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表題作死ぬまで純愛

高志和哉・高校生
結城認(楡崎沙美)・高校生

その他の収録作品

  • スクラッチノイズ
  • 君の知らない二人の秘密
  • あとがき

あらすじ

親友であり憧れの存在だった高志…水難事故をきっかけに認の心は高志の彼女のカラダに入ってしまった。「理想のカップル」と「親友同士」というバランスを保ちながら、やがて二人は結婚へと…!?
出版社より

作品情報

作品名
死ぬまで純愛
著者
鹿住槇 
イラスト
津寺里可子 
媒体
小説
出版社
日本文芸社
レーベル
Karen文庫
発売日
ISBN
9784537141177
3

(3)

(0)

萌々

(0)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

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レビュー数
2
得点
9
評価数
3
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

青くて苦い

心と体の入れ替わりモノが2本入った一冊です。
表題が96年の作品で、真ん中が95年、そして表題の続編の代わりに書き下ろされた3本目が08年のものなので、やはり文章の進化を感じます。
時代の流れなのか、やはり新しいモノのほうが同じような結末でも明るいですね。

表題は、ボートからの転落事故で目が覚めると親友・高志の彼女・沙美の体に自分の魂が入ってしまった高校生・認の、高志との苦しい気持ちのせめぎ合いの話。
作中に「金の斧」の話が引用されていますが、まさにそれをモチーフにしたものでした。
湖に沈んだ認を生かすか、沙美を生かすか、不思議な者によって選択を迫られた高志の選んだ答えは、沙美の体と認の心を生かしてほしいという願い。
それが聴き届けられた、その高志の本音は、それは究極の選択でしょう。
何せ、高志の気持ちを認は一切知らなくて、親友としか見ていないのですから。
沙美の体になったことで初めて知る、沙美の認への憎しみと高志の気持ち。
ラストの結末は、まるでヘビの生殺しのような認の返事に、高志納得するのかよーーー!!
と、思わず胸の内がモヤモヤモヤ・・・
「オレ、高志の事好きだ。一生純愛しよう」って~~!!!
知った上で、もう一度スタートラインに立った、そんなお話だったので、読者的にその後は知りたいv
あとは想像にお任せ?

と、いうことで書き下ろされた『君の知らない二人の秘密』が再び入れ替わりモノだったのです。
内向的で存在感の薄い高校生が、明るくて人気者の憧れている同級生と1週間だけ入れ替わった時、、というお話。
こちらは、とてもさわやかで、ラストのモヤモヤ感はなく、ひょっとしたら?という希望を持たせてくれる終わりでした。
そう考えると、表題もこんなエンディングもありだったんですよね?
やっぱり、妄想しろってことなんですね(涙、、)
このお話は、ちょっとご都合な部分もなきにしもあらず、ちょっと軽いお話な感じもしたのですが、入れ替わりが元に戻った時、相手にその記憶は全く残っていなくて、という設定がよかったのです。
本編の方は、ちょっと可哀そうな結末を女子に与えていましたから・・・

『スクラッチノイズ』は妹を溺愛するシスコンの兄と、その親友が主人公。
自分に好意を寄せている女子を振っているのに、親友が妹を振ると激怒する。
人の恋愛に口出す癖に、自分は初心いまだまだ発展途上の精神のお兄ちゃんに、イラっとしながら、何でこんな奴が好きなんだ?と思わなくもないが、若さゆえ、で済ませてしまえるのが青春モノのいいところかもしれない。

こうして見てみると、男が同性を好きになるという感情について、登場人物達が当たり前に捕えていないところがいい。
どうしたらいいか解らなくて、無知で、一方的で、
その青臭さが魅力なんだと思うのです。

2

絶対に続編が収録されると思っていたのに

入れ替わりモノ2編と他1編の短編集。


『死ぬまで純愛』
親友の高志と高志の彼女の楡崎の三人で、湖に遊びに出掛けた認。
乗っていたボートが転覆し、気付いたら病院のベッドの上。
そして何故だか認は楡崎の姿になっていた・・・。

SFファンタジー系、男女入れ替わりモノです。
少々無理矢理な展開かな?
謎の男(湖の精だか死神だか)が、片方の肉体と片方の精神なんてややこしい助け方をする理由なんてないし。
まぁ高志の本心を見透かしての気まぐれといったところでしょうか。
最初から認だけを選べば良かったと、自分の浅はかな選択を後悔する高志がちょっと切なかったです。

ラストは一応両思いとなるのですが、今後の進展は全て認次第な感じ。
全然対等になってないやん、認は可哀相じゃないやんと、認の言葉にツッコミを入れたい。
私には「生殺し、していくね」って言ったように聞こえました。


『スクラッチノイズ』
一つ年下の妹・萌子が可愛くて仕方がない、シスコンの真之。
そんな真之に密かに想いを寄せている、親友の岡崎。
さらに萌子は岡崎のことが好きで・・・。

鹿住さんの定番中の定番ストーリー。
最初のノベルス化の時、他の作家の方の作品も一緒に収録されていました。
既に多数の作品を発売されていたから不思議に思ったのですが、ご本人も驚かれていたようです。


『君の知らない二人の秘密』
小学生の男の子に踏まれかけていた、セミの幼虫を救った北橋。
そのセミの恩返しで、クラスメートの春日と身体が入れ替わってしまう。
地味で目立たない北橋は、明るく人気者の春日にずっとあこがれていて・・・。

表題作の続編を書く代わりに書き下ろされたお話なので、同じ入れ替わりネタ。
主人公の北橋はうじっとした性格ですが、相手役の春日の方はからっとさっぱりしてます。
恋愛に発展するかも?ってところで物語は終了。

お話自体は悪くないのですが、主人公の性格が好みでないのと「表題作の続編が書いて欲しかった~」と思いながら読んだために、個人的評価はもうひとつ。



あとがきで桜海さんのことについて少し書かれていました。
私も桜海さん好きだったのでショックでした。
BL作家って他のジャンルより訃報の割合が高いような気がする・・・。

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