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表題作セヴンティーン

澤木詠二 銀行マン
笹生真理 高校生

あらすじ

笹生真理・通称マリちゃんは、高2の夏休み、同級生・遙の家が経営するライブレストラン『フラミンゴカフェ』でバイトを始めた。
そこに客として来ていた銀行員・澤木詠二に真理は次第に惹かれていくのだが、徐々に澤木のアブナイ素顔を知ることになる。
でももうマリちャんの気持ちは、引き返す事が出来なくなっていた!
世界に一つのネオ・サマーストーリー。(裏表紙より)

作品情報

作品名
セヴンティーン
著者
榊花月 
イラスト
やしきゆかり 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592870289
4

(3)

(2)

萌々

(0)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
11
評価数
3
平均
4 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数2

ヤラレタ

17歳アホアホ受けの、ひと夏の恋の物語です。
なんていうか…ヤラレタ。

全編、『停学中に先生に提出するための反省文』という形で構成されてます。
榊花月さんは、である調とですます調を故意に混雑させるというテクニックを使っていて、それが非常に効果的でした。

ナニカが起きて大事件になって、停学になったのは分かる。いったいどんな事件が起きたのだろう?冒頭から興味そそられまくりで、一直線に物語の中に入っていけました。

ピュアなアホアホ受けの一人称によって浮き彫りにされるのは、オトナでダークな攻めの姿です。
後半、切なくてキュンキュンしまくりでした。
榊さんの書く『悪い攻め』、いろんなバリエーションを読みましたが、この物語の攻めは、ある意味過去最強に悪く、そして過去最強に悲しい攻めだった。しかも私がリアルで好きになるタイプとかぶってるので、胸が痛いw
王道BLの鉄則からいうと反則技ですが、そこが好きでした。

2

17歳の初恋は大恋愛でした

すごく好きなお話です。これを読んで作家様にますます沼りました。何度読んでも泣けるところがあって。再読して、『月夜に気をつけて』シリーズに出てくるマリちゃんのお話だったんだと気づいて、さらに泣きそうになりました。だからイラストもやしき先生だったんだーと。こちら単体でも問題ありませんが刊行順どおりに、『月夜に気をつけて』→『セブンティーン』→『キケンな二人』だとわかりやすいです。

受け一人称で語られます。一人称が合わない人は苦手かも。わたし自身、一人称小説に入れるかどうかは作品によるのですが、マリちゃんが可愛くてしかたなかったので本作はガツっとハマってしまいました。

シリーズの舞台ともなっている男子校の生徒、マリちゃんが主人公。百合百合しいお友達の芹沢から、夏休みにバイトしない?と誘われて、ライブレストランのホールスタッフとして働いた時の経験を告白したお話です。校則を破ったマリちゃんは無期停学になり、反省文を書かされている体裁で内容が語られていくのですが、これがまたすごく自然なんですよね。たまにクスッと笑えます。

マリちゃんは真理と書いてマサミチくんなんですけど、いかにも美少女な見た目のせいで嫌な目に遭いまくっています。学校でも先輩に狙われたりしていて、その手の被害には辟易してる。

そんなマリちゃんが、バイト中に男性客からいきなり胸を鷲掴みされて動揺。思わぬセクハラに驚いてロッカールームで気持ちを落ち着かせていると、当人が謝りにやってきて……、マリちゃんはその彼と恋に落ちてしまうのでした。

相手の男、澤木は29歳の銀行員。マリちゃん、真面目で可愛いいね♡と誘ってくれますが、どちらからともなく衝動的にキスしてしまってからパッタリと姿を見せなくなります。(このキスシーンが素晴らしい!)もー、この澤木がとにかく口説き慣れてる感じがぷんぷん。気まぐれでちょっと掴みどころがない澤木ですが、マリちゃんは彼の吸い込まれるような瞳に捕らえられてしまいます。

その後一度だけ澤木とデートして、なんとなくお別れの予感がしたマリちゃん。でも、澤木の車に置いてきてしまった忘れ物を届けに、きっと彼はまたバイト先のお店に来てくれるだろうと待っていましたが…

澤木がたとえ悪人でどうしようもない男だっ
たとしても、マリちゃんは好きな気持ちを止められません。でも、警察沙汰になってしまったからには、17歳の真面目な彼にできることといったら周りの大人の意見に従うことしかなくて…。それが澤木の望んでいることなのかはわからないけれど、家族にも芹沢にも迷惑をかけないために、たぶん最善の選択肢なのだろうと自分を納得させます。この語りが切ない…

終盤の急展開で見せるマリちゃんの恋心に、ぎゅんぎゅん胸を鷲掴みにされました。彼の強くて美しい心は誰をも惹きつけるものだけれども、同時にある種の人間には耐えがたく、逆に傷つけてしまうこともある…。

何もかも差し出して相手のものになってしまいたくなるような大恋愛を経験したマリちゃん。その後の彼の様子が『危険なふたり』で少しだけ窺えます。

もう、これはタイトルが全てでしょう…。

"Sweet Sixteen"ならぬ17歳って、やっぱり特別な年齢。良くも悪くも青春のハイライトなんだろな、とキュンキュン切なくなりました。

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