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表題作WELL

しのぶ,家政婦の息子で従順・一途・冷酷が同居した家来くん,高校二年生
亮介,政治家の息子で甘ったれのワガママ坊ちゃま,高校二年生

その他の収録作品

  • HOPE

あらすじ

ある日突然すべての建物が崩れ、多くの人間が死に、地上は真っ白な砂漠に変わった。そして生き残った少数の人間たちには、過酷な現実が待っていた...。地下にいたせいで助かった亮介と幼馴染みのしのぶは、食料もなく、飢餓状態に陥りながら死を待つように生きていた。「亮ちゃんが一緒ならいい」と言うしのぶに、死にたくない亮介は苛立つが...。

作品情報

作品名
WELL
著者
木原音瀬 
イラスト
藤田貴美 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
ISBN
9784883863143
3.2

(98)

(37)

萌々

(5)

(16)

中立

(24)

趣味じゃない

(16)

レビュー数
38
得点
277
評価数
98
平均
3.2 / 5
神率
37.8%

レビュー投稿数38

BL界の沼正三になるかもしれまい、あるいは澁澤龍彦か

あえて、文語体を使用しますので、苦手な方はご了承を。

この作品にどのような評価を下せばいいのか?
つねづね評者はそれに戸惑う。とりわけ、本書のような作品に対して「フェティシズムを介在させた欲望の投影行為」(いわゆる萌え)という評価を下すのはいささか困難を伴うだろうし、それはヘタをすれば木原にとってはいい迷惑になりかねないかもしれまい。

本書をたとえるならば、『家畜人ヤプー』のような虚無感とナンセンスが終始展開されており、その流れの一方で展開される「取り残された男の子たち」によるもがきと言ったほうが妥当である。むろん、これをボーイズラブとしてみる目線がないとまでは言えないが、“木原音瀬”という色眼鏡で見るととんだ代償を支払うハメになるのは言うまでも無いだろう。

評者としては、読みやすく「ああ、こういう作品も木原は書けるのか」と言ったような爽快な読後感さえ覚えるだけに、「BLじゃない」といった声には違和感さえ覚えてしまう。

この調子ならば、BL界の沼正三という二つ名が木原に与えられる日もそう遠くあるまい。

11

好みはわかれるかな、と(ネタバレ注意)

BLで初めて鳥肌が立つという感覚を味わいました。
「胸糞悪いBLを読みたい」ということでおすすめされて読んだのですが、まさに求めた通りの作品でした。
以下ネタバレ全開でレビュー行きます。

家政婦の息子で、幼馴染みを奴隷扱いする主人公の亮介(受)。奴隷の立場に甘んじ、主人公に深く依存するしのぶ(攻)。
いつ助けが来るのかわからない、食料も尽きかけた世界で段々醜い本性を表していく登場人物たち。
その中で、高潔さを失いきれない田村さんの存在が一際映えますね。
個人的には後半の田村さん凌辱が最高でした。
特に、切り落とされて干からびた×××を突っ込まれるのはもうぐうの音も出ません。作者さんの発想に感服です。
まさに愛も人権もない、徹底した人格軽視って感じで、1人のキャラクターの精神が崩壊する様を見たい!って人にはうってつけだと思います。

好みはわかれるとは思いますが胸糞が読みたい!!!という人には文句無しにおすすめできる本だと思います。

10

心臓の弱いかたにはオススメいたしませんが

或る時突然、自分の住む周囲が砂漠と化してしまった。
そこに取り残された高校生の幼なじみ2人の運命は・・・・・!?
というところでしょうか。

ハジメに、このあらすじを読んだ時には、世界に2人だけが取り残された!?
と思っていたので、生き残っている人たちがいるとうことにまずは驚きました。
まぁ、良く考えてみれば、二人しか居ない世界で、話が展開するわけないんだけどね。
展開どうのこうのというまえに、何も広がらないわけだし(笑

読み終えての感想。
感想というか・・・妙に喪失感しか残っていません。
なんなんだろうな。
これってBL・・・・?
男同士がまぐわっているというイミではBLかなとは思いますが。


テンポもあります。
読みやすいです。
考えさせられる部分も多くありました。
そんな深いイミはないんだよ~っていうのも有りかもしれませんが、考え方ではもっといろんな方向での見方をしても面白いかなとおもったり。

夜が明けるのも忘れて読みすすめたくらいなので、次はどうなるんだろう。
助けは来るんだろうか・・・・・という読み応えはあります。
最後をよんで完全に真っ白になりましたが。


ただひとつ。
次に読む作品はかぎりなく愛に溢れた作品にしよう。
そう思いました。
その反面、もういちど読み返したい。と自分がいたりもして

8

これは怖い

ぎゃー、甘いBLばかり読んでた自分には、あまりの衝撃です。これはホラーなり。
怖いよう、とえぐえぐしつつ読み、読んだ後もえぐえぐが止まらない。
高校生の時読んだ「家畜人ヤプー」「悪徳の栄え」に衝撃を受けた時でさえ、こんなに怖いとは思わなかった・・・だってこれ、BLだと思ってたからっ。まさかのショックが大きかった・・・。もともとホラー好きな人じゃないと無理かもしれません。
文字通りの弱肉強食・・・。逃げ場なし、希望なし、男しかいないので、個体数は増えない。しのぶの強さが紙一重なのがまた、怖い。デパ地下の屠殺場に入ってからのくだりは、夢に出てきそうなほどです。
例えばそっち系の映画「悪魔のいけにえ」にしても「ハンニバル」にしても、鬼に差し迫った食欲は感じられないし、世界はまだ機能していたので逃げ切る事もできたが、今回は世界がまず消滅していて、そして実際問題「食べなきゃ死んじゃう」んである。生命を繋ぐため、究極の選択をしなければならない、そこに「萌え」はない。サイコパスが道楽でやっていた事をごく普通の人間が生きるために実行するもんだから、もう怖くてたまらない。
ヒトはヒトである前に動物であり、生き物であり、それは真理だけど。
平和な日本でぬくぬくと生きる事がどんなに幸せか、いやでも実感してしまう、そんな作品です。

8

最初は衝撃、後から虚無感

人間って生きる為には何しでかすか解らない。
そんな人間の偽善や残酷さや儚さなど、生と死の狭間で揺れ動く感情が描かれていると思う。

一般的にはグロい。死体がうようよ出て来ます。この時点で駄目な方は読まない方がいいです。その後更に救いようのない事になるから。でもグロどんと来いな人にはこの作品は全然okだと思う(笑)

読みごたえは十分ある。先が気になってしょうがないし飽きさせない。なかなか忘れられないストーリーでした。

でもこれをBLかと問われると正直『???』な感じになる。一応、男同士の絡みはあるけど、一方通行の半ば執着のような愛であったり、愛や恋愛のへったくれもないただの拷姦であったり。。。そういう意味での愛は全くないです。仲間との絆とかはあるけど。

読後思ったことは、この後やっぱり残された人らは死ぬんだろうな。と言う事です。助けが来るとは思えないし…そう思うと何だか胸が閑散とするというか…虚無感かな。

何にしても色々考えさせられる作品ではあるし、BL作家にこう言うお話を書ける方がいるのは私としては嬉しいです。

7

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