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表題作いつか青空になる翼

風間翔太・元副操縦士
須賀原守・客室乗務員

あらすじ

単独では操縦できないほどの、てひどい自信喪失を経験したパイロット・風間翔太の心の扉を開くのは…ハイジャック犯と対決する須賀原守の魅力あふれる行動力か!?機長が傷を受け大島に緊急着陸したハイジャック機の交代要員となった翔太と守の、友情を越えた二人の新たな関係が始まろうとして…。

作品情報

作品名
いつか青空になる翼
著者
たけうちりうと 
イラスト
御茶柱さむ 
媒体
小説
出版社
成美堂出版
レーベル
クリスタル文庫
発売日
ISBN
9784415087450
3.8

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萌々

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(1)

中立

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趣味じゃない

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レビュー数
2
得点
18
評価数
5
平均
3.8 / 5
神率
40%

レビュー投稿数2

BLといえばBL

ゲイの客室乗務員、元大型旅客機のパイロット、さらにその恋人?の女性の客室乗務員の三角関係というわけでもないんですが、BLというよりも、ニアBLというBLに近いけど、どちらかというと人間ドラマ的なお話なので、がっつりBLを読みたい時には向きませんね。

人間関係のこじれとか、お仕事ものを読みたいという時にはいいかも。
わたしは好きな一冊ですが、誰にでも勧められるという本ではありません。

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女性と男性が恋愛でライバルになる場合…

女性と男性が恋敵になる場合、ストーリーとして、男性が男性である必然性って何でしょう。
…と読みながら何度も考えてしまいました。

最後まで読んだ感想として、最初はよかったし、お話としては面白いんでしょうが、恋愛ものとしての魅力は全く感じられませんでした。
受け役である守が男性である必要があるのかという根本的な所にまで遡って疑問です。

主人公は、妻を事故で亡くしてから、一人でフライトできなくなった元パイロットの翔太。今は小さな島で観光用小型機を操縦していまさす。
相手はたまたま島に立ち寄った美形だけど恋も失恋も多い気丈な客室乗務員の守。
守はゲイですが、翔太の友人に頼まれ、翔太がもう一度飛行機で飛べるように、そして彼女であるまどかと無事ゴールインできるよう一役買い、そのために翔太を口説きます。

この作者さんの御本って、女性がしっかり話に絡んでくるものが結構多い気がします。それも決まって、男性にもたれかからない、美人で気丈な女性で毎回タイプも口調も似てる気がします。こういう女性が好きなのかな。
今回も翔太の彼女である、美人で気丈なまどかががっちり話にからんできます。

女性を挟んでの三角関係はタブーだと言う方にはオススメできない作品です。BLとして書かれている以上は、彼女であれ妻であれ、最後は結局別れるんですよね。
この作者さんの作品で女性が出てくる場合は、女性側がすごくいい女なのに、主人公が半分本気でない付き合いをしている場合が多くて、今回も例に漏れず。ならなんでつきあってんだ!て気分になるんです。
なぜか女性の、肩を持ちたくなるという…。

身も蓋も無いいいかたをすれば、お話は、元カノと今カレ?もしくは、別れるつもりでいる今の彼女と新しく付き合いたいと思っている男性との三角関係です。
この、翔太をはさんでライバル(?)であるまどかと守は二人とも客室乗務員で、翔太を交えての別れ話に向かう飛行機でハイジャックに遭います。

地上で事件を知る元パイロットの翔太は何とか二人を救出に乗り出します…が、殆どが飛行機内部でのお話です。
客の安全を守ろうと尽力する客室乗務員の二人のヒロイン(?)の協力と奮闘がほんとに見事で感嘆します。それと相反し、翔太の存在感が薄いというか…正直、私はこの主人公に全く魅力を感じませんでした。
本当に主人公?てくらい出番が少ないし、まどかも守もいい女でいい男なのに、翔太のどこがいいのか本当にわからなかった。
翔太は翔太で、守には最初から本気で惹かれているわけではありません。
ただ何となく付き合っていたまどかをそろそろ解放してあげたくて、守を新しい相手だと言ってだしに使おうとしている感があります。
もちろん、最後にはちゃんと愛があるのでしょうが、何となくどのへんが?いつの間にそんなに好きになったの?て感が拭えません。
そもそも翔太はゲイではなく、相手が女性でも男性でもたいした問題じゃないみたいなことを告げています。
ならなお更、守が男性であらなければならない訳は?と思います。

お話も、自分勝手なハイジャック犯にイライラし、客を一人二人犠牲にしていいから突撃しようなんていう警察にもムカムカし…なのでラブストーリーを読んでるような甘い感覚は味わえませんでした。

主題にしたいのは翔太の心の葛藤と、もう1度空を飛べるまでを描いたドラマであったのでしょうが、そもそも翔太の内面そのものがさらさら頭を抜け落ちる感じです。先にも書いたようにメインはヒロイン2人の奮闘…って感じのお話でした。
BLというよりは、地味だけと人間らしい人々の行き交う邦画を見ている印象です。さまざまな職業の人が出てきてリアルなストーリーを作り上げる、ヒューマンドラマでした。

たけうちさんの独特の、味のある柔らかく癖があるけど面白い古風な文章は健在で、その辺は大変楽しく読めました。

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