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主人公の性格が流され侍でした。水城せとなさんの「窮鼠~」に出てくる恭一を彷彿とさせるw
ノンケで、女の子に告白されたら断れないから付き合って、付き合ってる最中に他の女の子に迫られたら浮気して、フラれて…みたいな。ダメ男。
そんな主人公は五年前に男から告白されて、「お前が俺を五年好きだったら、俺もお前を好きになるかも」みたいな返事をして、その後は言ったことすらすっかり忘れてチャラチャラしてます。
五年たって、その男友達に「お前が忘れてるってことくらい途中から分かってた。この二年ぐらいは意地だった」みたく改めて告白され、「もう限界だ。苦しい。お前の顔は見たくない。もう俺の家に来るな」と言われる。
そこで流され侍の本領発揮です。五年の間にその友達に精神的に依存しちゃってたというのもあるんだけど、「親友としてのそいつ」を失う怖さで、流されてエッチしてしまいます。恋愛感情なく。そして相手もそれを知ってる。
その後もヒドイです。流され侍+超ドンカンなので、相手を無自覚に傷つけまくる。
そんな彼は、失ってからいろんなことに気づきます。後半切ないです。
ユーモアもあり、キュンとなり、甘々もあり、めちゃくちゃ面白かったです。
文句なしに神。
普通っていうと語弊があるかもですがある意味スタンダードを一捻りしたストーリー。
あとがきにも書かれてるんですがトラウマ持ちとか、重い過去を持った人とか一切出て来ません。
カラーは明るめで、登場人物は基本的に皆いい人で悪人も嫌なヤツも出てこない、といつもの夜光花さん作品イメージとはちと違います。
八木[攻]も5年想い続ける愛の深さを持った人間ですがドロドロした嫉妬や病んでる独占欲は無い。
同性の結紀[受]を好きな事以外は常識人といっていいかも。
しかし流石と言うべきか王道BLストーリーに捻りを入れて来ます。
この作品の大きな魅力にもなっているのが役者である結紀が演じる劇なのですね。
結紀は劇中でマコという女装して心は女の男を演じるのですが、この劇の内容がおもろい。
上演されてたら本気で見てみたいと思わせる内容になってます。
マコという役に入れ込む結紀の描写も良い。
八木と結紀とは深い友情と愛情とが紙一重な部分もありますが、とりあえずラブエンドで目出度いからいいんじゃないかなー。
読後感が実にいい作品でした。
自分はこの劇中のマコが凄く気に入ったのでその点も大きくプラスして神で。
流され侍(*´ω`*)
他の方のレビュー見て笑っちゃいました。
本当にその通り、流されさむらいの受け。
読んでてリアルでもこういう罪な人っているよなぁと攻めのことが気の毒になりました。
5年、好きでいろっていうのはかなり酷なこと。
一途な攻めは嫌いじゃないけど、ストーカーに近い感じがぞわぞわしました。
それでも、さっぱりとした受けとしつこい攻めで良いカップル。
明るいお話で、楽しく読めました。
演劇の仕事に関わっているキャラを読みたい方にオススメします。
夜光花作品としてはわりと普通仕立てですが、中でもとりわけ好きなお話です。タイトルもキュンとします。
高校生同士の友情から始まり、五年を掛けて成就する一風変わったラブストーリー。今まで読んできた友人→恋人ものの中では切り口が斬新で、それまで作家さんに抱いていた作風のイメージを覆す萌えをいただいた作品です。
高校の文化祭で上演した劇で、女装役が見事にハマった原田裕紀。その姿に衝撃を受けた(一目ぼれした)剣道部主将、ガチ硬派の八木に突然告白されます。
裕紀は完全にノンケ設定で、若さの割にはBLにありがちな告られた相手へのよろめきが全く無くて、八木とは友達だから離れたくないよ!五年後にまだ自分を好きでいてくれたら気持ちが変わるかもしれないけどぉー、なんて自分に都合のいいこと言って八木を繋ぎとめるんですよね。ヒドイ…
いやいや、八木にしてみれば裕紀と恋人になれないんだったら、友人として会い続けることすら辛いからスッパリ諦めて友達もやめようっつってんだからさぁ、八木がかわいそうだよ…
周囲にも自分にも無頓着で、これといった趣味も特技もなかった裕紀は、八木のおかげで演劇に目覚めます。
親の反対も聞かず、大学を中退してバイトで生活費を稼ぎながら劇団員として地道に活動していた裕紀でしたが、同じ劇団に所属する高校時代からの同級生、丸山が書いた作品の主役に抜擢されるチャンスが巡ってきます。
その役柄とは、丸山が裕紀に当て書きしたマコという名のニューハーフ。初めての主役に意気込み、役作りや稽古に励む裕紀は、マコと自分をダブらせることで八木との関係性をも見つめ直す機会を得るのです。
マコを通して裕紀が八木との関係をより深いものにしていく過程がナチュラルに説得力があって、ものすごく面白い!
駆けだしの舞台俳優がずっと「待て」をさせてきた堅物公務員と恋人になるまでの道のりが楽しめます(特に真面目すぎる八木が可愛い♡)。
夜光花さんのお話では自然と攻め厨になってしまうのですが、本作の裕紀はなかなか魅力的な受けでした。
「天に唾する」展開が、駆け引きめいていて面白かった。
その場の流れで、思い付きの言葉で常に裕紀は凌いてきた。
そして自分が出した言葉の果を受けていく。
--高校卒業前
●原田裕紀:高校の文化祭で女役を演技。
八木の告白を受け、つなぎとめたくて「5年もし・・」と返答。
●八木弘道: 高校の剣道部主将。
卒業前、裕紀の演劇を観て、一目惚れを告白。真面目で一途。
--五年後
●八木:大卒後、市役所勤務。マンションで独り暮らし。
五年後のその日、約束を失念した裕紀に「別れ」を告げる。
●裕紀:大学中退、劇団「夢一夜」所属の役者。
裕紀を励まし続けたのは、八木。
八木を引き留めたくて抱き合う。愛情の好きと友情の好きの違いに悩む裕紀。
演劇のニューハーフ役になり切ることに努める。
--舞台終了後
●八木:裕紀の恋愛場面が耐えられない。見合いをして、「友人に戻る」と告げる。
●裕紀:舞台は大成功。次の仕事が来る。孫を望む八木の両親を見て悩む。
八木の気持ちを受け「二度と会わない」と、泣きながら帰る。
--八木と別れた後
●裕紀:仕事で忘れようと、演技の幻想世界に没頭する。
丸山が八木に千秋楽を伝えて・・再会、ハピエン
「やっぱり君が好きだった」・・八木の要望で、ドラマ撮影の衣装のまま帰宅した裕紀。
変わっていく二人の気持ち。何度も山場や節目があって、読み応えありました。
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