ボタンを押すと即立ち読みできます!
客に惚れたら、遊女は地獄……
すごい、すごいよかった~~~!泣きました~。
榎田さんは大好きですが、どーも遊郭ものは(特に受けが遊女とか男娼だと)食わず嫌いしてまして・・・・・・・・・なんともったいないことをしていたのか!
やーーー、さすがです。榎田さん。憎いねっ。切ない切ないお話でしたね。
男ながら、借金のために吉原の遊女になった17歳の暁芳と、13歳の頃の暁芳を知る財閥の御曹司、貴師が客と新造として再会する冒頭から、本当に一息に、一息に読みました。
この、この暁芳が。不幸に不幸を重ね塗りしたような人生でね・・・
花魁の子として母といた頃も、男遊女となってからも、苦界に身を沈めなければならなかった女の哀しさを知り尽くしてなお、そこに踏みとどまろうとする暁芳。
榎田さんの書く人物は皆どこか気丈でピュアですけど、この暁芳にはやられました。
辛い思いで過ごしていた13歳のほんの一時、優しくしてくれた貴師を憎からず思いながら、情けは受けたくないという。
頑なな態度の暁芳についついいらいらして、好きなのに優しくしてやれない貴師。
そのくせ、他の男が水揚げするなんて許せない!とばかり、無理やりお初は自分がゲット。しかも一週間貸切。
両親を亡くしてはいても、恵まれて育った財閥御曹司ですからね。
やっぱり春を売る職業に対して蔑視感がありますから。
それを敏感に感じ取った暁芳はあくまでも「客」として扱うので、ますます貴師はイライラするわけで。
この辺の気持ちのすれ違いはほんとにいいですね!
想いが通じ合ってもすぐにトントン拍子に行かないのも。
最後に暁芳の背中を押すのが西園寺子爵の言葉なのも!
「・・・離してはいけない手というものがある。」
「勇気を忘れてはならない。・・・幸福になる勇気だ。」
いいですね。そういってくれる人が、かつての羊にもあったなら、と恥ずかしながら涙しましたよ。
本当に、二度と出会えない、大切な手というものはあるものです。
自分のプライドとか、相手の気持ちに対する不安とか、特に過去に不幸な経験をしていると、幸福そのものに対する不信感とかが、どれだけ襲いかかっても!踏み出さないといけないことがあるんですね。
暁芳と貴師はもちろん、暁芳の母と西園寺のエピソードと、暁芳の姉がわり、花魁の志乃の哀しい恋の行く末、そしてなかなか魅力的な絵師の弥呂久。
相変わらずワキがいいですね~。
登場人物がいくら多くなっても全員魅力的で、ちゃんとストーリーにがっちり絡んでくれるし。
素晴らしい作品がまた一つ。神棚入り決定!
はい、吉原もの、大好きです!
一般やBL、ジャンルに限らず吉原ものが好きです
儚さや、哀しさ、愛しさ、美しさ、憎らしさ
全てが詰まっている気がしてですね……
こちらも大変楽しく読ませて頂きました
おはぐろどぶに沈む姉女郎の遺体を胸に、受けである暁芳が語りかける言葉に嗚咽が漏れました
ああ、なんてなんてツライ……
エッチシーンも確かにエロエロではありますが、随所に垣間見える哀愁でそこまではエロさを感じません
でも、それがいい
題材に反して禁欲的なのが良かったです
男花魁……まぁ普通は蔭間でしょうけど
なさそうで新鮮でした!
攻めの、不器用ででも一途で朴訥とした色男っぷりがよかったです
榎田さんは、ほんとハズレがないなー!
遊廓ネタが大好きデス。
赤い着物を着た男の子が表紙の小説は思わず手にとってしまう。
贅沢をいえば、暁芳にもう少し可愛げが欲しかったかなと。
後半、もりあがりがもう少しあったら良いのにな~と。
子爵にも華嵐を抱かせてやればよかったのになと。
絵師さんが抱かれるシーンがみたかったなと。←作品にまったく関係ない;
ある意味、「今も男の花魁が~」で、華嵐は今も花街で~という話でも面白かったかなと思ったりしております。
妄想を掻き立て、色々興奮させていただく一面もおおくあり、面白い作品でした。
間に何が起ころうと、終わりよければ全てよし。
やっぱり愛あるHが一番だとおもう。
榎田さんのエロ万歳、な作品。
遊郭で男娼(陰間でなく男遊女という変わった設定なので表紙絵となる)の華嵐。華に嵐のたとえもありますわな。絵に描いたような健気受け。
一方攻めは、財閥御曹司。なので身請けも出来るぞ、と。やはり他の男に抱かれるシーンはNGだったのか、危害ある華嵐ながらもその辺りの描写は出ず。ストーリーとしては片手落ちな印象。
攻めがかたくなすぎてややイライラしますが、結局ハッピーエンドで終わってみれば王道ストーリー、かな。
再読はないかも。
電子書籍で読了。挿絵もあとがきもありません。
榎田尤利さんは私にとって特別な作家さんです。
榎田さんの本を読んだことが、長い長いブランクを超えて腐世界に再び戻って来るきっかけでした。今作は数少ない未読本。やっと読みました。
榎田さんはよく、死を通して生きることを描く作家さんだと言われていますが『マイノリティであることの誇り』について描いてもグッと来る作品を書く方だと私は思っています(同世代の作家さんには、同じ様な方々が他にも多い様な気もしますが)。このお話の主人公も『他人がどう見ようとも私は私。そういう私を貫きたい』という人。甚く共感してしまいました。
(表紙でもろ解りなんですが)遊郭ものです。
暁芳は花魁の子どもとして生まれ、一時期は父方に引き取られたのですが、父の妻や息子に虐められた末に再び花街に売られ、華嵐という源氏名で、母と曰くのある西苑寺子爵による水揚を迎えようとしています。そこに割って入ったのが何条財閥の貴師。貴師は暁芳が父方にいた時代に虐げられている暁芳を助け、困ったことがあったら自分を頼る様に言い含めていた暁芳の初恋の人でした。貴師は暁芳=華嵐の水揚を自分が行いたいと子爵に頼み込み、権利を手にします。しかし、暁芳は、自分は男花魁の華嵐であり、暁芳という者は知らないと言い張るのでした……
私がこのお話で面白いと思うのは、暁芳が花魁という立場を捨てて貴師に身請けされてしまえば、暁義個人のプライドが傷つくだけではなく、花魁という存在をも社会の最下層のものであると認めてしまう構造になっている事です。いや、確かに下層なんですよ、俯瞰すれば。でも、一旦吉原に足を踏み入れればその世界の中では、花魁は最上層という取り決めになっている訳です。それは儚い取り決めごとで、真実ではないのですけれど、でも、それにすがって毎日を過ごすしかない遊女達の誇りを暁芳=華嵐が背負って立たなければならない作りになっているんですね。
エロエロ表示になっていて、確かに水揚の過程でエロいことをたくさんやっているんですけれど、あまりエロさは感じませんでした。
私にとっては、これは紛う事なき『お仕事BL』。
代償として金銭を得ているか得ていないかは別として、自分の仕事に誇りを持つ全ての姐さま方にご一読いただきたいお話かと思います。
話は飛びますが、
『カブキブ!』も『死神』も面白いけどさぁ……
最近榎田さんのBLがないのがとてもとても寂しいです。