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堺市の図書館BL騒動 禁書になった作品はコレ?

2009/01/30 00:00

昨年、ボーイズラブ小説を5500冊。計367万円分購入していたとして、世間を騒がせた大阪府堺市図書館。児童も利用する公共の図書館に果たしてBL本を置くのはふさわしいのか?
図書館では禁書リストがつくられて、BLは一時18歳未満に貸し出し禁止に。
いったいどんなBL本が貸し出し禁止になったのか? 今回は特別に禁書になった本をちょっとだけ覗き見してみたい。

 ボーイズラブ小説って、有害なんでしょうか? 堺市の図書館で、ボーイズラブ小説を購入していたことに、ひとりの「市民」からクレームがついて、一時はボーイズラブ小説を閉架書庫に移して、18歳未満への貸出を禁止するなどの騒ぎに(今は改善されたそう)。

 ところで、一時排除が決定された「有害指定」本のリストが、ネット上でみられます。これがちょっと面白い。http://blog.goo.ne.jp/teramachi-t/e/2811daaaeef1224638be521f3e226efa ついうっかりダウンロードしたあと、印刷してしまったら、トナーがなくなってしまいました。印刷するひとは、覚悟を決めてくださいね。ダウンロードもだけど。

 禁書、っていうことで、どんなにエロエロ?なのかと期待していたら、意外な結果に肩透かしです。だって、有害率も高くて、冊数も2位の作家さんは、鹿住槙さんなんだもん。がっくし…。鹿住さんって、わたしのイメージでは、往年のコバルトシリーズみたいにほのぼので、男子高校生が放課後にカップヌードル食べながら、じゃれあっているような感じ(って、『放課後のカップヌードル』って題名を思い出しただけでした。これも有害指定)。

 鹿住さんの代表作といえば『ヤバイ気持ち』。これも有害指定だけど、いちおうベッドシーンもあるものの、女子高生が援助交際している時代に、こんな同級生同士のぎこちないベッドシーンなんて、可愛いと思いこそすれ、…駄目なんですかね? 堺市では、団鬼六先生の小説が開架にもあるようですが、基準がまったくよくわからん!! それに、渡辺淳一大先生の小説のほうが、よっぽど、おやぢで有害なのでは…!? エッチしながら心中ですよ(『失楽園』、読んでないけど)。

 7位はなんと、秋月こおさんです。作者が元熊本市議でも、フジミシリーズも駄目だって。好きなのに。やっぱり、指揮者×バイオリニストの愛と苦悩の日々っていう、完全な音楽小説になりかけているのを防ぐためか、毎回1冊に1回ある、あのサービスエッチがいけなかったんでしょうか? 確かに悠季の喘ぎ声がだんだん安っぽくなってきているのは、わたしも気にはなっていたんですけど…。
 友人によると、「フジミはさぁ、やっぱりあのワーグナーのシーンが、有害なんじゃないの?」。秋月先生の初体験は、血だらけなことが多いんですけど、確かにワーグナーをかけながら無理やりセックスを迫ったらいけないですよね。でも、ロリコン漫画を読んでいると幼女に実行したくなるという理由で禁止がいいわたされることがありますが、その論理でいくと、ワーグナーかけながら性関係を無理に迫りたくなるような乙女はいないと思うので、大丈夫じゃないんでしょうか?(そういう意味ではないですか?)。

 氷室冴子さんの「なんて素敵にジャパネスク」シリーズを読んで、古文を好きになったり、平安時代の勉強をしたりしたわたしとしては、秋月さんの「ロマンセ」シリーズなんかも、歴史に関心をもつ入り口としてはいいんじゃないかと思うので、とても残念です。

 実際に、堺市の図書館にリクエストを出して本の購入を依頼したり、貸し出しを受けたりしているのに、ほとんど未成年はいないそう(朝日新聞2008年11月14日)。おそらく30代、40代の女性が多いんじゃないかな。そりゃそうですよね、ティーンエージャーがリクエスト出してまで図書館でボーイズラブ小説読むかって聞いたら、まだ羞恥心が勝ちそうだし。活字離れが進行するなか、ボーイズラブ小説でもいいから読んでいるうちに、活字好きになるなら、それはそれで立派なのでは。それに、子どもへの影響が心配な父兄には、実際に援助交際やったり、不順異性交遊(死語)に励むこともなく、腐女子やってる子たちのほうが、「ご心配」なことは少ないんじゃないかといってあげたいです。いったい何を心配しているのか、よくわからないけれども。

 青少年への悪影響という意味では、心配してしまったのは、木原音瀬さんです。人間存在を問いなおすような、木原さんの小説にある「毒」に、若いうちに触れてしまったら、あっぱらぱぁ?と生きられなくなっちゃいますよね(笑)。で、木原さんの小説は、18冊購入されていて、禁書は12冊。基準がよくわからないけど、『さようなら、と君は手を振った』が入っています。これは駄目ですよね。恋愛にはまって、子どもよりも男に溺れるお父さんの話だもん。若いうちからこんな小説を読んでいたら、何もかもを捨てて恋に生きる、恋愛体質の女性になっちゃいます。『セカンド・セレナーデ』も、ろくでもない性悪と知りながら受けを愛す攻めの話でした。悪いダメ男を好きになってもそれはそれで幸せだと思っちゃう大人になるかも(両方冗談です、念のため)。

 でも、『B.L.T』は禁書に入っていないの。どうして? 会社員が男子中学生に痴漢をはたらいて、連れまわすというお話なのに。『片想い』や『プレイス』が駄目で、『B.L.T』はOKという基準が、まったくもってわかりません!! あと、『箱の中』と『檻の外』は、ダ・ビィンチのBL芥川賞をとっている作品なので、図書館に入れてあげて欲しかったなぁ。名作なのにさ。リクエスト、なかったんでしょうか?

 わたしは手元にもっておきたいし、作家さんに印税もいれてあげたいので、基本的にはボーイズラブ小説もコミックも購入する派なんですが、某中古本サイトで異様な高値がついていたり、そもそももう出回ったりしていない絶版本が、図書館にあるのはいいものだなぁと思いました。木原さんの本には、かなりお金をつぎ込んだんだけど、『黄色いダイアモンド』とか、まだ買えていないし。自分が住んでいる行政区域の図書館の品揃えに、そもそもがっくりきているので諦めていますが、絶版本は保護して欲しい。そういうことができるのは、図書館だけなんじゃないかと思います。

 最後に。烏城あきらさんの、許可証シリーズが禁書なのが解せないです。やっぱり、全編風呂場でのセックスシリーズだったから、駄目なんでしょうか? 勤労小説で、本当に面白いのに!!

紹介者プロフィール:桃園あかり
腐っていることを周囲に隠していないカミングアウト済み貴腐人。しかし流石に、子どもからはBLをどう隠すかが最近の懸念。職業は、意外にまじめなプロフェッサ?。思うより職場のスーツ率が、低くて悲しい。

コメント11

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図らずも当事者に

この公開されたリストを検分し、その結果について一言述べた
立場としてこの問題に関った一人でございます。
http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/8b858c679e53b271f66d9281c0d47d6d

この問題、先立って報じられていた時点で色々
議論が錯綜しまして、問題の本質が見失われそうに
なっていたのです。
その上でこのリストが公開された訳ですが…初見の
時点で当方の予測以上に対応に困るものであった
記憶があります。
何を選書の物差しにしたいのか、本当に見え

匿名さん

コメント有難うございました。

パーシモンの住民さん

コメント有難うございます。

パーシモンの住民さんが、バックラッシュにとても心を痛められているのはよくわかりました。でも、批判されている「あなた方」っていうのが、正直いって、誰をさしているのか、よくわからなかったです…。

パーシモンの住民さん以外にも、心を痛めている方はいらっしゃると思うので、悲観されなくても大丈夫だと思いますよ。少なくともわたしは、心を痛めています。

また図書館は絶版本を含めて、本を所蔵して欲しいって、書いたつもりだったんですが、書き方が悪いのか、あんまり伝わ

匿名さん

禁書リスト

ねこたまさん

わたしも禁書リストの第二位が、鹿住槙さんっていうのに、へなへなへな~と腰砕けました。刊行されている冊数も、部数も多いからなんでしょうけれど、普通の小説ですよね。男同士というのを除けば。

やっぱり「男同士→子どもへの悪影響」っていう短絡的な図式があるような気がして、ちゃんと読んで欲しいなぁって思いますよね。

禁書リストを作るとしたら、わたしは木原さんが一位かな?(笑) 大人になるまでは、取っておいて欲しい気がします。英田さんの『エス』とかも、子どもに読ませるのは勿体ないかも(←エロじゃな

匿名さん

エゲつない…?

匿名2さん

そうですよね!!
そんなにエゲつないものばっかりじゃないのに…って思います。もちろん、ポルノ的なものもありますが、繰り返すけど、男女のSMと較べてどちらが有害とはいえないような。

ちるちるの号泣特集の作品を読んで貰いたいです~(笑)。

匿名さん

子どもへは難しいですね

匿名さん

どうも今回はひとりの方(男性)が、「こんなもんを置くなんていか~ん!!」といわれたようなんですが、ある程度の年齢になるまで、エロは子どもからは離しておきたいですよね。

でも団鬼六先生よりは、BLのほうがいいかも(笑)。

子持ちのBLファンにとっては、家に置いておいてこっそりと留守に読まれるより、人目のある図書館にあるほうがいいかもと思わなくもなかったり。わたしもBLだけではなくて、やはり性描写のあるものは、せめて小学生のうちは隠したいと思っているのですが、置き場所に悩みます。

でも「男同

匿名さん

日蔭者…!?


乱菊さん

近くにお住まいなんですね。

〉なんだかそこには、ピュアな愛しかないのに男同士だからってだけで、世間から白い目で見られ排除されてしまうという、まるでBLやゲイのカップルの存在そのままなモノを感じてしまいますね(笑)

あはは。爆笑しちゃいました。
男同士だからって、日蔭者扱いされているカップルのようですよねぇ…。

図書館側の事情としては、今は利用者が少ないと予算がカットされてしまったり、不要だといって統廃合されてしまうので、たくさん借りてもらえるラノベや、BLでも入れたいということは、やっ

バックラッシュとしか言えないのに、このお粗末さって何?

桃園さんの心臓を悪くすること必須ですが、大変厳しいレスポンスまいります。

もともとBLが図書館にあるというのがあたりまえだと思っている人間です(国立国会図書館法25条の「納本義務」によって国会図書館にはどんなエロ本でも入れないと罰則が科せられます)。そして、入れる入れないは図書館の裁量であってもいいとも思っています。

今回の問題を傍らで眺めていて感じるのは「バックラッシュ」と呼ばれる(ジェンダー・セクシュアリティに関しての)揺り戻し現象のタチの悪さがBLにも来たのだなという一抹の不安です。
このバック

本当の禁書リスト

こんにちは。
コラムを読みながら、
図書館にBL本って置いてある事実を初めて知りました。
(なんか脱線ですが…(汗))

それにしても、禁書って、言われてみればおかしな話ですよね…(笑)
禁書なんて言うと、とんでもないレベルの本を想像しちゃいますが、
まさか鹿住槙さんとかまで入ってるなんて驚きです。

でも、ある意味禁書のリストって面白いですね。
どうせなら、真正腐女子によるホントウの禁書リストってのと作って欲しい…(笑)

匿名さん

うーん・・・。

それだったらR指定とかにしてそれを満たさない人には貸し出さないようにすればいいのでは?と思ってしまったのですが。DVDやCDレンタルのように空ケースってのがありますよね。あんな感じで作れば?とも思う。いずれにしてもBLってそんなにエゲつないものばかりじゃないと思います。良作が多いのも確かなのだし。

やはり同性愛は拒まれてしまう運命なのかしら。

匿名1番さん(1/1)

確かに複雑…

図書館にBL小説、実は私が住んでいるところの区民図書館にもBL本は何冊か所蔵されています。
引っ越してきて図書館のHPで検索した時に「図書館にBL小説なんて良いのか!?」ってやっぱり思ったけど(だってどんな人の目に触れるか判らないもの…)でも、だからってこんなに騒動を起こすような問題なのか、そのあたりにも疑問が…

問題を提言した人が子持ちの40代って事ですね、あの件を読んだ時思わず、私40代の母ですがBL本読んでます、すいませんすいませんってなんとも複雑な心境に^^;)

セックス描写が多いことは確かに

善悪の区別よりも・・・

私は堺市民ではないのですが、近隣在住なのでとても興味深くこの騒動を追っていました。
なんだか両方の言い分が分かる・・・気もするので、どちらが正しいとは言い切れない気分です。
自分に子供がいたら・・・もしかしたら図書館にBL小説が沢山あると知ったら、ちょっとエエッ!と思うかもしれないですね~(笑)
でもいちBLファンとしては、有害図書扱いされるのには納得いかない(-ω-;)ウーン
個人的には市場としては一般に比べれば狭い業界だと思うので、出来るなら買えるものは買って、作者に還元してあげたいなあと思うのも正直

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