リベット

リベット
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神22
  • 萌×26
  • 萌9
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
15
得点
162
評価数
39件
平均
4.2 / 5
神率
56.4%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
シリーズ
Holly Novels(小説・蒼竜社)
発売日
価格
¥857(税抜)  ¥926(税込)
ISBN
9784883863037

あらすじ

初芝公平は、誰にも知られたくない大きな問題を抱えて暮らしていた。
しかし、その悩みと明るく向き合いながら、一人で生きていこうとしていた初芝の心を乱すものがあった。
それは、いつも温かく抱き締めてくれる恋人の由紀と、常に初芝の我が侭を聞いてくれる職場の後輩の乾の存在だった。
二人は初芝の心を弱くも強くもする。
自分の悩みを告げるべきか、初芝は葛藤するが…。

表題作リベット

乾・初芝の後輩教師
初芝公平・教師

評価・レビューする

レビュー投稿数15

リベットとは。

萌えたわけではなく作品にとても惹かれたという意味で萌え×2にしています。

言い方に語弊があるかもしれませんが木原さんの作品で久しぶりに「すごい酷い人」×「一途な人」 以外 を読んだ気がします。
私が本を購入した順で読んでいるのでかなり語弊がありますね。

初芝の秘密が何なのか分からなくて怖い!何の秘密があるの!とドキドキしましたが、エイズだったとは考えもしませんでした。
BLはファンタジーですがエイズという病気を題材にすることに「木原作品ここにあり」と感じました。

エイズだと読み手が分かる前に由紀という存在がいて彼女と会うことなく話が進んでいたので妄想彼女か、そういう存在を脳内で創りだした幻想の相手なのかと思っていました。
実際は違ったんですが。

乾がボランティアしていたときの人が阿岸だった時の驚きとそこに繋がるのかという驚き。
お話中盤でも乾の一途さにウルウルきましたが、ほんとに終盤の終盤での「好きな人ができたらそっちに行ってもいい」という乾の気持ちと初芝の謝罪のキス。
泣けました。
気持ちに答えられない相手の好きな気持ちを利用することは出来ない。続き
初芝は強い人だなと思いました。

リベットってどういう意味なんだろうと思い調べたらナット(鋲)のことなんですね。
阿岸の暴行によりエイズになった初芝。
エイズというリベットが阿岸と初芝の関係をある意味半永久的に離れることはない関係に。
また、阿岸というリベットによって乾と初芝も半永久的に離れることはない関係になったということでしょうか。
リベット。深いですね。

0

蒼竜社さんありがとう

BL界では多分、よっぽどのことがない限りはNGネタ。
蒼竜社さんがまだ木原レーベルと言われてた時代に発行された作品ですが、この出版社さんと木原さんだからこそ世に出せた野ではないかと思います。

10t級の重さのテーマ、今回はエイズ感染者が主人公です。
軽々しく扱える題材ではないのを理解してて、それでも書いてしまうのが
この作家さんの凄いところだと思います。
正直言ってBL的ハッピー展開なんて皆無で、至極真摯にそういった問題に切り込んでいってるので、ずしっときました。
でも、とっても真面目で不器用で、優しくて臆病で……。
そんな人達の、せつなくて苦しい恋のお話でした。

肝心の主人公は、ガチでストレート。
そりゃもう、ものの見事に最後まで。
一途な攻が可哀想に思えてくるくらい、全然全くなびかないです。
なびくどころかそんな気配すら感じません。
結局はふたりの今後を示唆する程度で1冊が終了し、それでも本当に心がほっこりして、暖かくなって、少し涙がでる。
BL作品としての評価はあえて萌。そういう次元で読めなかった。

読了後、カバーを外したら……(驚)
続き説にカバー裏なんてないと思って見過ごさないように注意が必要です。

6

薄雲

>ちるちるりりこ さま
お役に立てて良かったです(^O^)

ちるちるりりこ

カバーの件 気づかなかった、ありがとう!

人には見せない汚い部分でギットギト

結構、シンドイかな。

心が痛い部類でした。
苦しくて苦しくて苦しくて…



こんなにまっすぐ愛されたらノン毛とか関係ねーよなぁー。
と、頬杖つきながら
さっさとやれ、やっちまえ、認めろ。
好きでいいじゃねーかよ。

あーもう、焦れったいけど、それも良し!



大人って、うそぶくよな。

ああそうさ、1人で寂しかったくせにいい年して強ガンじゃねーよ。
2人で幸せになっとけ
このやろうと、
日本酒飲みたくなる感じですかね。


いっすよ。

俺はこれも好きです。

でも、
シンドイかな。

1

木原作品の魅力

これまでに三作、木原先生の作品を読みましたが、全作泣いてます(苦笑)三作読んで全部泣くって、相当鷲掴みにされてるってことですよね。厳密にいうと糸井のぞ先生によってコミカライズされた『期限切れの初恋』の巻末に収録されている番外編ショートを読んだのが木原先生の文章との出会いでした。大好きな糸井先生の手にかかったコミックスといっても読んだ当初はピンと来ず、ちるちるレビューでも好みが分かれる作家さまというイメージがあったので、BL小説を読んでみたいと思っていてもずっと敬遠していたんです…。

木原先生の作品は小説だからこそずっしりと伝わる物語だと思います。この作品を読み、若い頃に家田荘子さんのノンフィクションを映画化した『私を抱いてそしてキスして』という作品が話題になった事を思い起こしました。この映画がテレビの情報番組などで取り上げられたことによって、当時日本でのHIVに関する認知度の貢献に一役買ったのではないかと思います。

『リベット』はHIVに真っ向から取り組んだ作品です。BLというジャンルにおいては非常にリアルなテーマであり、テーマだけにいかにもなフィクション設定の甘々エロエロ続きハッピーエンドを期待することはできません。むしろ、できるだけ見たくない現実に無理矢理後頭部を押さえつけられて直視させられてしまうようなキツさがあります。木原先生の書く物語になぜいつも心揺さぶられてしまうのか、この作品に出て来る乾の姿を見ていて気付きました。この方は恋を描いているのではなく、愛を描こうとされているからだと。恋は自分のことしか見えていない。けれど、愛は自分以外のことしか見えていないんです。物語終盤は涙が止まらなくて、本を読んでこんなに泣いたのって、いつぶりだろうとビックリ。(これを書きながら思い出し涙してる自分が怖い…。)

書き下ろし、カバー下の内容には安心してください。重いテーマですが悲しいストーリーで終わってはおりませんので!

2

読後感は悪くない

あらすじをみて無理かもと思い、手を出せずにいた作品。
コノハラーとしては、避けては通れないということで、意を決して手に取りました。
で、感想は、「深い!!」の一言です。
何かね、色々と考えさせられましたよ。
心を揺さぶられましたよ。
是非とも、様々な人々に手にとって貰いたい。
本作を読んで、考えて貰いたい。
よくBLでこのテーマを取り上げたなぁと感動しました。
そりゃ、他社でボツになるよ……
読後感は、悪くないので、迷っている方は是非とも手にとって下さい。

最後に、電子書籍だったので、カバー下の将来の二人というのが見れなかったのが残念……

0

このサイト知っててよかったー!

以前から読んでみたいと思っていた木原作品の1つ。

高校時代の友人にレイプされた初芝。
それだけでも傷が深かったに、友人は更なる爆弾を初芝に投下する。
自分がエイズを発症していること。
初芝にも検査を受けて欲しいこと。
そして、初芝は陽性という宣告を受ける―――。

自分には何の罪もなく理不尽な仕打ちでしかない感染。
それも知名度はそれなりにあれど、興味本位で話題にされる程度で、理解などなかなか得られそうにもない病気。
それらを抱えることになってしまった初芝だが、感染経路のこともあってそんなに簡単に人に言えるものじゃない。
偶然(?)、自分の指導する新人教師・乾がボランティア経験もあり、その病気に気付いてしまう。
放っておけないから捌け口で構わないからと初芝を甘やかそうとする乾。
乾には過去に苦い経験があって、今回のことはそれの罪滅ぼし的な自己満足でしかない部分も確かにあって。
どんなにつらく当たられても抵抗しない。
初芝の気持ちを穏やかにすることだけを考えて宥めて。
乾の気持ちは贖罪の気持ちだけではなく、恋心として大きく育っていくのに、それはうまく実ら続きない。
告白しても「無理だ」で終わってしまうのは初芝がノンケだから。
ゲイとノンケゆえのどんなに乾が愛しさを募らせても実らない様も描かれていて。
彼女に振られても、また新しい彼女ができたりとか。
簡単に男同士がくっつかないところが妙にリアリティがあって。
何年も何年も。
恋をして傷付いて。
病気に負けそうになって。
そんな時、誰よりも親身になってくれたのは乾で。
ほかに頼れる人がいなくなると頼ってしまうのは乾で。
大切だし感謝もしてる。
でも、恋じゃない。
どうしても噛み合わない想いを抱きながら、それでもお互いの幸せのためにどこかで相手を必要として。
職場を離れても繋がっていられる手段としての「恋人」という免罪符を手に入れて。

乾は一貫して献身的。
過去のこともあるのだろうけれど常に愛情に満ちていて。
何をされても許してしまおうとするような、受け止めようとするような。
愛情が返ってこなくても、ただそばにいられる存在で在りたいと思う乾がせつない。
一方、初芝も乾の手を借りてようやく前を向いていくことを考え始めて。
考え始めたら乾の好意を巻き込めないと、自分の足で立つことを考えて。
それは一種のつよがりのようなものでしかないのかもしれないけれど、そうでもして乾を解放しようとするようなところがせつない。
そんな初芝に必死で頼み込む乾がまたせつない。

そうして未来のあるような形で終わるのかと思いきや。
知っててよかった、ちるちるレビュー!
ほかの皆様がどんな感想を持たれているのかとレビューを読んでみると、カバー下、未来の姿が!!!
ありがとう、ちるちるレビュー☆

2人の幸せな姿が読めて本当によかったです。
乾はもちろんのこと、初芝も幸せそうなのが何よりも嬉しかったです。

0

誰かに支えられて生きることを自分に許しい欲しい

この作品、BLとは、少し違う感じかな?と思います。
木原さんがあとがきで書かれていますが、一度、没になったプロットだそうです。
たしかに社会的に問題になりましたし、避けては通れないことなのかも知れませんがBLというジャンルではタブーなのかな?とも思います。

主人公の初芝公平は、高校で社会科の教師をしていて新任の乾武則の指導教員です。
望んだ仕事に就き、年下の恋人もいます。
けれど、初芝には誰にも言えない秘密がありました。
6年前、大学4回生の夏・・・親友の阿岸に暴力で奪われた初芝。
以来、阿岸との交流はなく、それから4年後、忘れかけていた頃に再び阿岸は別人のような変わり果てた姿で初芝の前に姿を現します。
阿岸はHIVに感染していてすでに発症していたのです。
そして・・・たった一度の行為で初芝もHIVに感染していたのです。

初芝にとっては理不尽以外のなにものでもない・・・阿岸を恨み呪い殺してしまおうとさえ思い、けれど、初芝は死に瀕した阿岸に自分も「陽性」だったとは言いませんでした。
阿岸は、初芝の思いをなにひとつ知ることなく逝ってしまいます。

阿岸の死続きから2年。
初芝は、病気のことを家族にも恋人にも誰にも話さず病院へ通い日常生活に気を遣い孤独な闘いを続けています。
そんな初芝の様子に新任教員の乾が気づくのです。
この乾が気づいたあたりで・・・もしかしたらと思ったのですが、やはりそうでした。
乾は学生時代にHIV感染者をサポートする団体にボランティアとして参加していたのです。
そして、後に乾の告白でわかるのですが、乾はそのボランティア活動で阿岸と関わりがありました。
初芝との出会いは偶然でしたが、乾は、阿岸から初芝のことを聞いていたのです。
しかし、学生だった乾は阿岸の重さに耐えられずボランティア活動から逃げだします。
その事実と今の初芝に対する思いと・・・。
乾はゲイでした。初芝に恋をして、初芝を見守ろうと決心します。
愛なのか、贖罪なのか、わからないけれど、なにがあっても今度は逃げないという乾の決意。

初芝の方は大変です。
疲れやすい身体を抱え、日々を過ごすだけでいっぱいいっぱいです。
仕事上の指導ならいざ知らず、乾の恋心なんかにかまっている余裕などないのです。
検査の結果に一喜一憂し、たったひとつの安らぎだった恋人との別れ、不安と絶望と恐れと・・・。
初芝は乾に当たり散らします。怒鳴る、殴る、暴力までふるう始末。
初芝を見守ろうとする乾の行動は、初芝に自分の弱さ、醜さを目の当たりにさせ、自己嫌悪に陥らせます。
初芝は、こんな自分は嫌だと思いつつも乾の手をふりほどくことができない。
どんなに支えられていても乾の気持ちには応えられないのにその手にすがってしまう自分が許せない。
このあたりは、読んでいて本当に辛いです。

乾の見守る決意と、その好意に対してなにも返せない自分を許せない初芝。
けれど・・・。

この物語の本編は、ここで終わります。
最後の乾の言葉が思いがとても印象的でした。

小説を読み終わったら小説のカバーを外してください。
乾が「俺のことを恋人にしてください」と泣きついてから3年後のふたりを読むことができます。


2

全ての願いが叶うわけじゃないけれど

中出しやフェラなどの性描写が多いBL小説でエイズについてしっかり書いてあったのには驚きました。ノンケであり無病の私がこの作品をリアルだと言ってしまうのは違うと思いますが、物語特有の空想的な甘さが少ない話でした。同性愛小説はファンタジーなどと言われている中で、この作品はシビアです。

男女が対照的に書かれていたことも面白かったです。
女性たちは、自分がしてもらう事ばかり考え、好きだと告げたはずの人を幸せにしたいとは思わない、受け身なくせに利己的に見えました
逆に、男性側は、病気や同性愛など負い目を抱えた恋愛感情にしっかり責任を取ろうとする。最終的には相手の幸せを一番に考え身を引こうとする所も誠実で本気の恋のように感じました。

「好きな人に告白したの初めてなんですよ」

と言っていた乾のセリフがとても切なかったです。同性愛って自分で好きだと言わないとほとんど叶うことなんてないんじゃないっかて気がしました。乾は、勇気を出して想いを告げ見返りがないと覚悟の上で好きな人を支え続けます。報われるはずのなっかた恋のはずが、自分の一生懸命な姿勢が初芝に伝わり両想いになれた。

続き気のことはあっても、とても素敵なハッピーエンドでした。

おすすめします。

2

淡々と

親友と思っていた男に強姦され、更にそれによってエイズになってしまった初芝。
その親友は既にエイズで亡くなっていて、怒りをぶつける先もないという全く理不尽でやりきれない酷く残酷な目にあった初芝。
ホント、木原さん痛い設定でやってくれるなあ……。

初芝はその病を隠しつつ、恋人(女性)と付き合い、教師をしています。
しかし後輩教師の乾は、初芝がエイズである事に気付き何かしらと世話を焼き心配をしてくれるのです、そして乾はゲイで初芝に好意を持っている。
初芝の恋人は、彼の病を知らされて一度は受け止めるもののやはり彼の元から去って行きます。
次に出来た女性の恋人も同じく彼の元を去っていく。
そんな風に初芝は基本ノンケなので、乾との熱い恋愛へ進展して行くまではいかないんだけど、先輩後輩以上のものな繋がりは彼らの間に発生してはきます。
最後の最後でやっと恋愛めいたものが生まれる。
明るい希望がある訳ではないけれど、絶望だけがある訳でもない、けれど決して明るい希望の道ではない。
それが淡々と書かれている作品でした。
BLでラブラブエロやがっつり恋愛話を期待している方だと、この作続き品は系等が違うだろうなって気はしますが作品としては名作だと思う。

2

共に生き続けるとは?

やりきれないが、絶望だけの話では決してない。

この物語は、私が普段目をそむけようとしている不条理へと焦点を向けさせようとする。世界は不条理に満ちている。そして、「なぜ自分がこんな目に合わなければならないのか?」という叫びのような問いかけに対して、理性で説明することはできない。著者は、そうした不条理を、オブラートに包むことなく、残酷なほど赤裸々に描いて行く。

主人公初芝は、親友だった男にレイプされ、それによりHIVに感染するという不条理を背負わされている。誰も彼の苦しみを体験し、肩代わりすることはできず、彼はただ孤独な「単独者」として歩むしかない。そして、彼は孤独の中で、自分という存在や自分の生が根底から揺り動かされる不安や恐怖を体感する。「生きることが怖い」「自分はこんなに醜い人間だったのか?」と、死へと向かって行く生や自分の中にある負の部分への恐れを吐露しつつ、自分を自分で支えようとする初芝の姿が痛々しい。他者による否定や無理解もまた彼を追い詰め、彼の生への恐怖をかきたてる。

著者は、最終的に、明確な救済は描くことはないが、出口のない闇の中にほんの一筋の光を注ぎ込む続き。そして、その光は、乾武則という一人の人間によってもたらされる。

乾は、初芝を死に行く存在、未来のない存在としてではなく、未来に渡って生き続ける存在として見る。「先生の人生はずっと続いて行く」という彼の言葉は、単なる慰めではないだろう。彼は初芝の生を、死を前提として見ることがない。乾の中で、生と死は連続するものではなく、死が訪れるその瞬間まで、生は生であり続けるのだ。(これは当然のことに思われるが、不治の病に侵された生を、「死へと向かう生」と見なすことがしばしばあると思う。実際、初芝は、自身を死に行く存在として捉え、そのことに慄いていた。)そして、乾は、生き続ける初芝と共に在りたいと願っている(たとえ彼の苦しみを背負うことはできないとしても)。

もちろん、乾の中にある種の自己満足を見ることもできるだろう。彼自身そうした要素があることを否定しない。だが、私は、初芝と乾の関係に、人と人の関係の脆さを知りつつ、それでも人と人との絆の内に希望を見出そうとする著者の姿勢を感じる。

7

死ぬよりも怖いこと

高校教師の初芝公平は、大学四回の夏に高校時代からの親友だった阿岸に強姦され、そのせいでHIVに感染してしまう。
そのことで恋人にも別れを告げられ、病状も進行する中、後輩教師の乾武則だけが、そんな初芝の心のよりどころとなって行くのだが・・・男に犯されたという恐怖から、なかなか乾の好意も素直に受け取ることが出来ないでいる初芝。
しかしどんなに足蹴にされても、乾は初芝と一緒に生きてゆきたいという気持ちをぶつけ続ける。

私はこの物語を読んでいて何に一番心を動かされたかと言うと、自暴自棄になった初芝が漏らした言葉である
「生・・・きるのが怖い」
であった。
普通こういう場合は『死ぬのが怖い』と言わないだろうか。
この言葉を見たときに、木原音瀬という人の死生観を垣間見た気がして、ちょっと胸を衝かれる思いがした。

人の死に対する恐怖というのは、死に至るまでの肉体的な苦痛と、死んだ後に自分という存在が消え去ってしまうことに対する喪失感の2種類がある。
普通に生活していれば死に対する肉体的な恐怖は、そうそうないため、漠然と死んだ後の事を考えて少し寂しくなってみたりする。
しか続きし期限付きの人生を送らなければいけない場合・・・その先よりも死に向かう過程で自分が蝕まれてゆく痛みをダイレクトに受け止めなければならない。
だからこその「生きるのが怖い」なんだろうし、この言葉を選んだ木原さんが、あまりにも鋭すぎて(良い意味で)恐ろしいなと思った。
その証拠に初芝は薬を勝手に飲まなくなり、死んでしまってもいいと思ったりする。
死への感じ方の違いに差があるのは、考えれば分かることなのかも知れないが、それをちゃんと噛み砕いて物語に投下できる木原音瀬の技量に感服した。

そしてあまり詳しくは書かれていなかったけれども、初芝の親子関係は良好ではなかったのでは、と邪推。
だって肉親にこんな重大な事を話せないなんて、そんな親子関係ってあるだろうか?
しかし数年後の2人の様子を読みながら、ああ乾は初芝にとって(精神的な意味での)家族になったんだなと思い、少しほっとした。
家族にも打ち明けず独りで死んで行こうとしていた初芝が、乾が傍にいないだけで寂しいと思えるくらいに心安らかになっている・・・出来ればそこへ至るまでの一山二山も読んでみたいところである。

ちなみに『リベット』というタイトルについてだが、なかなかに意味深である。
「鋲」の一種であるリベット。
人と人を繋ぐ・・・といった意味合いなのかと単純に思ったが、本当のところは分からない。
ただリベットは他の鋲(ねじや釘)とは違い、半固定的な用途に適するもので安易な取り外しは不可。
そう考えると、もう離れることのない2人を表すのにはぴったりのタイトルなのかな・・・と、ついしんみりしてしまった。

8

主人公には長生きして欲しい

重い話でしたが、良い話でした。
なかなか心を開かない初芝と、遠慮しないで自分を頼って欲しい乾。
病気がHIVですからね、この二人の関係にどうしてもタイムリミット的な焦りを感じてしまいます。
恋愛に関してはすごく純粋なので、それだけに二人がかわいそう。
とても細かい気づかいが必要な初芝に、献身的に尽くす乾。
心を閉ざす事で強い人間性を作ろうとしている初芝が痛々しいです。
そして、乾の忍耐強さはすごいです。
初芝の心情になれば、「普通の恋人」がどれだけ羨ましいか…本当につらいです。

最後に表紙カバーを取っていただくと、二人のその後が読めます。
このサプライズ、とってもいいですね。

7

ごく普通の恋愛

今回は「泣ける」の他に「ほのぼの」とか「暖かい」も入れておきます(笑)
本当に作者さんの特色が出ている作品ですね。
エロいシーンなんて全くない。
そこがいいかな。
よくある、金持ちでもカッコイイでもなくごく普通。
二人とも全然普通のサラリーマンで、冴えないとか書かれてるくらい平凡。
二人ともノンケ。
なのに恋愛しちゃう。

こういう作品があると、本当にBLっていいなぁと思ってしまう私。

恋愛に男も女も大差ないし、この作品では片方の人が最初は結婚しているんです。
でも女と恋愛や結婚したからと言って幸せとは限らないでしょ?
男同士なんて弊害ばかりで大変なのに、気持ちは止められない。
好きになったら仕方ない、って思う瞬間なんですよね~~
そこが私がBL止められない理由です。

5

深い想い

誰にも話せない。親にも友人にも恋人にも。

そんな秘密を抱えて毎日を送っていた初芝。彼の秘密とは自身がエイズにかかっていると言うことだった。病の辛さと誰にも言えない息苦しさが常に付き纏う。そして自分はいつか近い未来死ぬかもしれないと言う恐怖が。それでも、初芝は精一杯明るく振る舞っていた。そんな時、職場の後輩、乾に病気の事を感づかれて…?!

その後、乾(ゲイ)は初芝(ノンケ)の相談相手みたいになり初芝を次第に好きになる乾。そこに初芝の彼女も絡んできます。

もう胸が痛い。初芝を想う乾の気持ちが切な過ぎて、深過ぎて…エイズを受け入れ、病気等のせいで苛々する感情を初芝が乾に当たっても、殴っても全身で受け止めて。大丈夫だからと。そして逃げるなと。

突き刺さりました…泣きました。初芝にあの言葉を言わせた乾は凄い。そんなお話を書ける木原さんはもっと凄い!!

書き下ろし作品も一歩恋人同士に近づけたふたりが見れて、ほんわか切ない感じで良かったですよ☆

2

木原さんのセカイ

よく行くBLのレビューブログがあるんですが、そこでめったにない『地雷』と評価されてたこの作品、おそるおそる──いや、ワクワクしながら読みはじめました。木原音瀬さんフリークの私なら何がきても大丈夫だという自信があったのw
正直、確かにBLとしては地雷かもしれないと思いました。
萌えにくい。いや、萌えることに罪悪感を覚えるストーリーだ。
けど、面白かった。
読むあいだずっと、重苦しくて、胸のなかに石が詰まったような気分だった。

主人公はノンケです。優しい恋人もいる。そして、その主人公に惚れてるゲイの同僚の後輩がいる。
ある問題により、恋人にふられる。でもゲイの後輩だけは主人公を見捨てない。でも主人公はその後輩に恋はできない。なぜならノンケだから。
最近読むBLでは、ノンケは簡単に壁をこえてゲイになっちゃいますが、普通は無理だよね。そのリアルさが、吐き気がしそうなほど苦しかった。後輩に惚れたら楽になるだろう、主人公もそれは分かっているだろう……でも。
主人公が後輩の手を取るのも、最終的には消去法でしかないのだ。この結末には、安堵と、それ以上に焼けつくような心の痛みを感じた。

カバーをめく続きると、三年後の二人に出会えます。
シアワセだ。
でも、それ以上に皮肉さを感じた。あの問題がなかったら、絶対に結ばれることのなかったであろう二人。
木原さんが調合するこういう皮肉な毒に、私は惹かれている。

5

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