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表題作硝子の街にて(12) 禁 DISALLOW

シドニー・ホプキンズ/刑事/30歳
広瀬伸行/ツアーガイド/27歳

あらすじ

一九九九年最初の日。
伸行はハドソン川に浮かぶ越年クルーズの遊覧船のデッキで迎えた。
シドニーも犯罪多発地帯のNY市警殺人課に勤務する。
二人そろって新年を過したのは午前三時を回ってからだった…。
ツアーガイドのノブは、日本からの観光客の多いこの時期はことのほか忙しい。
だが、シドニーは、しばらくNYを離れることを告げる。
シドニーは何処へ、何をしに行くのか?ノブの心は揺れる。
どこまでもピュアなNYラブストーリー。

作品情報

作品名
硝子の街にて(12) 禁 DISALLOW
著者
柏枝真郷 
イラスト
茶屋町勝呂 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
シリーズ
硝子の街にて
発売日
ISBN
9784062556415
4.4

(5)

(2)

萌々

(3)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
22
評価数
5
平均
4.4 / 5
神率
40%

レビュー投稿数2

辛いカップル

長い間隣人で幼なじみで、やっと恋人になったシドニーと伸行。
でも本当に相手に全てを打ち明けられるのはまだまだ先…というじれったいお話です。

シドニーが、まだ伸行に打ち明けられないことがたくさんあるからなのですが、今回はシドニーが伸行に行き先を告げすニューヨークを離れてしまいます。
以前に伸行がシドニーに黙って日本に帰ってしまった時の逆バージョンですね。

久々に2人の別々の視点でお話はすすみます。
不安になる伸行と、やはり旅先でもまたまた殺人事件に巻き込まれるシドニー^^;

シドニーが苦しんでいるものが何なのか次第に見えてきます。
過去の出来事、刑事になったわけ、犯罪者に堕ちそうな恐怖から刑事という道を選んだこと。
しかし、思っていた以上に重いです…読みはじめた当初はここまで重いものを背負ったお話だとは思いませんでした…。辛いです。辛いカップルだと思います。
哀しさせつなさ悔しさ辛さ、ありとあらゆる負の感情がシドニーのなかでくすぶって、今にも爆発しそうなくらい大きくなって重くなって、読んでいて何も言えなくなる。
真面目に、本当に真面目に、パートナーが爆発しそうな負の感情を抱え込んでいるって、それって自分は何かできるんだろうか。
私だったら途方にくれるかもしれない…。
こんなカップルを見たことなくて、本当に今世の中にこういうカップルがいたなら一体どうするんだろう。パートナーとして何がしてあげられるんだろう。
でもこれは母親や父親や友人でなく、「世界で一番シドニーが好き」だと言ってくれた伸行じゃないとダメなんだろうなあと思えます。

最後はほのぼのな感じで終わります。
旅先のシドニーと、伸行が再会するシーンがすごく好きです。
シドニーは伸行が日本に帰ったときは日本まで行って会わずに帰ったけど、今回伸行は悩んで泣きそうになりながらシドニーを探しに行きます。
そして再会したシーンが本当に素敵でした。互いに幻かなって思いながら走っていって荷物も放り出して抱きつく・・・っていうベタベタな、まさに会えた!っていうシーンがすごくすごく好きです。

今回もう一つ良いなあと思えたのが伸行が誰に対してもシドニーが恋人だとはっきり言うようになってること。
ゲイバッシングは怖いけど、シドニーは俺の自慢で、シドニーに愛されることも自慢だから、と思って生きてる伸行は素敵だなあと思いました。
あ、あと表紙で伸行が着てるのはシドニーの中学生のときのお下がりのセーターなんですよね。そのくらい体格差があるということなのですが・・・
糖度がわりと低い分、そういうささやかなエピソードが細々とあるところがとても好きです。

2

第12巻

シドニーがノブに行き先も告げず、1週間休暇をとってNYを離れます。同僚刑事のヘンリーもシドニーの親も行き先を知らず連絡もとれないって…これものすごく心配になるよね。ノブはシドニーが色々悩んでるのに気付きながら無理に聞き出そうとせず見守ってるスタンスだったから。

戦場経験者のシドニーが抱えているものは大きいです。本質的には優しい人間なので余計に。しかしシドニーの壁をぶち壊すみたいに行き先をなぜか突き止めて会いに行っちゃうノブ、かっこいい。スパダリだなあと思います。受け(多分)だけど。

ノブがいつも強いシドニーに守られているようでいて精神的にシドニーを守っているのはノブでその関係性が素敵だと思います。シドニーは家族との関係も少しずつ改善されていきそうで良かったです。

0

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