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表題作ナアレフの恋人(4)

上総藍良 元組長 現「ナアレフ」オーナー
清野初音 元外交官 現「ナアレフ」マスター

その他の収録作品

  • 大人の事情
  • うたかたのナアレフ
  • 妄想的小旅行

あらすじ

喫茶店ナアレフの「オーナー」として新婚さながらの写真付き案内葉書を各所に送付していた上総だが、津軽をはじめとする組員たちはあの手この手で上総を組事務所に連れ戻そうとしていた。妙なところで義理がたく、もう自分は組に戻る資格はないと頑なな上総に業を煮やした組の顧問弁護士・三島の祖父・唯継が強硬手段に出 るものの、上総は愛しい清野を連れて沖縄へ逃亡。しかしそこで心を入れ替え素直になった清野に調子を狂わされて――。川端との逢瀬を犠牲に上総を追う三島や、実は優秀な教授だった土屋をも巻き込んだ追跡劇。シリーズ完結巻!
出版社より

作品情報

作品名
ナアレフの恋人(4)
著者
谷崎泉 
イラスト
藤井咲耶 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
ナアレフの恋人
発売日
ISBN
9784576081588
3.8

(16)

(6)

萌々

(4)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
61
評価数
16
平均
3.8 / 5
神率
37.5%

レビュー投稿数2

最後まで笑える過ぎる愛情に溢れた男達

最終巻まで笑わせてくださり、ありがとうございましたという感じです。
谷崎さんの作品は笑いがある方とシリアス一筋の方とがありますが、こちらのシリーズは笑える方です。
もちろん過去の事件などは大事で笑えないだろと思う内容ですが、それでさえ笑いにしてくれておりましたからねえ。

********************
受けは魔性で否が応でも男を惹き寄せてしまう清野。
しかしそれは本人的にかなりの不本意で、愛想のカケラもない対応。

攻めは元上総組の組長で、初音の幼馴染みである上総。
幼稚園から清野に執着し、清野を側に置くためなら何でもやる男。
********************

常に誰かしらに迷惑をかける男(しかも無自覚)、上総。
彼は今回もスタート時からやっておりました。
バーのママたちへのこれまた無自覚なご迷惑や強烈な追いかけっこを。
以前の巻で『僕たち結婚しました』ばりのハガキをいたるところ(海外のスパイやら、組関係者やら)に出しまくった上総のこのハガキネタ再び!で、うんざり顔の清野が笑えましたよー。

そして素直になった清野に驚愕し、正気を疑い、「何か悪い物でも食ったのか?」と言ってしまう上総、最高です。
そりゃあ疑心暗鬼になりますよねえ、幼稚園からずっと報われない片想い(身体は無理矢理自分のものにしちゃってましたが)のようなものだったわけですから。
上総の愛し方は苛烈で無茶苦茶で、清野にとってはずっと迷惑極まりないものでした。
けれど上総が清野のために服役し、それをまったく清野のせいにせず、とにかくずっと自分を守ってくれた上総へやっと清野自身が気づいてくれて、上総やっと報われたね!

そして後半は三島(上総達の友人でヤクザの顧問弁護士)×川端(三島と五年つきあっている検事)のカップルがメインです。
やっぱりこのシリーズで一番のアンハッピー・ゲイは三島でしたね。
とにかく最後まで上総たちに振り回され、川端とのラブラブタイムも邪魔されるという不憫さ(涙
個人的には川端は特に好きなタイプではないのですが、とにかく三島が川端を好き過ぎて読んでるだけで苦笑いできる良いカップルですね。

しかし残念ながら、最後の最後まで挿絵では『魔性の受け』がいまいち伝わりませんでした(それでも四巻はまだ良いのかもしれませんが)。
このシリーズは本当に面白いんですよ。
ここが残念というものは内容自体には、個人的にはなかったです。
なので、そこだけが残念なんですよね。

1

両思いは物足りない(笑)

攻・上総藍良(31) 元組長 現「ナアレフ」オーナー
受・清野初音(32) 元外交官 現「ナアレフ」マスター

・大人の事情
清野のために服役した時から、上総は組長を辞めると宣言。
しかしあの手この手で上総を再び組長にするべく画策する関係者。
そんな中、上総が拉致された…と三島に連絡が。
三島は恋人との逢瀬を思いっきり邪魔されてしまったわけです(哀れ)。

・うたかたのナアレフ
1巻で「ホモの結婚報告ハガキ(笑)」を各方面に送りつけていた上総ですが、まさか清野が散々迷惑をかけられた各国エージェントにまで送りつけていたとは…。

ナアレフにポッシュという諜報員がハガキを持って来店。
また彼はバイト店員の土屋を訪ねて大学に行くと言う。

土屋は「透明になる研究」をしており、清野が巻き込まれる原因になった老科学者を師と仰いでいたんです。
研究内容と、諜報員の来訪。
しかもかつて清野に係わった3人の諜報員らがナアレフに揃ってしまった。
何かまたトラブルに巻き込まれるのではないか、と考えるのも当然ですよね…。

各国諜報員勢ぞろいで冷や汗かいてるところに、監禁場所から脱走して行方をくらましていた上総が乗り込んできます。
彼らにハガキを送ったのは「清野をケガさせたヤツを締め上げるため」だそうで…うーん、愛だわ(笑)。
そこに三島老人(ヤクザの超大物)まで現れ「組長に戻れ」と煩く説教を始めるものだから、うんざりした上総は清野を連れて逃げ出した。

ドタバタ劇でコミカル。
面白くて笑っちゃうんだけど、主人公はその中できちんと自分の気持ちを見返して、決着をつけるんですよ。

ずっと無理矢理に関係を続けさせられてて(コレだけ長く続いてりゃ、それなりに情も沸いてただろうけど、基本は「逃れたい」に変わりは無かった)、上総を刑務所送りにしてしまった事で自らの退路を失ったように思っていた清野。
でもエージェントたちが再び自分の前に姿を現し、杞憂だったとはいえ、またどうにも出来ないトラブルに巻き込まれるのではないかと真剣に悩み恐れた時に、上総の存在が救いであり唯一なんだと自覚するんです。

十数年にわたる上総の猛アタック(かなり独善的で傲慢だったけど)がやっと実りました。
今更だけど両思いでラブラブな2人。

…ハッピーなんだけど、何故か物足りないと思う私は間違ってるんでしょうか?(汗)


・妄想的小旅行
上総を追って沖縄に来なければならなかったせいで、恋人との久々の逢瀬を断念した三島の、川端との一泊旅行奮闘記です。


この「ナアレフの恋人」シリーズは、構成が独特で、まるで連続ドラマを見ている気分になりました。
こういう作品もたまにはいいですね。
(谷崎作品、初読みです)

2

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