イラスト入り
読み返すのは三度目……かな。
今では木原作品に慣れっこなのでこのくらい何でもないですが、かなり変わった設定のような気がします。
もちろん、友人と二人でやってしまった^^; しかもそのあと好きになって付き合うっていうのも変な展開だし、襲ったときは攻めだったのに、その相手に抱きたいって言われる犯人若宮。
一応社会的地のある医者が簡単に人を襲うって言うのも実は首をかしげるんだけど、そんなとんでも展開も、襲われた岡田が襲った若宮を抱きたい。。。とか言う展開に「はぁ?」と思いつつ、この二人どうなるんだろう? てなぜか目が離せない。
ほんと、BLってファンタジーだなぁと思う瞬間。
悪くないです、そうきたか……って予想外は好きだ。
しかもかなりの執着型。
襲った若宮が執着ならわかるけど、襲われた方が執着って。
この予想外もかなり好き。
でもこの衝撃展開も、これに続く襲った片割れ谷脇の人でなし人格には蹴飛ばされるのでした(三部作「FLOWER」以降に続く)
木原さんに脱帽する瞬間です。。。。。
裸ん坊3部作の中で、このWEEDが一番好きです。
傍若無人でプライドはエベレスト級。
嫌なことがあればすぐに人に当たり散らし、後輩相手に嫌味をたれる、超我儘男、若宮。
人としてどうかと思うような、兎に角いちいち腹の立つ男なんですが、こいつが何だか憎めない……。
注いでも注いでも満杯にならないコップみたいな若宮相手に、岡田は本当に懸命に愛を注ぎます。
でも、岡田も若宮と一緒で、やっぱり愛に飢えてる感じがたまらなかったです。嫉妬深くて、愛がないと生きていけないタイプなのが身悶えするほど萌える。
2作目を示唆する内容の書き下ろしが、とてつもなく良かったです。
読んでてすぐに松本の事だなと思ったんですが、先を知ってるだけに涙でそうになる……。
新装版、私的には特に意味なし。なので新装版じゃない方と同じレビューします。
ちなみにちるちるさんの受け攻め表記間違ってますよー。メインCPは、年下マラソン選手攻め×年上医師受けですのでお間違いなく。
さてさすがの木原様節。ストーリー導入部のくだり、クソさが酷い。
気をつけてください。
リバが、ぜっっったいに許せない方。
そのクソ部分では、ストーリー中核となるCPの受け攻めは逆です。
ストーリー冒頭、攻めは、受けに、レイプされます。
レイプって辺り、もうクソですよね。
それでも、それが、木原節。
その後の受け医師の、可愛いこと可愛いこと…………
彼の、攻めが好きすぎて自分のアイデンティティまで変えちゃうくらいってのがヤバイ。
受け医師は相変わらずクソで、 あり得ないくらい狭量でヤキモチ焼きでひとりよがりで自分勝手で意地っ張りで妄想癖で、ことあるごとに(勝手に思い込んでコトを創り出す、イタいヒト)ダメな選択で浮気しちゃうっつーとこ、もう可愛すぎて可愛すぎて。いや、バカだなあと思いながらも可愛い。恋の魔法をかけられちゃうと、セックスを軽く楽しむただの行為なんだとストイックに思ってる人間も(その辺がすでに病んでる)、挨拶1つにヤキモチを妬くくらいバカになってしまうということですね。あーー、バカすぎて一途過ぎて可愛いったらないっ!
攻めが、こんなバカでどうしょもない恋人に一途に付き合って愛してる辺りが、また木原節!
カッコイイ受けが築き上げたアイデンティティを曲げてまで自分をかっこ悪くしちゃって(自意識だけね)、攻めがそんなにかっこよくないのに、受けを一途に思っているってところが、私的にぐにゃぐにゃしちゃうくらい萌えるところです。
レイプネタは、許せませんが。
肌色の表紙と強姦に気後れして、木原さんの作品の中で読むのを後回しにしていました。平手打ちを食らったような衝撃的な作品でした。恋って、こういう面もあり得るのだと。
金も地位もある自己中心的なエリート医師・若宮が、性悪セフレの谷脇と一緒に強姦した男・岡田と恋に落ちるというすごい設定。しかも、岡田の妻子は交通事故死しており、若宮の患者でした。
何より驚いたのは、奔放に性関係を楽しんできた若宮にとって、これが初めての恋であり、自覚した途端に築いてきたプライドも信条も吹き飛んでしまうという展開。心の奥底に隠れていたのは、寂しさと愛される自信の無さ。傲慢だった若宮が、「何でもするから、お願いだから…僕のこと、捨てないで」と懇願する場面では、恋の狂気を感じて、言葉にならない興奮を覚えてしまいました。
若宮をここまでにしたのは、岡田の清廉さと芯の強さではないかと思いました。
引っ越し業者に勤める岡田と偶然再会した若宮は、とにかく自分の失態を金で始末しようとしますが、岡田は受け取りません。若宮が土足でアパートに上がり込んだ時も、「畳を拭いて帰ってもらう方がよほど誠意がある」と言い放ちます。若宮は岡田に自分にない清廉さを感じ取ったのでしょう。理由をつけて訪ねるうちに、どんどん岡田に惹かれていきます。
不思議なことに、岡田も若宮を好きになり、タチだった若宮を抱くのです。二人で雨宿りしているとき、岡田が強姦された日のことを思い出して、若宮に話す場面に答えがありました。強姦された後、眠った若宮をどれだけ殴ってやろうと思ったか。けれど、子供みたいにしがみついて離れないから、「きっとあなたも寂しい人なんだろうって、そう思った」と。自身は、妻子を交通事故で失って、その悲しみを振り切るために土砂降りの中走っていて、強姦されたのに。自分の寂しさに手いっぱいになることなく、相手の寂しさも感じ取る。谷脇に「雑草」と評される岡田の、その芯の強さ、優しさに、脱帽しました。若宮が完全敗北して、自分の恋心を自覚するのも納得です。
同時収録の「EVER」では、岡田が実業団マラソンに参加するのをきっかけに、若宮が嫉妬したり、当てつけに谷脇と浮気したりするのですが、岡田の気持ちはぶれません。岡田の走りに重ねて、芯の強さを描くのがメインのように感じました。
岡田に惚れ直し、大けがをした岡田と病室で愛し合い、若宮はやっと嫉妬の病から解放されたようです。でも、どんなに抱かれても寂しい気持ちはなくならない…。どうしようもない寂しがり屋さんです。でも、その寂しい気持ちがある限り、岡田を欲しがる気持ちはなくならないのですから、ずっと一緒にいるのでしょうね。
書下ろしの「Passed by~scene 1」で、岡田が若宮を可哀そうに思っていると明かされています。愛されても寂しい若宮のことをよく分かっているのだと、ホッとしました。
岡田は、遺品整理の仕事で、数年前、自分と一緒に交通事故に居合わせた医学生が亡くなったことを知ります。明日のことは分からない。今は目の前にいる人を愛するだけだ。そんな岡田の潔さが胸に沁みて、心地よく物語の着地点を示しているような気がしました。
「WEED」「FLOWER」「POLLINATION」三部作を連続して読んだので、続刊も踏まえてのレビューになります。
三部作の第一作にあたる本作は、医師の若宮(主人公)と彼が出会った平凡な青年・岡田の物語です。若宮はものすごく自分勝手な理由で、偶然「拾った」岡田を同僚の医師・竹脇と一緒になってレイプします。その後、岡田が妻子を事故で亡くした孤独な男で、以前に病院内で患者の親と医師として擦れ違っていたことを知った若宮は、岡田が自分への復讐を企んでいると思い込んで自分らしくない行動に出てしまうのですが、このことが切欠で若宮は岡田に執着していきます。やがて岡田も若宮に想いを寄せるようになり――…という、少々強引な展開のお話です。
そう、強引…なんですよね。木原音瀬さんの作品は新旧問わずいくつか読んできましたが、ここまで評価が難しいシリーズは初めてです。シリーズとしての評価は「萌」、この第一作は辛うじて「萌x2」かなぁ。私は第二作(に収録されている兄弟モノ)が一番好きでした。
ちなみに若宮×岡田なのは最初のレイプシーンだけでそれ以降はずっと岡田×若宮なので、あまりリバものという印象はありませんでした。
理屈抜きで岡田に惹かれていく若宮の心情の変化にはさすが木原作品という感じの強い切なさを覚えましたが、岡田が若宮を抱きたいと思うほどに彼に夢中になる理由がちょっと腑に落ちなかったなぁ。後半は両想いの二人がヤキモキする甘い展開だったので、まあ大事なのは出会い方より暮らし方なのかな…と思いました。二人が幸せならいいです、うん。