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表題作欲望の在り処

樋口洋一 会社員 26歳
宮坂苗 大学生 20歳

あらすじ

大学生の苗は子供の頃大好きだった6歳離れた兄の友人の樋口と再会する。自分の想いを知られたくなくて樋口から逃げてしまう苗。けれど苗の連絡先を調べて電話してきた樋口に「いい子だから…俺と付き合おう?」と怯えた心ごと抱きしめられる。そして欲望のまま体を求め合おうとしたとき、なぜか苗の体が頑なに樋口を拒んでしまい…。本当に好きだからこそ抱かれ慣れた自分を知られたくないと苦しむ苗は、次第に追い詰められて-------。

作品情報

作品名
欲望の在り処
著者
麻生玲子 
イラスト
有馬かつみ 
媒体
小説
出版社
ワンツーマガジン社
レーベル
アルルノベルス
発売日
ISBN
9784862960689
2.6

(3)

(0)

萌々

(0)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
7
評価数
3
平均
2.6 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

どんな恋の訪れ方をしても…わずかな勇気を忘れないで!

麻生先生の作品は、ごく日常を舞台に、自然とラブを絡めてくるお話が多く、そこに心地よい文章も重なって、読後はやさしい気持ちにさせてくれるの作品が多いので好きなんですけど…
今回のお話は少しモヤモヤが残ってしまうお話でした。

あとがきに、「話の切り口をかえてみた…あんまりこんな内容のお話はないのでは⁉︎」
とあるように、内容が結構シビアな雰囲気で展開していくので、麻生作品らしいと言えばそうなんですけど…いつものような萌は感じられなかったのが残念でした。

兄の友人でリーマン•樋口 × 大学生の苗の年の差&年上攻めもの。

子供の頃、大好きだった兄の友人樋口とゲイバーで偶然再会する苗。

お互いに好きだったことが分かり、樋口に付き合おうと言われ、ずっと想い人だった樋口と付き合う事になります。

大好きな人と恋人になって、甘いひと時を過ごしたい気持ちには間違いないのに、どこか心と身体がバラバラで、最後の一線だけは越えることが出来ない苗。

今まで、それなりに遊んで抱かれ慣れてしまっている事を知られたくない…そんな自分を樋口が知り嫌われたくない!
いろんな葛藤と、樋口を好きすぎて緊張するあまり最後まで出来なくて、そのことが余計にショックで、ぐるぐる悩んでしまう苗。

絶対に叶わない恋だと思って過ごしてきた、樋口への長い片想い。
自分の性癖はもちろん、1番好きな人への恋心は叶うことがないと思い悩んできた苗。
親しい人には打ち明けられない…
でも子供から大人になっていく中で、堪らない孤独や人恋しさも出てくるのは人間として素直な感情。
一夜だけでも自分を温めてくれる人を探し求めて、町を彷徨ってきた苗。
身体は慣れていても、心は汚れてない素直で一途な純情さが可愛いなあと思います。

樋口は、最初こそ仕事も出来るカッコイイ大人の男性。
なかなか一線を越えられない苗を、責めることもなく、いつも優しく包んでくれる感じで、微笑ましく読んでいたんですけど⁉︎
これが、結構な狡い男で、その大人気なさに文句をいいたくなるような攻様でした(笑)

なかなか苗と一線を越えられない男の辛さも分からなくはないんですけど、昔のセフレ•高野からお誘いの連絡が来て、駄目だと分かっていながら誘いにのった樋口。
しかも、ことが終わって後悔するものの、高野に言われた言葉で、裏切ったと思わなければいいんだなんて思ってる樋口にイラッします。

結局、この樋口のズルさが、2人の関係にスキをつくり、苗を危険に落とし入れてしまう結果になります。
ギリギリで助け出し、媚薬効果もあって、その後はお決まりな展開。

樋口の浮気が原因で苗は危険な目にあったにも関わらず、その辺を責めるわけでもないし、樋口も謝るわけでもないので、手放しでは喜べない終わり方だったのがモヤモヤの原因かと思います。

高野も、本当は樋口を本気で好きだったのに、セフレとしてしか側いられなかった点では健気だと感じるし、この人も狡い樋口の犠牲者だなあと思います。
それでも、やり方は大人としても、人間としても最悪だと思うので好きにはなれないタイプでした。

脇キャラのバーのママさんが1番好きなキャラだったかも(笑)
本の最後のママさんとバーテンダーさんの会話のエピと、麻生先生らしい言葉の締めに救われたお話でした(笑)

苗が本当に可愛らしいキャラなのと、成長していく姿が良かったです。
樋口と、本当の意味での恋人関係になった苗は、親友に自分の性癖や恋人の事を打ち明けたり…
兄の彼女との秘密の共有もあってか、家族への引け目みたいな気持ちも薄れ、好きな人と一緒にいるためにも勇気を持った堂々とした苗の姿が微笑ましかったです。
本当に樋口にはもったいないなあと(笑)

好きな作家さんだけにやや残念な作品でした。

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