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表題作禽獣の系譜 上

関東広域暴力団若頭・黒羽周次
17歳若き組長・木賊烈

あらすじ

突然の父の死により、北日本一帯を支配する木賊組のすべてが17歳になる烈の肩にのしかかる。跡目をめぐって組では内部抗争が起き、幹部の多くが狂刃に倒れる。重圧に潰されかかる烈の支えとなったのは、謎の多い若頭・黒羽周次の存在だった。ところが周次は組を追われかけ、同時に烈自身にも組員の卑劣な欲望の手がのびる。なすすべもなく蹂躙される烈の前に、ある決意を秘めて再び周次が現れた―。閉鎖された特殊な世界に生きる男たち。金を動かし、人を操り、より大きなもののために殉じていく。彼らの名を“極道”という…。

作品情報

作品名
禽獣の系譜 上
著者
花郎藤子 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸ノベルズ
シリーズ
禽獣の系譜
発売日
ISBN
9784592862161
4.4

(17)

(11)

萌々

(3)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
76
評価数
17
平均
4.4 / 5
神率
64.7%

レビュー投稿数5

「寂しさ」を他の何かで埋めたい人

教えて姐さんで教えて頂い作品。
目次:
 トロイの木馬
 水の中の龍

烈は「孤独」。
ただ弱いだけの烈は、事件に巻き込まれて癒えない心の傷、負い目を作っていく、
自らの意思で誰かを愛する変化が起きて、孤独を埋め自分の存在意義を掴む、 
開き直った烈が求めたのは精神的な絆で 「愛」=「Sex」ではないと烈は切り離して考える。 

★上巻は浮草的な烈が経験する辛苦ばかりで、面白くない。下巻の完結部の伏線回収まで、じっと我慢です。

烈は、病弱な母に似て、線が細い美少年。父親は、強面の組長。
一人息子だけど、組の後継者に向かないし、本人も暴力や流血沙汰は嫌いで苦手の箱入り息子。

父が心筋梗塞で急死、17才の烈は後ろ建てを失う。
そんな時に、抗争が起きて・・拉致され、薬物を打たれて男娼にされたり
散々な目に遭う烈。 

そんな烈が変わるのは、下巻。 
元々1冊の文庫を上下巻に分けて再発刊したようだけど、
一気読みしたほうが展開を理解できるので、一冊のままのほうが良かったと思う。

0

読者に媚びない展開

電子書籍版を購入。
『黒羽と鵙目』を読破後に関連作品のこちらが気になり手に取りました。

電子書籍ということで、あとがきがないので、こちらの作品と『黒羽と鵙目』とがどのように繋がってるのがわからず、???状態。
この作品に出てくる黒羽と鵙目の子孫が、『黒羽と鵙目』の二人なのかな??
それとも、世界観(名前)が同じというだけで全く違う話なのでしょうか??

こちらは、「神」評価です。
任侠の世界の「孤独」がテーマなのでしょうか。
救いがない展開が、すごく新鮮でした。
どうしても、ハッピーエンドで終わらせたくて、ご都合主義的な展開になりそうなところを堪えています。
読者に媚びてない。

それぞれ解釈は違うのでしょうが、私は登場人物のベクトルは、全て一方通行と感じました。
双方向はナシ。

それが、ガツンと心に響いて良かった。
『黒羽と鵙目』とかなり趣が違います。
スピンオフと思って手に取ると戸惑うと思います。

私は、本作の世界観、雰囲気の方が好きです。


2

重厚感のある作品

本作品は裏社会で生きる男たちの強さや孤独、覚悟といたものが静けさの中で淡々と描かれていて、今まで読んだ893ものとはまた違う重厚さを感じる作品でした。

戦いという荒々しい場面でさえも、何とも言えない静けさ(暗さ)がまとっていて、そこが逆によかったです。

作品は北日本一帯を支配する木賊組の跡継ぎとして生まれた烈を中心としたお話し。
組長の息子でありながら893には全く向かない気弱な性格が17歳にして父を亡くし組を背負う立場に立たされます。
組長の息子に生まれてしまった運命と、孤独、黒羽(同性)に恋しているという引け目。
その葛藤の中でもがく姿や烈の身に降りかかる出来事の数々が切なかったです。

ただ、生まれた環境など同情する部分はあるのですが、何の抵抗もせず流されて生きている烈の姿はあまり好きではありませんでした。
もう少し自分の意思をもってほしい。(下巻に期待)
黒羽が烈をどう思っているのかも気になります。

2

禽獣の巣に、間違って産み落とされた小鳥

北日本を支配する木賊組の組長の死により
ひとり息子の烈が、極道の抗争に巻き込まれていく
というお話なんですが

烈は17歳。
色が白く世間に疎い美少年。
とても極道を背負うようなタイプではないんですよね。
禽獣の巣に、間違って産み落とされた小鳥のような烈は
たやすく地獄へと堕ちていくんですよね。

物語の主人公だというのに
烈に課せられたシナリオはシビアで憐れでした。
上巻では、烈の強さはまったくなく
あたりまえの17歳でした。
極道の家に生まれながらも
極道の水底を見ることなく育った烈が
底まで堕ちて見上げた先にあったのは黒羽でした。
上巻の締めくくりに烈が自分がちゃんと大人になれるのかと
聞くシーンがあるのですが、その答えが下巻にあるのでしょうか・・・

下巻を読むのが楽しみだ。

3

せつなくて、涙なくして読めません

「黒羽と鵙目」でおなじみになる前の、こっちが元キャラです。
こっちには、お笑いは一切ない。切なく、切なく、切なく・・最後まで心臓をわしづかみのままです。
もうハードなやくざな世界です。はるは、「黒羽と鵙目」よりもこっちが好きです。主人公烈が思いを寄せる人が黒羽周次です。
組をつぶされるところを、関東の広域暴力団の傘下に入ることを勧め、烈のために組の名前を残そうとしてくれる黒羽。やくざな癖してきちっと筋を通す黒羽のかっこよさに烈でなくても、惚れ惚れです。任侠です。
そして、やくざの組長の子供と、学校でもつまはじきにされ孤独にすごした烈が、黒羽のところに身をよせるようになるのですが・・
どんなに好きになっても決して振り向いてもらえないとわかっているのに、烈は想いを募らせて、そんな烈を不憫に思って黒羽が手を差し伸べます。
もうこれは、憐憫ですねえ。捨て置かれた猫や、犬の子を放って置けないだけの気持ちだったのでしょうが・・黒羽にとっては。でも、烈には、その情けをかけてもらっただけで、十分。
しかし、若頭をしたうのは、組の若い者も同じで、烈の想いを気持ち悪いと陰口をたたかれ、はじめてできた大学での友人につい、男の人が好きだといってしまい気味悪がられ・・烈、どん底です。
でも、そんなときでも周次はやさしいです。犬猫をかまうようにやさしくなでてやります。
なでられてもむくわれねええ・・烈。ベクトルの質が違いすぎ。
悲しい結末について、触れません。あまりにも、鮮烈なラストだからです。ラストの烈の言い知れない悲しみ、孤独が胸に痛いです。

5

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