二越としみ渾身の感動SFストーリー、ついに完結!!

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表題作JIHAI -磁海- 3

あらすじ

特殊な能力を持つレイバントの子供を教会に集め、どこかの機関へ送りこんでいる疑惑を持たれていたトリス。
 シラクサの調査が進む中、トリスは議会派の連中に逆恨みされ、暗殺を企てられていた。心を読む能力によって暗殺を察知したシオンは、トリスをかばって……!?
 大好評のネオロードストーリー、ついに感動のクライマックス最終巻が登場!!
出版社より

作品情報

作品名
JIHAI -磁海- 3
著者
二越としみ 
作画
二越としみ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
エンターブレイン
レーベル
B's-LOG COMICS【非BL】
発売日
ISBN
9784757740303
4

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萌々

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
4
評価数
1
平均
4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

ほっと光の見えるラストでした

すごく劇的な展開と、穏やかなラスト。
それぞれの人にそれぞれの事情があって、みんな必死で生きています。

アオイの足掻く姿が、どんな場面でも切ないんです。
ディスが英雄に戻れば、寿命を解除できる。英雄時代のことをディスがとても悔いて傷ついているのを知っているから、「長く生きたい」と願う気持ちと「大事な人が苦しむくらいなら18歳までを穏やかに過ごして幸せに死にたい」と思う気持ちのはざまで苦しみます。
それでも日々を精一杯愛しいと感じながら暮らしている姿が切ないです。

ディスは…。
究極のヘタレだとずっと思っていたんですが、アオイの寿命解除ができると知ったあとがなんとも男らしいというか、さすが英雄というか…潔かったです。
力がありながら立ち上がらないディスは、実は立ち上がらないんじゃなく、アオイにそんな姿や世界を見せたくなかっただけでした。
けどそれって、決起するのを「アオイが死んだあと」と待ってるってことで、そのあたりはさらっと描かれてたんだけどかなりの葛藤があったろうと感じました。

こうして一緒にいられる日があと何日あるだろう。
短い時間で、行きたい場所のうちのどのくらい、一緒に行けるだろう。
ふたりの過ごす毎日がとても大切で、愛しくて、切ないです。

トリスがすっごく怪しかったんだけど、彼にも彼なりの譲れない理由があります。
手段は選ばない、誰を裏切ってでもいい、と焦りや覚悟を抱えているんだけど、どうしても最後に悪者になりきれない優しさがありました。

そして、実は一番キツイ現実を見てしまったのはシラクサだったんじゃないかな?
それでも凹まず腐らず、全部飲み込んで自分の心の中に抱えて、いろんな人の命をかけた願いを背負って未来を切り開こうとする姿がとても素敵でした。

いろんな場面で、天秤の片方に「自分の命の期限」を乗せなきゃならない選択は、どれだけの思いと覚悟がいるだろうと、考えてしまいました。


脱出以降のラストに向けては、なんだかひたすらほっとするような未来に光が見えるような、幸せな気持ちになれました。

施設に集められていた能力者たち。
「連れ去られ消息不明の彼らは生きているのか?」という不安がずっと根底にありましたが、施設で暮らす彼らの姿に、いろんな思いが湧きました。
はたしてそこは彼らにとっての楽園なのか?それとも体のいい飼い殺しなのか?
それって彼らの心次第なんでしょう。
彼らが幸せだと感じてくれていればいいとも思うし、こんな風に限られた場所でしか幸せになれない彼らを不憫にも思うし。

「彼らがどこでも生きられる世界を、ディスが早く作ってくれたらいい」と未来にも希望が見えるラストでした。
神父が悔いて悔いて死ぬまで苦しんだ原因の協会の男の子が、「ここが楽園だ」と言ってくれたことには、本当にほっとしました。
神父さんに聞かせてあげたかった……。


絵はさっぱりしてて綺麗だし、お話もさらりと描かれているから、決して重苦しくはないんですが、それでも読んだ後でどっぷりと世界観に浸れる、私がとても長い時間じんわりと浸れた作品でした。

二越さん、とても作品が少ないんだけど、大好きな作家さんです。
もっといっぱい描いてくださらないかなぁ……。

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