• 紙書籍【PR】

表題作上海夜想曲

英国貴族:エドモンド・フォスター
第一高等学校生徒:秋里凛

その他の収録作品

  • sakura waltz

あらすじ

竜胆が好きだった。
彼は凛のことを、その花に似て綺麗で可愛いと言ってくれた。
その花は彼の瞳と同じ、瑠璃色をしていた―。
大正八年。
十八歳の秋里凛は、英国から来た貴族の青年エドモンド・フォスターと東京で出会った。
やがて相思想愛となった二人は、日本を離れて異国の地へと渡るが…!?凛を襲ったあまりに過酷な運命、そして哀しみに寄り添う真実の愛。
上海租界に花開くドラマティック・ラブストーリー。

作品情報

作品名
上海夜想曲
著者
真瀬もと 
イラスト
後藤星 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403521720
4

(3)

(1)

萌々

(1)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
12
評価数
3
平均
4 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数3

過酷な運命

あらすじに「凛を襲ったあまりに過酷な運命」とありますが。
本当に過酷でした。
魔都・上海を舞台に、英国貴族と日本人青年の甘く切ない
異国情緒漂うラブストーリーなのですが。
あまあまを期待すると、かなり痛い目にあうと思います。

最愛の人・エドモンド(エディ)と上海に渡った途端、
主人公・凛がある事情によって拉致されます。

主人公が危機一髪!なところに、グッドタイミングで助けが入る。
なんて、そういうお約束が一切なく、主人公・凛は汚されて
どうしようもない状況に追い込まれていくのです。

しかもその追い込まれる過程はかなり酷いのですが、
あまり具体的な描写はなくてサラリと流されます。
凌辱強姦・調教過程に萌えを感じる人には
物足りないのかもしれませんが。

私は書かれていなければいないほど深読みし、
想像するタイプなので。
あっさり書かれていても、
読んでいてかなりのダメージを受けました。

その後も凛の受難の日々は続き、
彼の不安定な精神が揺れるのと一緒に、私の心も揺れ揺れ。
しかも凛をどん底に突き落とした男・シドが
大変魅力的に描かれていまして。
諸悪の根源を憎みたいけど憎めないジレンマに悩みます。

この作家さんはエロ描写は薄めで、朝チュンレベルなのですが。
そのものズバリの濡れ場じゃない場面の方が、とてもエロいのです。

シドの手で身体に竜胆の刺青を入れる凛。
そんな凛の様子を見つめるエディ。
刺青の痛みを耐える凛に、
情愛と嫉妬でエディが凛の口に指を入れ…
これって…もしかしてシド・凛・エディの3Pと言えるのでは!?

あと凛がついばむ竜胆の花を、同じように口に入れたエディ。
お互いの唇には触れずに、あえて竜胆を間に入れるんです。
その描写がとてつもなく色っぽくて。
ちなみにこの場面の挿絵も綺麗で。
胸キュンというか、ドキドキしました。

0

つらい困難を乗り越えた末に

 主人公は秋里凛。
 凜は、英国から来た貴族の青年・エドモンド・フォスターと出会う。
 彼は、英国貴族であり、推定相続人に指定されていた。
 凛とエディは、少しずつ惹かれ合い、やがて互いの想いを伝え合った。
 エディは凛のことを「竜胆に似ている」と言い、凜はエディの目の色が竜胆の色だと思った。

 エディが帰国することになり、エディは凛と一緒に生活することの許しを得るために、凜を連れて上海へと渡る。
 先に、兄へと会いに行くjとエディがホテルの部屋を留守にした隙に、凜は何者かによって攫われてしまう。
 そこから、二人に過酷な運命が襲い掛かる。

 という話。
 凜は攫われて、娼館で男を客に取らされる。
 次第に、やせ細っていく凜を見るに見かねて、凜を連れ去った男、シドが凜を屋敷に匿い面倒を見てくれるが、シドは凜に対してひどいことばかりを言う……

 てな加減で、なんというかちょっと前の悲劇の恋愛モノを想像したら大体らすじからは離れてないと思います。
 実は、凜を攫うように画策したのは、エディの兄で。
 何とかエディの兄は、エディと凜を別れさせようとするけれど、最後は幾多の苦難を乗り越えてハッピーエンド。

 途中、これから先で、凜が悲しい目に遭うんだなー……と思ったら、読むのにドキドキしたんですが。
 本当に何もかもが予想通りで、ある意味安心したといえば、安心しました。
 これで凜がエディに最終的に捨てられて、別の男と……というオチだったら個人的にはとっても悲しかったので、そうならなくてよかったです。

0

弟の恋人に「「ここまでやるかーっ?!」な鬼畜な所業!

時は大正8年、外圧で荒廃した「魔窟・上海」
英国貴族の弟「エドモンド(エディ)」が、留学先日本で恋仲になった純粋可憐な「凜(りん)」を、エディの兄に紹介する為に手に手を取って上海へ赴いた所から、凜の地獄の始まりでした。

その地獄は、これから読む方の為に端折りますが、痛ましさは半端ではありません!痛過ぎです!
凜はエディの話の端から、その兄弟仲が何か訳ありだと気付いていましたが、まさかエディが尊敬する兄の仕打ちとは知らずに、自分の不遇に耐え続け追い詰められていきます。
長兄リチャード・ダドリー伯爵と次兄シドの策略に。

凜は、両親を亡き後の叔父宅で不条理な扱いからトラウマがあった。
増し続ける自己嫌悪と、それでもエディを愛している心の、
また会いたい、知られたくないから会いたくない、の葛藤が、本当に可哀想で可哀想で。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)も後発型自閉症も仕方なく、ここらも痛くて切ない文章が続くのです。

凜を信じる事を間違えなかったエディ(危なかったけど)と、
凜を追い詰めた次兄シドの心の変化と、凜の純粋な心が、
終演に向い良い状況を作っていく辺りから、ハッピーエンドが見えてきてやっと息をついた感じでした。
これまでの2/3はドキドキハラハラ、ズドーンと落ち込んでいたんです(ため息)。

最後の方では、凜はエディと2人だけ仲良く・な中途半端で終わらせず、3兄弟の仲を「赦し」合わせるように頑張ります。
凜の恐れながらもちゃんと通す強さに、達成感さえ感じられました。
やられるだけではない凜の面目躍如というところでしょうか!

初読真瀬先生、あとがきを読むとここら辺の時代や暗さがお好きらしいです。
自分も好きな辺りなので、他の作品にも興味あります。
【冬の蝉】に心震わせた人には良いかもです^^b

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP