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表題作彼は週末にドアを開ける

会社の同期で大阪支店勤務 片山
海外事業部で凄腕の商社マン 三枝

あらすじ

仕事はできるが高飛車でいけすかない男と噂される三枝だが、実は報われぬ恋に悩んでいた。そんな時、会社の同期会で昔密かに憧れていた片山と再会。あの頃と変わらぬ誠実な態度に惹かれ、ようやく過去の恋に決着をつけたが…。

作品情報

作品名
彼は週末にドアを開ける
著者
ななおあきら 
イラスト
有馬かつみ 
媒体
小説
出版社
雄飛
レーベル
アイノベルズ
発売日
ISBN
9784902543469
3.5

(7)

(1)

萌々

(2)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
25
評価数
7
平均
3.5 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数3

三枝と三人の男

2006年発行の作品ですが、あとがきによると2001年~2002年に書かれた同人誌(全三巻)を加筆修正して単行本になったそうです。だからなのか、この物語はどことなく奥ゆかしく、懐かしく感じました。有馬かつみさんのイラストも今より丸みを帯びていて柔らかいです。

主人公・三枝に相対する男性が三人登場します。一人目は不倫関係にある他部署の上司・高田。二人目は長く疎遠だったが再会を機に仲良くなった同期社員・片山。三人目は大学時代からの付き合いながらいつも三枝に冷たい同期社員・安住。…全員が同じ会社ってすごいな(笑)。さあ、君なら誰と恋する?というキャッチフレーズが似合いそうな乙女ゲームっぽい1対3の関係で、どのエンドを選びたいと思うかでこのお話の印象は変わるような気がします。高田との歳の差エンドや安住との親友エンドも面白そうですが、私は片山との両想いエンドで良かったと思いました。

あ。だから「三枝」なのかな?元の同人誌は存じませんが、一巻ずつ結末が違ってたりして…。それも面白そう。

三枝は生真面目な性格で、不倫関係にありながらも常に自分を律しようと必死で不器用な男性ですが、身持ちが堅いわけじゃないところがなんだか愛しかったです。悩んだ末とはいうものの一度決めたらブレないところや素直なところがちゃんと男性らしくて良いなと思いました。

2

リーマンの遠距離恋愛

中近東担当の三枝は、上司の高田と不倫関係でした。
海外勤務中、二人は体の関係を持ってしまいますが、三枝は「遊び」と割り切って付き合っているフリをします。
妻や子が待っている高田と、これ以上本気で付き合うとどちらもダメになってしまうと考えた三枝は、帰国後に本心を隠して別れました。

たまたま同期会の飲み会で再開した片山と話しが合い、二人は友情を深めて生きます。
片山はなぜか毎週のように大阪から三枝のマンションにやってきて、食事をして話をして帰っていきます。

その回数が増えてゆくほど、朗らかな片山に惹かれていく三枝。
高田と別れた痛手も、片山と語り合い友情を深める事で癒していきます。

だんだんと親密になり、泊りがけで来るようになってくると、読者にははっきり片山の意志が伝わってくるのですが、本編で三枝はまだ気付いていません。
それがじれったいのなんのって!
そして念願かなってか、片山は東京本社へ勤務が決まり、三枝と同じビルで働く事になります。
これで二人の恋が実る、と思いきや…、苦手な同僚・安住が九州から転勤してきます。おまけに三枝と高田の関係が片山にばれてしまい、もう最悪!
しかも高田が片山の上司に!

高田の妻が片山のも元カノだったり、三枝と安住が大学とサークルが同じ同期だったりと、複雑に絡む人間関係にも楽しませてもらいました。

読者としてはすでにわかっていることが、三枝や片山が気付いていなくて、何度もじれったい思いをします。
でも、時々「ええっ!」と驚く展開に、やっぱり目が離せなくなってしまいます。

三枝の苦悩がかわいそうで切なくなりますが、高田にも安住にも大切にされている事がわかり、途中からすごく可愛く思えてなりませんでした。
悩んだり嫉妬したり、人間味溢れる演出には、たくさん楽しませていただきました。

4

リーマンの恋、内容も絵も良いです^^

ななお先生のせつな系。
有馬かつみ先生の表紙の2人(グイッと抱き寄せる片山と引っ張られてよろける三枝)が、とても文章にあっているな~と思いました♪

本社勤務の三枝(さえぐさ)は出来るリーマン。
海外出張が多く、性格と性癖から人との付き合いが苦手な為と、
出来るからこそ出世が早いから、同僚からは妬まれ、良い話はされない。
それを三枝は仕方なしと諦めている。

片山は大阪支社勤務。
新入社員研修で同室だった三枝に、今度の飲み会で話してみれば、噂通りではなく、静かで他人を心使う性格と知り気に入る。
「俺も(噂を)信じてたぁ!ゴメン!」と謝る、素直で正直な男。

連絡先を交換し何かと連絡をしあうが、何故か片山が週末に三枝の元に来るようになる。
お金も時間も掛かるのに何で?三枝は嬉しいけど妙な気分・・
表題の【彼は週末にドアを開ける】になるのですね^^b

ここに、本の冒頭の、三枝の海外出張中の期間限定の恋人だったはずの上司・高田との切ない不倫話が大きく響いてきます。
これだけでも1本出来そうだよな~と思った程、濃いめな話。
だからこそ、ノン気で色恋に執着しなかった片山が、三枝をちゃんと考える重要な要素になっていました。
初めははじかれた様に三枝を攻撃してしまった片山だけど、
(三枝は、遊びで不倫する奴じゃない)(あんなに悩んでいた事を俺は知っていたはずだ)(三枝は自分を律して別れたんだ)(ちゃんと別れたのに、何故俺は許せないんだ?)(男の三枝に惹かれている?)
友達以上恋人未満な2人に変化が♪

同期の安住の出現や片山の直属上司になった高田が、良い味だしてます!
忙しいリーマンだからこそのすれ違いが多くて、その隙間に良い枝葉が入ってくる、詰まった良い話でした♪

偶然【雨のように、愛のように/吉田ナツ】と続けて読んでしまい、内容が似ていてレビューする時迷っちゃったけど、どちらも好みです。
リーマン物、良いですね~^^

2

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