていたのですが、その色使いは「Zowie! its Yaoi!」とはまったくかけ離れたもの。ここから筆者は遅まきながら情報を手繰り寄せようとした訳です。

そうしている内の2007年のこと。"Botan Yamada"を著者とする一冊の本が上梓されました。それはDigital Manga Publishing刊行の「Lets Draw Manga : Yaoi」。恐らく当方が確認する限り、海外における唯一のYAOIの描き方の教科書です。そして彼女は版元からの繋がりでグループ企業の日本観光ツアー会社・Pop Japan Travel社が主催した《Yaoi Bishonen and Boys Love Tour》のイメージ画を担当する様になりました。

801media Inc.の刊行物においても変わらずイメージキャラクターを描いておられました。その段階で筆者が掴み得た“山田ぼたん”さんの情報と言えば僅かに〈かつては遊戯王ジャンルで同人活動をしていたが、BL雑誌の挿絵を担当する様になってからサイトを畳んだらしい〉、と言う程度。

作品の画像も辛うじて同一人物では? と認識できる程度を確認し得たに過ぎませんでした。「Lets Draw Manga : Yaoi」はアメリカほか諸国でも品切れ。古書でも高騰状態。彼女の作品が日本の商業出版において正当に評価される機会はもう来ないのかといい加減諦めかけていた頃、2008年エンターブレインから「Ai Death GUN」が刊行されたのです。

……それは、本当に嬉しい出来事でした。世界に向かってYAOIの手解きをした人の功績がきちんと認識される機会がやっと訪れたのだと。そして本年の「秘め夜伽」刊行で嬉しさは更に増しました。

物語の紡ぎ手としての"山田ぼたん"を知ることができましたから。これから、また新たな世界が拡がることを一読者として期待します。

作品紹介と言うよりも彼女の知られざる業績紹介に多くを割いた稿となってしまいましたが、何かの一助となりましたら幸いです。

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