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表題作生まれ星 三村家の息子シリーズ

田舎出身・生真面目な大学生 敏夫
資産家の天然息子(次男) 弓

その他の収録作品

  • 遠い春
  • 決心の日
  • 生まれ星
  • 夜の始まり
  • 三月三週間
  • ムーンロード
  • おまけマンガ

あらすじ

田舎町の資産家、三村家の次男・弓と敏夫は親友同士。お互いに恋心を抱きながらも、すれ違いが重なるふたり…。傷心の弓は桜舞う故郷にひとり帰省する。だが、遠く離れた場所で考えるのは敏夫のことばかり……。 三村家の息子シリーズ 弓&敏夫編、感動のクライマックス!!
出版社より

作品情報

作品名
生まれ星 三村家の息子シリーズ
著者
明治カナ子 
作画
明治カナ子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
ミリオンコミックス HertZ Series
シリーズ
三村家の息子
発売日
ISBN
9784813051503
4

(62)

(35)

萌々

(11)

(6)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
16
得点
242
評価数
62
平均
4 / 5
神率
56.5%

レビュー投稿数16

これはなんて奇跡だろう

「三村家の息子」シリーズ最終巻。
息苦しかった「三村家の息子」、胸が痛かった「出来の悪い子」、そしてシリーズ3作目にあたる「生まれ星」で弓と敏夫の片想いはやっと終わる。

都会での一人暮らしに馴染めず、食事も不規則になり、加えて敏夫に距離を置かれた事にショックを受けつつ、郷里に帰省した弓。
その姿は彼の母親が「こっちに居る間に太らせなきゃ」と思うほど、手までやせ細っていて、見るも痛々しい感じだ。
こういうシーンは胸がちりちりとしてしまうので、ちょっと苦手。
しかしこの帰郷は弓の甘ったれ根性を叩きなおすいいキッカケになり、彼がひとつ人間としてステップアップしたのがよく分かるエピソードであったので、まあ結果的には良かったと言えるのか。

弓はだんだと敏夫への恋心を自覚してゆく。
しかし「ガリガリに痩せている」ことを理由に、敏夫に拒まれてしまったいつかの夜をずっとずっと引き摺って、また一時的には疎遠になってしまうも、やはり敏夫を諦めることができず、自分から「敏が好きだよ」と言えるまでになる。
この辺りのくだりは、お前らやっとか!と本当に感慨深くなってしまうことだろう。

そこから後は雪崩が起きたように、ふたりの気持ちは止まらない。
今まで無理やり堰き止められていたものが、ぶわっと溢れ出て何度キスしても何度抱きあっても、その全てが奇跡のワンシーンとなる。
敏夫は弓との初めての夜から3週間、彼を抱くたびに泣いていたというから、その想いの深さは言わずもがなで。
本当にこれまでが辛かったので、お前らとことん幸せになれ!と、それは読んだ誰もが感じるんじゃあないだろうか。
しかしあの濡れ場はスゴイ(笑)
何がスゴイって、見えないところまで全部見せているところがスゴイ。
片方の身体を透明仕様で描くことで、普段なら見えない部分までバッチリなのだ・・・・・・。
個人的にはかなり斬新に感じたのだが、こういう手法は今までもあったのだろうか。

そしてここで忘れてはいけないのが、間男的存在であった角のこと。
これまでただの享楽主義者であるかと思われていた彼だが、謎の暴力事件の真相や、母親や家族に対する想い、そしてとても好きだった恋人へ残していた気持ちなど、非常に興味深いシーンが多かった。
彼は幸せになれるのかな。
今回弓と敏夫はそれぞれ、「角に似た」人物とすれ違うのだが、それを角だと認識しなかったこと・・・それこそ2人が互いを真っ直ぐに見つめ合っている証拠じゃないだろうか。
それはもしかして本物の角なのかもしれないが、もうそんなことは問題ではない。

『いっぱいに引いた弓が 矢を放つような勢いで 飛び込んできた』
その言葉の意味を考えるだけで泣けてくる。
そんな激しくも幸せな物語だった。

8

混沌を抜けて

弓に対する想いを、素直に肯定していこうと決めた敏夫。
一方の弓も、帰省した故郷でさまざまなことに気がつく。

神経質で幼かった弓が、故郷の星空や空気に触れ、複雑な自身の家のことや
敏夫への気持ちをを見つめ、考え、足を踏み出していく。

長い敏夫の片思いから始まった恋は、すれ違いや遠回りの末、ようやく結ばれる。
結ばれた時に、敏夫がボロボロ泣くところがいい。
それまでずっと弓が、自分の細い体を気にしているところも可愛らしく愛おしい。
そして、詳しくは描かれないが兄の角にもまた物語があり、
お母さんの巣立っていく息子への想いや、回想シーンでの涙には、心締め付けられる。

どこか不気味でジメッとした感覚があった1巻から、この最終巻まで続けて読むと
段々世界が開けて明るくなってくる感じがする。
単にBLというよりも、彼らが青春という混沌を抜けて成長していく物語。
名作だと思います。

5

とにかく最後まで気を抜けなった。

だんだんとお話が明るい方向に進んでいても、ほんとにこのまま?幸せのまま?バ、バイクに乗ってるけど事故ったりなんかして、ええ~(´Д`|||) っていう終わりじゃないでしょうねえ…なんて付きまとう不安。
でも、そんなのはまったくいらぬ心配でした。
弓の心の成長が、ほんとに泣けました。
買ってすぐに読んだんだときには、なんかあっけなくハッピーエンドになったような感じがしましたが、『三村家の息子』『出来の悪い子』から続けて読むと、押し寄せるものの重さが全然違いました。
そして3巻目で、私がじわじわ気づかされたのは、スミの悲しみだったのです。

長兄ってのは、だいたいが真面目。
スミもきっとそうだったんじゃないかな。田舎町の資産家の長男なわけだし、なにやらしてもそつなくこなしてたんでしょ、きっと。
それがどうして、あんな奔放になったのか。
息の詰まるような家を出て自由勝手にしたかったのかなんて思ってたけど、そればかりじゃなくて、ただならぬ事件があったんだってことを、ようやくこの『生まれ星』で知らさせるわけです。
なんかもうすべてが納得。そういうのも自分の中にしまいこんでるスミなんだな~。
「角は悩みがあっても決して相談してくれなくて、親としては淋しかったわ」とお母さんが言うセリフに、ああ、実に長兄らしいと涙ぐんでしまいました。

誰も同じくらい好きと、かつての恋人の大宮君に悪びれなく言うスミですが、ほんとは誰のことも好きではなく、唯一好きな相手は手に入らないことを知っている悲しいセリフのような気がして、電車の座席で薄く微笑むスミがせつなかったです。
また後日、駅のホームで敏が落としたカードか何かを拾ってあげるスミですが、敏ったらそれがスミだったことに気づきもしないで、弓のことだけに想いを巡らせて幸せの真っ只中だったりするのも・・・。
なんだか兄弟すっかり明暗を分けたようで、いや、ハナから明暗分かれてたんだけど、それがはっきりした感じで無表情のスミがいつまでもいつまでも瞼の裏に焼きついて離れません。
てな風に弓よりもスミのことばかり気になってやるせない。
いや、もちろん弓が幸せに頬を染めてるのが嬉しいですよ。嬉しいけど、スミの今後の方が気になって仕方ないのです。

それにしても今回の濡れ場のシーンは、手法に目からウロコ!
以前、井上佐藤さんがあとがきで、下半身をよく見えるように描こうとすれば、上半身の角度があり得ない位置になってしまい、その辺の難しさを訴えていらしたことを思い出しました。
それを難なくクリアにしている明治さん。文字通りクリアなんだもーん。
体を透けさせて肝心の部分がどんなことになってるか、はっきりと描かれていて、そうかこれでいいんだ~と妙に納得しちゃいました(笑)
全体的に二人はこんな感じで、そのとき大事な場所はそうなっているのよと、コマを分けずにいっぺんに見せてもらえて、リアルでした。

4

弓の心の変化と成長

カナ子さんの作品は久々に読みましたが、
弓と敏夫、最後はやっと結ばれて感動しました。

一巻の印象では独特の雰囲気で、重い感じはしましたが
家と敏夫から離れてみて分かること、
見えてくること、変わってゆくこと、
全体を通しての弓の成長がすごく良かったです。
途中、敏夫の弓を愛しい、大切だと想う気持ちが
じんじん伝わってきて、結ばれたところの敏夫の涙。
敏夫、本当に良い攻めだなと思いました。

三村家のお母さんが、長男の角に
「ごめんね、守ってやれなくて」
と涙する場面、子供達が巣立っていくことの寂しさで
「タイラがいてよかった。もしこの子がいなかったら、
きっとやりきれなかったろう」
の場面では、思わずうるっときてしまった。
一番、印象に残ったかも。
カナ子さん、心理描写といいますか、
キャラから伝わる、雰囲気の作りが本当に上手だなと思います。

個人的に一番外せないのが、やっぱり長男の角(涙
彼には幸せになって欲しい。幸せにしてあげたい。
角編、是非描いて欲しいです。

4

ちゃんとくっついてよかった

もう、表紙からしてラブラブオーラ全開のシリーズ第3巻。
このシリーズって、恋が何かも知らない子どもだった弓が、浪人中の1年間にそれなりにいろいろな物を見て、経験して、成長して、
ようやく、敏夫が抱えていた好きの気持ちに追いついて、
あとはもう、ひたすらやりまくる、やりまくる。
この二人はハッピーエンドになったけど、そうなると、気になるのはお兄ちゃんの角。
角の過去に何があったのかは一応描かれているけど、ちょっと唐突で、
お兄ちゃん編はお兄ちゃん編で、改めて1冊分、じっくり読んでみたいなぁ。

3

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