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表題作CROSS

ジョー,SP,帰還兵士
ケン,拉致され育成された殺し屋フェアリー

あらすじ

酒場で偶然知り合った客と男娼、一夜限りの関係だった2人は必然的に再会を果たす。殺し屋と刑事として…。漫画・魔木子&原案・鎌田幸美の華麗なるジョイント、幻の耽美傑作ロマン!!

作品情報

作品名
CROSS
著者
鎌田幸美  魔木子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
竹書房
レーベル
バンブーコミックス 麗人セレクション
発売日
ISBN
9784884756291
4.6

(3)

(2)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
14
評価数
3
平均
4.6 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数1

隠語「X」=「義務をまっとうする誓い」「誓いのキス」の意味

titleから隠語の魔木子 さんの「殺し屋とSPの悲恋」は、局部描写は有りませんが、絵が醸すエロスは濃いです。顔の描写が丸くて竹宮惠子風。 作者のブログに「20数年前に描いたBL作品なので、今どきの作品とは趣がかなり異なり・・まだボーイズラブという名称もなく、このジャンルがJUNと呼ばれた頃の」と紹介がありました。

同人誌掲載のもの。例えばわたなべあじあ先生のROMEOもそうですが、力量ある作家が好きなように書いた作品は凄く面白い。凝った内容をよく一冊にまとめた丁寧な作りの豪華な作品。

▼感想:
★凝った作品で、title「クロス」は字をを読めないキリスト教徒が使用した隠語。「聖・アンデレの象徴、その書類に書かれた義務を全うするという誓い」の意味。
この作品だと、ケンが渡すブレスの刻文をジョーが全うするという誓い=「誓いのキス」という暗喩。
作中に隠語や鍵の謎解きが楽しかった。
ジョーとの出会いから、何度も出る一節
「恋のかけひき・・抱いて 泣かせて 酔わせて 揺れて game is over love is over」
これはケンのゲームの内容と重なる詩で、ケンのシナリオはジョーから見ると「我儘で身勝手で残酷」。ケンから「夢の肩代わり」を託され、ケンを撃つことになるジョー。

ケンは、他人に裁かれるより、好きな人;ジョー;による死を望む。ジョーなら、迷わず自分の急所を一撃できる。撃たれてもキャンディで痛みを感じない。これは、ケンが考えた最良の最期。ケンが自分で用意する、自分へ贈る最期の花束は「パパより好きな人」;ジョーだった。 

「妖精は・・生きていけない」と繰り返すケンは、諦めていた。違う夢を持てたら、死なずに済む結末もあったかもしれないのですが、毒の蜜「洗脳と呪縛」が作品の設定なら、アレしかない。
この物語のケン達と、湾岸戦争で自爆テロに使われている子供達がダブって、可哀そうで感情移入して、気の毒でたまらなくなりました。死しか逃れる方法がないなんて。
他に「ケンとジョー」のシリーズが小説(絶版、キンドル版のみ)にありますが、漫画化されたこの物語は最悪なバッドエンド。読後の無常観の余韻は大きいです。出来れば助けて幸せな結末にしてほしかった、ファンタジーですから。
「ケン&ジョー」シリーズの中で、苛められキャラのケンの扱いが悲惨で気の毒な結末でした。

---調べたもの---
▼隠語「x=クロス」:聖アンデレ十字
「X」=キリスト教徒の隠語「書かれた義務を全うする誓い」⇒「誓約のキス」⇒[XO]でキスとハグ。

▼カクテル「ミモザ」:
カクテル言葉「真心」、オレンジジュースをシャンパンで割る「シャンパン・ア・ロランジュ」アルコール度数6~8度

★「フェアリー(妖精は)大人の心では生きられない」の一節がある童話はピーターパン?★幼児の誘拐と妖精の伝承の関連は濃密でした
▼妖精(ようせい、英語: fairy、faery、フランス語: fée):
fairyの語はラテン語のfata(運命)の語に由来する。元々は天使。妖精が人間の子供を浚い代わりに彼らの子供を置いていく「取り替え子」(チェンジリング)の迷信は広く伝わっていた。
▼戯曲『ピーター・パン:大人にならない少年』(Peter Pan)の妖精:
妖精(Fairies)は妖精の谷「ピクシー・ホロウ」で暮らす。「人間の赤ちゃんが初めて笑う時、妖精が生まれる」逆に「妖精なんか信じない」などと否定的なことを言われると、妖精が死んでしまう。妖精の粉の製造が仕事。(妖精は、大人の心では生きられないと同義)

▽取り替え子伝承
(英語:Changeling)/(plentyn newid)/『オグナンジェ』(Ognanje)

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