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表題作交渉人は振り返る

若頭 兵頭寿悦
元検事&元弁護士の交渉人 芽吹章

あらすじ

元検事で元弁護士、そして優秀な頭脳と口八丁を駆使する美貌の男、芽吹章は、弱き立場の人を救うため、国際紛争と嫁姑問題以外はなんでもござれの交渉人として、『芽吹ネゴオフィス』を経営している。そんな芽吹が泣く子も黙ると評判のヤクザ、兵頭寿悦と深い関係になり、この頃では互いの存在に慣れつつあった。だが、生き方も違えば考え方もまるきり違う、おまけにヤクザなんて大嫌いだ、それなのに寝ている……ということに戸惑いがあるのも事実だった。そんなとき、芽吹はかつて関わっていたある青年と再会して……!?
出版社より

作品情報

作品名
交渉人は振り返る
著者
榎田尤利 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
交渉人は黙らない
発売日
ISBN
9784813011989
4.6

(186)

(144)

萌々

(24)

(14)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
37
得点
859
評価数
186
平均
4.6 / 5
神率
77.4%

レビュー投稿数37

第3弾ですねっ♪

交渉人シリーズも3冊目です。
裏社会というか・・・ヤのつく自由業のお話が好きな自分です。
第1弾は「交渉人は黙らない」
第2弾は「交渉人は疑わない」
でした。

今回は”振り返らない”ということで、芽吹の弁護士時代の話が絡んできます。
今回は前作で出てきたホストクラブのミツオからの依頼が発端となっています。
様子のおかしいミツオの友人の斉藤が振り込め詐欺のグループに加わっていることが判明。調べていくうちにアサヒナという人物が登場するのですが・・・。
その名で芽吹きが思い出したのはかつて弁護士時代に弁護を担当した朝比奈という人物。
殺人容疑で逮捕された彼を弁護したのが芽吹だった。
ある日、その朝比奈に再開して・・・。

という具合に話は進んでいきますww
兵頭と深い関係になり、親交を深めているような感じもするもののどっちつかずな芽吹。
兵頭の芽吹に対する想いがなんか可愛く見えてきてしまって面白いです。相変わらずな芽吹のオヤジギャグも笑えます。
結構、男性密度が高そうですが・・・そこををカバーしてくれているのがアヤカとさゆりさん。ちょっと和みます。
そして、友人・七五三野(しめの)も登場。
正反対なんだけど似たもの同士な兵頭と七五三野の対決も見所です。

6

レビュを書くのが重い…

読み終わって最近はすぐレビュするようにしてるのですが、
今回は無理だった。。。
軽快にユーモアたっぷりな交渉人シリーズですが、今巻は芽吹の過去が絡んでくるシリアスなお話でした。あ。もちろん中盤くらいまではバッチリ笑わせてくれます♪
七五三野が芽吹のお尻に湿布貼ってる最中に、ナイスタイミングで入ってくる兵頭とかwその後の芽吹の尻の所有権を巡る低次元な争いもwww


伏線を張ったままのラストなので、詳細もまだわからないままというのもあり、心をじっとりとさせる読後感が二日続いております。
考えがまとまらないまま、意を決して書くことにしました。
書かないと次巻に行けない。

前巻までは、いつも明るくコミカルにツッコミを入れる芽吹。
窮地にいても決して諦めない強さをもった、なんて寛容で柔軟な人なんだろうと思っていました。それがかっこ良く、彼の魅力でもある。
でも、今回は事件によって彼の持っている過去の傷がフォーカスされざるを得なくなって…。
今までの彼の頑ななまでなまっすぐに自分を律する姿の根拠が見えた気がしました。

人を信じるとは、どういうことか。
芽吹が模索している疑問。
「信じたい」と思うことは、結局その相手を「信じて」いないからだ。
本当に「信じる」ことができているなら、そこに努力はないはずだから。
そう考える彼は、本当に自分に厳しく、心底純粋なんだと思います。
信じることって、正解なんてない。
何を持って信じている証拠になるのか。
環境も考え方も経験も違う他人と、同じように感じることは決してできないことだから。
結局は突き詰めてくと、ループなんですよね。
今回の芽吹はあまりに自分軸を失うほどの傷ゆえに、不可抗力の事件で呵責の念が露呈してしまう。
そしてそうさせてしまうほどの、彼の過去が次巻で明らかになるんだろう。

「信じる」って、自分の中で決めるってことだと思います。
それが例え、自分の過去の悔恨ゆえの自己防衛からくるものであっても。
相手に裏切られるかもしれなくても。
何かの成果を求めてすることではないから。
全部を受け入れる覚悟をもって、「信じる」ってことなのかもしれない。
でも逆に、本当に信じられている状態であれば、「信じる」ってことの意味なんて考えることをしない…とも思う。
信じることの定義って・・・難しいです。

でも芽吹はそれに立ち向かおうとするのがすごい。
どこまでも自分を問いただしていく姿は、交渉人たる所以であり、真摯すぎる彼らしい。
弱さを弱いと認められるのは、強さだと思うから、やっぱり彼は強い男だと思います!

芽吹の「おまえは、俺を信じているか?」に対して
兵頭の、
「悪いが、あんたなんか信じてないですよ」
「信じちゃいないが――惚れてます」
「惚れた相手ほど、信じられない」
この台詞たちには、絶大なる説得力がありました!!!
彼はこの台詞の後「信じること」については多くを語らない。
「信じていない」という言葉なのに、安堵させられる存在ってすごいと思いました。圧倒的に、芽吹にとって大事な存在になっていると感じさせられる会話。
そして、言葉や理屈でいつも考え続ける芽吹のそばに、対照に本能的な感じで言い切る兵頭がいてよかったと心から思いました。
つらいシーンの後だったので、読み手としてもこの兵頭に救われました。
追及していけば見つかるものもあるけれど、理屈も理由も要らないほど押し流してくれる強いものに救われることがあるって思う。
それが芽吹にとっての、兵頭だと思います。

そしてまたこの巻も、榎田先生のマジックが多彩で。
相変わらずやられたことは、言うまでもなく。。。w
読者の視覚を鮮明に誘導している表現テクニック。
さらに嗅覚まで刺激してくるーーー。
読者の五感を刺激しまくる榎田先生~。
兵頭の香りで、安堵する芽吹は、「信じる」なんて要らないくらい、心の中に兵頭が居るんだなと思います。
そして兵頭も、芽吹の今も過去もどうだっていいんだと言った。
どんな芽吹でも求めると言った兵頭の執着心は、本物だ!!!

エチシーンの芽吹も素直になってきたしw
エロくなってきたしw開発されてきたしw
相手に体を委ねることができるってことは、思っているより心を許してるんだよ芽吹さん?と言ってやりたくなったw


これからまだ、芽吹の過去との向き合う話が始まるのだなーと。
ざわついた心を持って、次巻の彼らを見に行ってきたいと思います!!
ちょとやな予感もしつつ。。
また数日中にレビュするハメになるかと覚悟を決めて。
行ってきます!!!w
また。長い(><)お読み頂きありがとうございました

6

お、お、面白かった…………!

高校の元後輩で今はカローラに乗るやくざの兵頭と、検事から弁護士そして今はなんでもござれの交渉人の芽吹のシリーズ、待ってましたの第3弾です。でましたー♪そして朗報です。まだシリーズは続くようですよ!やったーーーーーっ!
そして後書きで書いてあるように『交渉人は振り返る』ということで、今回は芽吹の弁護士時代の過去にまつわる話、「人を信じる」を信条にしている芽吹という人間にぐぐっと迫ってました。

榎田さんのちょっと抜けたようなコメディがものすごく好きです。癒される…
アヤカちゃんのぷりっとした胸やら尻やらに鼻の下伸ばしては一人で言い訳してる芽吹。
彼が美貌の持ち主だってことも忘れてしまいそうなくらいおやじ化が進んでいました。
面白すぎる、大好きだ芽吹。
そして笑ってばかりいられませんでした。
弁護士時代かつて芽吹が担当した青年、朝比奈が登場したあたりから話はぐんとシリアスになっていきます。
芽吹がなぜ「人を信じる」ということにこうもこだわるのか、なぜ検事から弁護士へそして今の職へ方向転換したのか、詐欺事件を絡ませながらそれらが少し明かされます。
それももう、めちゃくちゃ気になるかんじで!

このシリーズはやくざ×交渉人という華やな設定ながら、話の中心は真っ当な社会から少しだけはみだした市井の人々です。
そして芽吹や朝比奈を筆頭に、登場する人間がみな少しずつ弱く描かれている。
人の脆さを全面にだしながら、それでも最後に人間に対する希望のようなものを榎田さんは作品に残しているように感じました。

あと肝心の二人の関係。
そこそこうまくいっているように見えた兵頭と芽吹ですが、兵頭がやくざだということがこれからどんな意味を持つのか、今後の展開がひっじょーに気になります。
なんか、よく分からない不安に駆られているんですが……どきどき。

ま、それはさておきとにかくとっても面白かったです!コメディとシリアスという振幅が激しい内容なのに、互いが互いをきゅっと引き締めていて、話としてとても完成度が高かった。
私の中ではシリーズ中では1番ですーの神評価!

あと、裏表紙のさゆりさんがラブリーすぎる。笑

5

読めば読むほど考えさせられる

4・5巻が発売されておりますが、通販がなかなか届かなくてもどかしくて、待っている間におさらいの3巻(笑)

「人を信じる」と言うのは本当に難しい。
闇雲に信じるのは怖いし、信じないのは自分が辛い。
芽吹は本当に自分に厳しくて、さらに「信じたいと願う」と言う事にすら罪悪感を抱いてしまう。
「信じたい」ってことは、反せば「信じてない」ってことだから。

そうだよね、とも思うし、違うよ~とも私は思いました。
「信じたい」ってのは、相手を信じてないってことじゃなくて、「おっしゃ~!いっちょ信じたるで~!」と自分を鼓舞するための気合なんじゃないかな。
それでも「信じたい」と願い続けることが出来るのは、「まだ大丈夫。信じていて大丈夫な相手だ」と信じているからなんじゃないかな?
一瞬信じるより、信じ続けることのほうがずっと難しいと思うから、それが出来る芽吹は本当に心が強いと思います。
「強靭」って意味じゃなくて、「打たれ強い」「粘り強い」の「強い」かもしれないけど。

それでもずっと信じ続けるのは心がとても疲弊するから、そういう時に支えようとしてくれる手があるのは、やっぱり芽吹のそんな面をあったかく見ていてくれる人がいるからで、それが芽吹の魅力の引力だとおもうんですよ。

薬や詐欺や死や、加害者家族の問題などなど、内容はもちろん凄くシリアスだけど、とにかく芽吹がオヤジギャグ満載で面白いから、作品自体は凄く楽しんで読めるんですが。
読めば読むほどテーマは深くて、考えさせられます。

芽吹が我を取り戻すきっかけが兵頭の香り……ってのに、ドキドキしました。
良かったね~兵頭。片想いじゃないよ!
いつも力技と色香で体を開かせてるけど、心もちゃんと開きかけてくれてますよ!

それにしても……、尻の所有権……。
どんだけ馬鹿なんだ、この大人たちは(笑)
こんなつまらんことに本気で牙を向けるヤクザが愛しくてしょうがないww

けど!
私がこのシリーズで一番好きなのは、ダントツでキヨです!
好きすぎる…。
無口で、頭良くて、頼りになって、可愛くて、モデルみたい、おまけに仕草がなんとも子供みたいで……、愛しすぎる!!!
ってか、引っ掻かれるとか何をしたのww

個人的に智紀に対してイマイチ萌えがないのでアレなんですが、キヨがどうやって智紀にちょっかいを出しているのかは大いに気になります!
そっちも今後楽しみです♪

5

誰を信じられて誰が信じられないのか

関東屈指の指定暴力団の二次団体の若頭と
元検事で元弁護士で現ネゴシエーターのおりなす
交渉人シリーズ第三弾。

前回は依頼に絡めて攻様の過去が明かされましたが、
今回は振り込め詐欺に絡んだ依頼で
受様が過去に関わった青年が現れ、
受様が自分の過去の行動を振り返るお話となっています。

受様はあらゆる折衝事を交渉する民間の交渉人。
七十を越しても矍鑠とした経理担当と二十二才のアルバイトと
アットホームな事務所を構えています。

今回は受様の事務所の経理担当女性の元に
振り込め詐欺らしき電話がかかって来た事から始まりますが、
コレは友人の弁護士や某組の若頭の攻様等、
シリーズ常連人物の紹介を兼ねた軽い前振り。

前回の依頼で潜入したホストクラブの同僚が
同郷の友人がヤバい仕事に手を出しているのではと
相談に来た事から本筋へと流れていきます。

件の友人は受様の事務所に偶然現れた攻様の会話から
極道の実態を垣間見た事で足を洗う決心をしますが、
彼が関わった詐欺グループのメンバーの名前は
かつて受様が弁護を担当した青年と同じ!!

そして新人を手に入れそこねた青年によって、
受様は更なる事件へと巻き込まれていきます。
青年との取引に応じた受様が見たモノとは?!

本シリーズは
受様の楽観的な性格とテンポの良い会話に加え、
あやふやなままながらも
攻様との関係に深みにハマっていく様子や
受様をめぐる友人と攻様の小競り合い等、
細々したシーンに笑いのコネタを挟んでいるので
サクサク、サラサラと読ませますが、
実社会の重い問題を背景にしたシリアスなお話です。

肝心なのは間違えないことじゃなく、
間違いに気づいた時に修正できるかどうかである。

受様が人の間違いを許せるのは
何度でも立ち直れると信じているからだと思いますが
受様は「信じられない」からこそ
「信じる」事を自分に言い聞かせるのだと言います。

人は信じられても自分を信じられない受様の葛藤は
監禁されているシーンで描かれているように
かなり根深い様子。
それを思うと今後の展開もかなり痛くなりそうですが、
それにどう立ち向かうのかがまた楽しみですね♪

今回はヤクザの攻様と(将来は)弁護士のカップルで
妃川螢さんの『奪われる唇』をご紹介します。

4

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