夢のまた…夢

夢のまた…夢
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神1
  • 萌×21
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
12
評価数
3件
平均
4 / 5
神率
33.3%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
成美堂出版
シリーズ
クリスタル文庫(小説・成美堂出版)
発売日
価格
¥476(税抜)  ¥514(税込)
ISBN
9784415087269

あらすじ

家業の葬儀社を継いだ溝内健二は母校の考古学教授的場の友人矢島の葬儀を請け、すぐまたポルノ作家羽田の葬儀も。そこで謎の美青年夏彦と出会い、やがて彼が多重人格者ではと気づきながらも惹かれ…健二の住む現実世界は夏彦には夢の世界で、4人の男に愛された少年の蘇った魂と究極の愛の行方は。
(カバーより)

表題作夢のまた…夢

岬の別荘に遊びに来ている大学生4人組のうち
海辺の町の街娼の子ども

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レビュー投稿数2

複雑な物語

「多重人格で憑依物。しかも舞台は何十年の時を行ったり来たりの複雑な物語」と、後書きで作者さんも行っているとおり、なかなか複雑で、展開にどきどきする物語だった。

そんな話なので、ここはあまりネタバレせずに、素直にドキドキを楽しんだ方がいい。
昨今の、いわゆるBLというセックスファンタジーとは違う、小説としてのおもしろさ。
なかなか、読み応えあっておすすめ。

ネタバレはしたくないと言いつつ、この本で、重要なことと言ったら、
因縁の糸を絶つ役回りの溝内の職業が「葬儀屋」って事かな。
弔いは、誰のため、何のためにあるのか?って事がテーマみたいだから。

で、この多重人格の難役を、今のヒロCに是非やって貰ってドラマCD化してほしい。
4人の男達は(どうせ勝手な願望なんだから、ここは無駄なくらい豪華に)、
的場:三木さん、羽田:森川さん、矢島:遊佐さん、真弓:速水さん
そして、溝内は小西さん。
おお、実に豪華だな、、、、
とりあえず、コニタン×ヒロC+的場の三木眞ははずさない方向でお願い。

1

ノスタルジックな眩惑感

家業の葬儀社を継いだ溝内健二は、母校の考古学教授・的場の連絡で、的場の友人である古物商・矢島の葬儀を請ける。そこで見かけた着物姿の青年の華やいだ印象もまだ新しいうちに、ポルノ作家・羽田の葬儀で四季夏彦と名乗る謎の美青年と出会い、二ヶ月前の青年の面差しを見て戸惑う。羽田の葬儀に参列していた的場を訪ねた健二は、今度は的場の家でちがう名で居候している彼に会うが、秋彦と名乗る彼は健二のことを知らなかった。彼が多重人格ではないかと疑いながらも、助けて欲しいという言葉に応えてやりたいと、健二は夏彦の求めに応じて彼を抱くのだが…。
隠された四十年前の秘密。四人の若者たちが共有した一人の少年の数奇な運命が時を経て甦り、昇華されぬ過去の思いがさまよい、行き着く先は…? というお話です。

この作品は少々入り組んでいる。「複雑な物語」とあとがきで書かれているように、「多重人格の憑依物、しかも舞台は何十年という時の中をいったりきたり」します。
主人公は一応、現在に生きる葬儀社の健二だけれど、あらゆる登場人物が同時に主人公である、と言える。人は皆、その人の人生のなかでは主人公だから。四十年前に四人の男続きたちに愛された少年も、少年を愛し慈しみそして憎んだ男たちも、現在に甦った少年の人格たちも。むしろそれらの人物たちの思いがあまりにも強すぎて、主人公たる健二がかすみそうにさえなるんですが、そうならないのは、彼が葬儀屋という職業で常日頃から死と関わる存在であること、早すぎる兄の死を経験し思うところがあったことなど、決して生と死という束縛から遠くないところにいたからだと思う。その辺りの匙加減に、剛さんの「巧みさ」を強く感じる。

題材が題材なので、あまり深く突っ込んで語るとネタばらしになってしまい面白みがなくなるので多くは語りませんが、生と死と、愛と憎悪の輪郭をゆすぶるようなお話でした。健二や夏彦が何度も、これが現実なのか夢なのかと言葉にして確認しようとするところに、事実がどうあれ当人の認識が全てを決定するのだと思わされて、これが現実という確かな足場をくずされて夢に誘い込まれていくような感覚を味わいました。
ラストは不確かな印象で終わりますが、また不思議な夢の続きが待っているのか、それとも今度は確かな現実が彼らを夢から醒ますのか、どちらか判らない、けれどどちらでもいい、とその曖昧さが逆に救いのような気がします。
構成力は確かで、入り組んだストーリーも巧みに読ませてくれる。
読後に残る、不快ではない曖昧さ。あやふやだからこそ夢。目を眩まされるような読後感と、時代の流れにノスタルジーを強く感じる、佳作です。

4
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