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表題作R134

麻也 R+Lモデル
白倉梓朗 R+Lファッションクリエーター

あらすじ

「俺だけ見て、俺にだけ話して、俺だけに優しくしてればいいんだよ」
四年前、白倉梓朗は幼馴染みで誰よりも大切な麻也を守るため、留学を決意した。そして今日、麻也のもとへ帰ってきた。けれど、梓朗の留学を裏切りとしか考えられなかった麻也は「一生おまえの顔は見たくなかった」と梓朗に告げる。一緒にいることに慣れすぎていたふたりの別離。それは互いに不安とより強い独占欲を抱かせもした。麻也を誰よりも理解しているのは自分だ、絶対的な自信を持っていた梓朗だったが──…!?
出版社より

作品情報

作品名
R134
著者
橘紅緒 
イラスト
高星麻子 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
ISBN
9784813011996
3.5

(26)

(7)

萌々

(5)

(10)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
87
評価数
26
平均
3.5 / 5
神率
26.9%

レビュー投稿数8

面白かった…余韻が残るものでした

一度この作家さんの作品を読んでみたいと思って手に取ったんですけど、
面白かった〜…というか、読んだ後に不思議な心地良い余韻が残るものでした。
私が読んできた(数少ないですけど)BL小説の中では結構新鮮な感覚があり、
むちゃむちゃ面白かったです。

まず読みながら思ったのは、すごく情景が頭にふわ〜っと浮かんできやすい文章だなと思った事。
最初の数ページで世界に引き込まれました。
情景とか感覚からストーリーを読んでく感じ。
ちょっとマニアックな例えですが、
キムギドク監督の「春夏秋冬」(だったかな?)みたい。
まったく台詞がない映画で、最初は訳わからんって感じだったんですけど、
段々と頭が無になってきて、考える脳がなくなってきて、
ただただ観て、想像力だけでストーリーを感じてくって感じ。
なので、あの人がこうなったからこうで、だから感動したっていうものでなく、
人間の生々しさみたいな、目を背けたいものがあるのに、
なんでこんなに美しいんだろう、なんで私はこんなに泣けてくるんだろうっというような、
今自分はどう思ってるのか解らないけど感動してる感覚。
初めて観た時はそれが衝撃で、びっくりしました。

今回もそんな感じ。
なんでこんなに泣けるんだろうっというような大きな揺さぶりはなかったけれど、
むちゃむちゃ面白かったですね。
本当何も考えずに読んでたので、最後の方はどっちにいくのか解らず、
え、やっぱダメ?やっぱいい?どっち?
っとドキドキしてました。
今迄私が読んできたものは、100%最後はカップル成立で、
成立しないものってないのかな〜、
あってもいいんじゃないのかな〜、
なんて思ってたので、
いよいよそういうのに出会えたか!とドキドキしてました。
後、由宇の年齢に関しては、作家さんが考えてたのより若いと思ってたので、ちょっとそこはあれれ?と…。
ここまで来たんだから、具体的にしないで、想像力に任せちゃって欲しかったなーなんて勝手な事を思いました。

細かい事とか考えちゃうと、面白味は薄れちゃうかな?というようなタイプのものだと思います。
なので、読む時のテンションだったり、後読む側の好みに大きく左右されるタイプのものだなーと思いました。
私には、丁度今が合ったみたい。
後、素人が偉そうですが、文章がすごく上手い。
橘紅緒さんの世界、私は好きみたいです。
もっと他のものも読んでみたいと思いました。

テンションとか好みによるかな?っというのも否めないので、萌萌評価。
でも神に近い萌萌評価です。

4

執着・嫉妬は絶対無二の存在ゆえ

茅ヶ崎のR134沿いにあるシェアハウスの物語は、それこそ現実離れした世界の人間の溜まり場でした。
橘さんの淡々とした文体、頻繁に変わる目線、雰囲気とイメージ先行は、現実でありながら非現実の、まるで映画を見せられているかの如くです。

ふしだらな母親に育てられ捨てられたトラウマ持ちの麻也。
幼いころから一緒にいて、麻也の唯一だった梓朗。
梓朗のほうが一足先に大人な考え方をして、彼を守るために4年離れたのに、捨てられたと思い込んで「死ね」なんて言う麻也のトラウマはとても重傷で、梓朗に依存しきっている存在だと思います。
大人になりきれていないのです。
片や梓朗は、いつもと変わらず接しようとするのに、その麻也の隣に由宇がいつもいるのにだんだん心乱されます。
由宇は麻也が拾った子。
親を捨てたという孤独な由宇に、自分の孤独を重ねて庇護していたかもしれません。でも決して由宇は梓朗の代わりにはなれていなかったのですが。
同じファッション業界で、しかもかなりの異端な人間ばかりが周りに登場しますが、皆それぞれに我関せずな自分勝手な状態で、ただ話に色を添えているだけかもしれません。
唯一、麻也と梓朗の過去に関係するリサの登場は二人の関係の進展に大きく影響します。
抱き合って、キスして、やっと結ばれたのに、由宇が女の子だったいう事を知り梓朗は麻也と別れようとします。
お互いに嫉妬しあい、平行線でいくのかと思われましたが梓朗に由宇と梓朗のどちらかを選べと言われ、あっさりと「由宇を捨てる」と言い放たれ、二人は改めて離れられない存在となる。
梓朗に執着する麻也も子供なら、由宇に嫉妬する梓朗も子供だったような、、、
多分この主人公の年齢は20~22くらいだと思われますが、特殊な環境で特殊な生活を送ってきた人たちですから、多少お子様な部分があっても仕方ないのかな?と思いました。

しかし、本当に雰囲気はとても洒脱である意味退廃的な空気感のある作品でした。

9

現実離れした浮遊感がたまらない

楽しみにしていた橘さんの新刊。
相変わらず静かで独特な雰囲気のお話でした。

同性の幼馴染に恋心を抱き、罪悪感に苛まれるものの、
思う気持ちを止められない梓朗。

成就する可能性のない恋心を胸に思い悩み、
恋人になれなくても、
相手の側に居られるだけでいいと思ってみても。

恋のライバル?の登場に苛立ち、そして……と
展開していく物語は、恋愛ものとしては王道というか。
古典的なお話だと思います。

しかしそんな古典的な物語を、
「ハウス」に集う変わり者の住人達や、
橘さんの曖昧な低温文章によって、現実離れした
一風変わった感じの作品に仕上がっていると思います。

特に同性の幼馴染に自分の恋心が受け入れられないで
あろう一番の原因が、「男だから」ではなく、相手が
「性別を問わず、他者を受け入れられないから」
というのが。
梓朗の絶望感を際立たせ、切なくなりました。

しかし梓朗と麻也が互いに激しく執着する様は、
読んでいてゾクゾクしました。
ちょっと病んでいる感じがたまりません。
あと高星麻子さんの表紙が素敵です!

6

藤棚

>かにゃこさん 

こんにちは、コメントありがとうございます!
橘さんは低温ですよね~(笑)
読むタイミングによっては物足りなく感じる時も実はあるのですが。
今の私には丁度、橘さんの曖昧低温文章がツボで。面白かったです。
かにゃこさんのお好みに合えばいいのですが……

最後の展開がなければ

結構普通に萌え評価だったんですが、
正直最後の受けの白倉さんのあの逃げ腰っぷりは…。
攻めの麻也くんの為を思って
彼の為に(将来性のある関係)を優先させてあげたい
という気持ちに負けそうになってしまって
「男の自分のほうが引かなきゃ」って思いに駆られて
しかも、それ自体に耐えられないにしても…
一応相手の言い分くらい聞いてやってらどうかな、普通に…。
恋愛は一人でしてるもんじゃないんだから~!
「もっと最初に覚悟を決めてたんじゃないの~」みたいな気にさせられてしまい
なんか一気に萎えたというか、気が抜けてしまった感があります。

でも、橘さんの少しクセのあるセンシティブな感覚は好きです。
なので、かなり中立よりながら萌えにとどまったような…。

出だしとかかなり好きだったので、ちょっと残念です。
次の作品を楽しみにしたいです。

5

不思議な魅力だが……

映画のような、というより
先鋭的でファッショナブルなPVのようか。
舞台は、茅ヶ崎の海の近くR134沿いにあるシェアハウス。

最初から疑問だったのは、この子達いったい何歳なんだろう?ということ。
由宇の年齢はもうすぐ14歳と出てくるが、
主人公二人やハウスに集う、大人なのか子どもなのか分からない
エキセントリックな人々。

NY帰りのクリエーターと、モデルの話。
幼なじみの二人、子どもの頃から特別な関係だった梓朗と麻也。
お互いに執着しあっていた二人だが、
友情とは呼べない自分の気持ちに気がついた梓朗は、互いを守る為にNYへ行く。
一方、「NYへ行くなら死ね」と言った麻也。

話は4年ぶりに梓朗が帰国し、二人が再会するところから始まる。

恋して欲しているけれど、相手はそういう風には自分を欲してくれない、
でも失いたくない程大切な存在なので、そばにいるだけいいと思うが、
でも離れている間に、相手には自分以外に側におく存在が出来ていて……
という、話自体は恋愛物の基本形みたいな話。

この当て馬が実は…というのは、ちょっとご都合主義な感じもなくはないし、
他の登場人物達は、オシャレでカオスなハウスの雰囲気は作っているものの、
ストーリーには必要ないかも?という感じ。

頻繁に切り替わる場面と視点に軽く混乱するし、
誰が話しているのか分かりずらい台詞、と読みにくさもあるが
それがこの不安定で浮き世離れした独特な雰囲気を作っている、とも言えるだろう。
つまるところ、その雰囲気が好きか?嫌いか?かな。

高星さんの少女漫画っぽくキラキラの挿絵は、雰囲気にあっていて○まるでした。

5

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