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表題作密告

ゲイ・信楽 諭 定時制高校生
元ノンケ・戒  高校生

同時収録作品出雲

中野 麗 高2 
二宮杵築 高1

同時収録作品水を汲みに丘を登った

文月比行(ふみつきひゆき)
音貝次流(ジル) 大学生

同時収録作品ゆりかご

譲(ゆずり) 大学生
空木 千 大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

戒(かい)は同性である諭(さとし)と幸せな恋人同士。だがかつて戒はゲイの弟に、ゲイの恋愛なんて不幸になると罵詈雑言を浴びせた事がある。その時、弟から、その言葉は戒にそのまま返ると予言された。言霊に怯える戒だが……。
表題作含む四篇を収録。怖くて甘い『謎』を抱える青年たちの恋愛を描いたミステリアス・ラヴ短篇集。

作品情報

作品名
密告
著者
藤たまき 
媒体
漫画(コミック)
出版社
新書館
レーベル
Dear+コミックス
発売日
ISBN
9784403661464
3.5

(10)

(3)

萌々

(1)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
34
評価数
10
平均
3.5 / 5
神率
30%

レビュー投稿数5

ゆりかごが秀逸

収録されている「ゆりかご」が特に好きです。
せつなくて、いい話でした。
どの話の藤さんらしい、エキセントリックなムード。

0

水を飲んで酔うような

絵からは透明な綺麗さと、内容からは渦巻くような不思議さが伝わってくる短編集。

「出雲」
高校生BL。でも最近の高校生ものより大人びた子たちがいます。
自分が好きになって寝た相手は、死ぬ。
そんな思念に囚われて、人を好きになるのが怖い高校1年生、二宮杵築(きづき)。
確かに、今まで好きになって寝た相手が2人、後になって亡くなったのは事実なんだけど、それを明るく否定してグイグイアプローチしてくる2年の中野麗(らい)に救われるお話。
そこに、杵築という出雲地方ゆかりの名と初めてのひとに貰った勾玉のペンダントが不可思議なノスタルジーを添える雰囲気。

「水を汲みに丘を登った」
大学がサークルに与える加算点を稼ぐためにボランティアをやらされる事になった「英米文学研究部」1年の音貝次流(ジル)。
言われた通り丘の上の家に行ってみたが…
その家で出会ったゲイの若い男・文月比行(ふみづき ひゆき)に惹かれていく。
ヤミ酒造による秘密の酒や、北欧神話、ナーサリィライムといった神秘的な空気が優しく妖しいスパイスになっているお話。

「ゆりかご」
同居して2年。
恋人・千の抱える秘密?を何も気付かなかった譲(ゆずり)。
それは、千が眠らない事。
知らなかったことのショックと、千の寝顔が見たくって。
でも、千にしてみれば、眠らない事を気付かないからこそ譲と一緒にいるのが安心だった。目を閉じた事で失ってしまったものに囚われていたから。
非常に繊細で詩的。

「密告」
中学生の時に、一つ下の弟・橒(きさ)がゲイをカムアウトした。しかし兄の戒(かい)はまだまだコドモで、橒を罵倒して、下らない汚らしい、とにかく知ってる限りの罵詈雑言をまくしたてた…
橒にその言葉は言霊になってお前の恋愛がそうなるだろう、と言われるが、高校生の今、戒は苦学生の男の子に恋をして自分の言葉が跳ね返ってきた…
「縁側のレシピ」にも通じる不穏な展開で、読む側も戒の感じる不安定な恐怖感が感染してくる感覚。
ラストは…不安で膨らんだ風船がぽんっと弾ける感じ、ですよ。

藤たまき先生の、繊細で詩的で不可思議な作風はほんとに素敵です。

1

シンクロして切なくなりました

短編集です。
藤さんはネームの多さが魅力。でもたまに読むのがめんどくさかったり。(笑)

表題作の「密告」がちょっとサスペンスちっくです。
自分のいった言葉に縛られる、そんなことよくあります、私。
ものすごくシンクロしてし読んでしまってちょっと苦しかった。
「あの時の自分を絞め殺したい」同感です。

昔弟にひどい言葉を投げつけた戒。
でも現在そのひどい言葉そのものの自分が居る。
うしろめたい気持ちでいっぱいの戒が、弟に一生懸命言葉を
紡ぐようすがもう、痛々しいんだけど可愛くて。(あれ?)
ラストもオチがついていて微笑ましい感じです。
シリアスだったような気がするけどコメディになっちゃった。
攻の諭のキャラゆえか。
この最初と最後の落差も魅力かな、と思います。(笑)

「ゆりかご」
ショートスリーパーという言葉を初めて聞きました。
千が自分のことを隠すのは、私が「自分が腐だ」というのを
隠すのようなものか。
うん、その気持ちは理解できる。
理解し、理解される。ゆるし、ゆるされる物語かな、と。
千が目を閉じるところは感動的でした。


ふたつ以外にも
付き合った男を殺している、そんな噂をまとわせる主人公が
不思議クラブの先輩と出会うお話。「出雲」

老人ボランティアだと聞いていった先には
世話役の男が居て、そこにはなにやら秘密があるようで・・・。
という主人公が色っっぽい「水を汲みに丘を登った」が収録されています。

どの作品も今回は明るめで読みやすさは抜群だったと思います。
特に「密告」は私にとって
シンクロさせるだけの魅力というか共感させる引力のある作品でした。
きっと何回も読み返してしまうことでしょう。

3

ファンタジックで切ない短編集

表題作を含む四篇を収録したコミックス。
「言霊」「呪」「酔う水」「眠らない恋人」などなど。
不思議なキーワードが、藤たまきさん独特の繊細な世界で描かれていきます。

どの作品も切なくて好きなのですが。
特に私が気に入っているのは『ゆりかご』です。

眠らない恋人を心配する譲。
眠るのが怖いセン。

「安らぎを与えられない」「もう貰っているよ」

センと譲。
お互いを思い合ったこの会話には、胸が熱くなりました。

1

短編集

藤たまきさんらしい、優しいようなほろ苦いような、独特のムードのある短編集でした。

『ゆりかご』
ショートスリーパー、ちょっと羨ましいと思ってしまいました。
睡眠時間を削って何をしたいかというと、ただ本を読みたいだけなのですが。
でも私が睡眠時間を削っても、どうせ寿命が縮むだけだw
でも確かに「一緒に眠りたい」っていう願望とか、「寝顔をみたい」という願望は、すごく分かる。
大きな不満にはならなくても、愛し合う恋人にとっては抜けないトゲのような不満になるだろうなと思いました。
贅沢な切なさとも言えるだけに、分かってもらえない部分だったりするだろうし。
そのあたりの微妙な部分が伝わってくるお話でした。

『密告』
これかなり好き。
後に明らかになる真相に、オオッと思いました。
「恋愛が人間を180度変える」みたいな話、さんざん読んで、読み慣れてるはずなのに、藤たまき流に語られるとなぜか新鮮。
で、新鮮さを感じた自分自身に一番の驚きを感じました。

他、短編いくつか。

1

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