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表題作甘い絶望の夜を捧げて

霧嶋隆俊 IT企業社長 25歳
芳野一葉 ヤクザ 25歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

跡目争いの最中、芳野一葉は八年前に家業を嫌い出ていった霧嶋組組長の息子にして、かつての主・隆俊の警護を命じられる。母の罪を背負い、ヤクザとしてしか生きられない一葉にとって、自由奔放で力強い意志を持つ隆俊は幼い頃から唯一の希望。企業家となり成功を収めていた隆俊に疎まれようが、再び傍に立てることが一葉には幸福だった。そんな一葉に隆俊は、自身の恋人の護衛を当然のように要求する。隆俊が一人の人間に惚れ込む様に、一葉は過去一度だけ与えられた彼の愛撫を思い出し、未だ消えぬ恋情を持てあますが…。

(出版社より)

作品情報

作品名
甘い絶望の夜を捧げて
著者
義月粧子 
イラスト
梨とりこ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576091402
4.1

(74)

(35)

萌々

(23)

(11)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
14
得点
304
評価数
74
平均
4.1 / 5
神率
47.3%

レビュー投稿数14

エピローグが欲しい……っ!

不幸すぎる過去を持つ超スペック受けとガキ臭いがカリスマ性のある俺様攻めの話。
受けに何度助けられても受けのおかげとは気付かず、理不尽に責める攻めの察しの悪さよ。この人魚姫展開は普段ならイライラしながら読むところだが、受けがウジウジしたり卑屈になったりすることがなく淡々としていたおかげでストレスなく読めた。

受けは生い立ちから前向きな思考回路でもないが、冷静に分析して仕事に徹し、女々しい健気さを出してこなかったのが良かった。攻めはボンボンらしい悩みを抱え、ボンボンらしい傍若無人さを備え持っている。加えて裕福な人間特有の素直さも兼ね備えているのが分かるので、誤解さえ解ければハピエンだろうと安心して読めた。
二人とも幼少期からの生い立ちが詳細に語られており、人物像を捉えやすくなっていたのも良かった。

ストーリーはヤクザものとはいえ、二人の関係の方にかなり重点が寄っていたように思う。跡目争いに巻き込まれて襲われての連続だが、事件はさらっと流し、それによって二人の結びつきがどう変わったのかに重きを置いて書かれていた。おかげでストーリーの印象は薄いかも。

ラストはやっと幸せになったシーンで終わる。ここまでずっと辛かったのだし、もう少し甘々を補給させて欲しかった。エロシーンでぶつ切りされてしまい、ここで終わり⁉と続きが欲しくなった。
納まるべきところに納まったというか、最良の組み合わせに思える二人。この先もケンカはしても別れることはなさそう、安泰だな、と良い想像が膨らむカップルだった。

文章はシナリオっぽく、小説としての味わいはない。説明調になったり、「そして」を多用したりと拙さも感じる。好みではないが客観視して読むには良いかもしれない。

1

凛々しく一途な受け。

個人的に受けが自分の好きなタイプであれば、攻めがどんなタイプでも楽しく読み進められるのですが・・・。
この作品の攻めの言動には心底苛々して「もういい大人なのに我が儘で身勝手過ぎる!」と何度思ったことか。
なので、隆俊(攻め)の恋人である淳弥が隆俊をバッサリ振ったシーンは気分爽快。
淳弥は当て馬のポジションだったけれど、かなりいい仕事をしてくれて(私の)溜飲が下がりました。
ここまで書くと「しゅみじゃない」になりそうな流れなのですが、一葉の魅力とお話の内容が好きなので「萌え×2」です(笑)

一葉は賢く美人な男前。腕っぷしも精神も強く、己を律し、色々な想いを秘めて忠義を尽くします。
幼少時に育児放棄を受け、最終的に組長(攻めの父)に拾ってもらったという強い恩義があるので、あくまで第一義は組長なのだけど、その姿勢に不満を抱く隆俊。
この辺りの関係性からどんどん拗れていく展開が可哀想で・・・。
完璧な主従の「従」の在り方で側にいる姿が切ないやら健気やら。

私が最も印象に残ったシーンは、一葉が淳弥を助けて代わりに殴られて負傷し、あわやというところで隆俊の助けが入り、病院へ行けとタクシーに乗せられる。
その車の窓から隆俊に走り寄る淳弥の姿が目に入り、隆俊と淳弥の二人の姿を見たくなくて目をそらす。
そこで思わずこぼした一言が「いてえ・・・・・・」 。
普段の一葉は隆俊にはもちろんのこと、隆俊の周囲の堅気の人々へも丁寧な口調と柔らかな物腰で接しているのですが、そんな一葉の素の言葉に私は胸を衝かれました。
体の痛みというよりも、心の痛みゆえの言葉なのだろうな、と。

攻めときたら!
我慢のきかないお子さまで読んでいて腹が立つことこの上ない。
例えば年齢が10代ならまだしも、30前後の大人がこんな言動とるとかありえない。
想いが通じあって結ばれた際も「ちょっと手のひら返しすぎじゃない?」とまだ隆俊に不信感(私が)。
こんなに終始、攻めに対して好感を抱かずに読了したのは久々でしたが、内容的には面白く、感情移入を促された物語の持つ力は素晴らしかったです。

3

幼なじみの拗らせツンギレ攻め(∩´///`∩)

荒ぶったレビューすみません。

攻めも受けも、2人の関係性も拗らせ具合も、すべて最高(;///;)
ちょうど読みたかった萌え設定の前で五体投地。

現在、某所影響により、
「拗らせた幼なじみ」「俺様ツンギレ」のワードに非常に弱ってる最中です。
上記に加え、「主従」「健気受け」「嫉妬」と萌えワードが詰まってて
最初から最後まで発狂しそうに萌えながら読んでました←


というわけで。
ヤクザの息子と、ヤクザに拾われた子供。
同じフィールドで切磋琢磨しながら育つけれど、意識的に植え付けられた主従の線引き。
幼なじみでありながら【主人と従者】であることが次第に深い溝となり仲違いへー。

膨らみすぎた不満で理不尽な俺様を振りかざすツンギレ攻めと、
何を言われても淡々と受け止め献身的な思いを募らせる健気受けのお話です。


ヤクザが絡むお話なので少しバイオレンスなシーンもあるのですが、
その場面の挿絵がすごくカッコいいです!
相手を蹴り上げ、ナイフを突き刺す。
↑この人物が『受け』なのですよー(∩´///`∩)

攻めのボディーガードが出来るほどの腕っ節の強さ。
頭の回転もよく、学生時代は成績優秀。
淡々として余計なことは話さずクールな人柄。
そんな人がベッドではグズグズになって泣かされるギャップが萌えます!

子供の時から、ただただ攻めだけを慕い。
攻めのためなら命すら顧みず飛び込む一途さ。
好きで好きで好きでと想いを募らせても、攻めに通じることはなく。
むしろ誤解が膨らむ一方で、攻めから嫌われてると思っています。
攻めから恋人との逢瀬を見せつけられても耐える姿に切なキュンでした(;///;)

受けは組長(攻め父)から背負わされたモノが重すぎて…。
生い立ちや境遇がシンドくて息苦しいです。

なのに攻めときたら・・・┐(-。ー;)┌ヤレヤレ
受けの内面や境遇を1ミリも理解せず、 言いたい放題の暴君。
受けにだけ冷たい態度で接し、受けのダメなところを挙げ連ねて褒めることはしない。
正直、冒頭は"何だコイツ…(呆れ)"とゲンナリしました。

が、しかし!
それがすべて無意識下にある愛情の裏返しだったのがもぅもぅ(∩´///`∩)!!!
冷たくするのは「俺を裏切ったから」というショック。
冷たくするのは「受けは俺のモノだから」という周囲への見せつけ。
冷たくするのは「どうして!どうして!俺を見ないんだ!!」という受けへの憤り。

まぁ、要は子供の我儘なんですけどね。
受けが大好きですべて自分のものにしたいけれど、受けは組への恩義があって思い通りにならず。
その腹立たしさを拗らせた結果がガキっぽいツンギレになってしまったというw

イライラするのは恋心からくる嫉妬心なんですが、
本人はのそのことに全く気付かず、受けに当り散らしたまま大人になりー。
指摘され、ストーンと胸に落ちるものがあって、ようやく自覚w
そこからの甘々な展開が床ローリングで悶えました(///Д///)

無自覚のツンギレ期も、自覚ありの甘々期も、終始一貫してるのは『一葉(受け)は俺のモノ』
暴君のくせに「一葉」「一葉」「一葉」で、もぉぉぉぉ…(無の境地へ)

そして仲が拗れても根底にある妙な信頼感。
幼なじみはこれだから堪りませんね!(﹡´◡`﹡ )

11

結構シリアス寄り

ヤクザの組長の息子(勘当済み)・隆俊と、現役の組員であり隆俊の幼なじみでもある一葉のお話です。

受がとても美丈夫でカッコ良くて、隆俊の目線からすれば可愛いところはもちろんあるのですが、BL的には攻であってもおかしくないほど男前なキャラクターだったのが良かったです。

たまたまですが最近ヤクザものを読むことが多いです。BL界隈で描かれるヤクザは「なんちゃってヤクザ」だとよく言われますが (個人的にあまりディープで痛い展開は苦手なのでむしろライトで助かるのですが)、今作はちょいちょいバイオレンスな描写もあって結構シリアス寄りかなと感じました。

幼い頃から隆俊を一途に想って、伝えられない気持ちを封印したまま命を賭しても隆俊を守ろうと決意している一葉が切なく、そんな一葉の内心に気づかず、自分を裏切った彼を許すことができずに冷たい態度を取ってしまう隆俊もまた切ない。そんなお話でした。

読み応えのある展開で、梨とりこさんの男らしさ溢れるイラストも素晴らしいと思ったのですが…。もうこれは本当に個人の感想ですが、同じ段落内で二人の視点が入り乱れているのがどうにも読みづらかったです。そこだけ残念だったけれど評価は「萌x2」です。

3

超絶健気受けはドM

ああ、読み終わってみればやはりの超絶健気受け。

ヤクザの家に生まれながら、反発して家を出て、会社を興した隆俊。一方、小さい頃は幼なじみに近かったが、次第に隆俊の部下として絶対的な服従を強いられてきた一葉。一葉は隆俊の起業時に誘われたが断ってヤクザとして組に残った。それ以降二人は疎遠だったが、親分の病気で再び隆俊の警護を命じられ、接近することになる。

この受けの一葉は、頭脳も抜群、戦闘の腕も立つが決しておごらない完璧な人間。有能な一方、ヤクザゆえに絶対服従で、警護対象の隆俊には常に痛めつけられてきた。人間は完璧ではいられない、その完璧さを崩すのは、愛に裏打ちされたご主人様のムチなんですね。ここはSMの精神構造になっています。

隆俊は可愛い男性とステディなつきあいをしていて、自分の気持ちを抑えつけながらも嫉妬にもだえる受け。

しかし、跡目争いに絡んでお互いがピンチに陥る場面では、必ず相手を命に代えても守ろうとする二人。やがて、隆俊の恋人が身を引き、二人を橋渡しする形で、二人はハッピーエンドに。

いくらなんでも、いい大人が好きな相手をそんなにいじめるかなぁ、という辺りと、そこまで人間自分の気持ちを抑えて生きていけるかな、というところが非現実的で気持ちがついていきませんでした。あと二人がくっつくのもちょっと都合良すぎな展開で。。

でもまあ、一葉の有能っぷりが気持ちいいのと、隆俊に体を開かれて乙女のようにもだえてしまう一葉がかわいいのとで、ちょっとおまけの評価になりました。

健気受けがお得意ではありますが、個人的には「彼と彼氏の~」のような丁々発止の対等なカップルが読みたいですね。

3

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