ゆったりまったりお茶の間ラブ

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表題作ポチとタマ

ポチ(修司)・会社員・28歳
タマ(太一)・翻訳家・28歳

その他の収録作品

  • ポチのマタタビ
  • タマの首輪
  • ポチのバカ
  • タマの浮気
  • ポチとタマのクリスマス
  • タマとポチのお正月
  • ポチと暮らす
  • タマの取説
  • ポチの家出
  • タマの春眠
  • ポチは三億円
  • タマの涙
  • ポチは狼
  • タマの旅
  • ポチのピロートーク
  • タマのささくれ
  • ポチの嗅覚
  • ポチとタマの日常
  • ポチが怒った日
  • ポチとタマの年末/ポチとタマの結婚式/あとがき

あらすじ

しっかり者で過保護なポチと、のんびりやでマイペースなタマは、付き合い始めて6年目の恋人同士
嬉しくなったり凹んだり、キスしたり「愛してる」って囁いたり、そして時々エッチ。二人にとって、一緒にいられる毎日が幸せなんだって思えることが幸せで
待望の人気携帯小説が文庫化! 読むだけで心がほっこりと温かくなる、愛情たっぷりの癒し系ショートノベル集・書き下ろし付き
出版社より

作品情報

作品名
ポチとタマ
著者
玉木ゆら 
イラスト
舟斎文子 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
ISBN
9784048680028
4.1

(21)

(11)

萌々

(3)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
86
評価数
21
平均
4.1 / 5
神率
52.4%

レビュー投稿数9

倦怠期のご夫婦におすすめ

付き合って6年目、同棲を始めたカップルの日常のお話。
約2年弱のお話が、計22話のショートショートで構成されているので、大変読みやすくなっています。
先日出たコミックスでは、ワンコ系の攻・ポチ(修司)とニャンコ系の受・タマ(太一)の心のかたちが犬や猫で表されていて大変可愛かったですが、こちらは口絵のみで挿絵はありません。
なので黒犬ポチと白猫タマには会えませんし、犬っぽいとか猫っぽいとかいう表現が度々出てくるわけではないので、逆に私は彼らの人間らしい葛藤を楽しむことができました。

彼らの馴れ初めにまつわるトラブルや、プロポーズまでのいきさつ、何のこと無い日常における悩みや、年中行事のエピソード・・・
二人が付き合うきっかけを作った筧さん(ポチの会社の先輩)、タマの友人で傍若無人なイギリス人・マイク、タマの友人・酔ったらすごい真理子さんといった、クセがあるのに憎めない三人と、ポチの妹・加奈ちゃんが二人の味方です。

お互いのことを必要とし、お互いのためになにかをしたいと思い、支えあって暮らしている二人はアマアマなのですが、その影には我慢をしたり(主にポチ)、自分の行動に疑問を抱いたり(主にタマ)、周囲の理解が得られなかったりと紆余曲折もあるわけです。
それぞれが小さな出来事をきっかけに描かれていて、温かい気持ちになったりホロリとしたり、ちょっと考えさせられたり、だたのバカップルで終わっていないのがこのお話のいいところではないでしょうか?
最終的に、30年後のお話まで書かれています。

ちょっと振り返ってみると、タマが「幸せ?」と問うシーンが度々出てきます。
ポチは必ず「幸せだよ」と答えます。
あなたと一緒にいられることこそが幸せなんだと、即答できる幸せ。
理想的ないいカップルだと思います。
彼らと一緒に温かい気持ちになれました。

例えば結婚生活に行き詰まっててしまったり、相手への不満ばかりが爆発しそうになったとき、これを読んだらちょっと反省できるのかなと思いました。

7

ほのぼのや切なさがちょっとづつ心に積もってきて癒される

もともとは携帯小説だったものが1冊にまとまったというこの作品。
ひとつひとつは短編なんですが
甘々とほのぼのと、時折切なさがバランスよく織り込まれていて
読み進むにつれてだんだん
ポチとタマを見守る友人達やポチの妹になったみたいな気持ちになってきますw

コミックスでも切なさはあったんですが
それでも全体にはほのぼの感が強かった印象でした。
なので、この小説版もほのぼのしてるんだろう、と思っていたら
思いがけず、ポチとタマのそれぞれの苦悩が随所に描かれていて
周りから見て幸せそうな彼らにも
ここまでたどり着くまでにこんないろんな辛い思いがあったんだと
改めて気付かされました。

おかげで、こんなほんわか作品なのに
「ポチとタマの結婚式」では思わず涙が。。。
他にも、なんでもない日常のひとコマでウルッと来ちゃったり
すっかりポチタマの世界にはまり込んでしまいましたw

肩の力を抜いて読める作品なのに
萌えもキュンもエッチも楽しめる、いい作品でした!

1

二人のなにげない日常。

ほのぼの、あったかいお話。 
二人の何気ない出来事の数々、日常がいい。
でもその中に見え隠れするちょっとビターな出来事もある。 
それがまたいい感じに合っていてよかったです。 
年をとるまでずっと一緒でいれるかといえば男女間でも難しかったりするけど、ラストのお話を読んで二人の人生を垣間見れたことが嬉しくて、そしていつまでもポチとタマなんだなぁと。
夢がありますよね。
読後は幸せな気持ちになりました。

ああ、ワンコのポチとにゃんこのタマもとても可愛かったvvv

1

悲しみも切なさも、全部ひっくるめて

優しくって甘い物語が読みたくて購入。でもそれだけの物語じゃなかった。ショートショート22篇で構成されています。

お互いをポチ、タマと呼び合うほのぼのカップルのなんの変哲もない甘い日常、と思い込んで読むととんでもない。
二人の馴れ初めは、彼のいたタマをポチが掠奪して始まったんだし、ポチは家族から理解されず、タマは前の男との経緯もあって心の中に哀しみや不安を抱えている。
二人の優しい日常は、二人の覚悟や関係を続けていこうという意志の上に成り立っている。決してパステル色のふわふわ綿菓子なんかじゃない愛の現実。ポチの方が絶対的愛情でタマを包み込んでいるように見えるけれど、ポチにしてみれば「タマは俺のことを重荷に感じているのでは?」と不安に感じている。ポチにとってタマは「俺の重たい愛をふんわりと包み込み、空気を柔らかくしてくれるもの。」唯一のひと。
二人はほのぼのカップルだけどもちろん性欲はあり、8話「タマの取説」や13話「ポチは狼」などでしっかりHシーンもあります。
そして最終話、30年後の二人。二人がずっと二人でいることを選んで過ごしてきた日々。さらりと「いまだにキスもセックスもしている」とあるあたりがとてもとても。愛おしい二人。

5

人気携帯小説の文庫化、22の短編集

1冊丸ご表題作の二人、22の短編集が収録されています。
「ポチ」と「タマ」は擬人化でも人外でもなくお互いのあだ名です。
ポチ(犬)が攻め、タマ(猫)が受けなので覚えやすいです。

私は携帯での小説は馴染みがなく、目次の22作品の羅列を見たときは、会話ばかりでスカスカの中身かも、などと失礼なことを思ったのですが、考えを改めさせて頂きました…!当たり前ですが、読まず推測なんて良くないですね。

付き合って6年目からスタートします。

1話交代で互いの目線でほのぼの甘い日常がつづられていくのですが、「タマの浮気」で二人が付き合いだすことになった頃の話、「タマの涙」「ポチが怒った日」でタマの抱えていた不安の話、と淡々とした語り口ではありますが、決して平坦だったわけでなく悩みも涙もあると読者に示していきます。

そして、表題作かつ最終話でもある「ポチとタマ」では、二人の幸せなその後が語られます。三十年も二人でいてくれて嬉しいですが、ああ完結しちゃったなぁと残念にも思いました。ずっと続いて欲しかった作品でした。来年の新しい手帳に希望予定やメッセージを書くとか、出張を家出と言い換えて気持ちに折り合いをつけるとか、可愛らしすぎます!
あと、ショートストーリーの表紙に小さな挿絵があるのも良いなと思いました。

ただ、余りにあっさり淡々と進んでしまていて、もうちょっと掘り下げて欲しい部分もありました。タマの浮気とか。でもそうすると、この作品の持ち味がなくなってしまう気もするので、いわゆる無いものねだりなのかもしれません。

最近は作者様はBLの商業作品の発売はないようで、ちょっと残念です。今度は違うタイプの二人で、この作品のような連作ショートストーリーが読んでみたかったですね。

1

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