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表題作森を出る方法

荏田大成・受様の義父の息子でフリーの報道カメラマン
榊原英之・男娼と間違えられた平凡なサラリーマン

その他の収録作品

  • 森に棲む

あらすじ

会社員の榊原英之は、公園で出会った男にホテルに連れ込まれ、無理やりに抱かれてしまう。
翌朝残されていたのは「悪くなかった」というメモと数枚の万札。
数日後、英之は街中で男と再会する。
自分は体を売っているのではないと説明する英之だったが、タカリと勘違いされ邪険に扱われてしまう。
三度目の出会いは母親の結婚式。
なんと、男は母親の再婚相手の息子として現れたのだ。
その上、英之の部屋に突然押しかけてきて…。

作品情報

作品名
森を出る方法
著者
火崎勇 
イラスト
巴里 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344806863
2.1

(7)

(0)

萌々

(1)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
3
得点
11
評価数
7
平均
2.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

獣とナイーブの組み合わせ

表題作と続編「森に棲む」の2本立てです。分量的には、全体の4分の3が表題作です。どちらも榊原目線で進んでいきます。

「森を出る方法」
榊原(受け)は荏田(攻め)に男娼と間違われて抱かれ、初めてであるはずなのに感じてしまったことで、自分が本質的には淫乱であるのではと恐れます。森の中を逃げ惑う夢を見る榊原。そんな中、荏田が母親の再婚で、義理の兄になると知ったうえ、同居することになり…という話です。

「森に棲む」
続編です。荏田が仕事で帰ってこず寂しい榊原。待ちわびた荏田の帰宅だったけれど、帰ってくるなり榊原を襲い…という話です。荏田が仕事の後に抱くのは「誰でもいい」から「おまえがいい」になった結果、二人は恋人同士になる話です。

当人たちだけで盛り上がっているなぁという印象で、うまく入り込めませんでした。榊原の悪夢の独白も、苦しいんだなとは思うのですが、ちょっとくどいと言いますか…榊原の思考についていけませんでした。もう少し淡々としている方が共感できたかもしれません。

そして荏田。野獣かっ!
裏表紙と兼用の、表紙めくってすぐの柔らかなカラーイラストに騙されてはいけません。黒髪の男は獣(けだもの)です!と注意したいくらいでした。あとがきの最後のイラストで、にらんでいる荏田が格好良かったです。ただ、内容的にはにやりと笑んでいる印象ではあったのですけれど。

二人の感情の起伏についていけなかったためか、荏田が優しいのか酷い男なのか私が判断できなかったのが理由か、どうにも共感できなかった作品でした。

ただ、「舞い上がってんのは俺だけかよ」とか、荏田が榊原が淫乱じゃないと生徒へ説明したりと、ちらっと萌える場面はありました。

3

どこがよくて…? 割れ鍋にとじ蓋カップル

意味深なタイトルに惹かれて読みましたが、どうも最後まで理解できないままで展開もキャラ設定もいいところを探すことができませんでした。

戦場カメラマンとして危険な地域で仕事をして戻るとひと肌が恋しくなるから男娼を買う、と言うのはまあいいでしょう。
だからと言って待ち合わせの場所で目印の同じ色の封筒を持っていたからといって通りすがりの人を勘違いで男娼扱いした挙句、次に偶然会った時に君も楽しんだからいいだろうとはなんという言い草。
この『君も感じた』とか『楽しんだから和姦だとか非はない』という言い方大嫌いです。萎えるセリフですね。
それから受けの方もいくら酔っていたからと言っても男娼に勘違いされたとしてもまともな大人がのこのこホテルにまで連れ込まれるのはあり得ないでしょう。力づくで連れ込まれたわけでもないのでだから。

その後、偶然にも親の再婚で義兄弟になってしまい同居することになり、接することが増えるうち段々お互いのいいところが見えてきて快く思えてきてついには恋愛感情込の行為に代わっていくという展開が、よくあるとはいえこの作品の場合ほんとにお互いのどこがよくてそうなのか少しもわかりませんでした。

攻めが戦場で見た理不尽な世界とか平和への想いとかを感じ撮った写真が受けの琴線に触れたとか言っても、あんなに傲慢で人の話を聞かない自己中男のどこがいいんだか…。
男娼を買っておきながらその男娼に対して見下したり馬鹿にした態度はいただけない。
徹底的にいやな男として描いた男がどう変わっていくのかとか、表面そう見えて実はこんないい部分がるんだと納得させてくれるキャラ設定や展開を用意してくれるのならともなく最後までそのままいやなヤツでした。

母親の幸せと平穏のために身を犠牲にしてまでというのもこの場合大げさです。
母親は再婚するまでそれなりに幸せにやってきていたし、もしも病で貧しくて…というような不幸のどん底でここで何かあるとまた悲惨な目に合うとかいうわけでもないんだから、親は親と切り離すことができない理由がない。いったいどこの時代のかわいそうな母子なんだか。

タイトルの『森』と言うのが攻めのことで、受けが攻めに出会って混乱状態でどうしたらいいのかわからず迷い込んだ森を抜け出せない状態のことのようです。続編の『森に住む』の方はお互い相手を受け入れ相手の心に住むとでもいうのかな。火崎さんの作品はときどき理解不能なものがあります。

3

無神経な男と繊細な男

カメラマン・荏田(傲慢俺様攻め)×サラリーマン・榊原(繊細タイプ)
公園で出会った男に、身体を売る男と勘違いされて強姦されて、再会した男は、母親の再婚相手の息子で……。

悪夢をみて身体を壊すぐらいに、あの時のことを榊原は悩んでいるのに、秘密は知ってるからお互い楽しもうと軽いノリでもう一度と迫ってきて、好き勝手に身体を楽しみます。
身体を売る気じゃなかったと誤解を解こうとしても、気持ちよく楽しんだだろと、荘田には軽くかわされるばかり。
榊原にとっては許せないぐらいの誤解なのに、荘田にとってはとりたてて大したことでもない。
性格や神経の違いというのは、致命的だなとこれを見て思ってしまいました。
一人でぼろぼろになるまで悩んでいる榊原が可哀想でした。
最後まで、ずっと気持ちの擦れ違いが続いていた気がします。

2

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