真夜中に歌うアリア

真夜中に歌うアリア
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神2
  • 萌×20
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
19
評価数
5件
平均
3.8 / 5
神率
40%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
徳間書店
シリーズ
キャラ文庫(小説・徳間書店)
発売日
価格
¥552(税抜)  ¥596(税込)
ISBN
9784199005381

あらすじ

清楚で可憐な天上の歌声で、一世を風靡したボーイソプラノ歌手──そんな過去を持つ仲嶋聖也(なかしませいや)は、音大に通う二年生。ある日聖也の指導教官となったのは、なんと日本を代表するテノール歌手の森上哲哉(もりがみてつや)!! 聖也のレッスンだけ平然と特別扱いする森上は、周囲の嫉妬を無視して、再デビューを計画!! これはミューズに愛された美貌の貴公子の、優雅な退屈しのぎなのか…聖也は真意が掴めずに!?
出版社より

表題作真夜中に歌うアリア

森上哲哉・テノール歌手・30歳くらい
仲嶋聖也・音大ピアノ科2年・20歳

評価・レビューする

レビュー投稿数3

美しいお話でした

読み終わった瞬間、ポロッと涙がこぼれるようなお話でした。
どこに感動して涙が出たのかと聞かれたら“ここ”とはっきり
言えないのですが、なぜかジワ~ンと気持ちが昂ぶり、
涙が出たという感じです。
一冊通して感じたのは、とにかく美しいお話だったな...ということ。
もちろん、クラシックしかもボーイソプラノを主題としているせいも
あると思うのですが、聖也と森上の想いを最後まで通じ合わせず
終わらせたことでしょうか?

春原さんもあとがきで書かれている通り、この結末に対して色々な
意見があると思います。
私個人の意見としては、ラストの森上と浅茅のやりとりを読んで
やっと森上すら気付いていなかった本心を知る事が出来て、
ホッと安心出来たということです。
浅茅は森上よりも先にそのことに気付いていて、3ヶ月先の
スケジュールを聖也とのために空けておいてくれた。
そして、森上はその3ヶ月を今まで生きてきた中で一番長い
3ヶ月と感じた。
もう、これだけで十分です。

体はつなげようとも、一度も気持ちを通じ合わせることなく、
あくまでビジネス上の関係だと割り切って続きたはずの彼が、
いつの間にかその全てを愛してしまっていた。
普通恋愛小説では当たり前の、お互いの気持ちの確認無くして
こんな幸せな気持ちにしてくれる小説は初めてです。
これから聖也は自分をどんどん磨いていき、ひたすら想い続けてきた
森上に体だけではなく心も愛してもらえることだと思います。
本音を言うと、その再会シーンを見てみたかったというのもありますが
そこは腐女子の想像力を駆使して、美しい再会シーンを作り上げて、
一人余韻に浸りたいと思いますwww

唯一気になったことは、家族と同級生による聖也に対する罵りの言葉。
そんな言葉使うだろうか?
20年ぐらい前のドラマのヒロインが言われるようなセリフなんです...
ちょっと大げさ過ぎて、その一瞬覚めちゃいましたww
それと、クラシックの曲名や声楽に関しての専門用語がバンバン出ます。
これに関しても意見は別れるところじゃないかな~と思いますが、
私はどんな曲なのか?どんな声なのか?と気になり、
さらにこの世界にハマりこむことが出来ました。
(富士見のタンホイザー以来だわ★)
あと、森上の愛称「デューク(侯爵)」にはちょっと笑いましたww
デュークと言えば、デューク○家って連想しちゃうもんで...
いえ、このデューク森上は沖銀ジョウさんのイラストなので、
それはそれはお美しいお方でございますのでご安心を♪

1

小鳥が籠から飛び立つ自立のお話

「私の可愛いナイチンゲール、羽根をもがれても啼いてくれるかい?」なんて意味深な帯に、囲い込み飼育物語かと思っていましたが、当たらずとも遠からず。
攻め様はそんなSではありませんでしたが。

声楽界を舞台にした物語、自分も声楽を学んでいたこともあり、出てくる楽曲も技術も説明もスムーズに中に入り込んでまいりましたが、本当の声楽界の考えると、登場人物の容姿・設定はあまりにファンタジーで「いやいやこれは物語だし」と自分に言い聞かせて読まねばなりませんでした。

聖也のレッスンをする森上は彼の天賦の才能を引き出す為に、本人にわからないように、まるで手のひらの上で遊ばせているかのように操っています。
聖也は、過去自分が一世を風靡したボーイソプラノであったことから家族が崩壊し、たった一人で生きてきましたので、森上の導きはよりどころとなっていったようです。
助言をしたり、突き放したり、まるで鳥に飛び方を教えている親鳥のようかもしれません。
そして、その聖也を暖かく支える友人のピアニスト嵯峨。
この二人によって、聖也は一人本当に巣立ちをして羽ばたいていくことができたのでした。
小鳥を続き飼っていた森上は飛び立った聖也という小鳥をこれから追いかけることになるのでしょうね。
聖也の迷い、決断、この物語はラブストーリーというより一人の青年が自分の道を歩んでいく自立の物語のように思えます。

とてもスマートな文章で、雰囲気がよかったです。

0

不思議な空間を楽しむ

過去にボーイソプラノで一世を風靡したものの、ワケアリで声楽界からは身を引き、音大のピアノ科で音楽教師を目指していた聖也。
ある日から、彼の声楽の個人レッスンを担当することになったのは、世界的なテノール歌手・森上で、それまで一人静かに歌うことで自分を納得させようとしていた聖也を、ソプラニスタとして表舞台に復活させてしまうのでした。

13歳の頃に家族が崩壊してからは、ただ一人で頑張ってきた聖也は、しっかりしているようで脆く、大人びても見えるのに幼く純粋です。
森上の自信溢れる冷静な言動に誘われて、再び思いっきり歌うことに喜びを感じ、CD発売やライブといったメジャーデビューも果たすのですが、純粋だからこそ周囲の言動に振り回され、何かにつけマイナス思考に陥ります。

ここで異色なのが森上で、聖也のためあれこれと画策している割りに、本人が迷っているときには手を差し伸べようとしないのです。
可愛がっていた籠の鳥をポンッと外界に放り出して、籠の中に戻ってくるのかそのまま羽ばたいていくのかは鳥に任せる、逃げてしまってもかまわないとでもいう感じです。

森上の本当の気持ちも、聖也の揺続きれる思いもはっきりしないままお話は進みますが、作中で「オペラ座の怪人」や「トゥーランドット」の背景が語られることにより、なんとなくわかったような気がします。

聖也の同級生で、既にプロ活動をしているほど才能溢れるピアノ科の学生・嵯峨がもう一人の重要な存在です。
孤独な聖也の帰ってくる場所、本音で相談でき羽を休ませられる場所だと思います。
森上が扉の開いた鳥かごなら嵯峨は巣でしょうか。

子供ではないんだということを自覚し、ソプラニスタとして生きていくため、森上の手のひらの上で踊るのではなく自立するため、飛び立っていく聖也です。彼の未来に幸あれ。

この作品を読んで、非常に残念だったのが、自分の引き出しの中に声楽という分野が無かったことです。
きっと何曲かは知っていると思うのですが、如何せん文章だけでその音楽を頭の中で組み立てることはできなくて、歯噛みしました。
聖也が実際に歌っている声が聞こえたら言うこと無しだと思うのですが、せめてここで語られているのはこういう感じの曲なんだということがわかっていれば、その作品をもっと面白く読めたと思います。

お話そのものは耽美な感じで、不思議な色気が漂っていて、CD製作現場など間違いなく現代なのに違う時代にいるような、異空間を漂っている気分になりました。

0

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