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【エイジ・コールド・ブルー】
「ショーが跳ねたら逢いましょう」に収録されていた【Rockin in my head】という短編を元にシリーズ化したものが6話この本に収録されています。
ルームメイトでバンドメンバーでもあるギタリストのビリーとボーカルのニックのお話。ニックが素行不良で、前単行本ではニックにギターと金を持ち逃げされたところで終わってましたが、この単行本では彼が戻ってきたところから話がスタートしています。
「どんなに歌を書いても 一番 伝えたい事だけ 言えない」
鬱屈した気持ちを抱えて、もがき苦しんでのたうちまわるニックは、その後もドラッグや酒に溺れてステージに満足に立つ事も出来ず、やがて事件まで起こしてしまい…。
ビリーとニックの他に、彼らが敬愛する大御所バンドの元ギターと元ボーカルの二人の話も絡んでてそちらの二人の話も切なく味わい深いし、【Too old to die】で出てくる歌詞がなんとも心に突き刺さります。
【I saw blue】
前巻「ショーが跳ねたら逢いましょう」に収録されていたギャラリーオーナー リュシアンの若い頃のお話です。美術学校に通うリュシアンと新任講師ミシェル。街角の本屋にずっと売れずに残っている本の間にメモを挟んで、連絡のやり取りをしあう二人。
この二人が交わるシーンが何ともアートでエロティック。
真っ白で巨大な紙を下に敷いて、リュシアンが真っ青な顔料を頭から被って交わるんです。二人で絡み合ううちにミシェルの体も自分の瞳と同じ青一色に…。
ところが幸せは長続きせず、姉のフィアンセとして紹介されたのがまさかのミシェル。。。。
時は経って、かつての本屋で未だに売れずに残っていた本に、かつて自分が残したメモを発見したリュシアン。うっかり手を滑らせてその本を人の頭に落としてしまうのだけど、そのぶつけられた相手が「ショーが跳ねたら逢いましょう」に登場した絵描きのルネでして【cafe et cigarette.】にお話が繋がるという仕組みになってます。
【ニ・プーカ ニ・ペーラ】
ニ・プーカ ニ・ペーラとはロシア語で「羽毛も羽根もなく」という意味の幸運を祈るフレーズだそう。
幼馴染で小さい頃から宇宙を夢見ていた少年二人。やがて空軍パイロットとなり宇宙飛行士に選ばれて…。1961年の相手を地球、自分を衛星に見立てて語るシーンがとても好きです。
どれも切なさやほろ苦さをたたえていていて、なんども読み返したくなる一冊です。
バンドの話です。
ギターボーカルのニックはバンドの華である。カリスマ性もあり、ルックスもいい。彼はかなり自由奔放です。そして、そんなニックに振り回されるビリー。
ニックは埋められない何かのために、そんな行動をとっているように思います。それは正に、彼の作った曲のタイトルのような。
彼は作詞をしていて、たくさんの詞を書いています。そのたくさんの言葉たちの中に紛れさすこともなく、ある言葉を胸にしまっています。
ジョーがニックに抱きつくシーンがあるのですが、そこが印象的でした。
ニックの表情、抱きしめ返せない切なさ。
他2編。
画家の話。君を記録する。その通り。
宇宙、打ち上げの話。
どれも切なさがついてまわる話でした。
片思いの話が大好きです。
えすとえむ先生のデビューコミックス「ショーが跳ねたら逢いましょう」収録の「Rockin in my head」完全版です。
「cafe et cigarette.」の前日譚も収録されています。これも好きだ〜〜
◾︎ビリー(ギター)×ニック(ギターヴォーカル 自由奔放)
このCPもいいけれど、ピート(ビリー憧れのバンドのヴォーカル)とジョー(同ギター)の関係も最高。
「ショーが跳ねたら〜」でもまとまりのいい作品でしたが、前後にこんな分厚い人間模様があった。みんながみんな言えない思いを抱えていて、虚勢をはってる。
ピートの留守電ひとつでパブに来たジョー、その場で偶然にもビリーと出会い、ピートの死を知るジョー。カバー裏までしっかりご覧ください。とにかくドラマチックで運命的で、えすとえむ先生が描くからこそそれが創作物としてまとまっています。この絵柄でなければ安っぽくなってしまうかもしれない。
ビリーとニックの関係性で好きなのは「THE FIRST DAY OF MY LIFE」
ニックの音楽が自分の人生と言ったビリーだけど、ニックの音楽を生んだのは他ならぬビリーで、彼は本当にニックの音楽の母親だったわけです笑
個人的にはビリーとニック関係には恋愛もセックスも無くても良かった。でも、これはBL漫画ですからね。ジョーとピートもキスシーンはあるけど、どこまでの関係性だったのかな?どちらもブロマンス止まりでもいいな、自分は。
ニ・プーカ ニ・ペーラ以外の8作中7作が
「ショーが跳ねたら~」収録作の続編になってます。
続編ではありますが物語の時系列的には此方の作品のほうが前になっているので、
先にこちらから読んでも楽しめます。
一番好きな話は I saw blue
「ショーが跳ねたら~」に収録されていたcafe et cigarette の前日譚です。
青いペンキをかぶって、大きな紙の上で愛しあうシーンが凄く印象的。
この絵を描くためにこの話を作ったかのような
圧倒的な存在感でした。
最後の涙顔もセクシーすぎる。
マーブルコミックスより、えすとえむさんの「エイジ・コールド・ブルー」です。
1冊目のコミックスの「ショーが跳ねたら逢いましょう」に収録されていた作品の中の1つをさらにピックアップしたような形で描いたお話のようですね、あぁ…そうか、例のあのオヤジの奴。
ひとことで簡単に書くと芸能界もの?
成功と挫折と愛と友情のストーリーを作者様独特の世界観で描かれていますね。
実力はあるのに自由奔放さが仇になって仲間から見放されつつあるニックと、そんな彼から迷惑ばかりかけられる事を疎ましく思いつつもどうしてもほってはおけずいつも彼の面倒を見る事になってしまう同じバンド仲間のビリー。
そんなビリーに想いを寄せつつ、だからと言って友達以上にはなれないもどかしさから排他的な道をたどるニックですが、同姓同士の友情と恋愛の境目、そのぎりぎりのラインを超えるか超えないかのきわどい駆け引きともいえるそのバランスが良い。
最初は海外もののお話だと言うこともあってか少々とっつきにくい作品だなと思ったりもしていたのですが、何度か読み返しているうちに作者様の描く独特な世界観に引き込まれる自分を自覚しました。
音楽と友情と…どちらも大事なものだけれど、そのどちらかを選ばなければならないとき、どちらを選択するかで進む道は全く違ったものになる気がします。友情か仕事か…果たしてビリーはどちらを選ぶのでしょうか?
濃厚な絡みは無いけれども小道具の使い方が上手いからなのか、なんか無性にエロいろっぽい。
特に同時収録の「I saw blue」の絵の具使いにしてやられた。