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表題作ケモノの季節

櫟井真悟・裕福な家庭の高校一年生
唯浜徹・不良に見られるが実は純真な高校一年生

あらすじ

覚えたてのセックスに、のめり込むように二人で溺れた夏休み―。
優等生を演じるのに退屈していた櫟井真悟が、友人に選んだのは就職組の唯浜徹。
着崩した制服に金髪で、周囲から浮いている唯浜は、内面は驚くほど無垢で無邪気。
素直に懐いてくる唯浜に嗜虐心を煽られ、櫟井は抱かれる快楽を教え込んでしまう。
けれど、昼間から怠惰な情事に耽るほど、櫟井は唯浜の気持ちが見えなくて…。

作品情報

作品名
ケモノの季節
著者
菱沢九月 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199004513
2.7

(14)

(0)

萌々

(3)

(6)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
34
評価数
14
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数6

ヤリたいだけ?切なさ滲むDKもの

DK同士、攻め視点です。菱沢先生の受けが好きすぎる…。受けに優しくしたがる攻めも好き。いつもカップリングが最高なのだ。

ボンボン攻めとなんちゃってヤンキー受けのカプです。進学クラスと就職クラスで、校舎内の棟も違う二人。入学早々、金髪の唯浜が教師から注意を受けていたところを、櫟井が見かけて興味を持ちます。

幼稚園から私学に通う櫟井は「下品なほどの」金持ちだらけの同級生に囲まれ、中学の時に散々悪い遊びを覚えて倦み飽きていました。交友関係を整理したくて高校は彼らと離れ、刺激のない退屈な新生活にうんざりしていたところで唯浜と出会います。唯浜は櫟井がこれまで接したことがなかったタイプで、知れば知るほど興味が湧く対象でした。

櫟井のバックグラウンドや中学時代の素行については是非があるにしろ、いち高校生男子としてまともな感覚を持つ唯浜に櫟井が惹かれ、救われていくのが読みどころの一つ。

クラスが離れているのに一緒にお昼を食べたり、互いに「ユイ」「イチ」と呼び合ったり、少しずつ親しくなっていくなんてことないシーンに和ませてもらいました。学校での二人は健全なDKらしくて。

櫟井の方が小学生の頃から大人びたおませさんなので、彼の家庭環境などを加味しても言動が鼻につきます笑。でも物語中盤からユイのピュアさに感化されていき、ユイしかいらないと思う気持ちは一体何なのかと、不確かながら自覚していく彼の感情の変化を要所要所で読ませてくれるんですよね。作者様の攻めのモノローグの書き方が好きなんです。

ユイがこれまた可愛いんですよ、、ピュアっこに弱い…

年齢的に不似合いな描写もあるかもしれないけれど、メインカプの関係性を描く上での演出だ〜くらいの感覚で読んでいたので、個人的にはこういう退廃的な10代もありな感覚で読んでいました。いや10代だから際立つのかな、、あ、『ホットロード』読んでたからか?笑

エチシーンもいいなぁ…

唯浜に触れることで死んでいた心を取り戻しつつある櫟井と、辛い時にそばにいてくれる櫟井に縋る唯浜。大人になってしまう前の一時期に夢中になって体を求め合う二人を、作品タイトルが上手く表現していると思いました。

0

私だけ萌えたみたいです...

読み終わった後に他の方のレビュー見たら、萌の方がいらっしゃらなくて
ビックリしました!
私は読み始めからずっと萌をキープしたまま読み終わったんですが...

受にベタボレな攻って時点ですでに萌えツボに入ってるんですが、
いかにも弱々しい受(ユイ)が意外と芯が強いのも好きでした。
一見、攻(イチ)が強く見え、ユイは全て彼の言いなりになってるだけに
見えるのですが、実のところいろいろと辛い思いをしてきたユイの方が
精神的にはリードしてるような気がします。
イチの強さは本当はすごくモロくて、小さい頃からお金で全てが解決できた
ものだから精神的には幼稚で、偉そうなことを言うのは子供が背伸びしてる
だけのこと。
そう思うと、人一倍ユイに対する独占欲が強く偉そうな態度もかわいく
見えてきました。
ユイはそれをわかってたからイチに従順で、
バカなフリしてたんじゃないかなぁ~って深読みし過ぎですか??

でも、最後にはイチもちゃんと成長してますよね。
お金で手に入れた力なんて所詮本当の自分の力じゃないこと、
ユイは自分が守る必要もないぐらい強い人間だということに気付けたし。
「一生(イチのこと)面倒見てやるから」と言うユイに安心しきって
泣いてしまうぐらい年相応の幼さを取り戻せた。
これからイチはユイに守られながら、自分自身も成長していけるんじゃ
ないかな?

汞りょうさんイラストの作品はこれが初めてだったのですが、
とてもキレイな絵でした。
エッチの時の体がとてもなまめかしい...
菱沢さんのユイの外見描写があまりにも女の子的表現でちょっと苦手
だったのですが、汞さんの描くユイは細いながらも筋肉のついた体で、
15歳という年令のわりにはエロいエッチに余計に萌えました★

3

サリンジャー的である(笑)

みなさん、シビアな評価が出まくってますが(笑)
それはおそらくは主人公二人のどっか刹那的な感情が連綿とつづくことによるイライラ感かなと。
なにをしてもソツなくこなす金持ちの息子、櫟井真悟は
入った高校で一風変わったツッパリ風の同級生、唯浜徹に興味を惹かれます。
櫟井は10代にしてドラック、アルコール、親の財力にまみれた周囲に飽き飽きし、
頭がよいことも幸いして、学校生活の中にも、周囲の仲間にも何一つ執着がない。

ここらへんは、1980年代にアメリカ文学界を席巻した「レス・ザン・ゼロ」や
「ブライトライツ、ビッグシティ」を彷彿とさせます。
金は有り余るほど持っているスノッブな若者が、刹那的な生き方をし、
人生に希望も夢もなくダラダラとドラッグやセックスに耽るストーリーは
およそ気分いいもんじゃありませんが、当時の風潮としてレス・ザン・ゼロ世代とまで
言われ、90年代版の「ライ麦畑でつかまえて」とまで言われました。
つまり、何かを追いかけようとして追いかけられない青年のセンチメンタリズムですね。

それを象徴するかのような存在が櫟井の元・恋人、歌乃子で、
彼女は15歳にして「老いる」ことを危惧している(笑)
マルグリット・デュラスが引用されているのも、さもありなんといった感じか。

そうした環境の中、どうしてか櫟井は自分とは全く家庭環境も違う唯浜にひかれ、
彼の持つあどけなさや素直さによって自分がなんであったかを徐々に知り始める。
二人に共通するものは「父性」の欠如であったり、ある種の寂しさであったりします。

決定打となったのは、薬物中毒になってしまったユウト先輩の存在で、
唯浜にたかるしかすべがない邪魔者でありながら、唯浜は彼に固執し、
櫟井は自分よりもクズのような先輩を大切に思うことに怒り狂う。
この理由はラストでちらっと明かされますが、そうした数々の過程を経ていく二人の
成長期とはいわないまでも、お互いに何かしら生きることへの息苦しさから
徐々に解放されていくプロセスを匂わせています。

これからの二人の関係もまた、輝く未来ではないでしょうし、
いつしか忘れていく脆いものかもしれない。
ですが、はじめて人の体温に夢中になることを覚えた二人を生暖かく、
ほほえましくさえ思いました。

2

んー…

『金持ち』と『不良』の描写に、かなりの違和感を感じました。
ギャグというか、ステロタイプを書いてネタにしてるんならいいんですが、どうもそういう雰囲気ではなくて。
最初のほうはまだ面白かったんですが、後半になるにつれて違和感はどんどん大きくなって。
ヤクザや警察を相手に物慣れたタメ口をきいて、それを金持ちな主人公(攻め)の一種のステータスみたいにしてる空気感が、めっちゃ寒かったです。
元不良の受けの偽善的行動にも、妙な寒さを感じてしまった。あんな腐りきった先輩は、爽やかに見捨てるべきかと。

2

金持ちの家に生まれ、頭もルックスも良くて、同じような境遇の友人たちと思いつく限りの(金でできる)遊びをしてきた櫟井(攻)は、15歳にしてそんな周囲に退屈し日々を嫌悪しています。
それまでの友人たちを切って(なんとまあ傲慢なお子でしょう)入学した高校で興味を抱いたのが、金髪で、『不良』と同級生から遠巻きにされている唯浜。話してみると、唯浜は見た目とは違って素直で純真無垢。
櫟井はみるみる唯浜にのめりこんでしまいます。

15や16で人生悟ったような覚めた櫟井が、「こんな子いないだろ」という感じです。それともあらゆるものが手に入るとこんな子になっちゃうのかな。経験したことないからわかりません。
櫟井だけでなくその友人の女の子も、時々年齢忘れてました。
でも、いくら冷めてて可愛くないとはいえ(笑)、未熟ながらの傲慢さという感じもします。唯浜に恋をして、今まで自分の中にあるとは知らなかった優しい気持や、嫉妬や独占欲に苛々したりする気持なんかを知って、それを受け入れてもっと成長していくんですね。成長というのは違うのか。欠けてたものが埋められていくようにも思えます。

唯浜は、“不良”として登場するんですが、実際はすごく素直で無垢な少年です。櫟井とのHに夢中になってしまうところもその年齢の少年らしい。あまりに心が穢れてなくて、昔の先輩にお金をたかられてしまうのですが、ハラハラするし櫟井が言うことの方が正しいと思えるんですが、ここで唯浜の強さが見られます。
現実を自分の都合のいいように動かしてきた櫟井は、現実をありのままに受け入れて、たとえ痛くて泣いても涙ごと飲み干せる心を育ててきた唯浜の、柔らかくて丈夫で綺麗な魂の強さにハッとさせられるんですね。
そういう唯浜の強さを知って、櫟井も自分を省みるわけです。
今まで自分がしてきたことを唯浜に知られたくないという気持。
唯浜は、可愛くて、虐めて、守ってやるだけの存在ではなくて、ちゃんとひとりで戦える。
天上天下唯我独尊だった櫟井は、自分にできるのは金や人脈を使って人を使うことだけで、自身はカラッポだと気づきます。
そうやって気づいたところから、欠けていた“心”を取り戻して、また成長していくんだよね。
ラストの櫟井の涙が、ちょっといいなと思います。

あんまり高校生らしくないように思いましたけど、どんなに冷めてても、揺れたり変わっていける柔らかさはやはり10代かなと思います。
爽やか、ピュアさはあんまりないかな。
で、10代なんですけど、Hがエロかったです

0

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