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表題作絵になる大人になれなくても

フリーター 舞台俳優 井原峻之 人当たりが良い
電子機器メーカー・営業 坂上真弓 不器用

その他の収録作品

  • そして透明な
  • あとがき

あらすじ

電子機器メーカーの営業・坂上真弓は、新しく入ったバイト井原峻之に驚く。
坂上と井原は、高校時代、親友だった。
しかし卒業と同時に井原は坂上の前から姿を消したのだ。
そのことに傷つき、いまだ引きずっている坂上は八年ぶりの再会に戸惑う。
「あのころから俺のこと、好きだっただろ?だから離れたのに」と言う井原に坂上は…。

作品情報

作品名
絵になる大人になれなくても
著者
崎谷はるひ 
イラスト
ヤマダサクラコ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
その指さえも
発売日
ISBN
9784344807983
3.6

(40)

(12)

萌々

(7)

(17)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
12
得点
142
評価数
40
平均
3.6 / 5
神率
30%

レビュー投稿数12

執着の末に手に入れたもの

崎谷作品によく見る執着攻め。今回も見事な薄暗い執着を見せていただきました。セックス描写も執着じみていて凄かったです。

坂上真弓(受)は、高校時代に井原峻之(攻)という親友がいた。しかし井原は卒業と同時に真弓の前から姿を消した。親友だと思っていたのに何故?そして8年ぶりに井原と再会。真弓の会社にバイトとして入ってきたのが井原だった。驚き戸惑う真弓に井原は…?

…というストーリー。この作品は井原の薄暗い執着で成り立っているものだと感じました。なにより一つ一つの台詞が強烈。自分の執着を真弓に打ち明ける場面では、


「俺がこの身体素っ裸に剥いて、とんでもねぇもん突っこんで泣かしたいなんて思ってるの知って、平気でいられた?」

「無防備に、俺の前で平気で裸になって、なついてくる真弓のこと、頭ん中じゃ、毎日強姦して、犯しまくってたよ。我ながらあの妄想は引いたね。実行してたら即犯罪者だ」


う~ん…井原も苦しかったんだなぁと。そう告げられた真弓は嫌悪するどころか、歓喜で胸が震えているのがこの作品の怖いところだなと思いました。
しかし真弓が相当動揺していたのも事実で、最後だからと思い詰めた井原に半ば無理矢理抱かれてしまいます。最中の痛みで苦しそうな真弓が可哀想でした。

目が覚めると井原はおらず、また置いていかれた事実に真弓は怒りと寂しさ、悲しさを覚えます。しかし大人になった今、真弓は逃げませんでした。

「好きだ」と「さようなら」を言いに来た真弓に驚く井原。手を伸ばそうとすると「遊びならやめてくれ」と言われ「遊んでねぇよ。おまえなんかで遊べるか、こんな重っ苦しいってのに!」と叫ぶ井原も苦しそうで胸が痛かったです。

自分を欲する井原に対し真弓は、全部丸ごと食われろと言うなら、骨まで残すなと差し出すだけだと井原の腕の中へ。10年の執着の末井原が出した結論は、「別れてやんない。女作らせないし結婚もさせない。俺に縛りつけて俺だけのもんにして、昼夜なく好きなときに抱いて、ひどいこいっぱいするよ。それでもほんとにいいのか」というものでした。


続編は井原視点。高校時代の回想の中で、自分が真弓に覚えた執着を語る井原が切ないです。

エロスもまぁ濃い。10年分の溜まりに溜まったものを、全部真弓の身体にぶつける描写は長くてしつこくて凄いです。全体的に分厚く読む価値ありの作品でした。

4

「絵になる大人」になってほしくて・・・

崎谷はるひ作品の中でマイベスト5に食い込むかも!
やっべー萌えたv

高校時代。潔癖で真面目な坂上は、親友だと思っていた井原が
自分のことを「しんどい」と、こぼしているのを盗み聞きしてしまう
そして卒業後は、音信不通になってしまった井原に
まるで捨てられて置いていかれたような傷を受けてしまうわけですが
8年後に偶然再会して、古傷の痛みに戸惑う・・・
って、お話。

井原の「しんどい」発言だって
坂上の古傷の痛みが何を意味しているのかなんていうのは
読者は、最初っからわかりきっていてv
(・∀・)ニヤニヤしながら読むんです!

井原は坂上を結果的に8年間置き去りにしてきたけど
逃げたわけじゃなくって、逃がしてやってたんですよね。
もぉー、ほんとに好きすぎて殺しかねないwww
そんな危なさが井原にはあるんですよ。
顔も身体も頭も良くて、恋愛も手馴れてるけど
本気の「好きだよ」は、坂上にしか捧げないとかv

高校時代の初恋。
大人になる自分を「絵になる大人」と想像してた部分もあるけど
相手が「絵になる大人」になってほしかったんじゃないかな。
だから井原は、坂上を手放したし
大人になってから恋心を自覚した坂上も
井原に「絵になる大人」でありつづけてほしいと身を引こうとしたような・・・
不器用な坂上も、要領のいい井原も、相手を思う気持ちは一緒v

井原は、ひょうひょうとしてるけど
いろいろ知ってる恋愛経験豊富な男。かなり好きな攻め様でした。
激しく奪っておいてあとでとろとろに甘やかすとか
やばいですvこれ。
井原は声だけで濡れるという声帯の持ち主だとか!
これはぜひともCD化していただかないといけませんね。

崎谷シナリオでは、時々甘ったれた受けが登場するけど
坂上は、女顔だけどヤワじゃない!
自分ひとりで踏ん張って立ってる受けが好き。
そこもよかったんですよねーv

あまりにも萌えたんで、繰り返し読んでしまいましたv

3

切なさの中に甘さがある小説

 電子機器メーカーの営業である坂上真弓は、バイトとして現れた井原峻之に驚く。
 坂上は井原と高校時代に親しくており、坂上は井原のことを「親友」だと思っていた。
 けれど、井原は坂上の前から何も言わずに姿を消し、坂上はそのことをずっと忘れられずにいたのだ。

 そんなある日、井原と二人きりになると
「あのころから俺のこと、好きだったろ……」
 と言われ

 という話でした。
 突然、切られてしまった坂上の戸惑いもよくわかるし。
 少し歳をとってから読むと、切らざるを得なかった井原の気持ちもわかる。

 どっちもわかるから切なくて辛い恋だったのだけれど、二人が幸せになってからは、ふいに魅せる坂上の素直さがとてもかわいらしくて、かなりときめきます。

 切なさの中に甘さがあって、とてもいい小説でした。
 二人が気持ちを伝え合うところなんて、もどかしくてうまく伝わらない切なさで思わず泣いてしまいました。

0

わかりすぎる・・・

キーワードの「大人」いろんな意味がりますよね。そして状況も
大人になれたかどうか、自分自身ではよくわからないし、しかもそれがいい事なのか悪い事なのかもよくわからない。
ただこの二人にとっては大人になることはとても重要な事だったでしょうね。

坂上の勤める営業所にやってきた新しいアルバイトは、高校卒業以来全く音信不通になってしまった元親友の井原だった。
井原の方から切るようになくなった二人の関係に、高校時代親しかっただけにどうしても未だに納得がいかない坂上。
だけど井原は自分に微妙な距離を置きつつ平気にしている、それにいらだち振り回され続ける坂上。
短期バイトで入った井原が、あともう1ヶ月でここを辞めてしまうと気付いた坂上が取る行動は…と言う感じでお話は進みます。

いやーー…切ない部分長い! ホントもう、これでもかこれでもかと切なくさせます。かなりヤバい、絶望的だ!って気分になってきます。
坂上よりな書き方なので余計に切ないんですよ。
坂上の戸惑い、真面目で融通のきかない性格、いい子的な建前、何だかどこかで見たことあるような雰囲気持ってます。というか、こういう人は多そうですよね。
対する井原は快活でだれとでもすぐ仲良くなれる。
そういうのに憧れてコンプレックスも抱く坂上の気持ちもよくわかります。
わかるから余計に入っちゃったのかもしれないですね。

坂上視点で見た井原はかなり爽やか好青年だったんですけど、井原視点から見た方でそれは違ったんだとわかりました…。
ある意味坂上の井原像は理想像でもあったんですね。まぁでもこちらの方が人間くさくていいです。
きっとこれからこの二人は、8年のブランクを埋めた上に、こういう本当の所もお互いに知っていくんだろうなという気持ちにさせられる爽やかなラストでした。
…爽やかではありましたが、エロは結構濃厚でした。井原の弁を借りれば10年分の思いが詰まってるから当然と言えば当然かもですね。かなり以前から相当エロいことを考えていたようですし…。

3

「絵になる大人」って?

10年越しの誤解が
見事なまでに坂上と井原をすれ違わせていて
かなり焦れ焦れさせられるこの作品。

でも、話の端々に
二人がいまでもお互いのことを忘れられずにいるのが見えるので
長いながらも、確実に訪れるであろうハッピーなシーンを楽しみに
読み進めることが出来ました。

タイトルの「絵になる大人」っていうのは
不可抗力で高校受験に失敗した坂上が
彼が理想とする男像を思い浮かべたものだったんだろうな、と思います。
でも、自分はなかなかその理想に近づけない。
そんな自分とは対照的に
自分にないものをすべて持っているように見えた井原。
つまり、坂上のいう「絵になる大人」は井原だったのかも?とも。。。

10年分の誤解とすれ違いで焦らされた後の2人のバカップルぶりは
なかなかに萌えました~。
しかも、素直になれてなかった坂上が
尋常じゃないほどエロ可愛くなっててさらにびっくり!!

いやはや。崎谷さんのエロい受けは絶品です!w

2

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