月に笑う 上

tsuki ni warau

月に笑う 上
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神25
  • 萌×213
  • 萌14
  • 中立1
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
15
得点
220
評価数
57件
平均
3.9 / 5
神率
43.9%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
リブレ
シリーズ
ビーボーイノベルズ(小説・リブレ)
発売日
価格
¥950(税抜)  ¥1,026(税込)
ISBN
9784862636997

あらすじ

路彦は、深夜の教室である事件を目撃してしまう。それ以来、事件のことを探りにチンピラの信二が学校周辺をうろつき始めた。ひ弱な優等生と小さな組のヤクザ──年齢も環境も大きく違う二人なのに、知り合ってみるとなぜか奇妙な友情関係が芽生え、路彦の未成熟な心と体に、信二の存在は唯一の安らぎとなっていくのだが…。二人の出会いから九年の歳月を描く超長編。大量書き下ろしを加え上下巻同時発。
(出版社より)

表題作月に笑う 上

山田信二 弱小組構成員
加納路彦 いじめられっ子

その他の収録作品

  • 月に笑う1
  • 月に笑う2
  • 月に笑う3

評価・レビューする

レビュー投稿数15

表紙が綺麗

上下巻とボリュームたっぷりで、上巻読み終わったら下巻がめちゃくちゃ
気になって、結局やっぱり一気読みをしてしまいそうです。
何が素敵ってこの本の装丁、上下巻をぴったりひっつけると、1枚の絵になるようになってます。そ
れも、出会いから9年間の歳月を描く壮大なストーリーになるそうなので、上巻は出会った年、そして下巻では9年後の年が描かれてるんですかね。【美しいこと】みたいでドキドキしました。

ヤクザものなため、その手の残虐描写も結構多いので、読んでていろいろと痛いんですが、上巻は下巻の布石的展開になっていて導入部分という感じです。
二人の間はまだ微妙な関係であって、決定的なものはない。
下巻に期待。あー…どきどきするなー。読むのがこわい。
どうか恐ろしいエンディングがきませんように……。
と、恐る恐る下巻を手に取ります。

1

情に飢えた苛められっ子と下っ端ヤクザの傷の舐め合い


あらすじは他のお姉様方のレビューを参考にお願いします。私は特に印象的だったポイントをあげたいと思います。
まず、この本の魅力はずばり表紙だと思います。実はこれ、上下でくっつけると一つの龍の絵になるのです。そして、上下で変化する路彦と山田の関係が如実に表現されています。上では、まだ幼い路彦に手を差し伸べる山田が描かれています。一方、下になると路彦が大人になり、山田の方が逆に守られる立場になります。それがとても美しく表現されていて、本当に素敵な表紙だと思いました。
また、キャラクターの魅力も多い話でした。路彦の中学時代は「〜もん」という語尾が多用されていてとても可愛いかったです。
一方ヤクザの下っ端である山田は路彦の涙に弱く、泣かせては機嫌を取り、お菓子を買い与えるという下手な子守りをしていて面白かったです。
そんな二人が怪しい雰囲気になる場面のセリフが鼻血ものだったので紹介します笑
「お前さあ、オトコでよかったな。女だったらソッコー俺に犯されてるぜ」
「僕が女の子だったら、信二さんに犯されて、妊娠して、子供を産むの?」
路彦可愛すぎません?中学生罪や...
「お前キス続きしたことあるか?」
「幼稚園の時に、隣のクラスの亜由美ちゃんとした」
可愛すぎる...しかもその後キスして
「お前の最初のキスは俺だ。ざまあみろ」
と言う山田に、路彦への独占欲みたいなものを垣間見たような気がして興奮しました。
しかし、そんなことがあった翌朝、路彦が山田の兄貴分の美濃部に殴られます。そこで迷わす路彦を自分の背中に隠して守るところにときめきました。そのあと、ボコボコにされた身で路彦の顔を撫でて彼の心配をする山田に、路彦への愛を感じました。
2章になり路彦が高校に上がった後も二人の微妙な関係は続いており、お互いにシコリ合った時、路彦の可愛い喘ぎ声と色っぽさに山田はノックアウト状態でした笑 それを誤魔化すために乱暴にキスしたり、言葉で嬲って照れる路彦の反応を楽しんだり、完全に惚れてる山田でした。 また、山田視点になる2章では路彦のことをずっと可愛いと表現していて微笑ましかったです。
山田は路彦とのじゃれ合いを、オナニーの延長線上だと自分に言い聞かせていましたが、本当は自分が思っている以上に彼を愛してるのだろうと思います。 また、自分を大切に思ってくれる人がいない人生を送ってきた山田だからこそ、路彦の情にすがって、必死に繋ぎとめてるようにもみえました。一見路彦の愛の方が山田に勝っているようにみえますが、実際はお互いに深く依存しあっているのだと思います。

2

うっとうしい話

受がかなりうじうじとうっとうしい。性格も非常に自己中心的。まったくの女脳。攻も好感がもてない。

1

人としてどうありたいのか

 夜の学校にこっそりと忍び込んだ加納路彦は、男とクラスメイトで、いつも女子からいじめられている斉藤が争っているのを目撃してしまいます。斉藤は窓から飛び降り、帰らぬ人となってしまいます。路彦も同級生である長尾からいじめられているので、始まりから暗い印象を持ちました。
 そして、斉藤を巡り、路彦は山田信二と出会います。

 斉藤が亡くなった翌日、いじめていた人間が顔を真っ赤にして泣いている。偽善の涙、軽蔑すべき嘘つきの猿などと路彦は思うのです。

 日ごとに路彦へのいじめが激しくなっていく中、信二をすがってきた路彦を突き放してしまうどころか、ビンタまでしてしまうのです。けんかして、ブッ殺すまでしがみつけという穏やかではない言葉を彼に浴びせるのです。それが彼を大人にするなんてというという、ちょっと危うさがあるところでの冒険をどきどきしながら読みました。

 上巻では、路彦の中学生、高校生、大学生までが書かれています。このころの男の子は本当に目を見張るほど成長が早いです。ただし、かなり痛々しい場面があるので、途中何度か読むのを中断ししてしまった作品でもありました。決してほっこりも続き和みもしないし、ヤクザとかたぎというテーマなので、私の好きなジャンルではなかったということもあるのですが、子供から大人、路彦がどうありたいのかなどのテーマが重く胸に響きました。

0

リアルな現実を突きつけられるような気がした

中学生の路彦をとりまく「いじめ」の環境がリアルだなと思った。
今の義務教育の現場で普通にある話なんじゃないかと思うと憂鬱になる。
「あんたみたいな大人がいる限り、何人も子供が死ぬよ」路彦の言葉がすごく印象的だった。
じゃあ、どうしたら良いんだ・・・というところは、するっと流して話は違う方向へ。
信二が死んでしまったと思っていた路彦だったけど実際は助かっていて二人はまた出会い交流が始まるあたりがなんとなく甘いというか、路彦の両親の影が薄いというか・・・。
色々な意味で路彦と信二の未熟さが際だった上巻でした。
この物語、この後はどうなるのかな・・・

0

上下まとめての感想です

木原さんの作品なのに、これは痛くない!
そう思ってしまう私は立派な木原ジャンキーかもしれません。
辛いだけのお話ではなく、くすっと笑えたりほっこりする箇所もある。
そういった意味では、「こどもの瞳」「薔薇色の人生」なんかとひと括りにしたいなと。

中2の路彦は、同級生から夜の公園で激しい暴行を受けているところを、4つ年上のチンピラの信二に助けられる。
そんな出会いから10年間にわたる二人のお話。

真面目で勉強ができ、体が小さくてひ弱な路彦。
学校と自宅の往復の毎日で、どこかに行くとしてもせいぜい塾か図書館。
中学生なんて、狭い世界でしか生活をしていないのですよ。
それなのにクラスでいじめに合うなんて、逃げ場もないし孤立無援で、相当キツイだろうなあ。
そんな風に精神的にかなり参ってるはずの路彦の前に、不意に自分とは毛色の違う人種の信二が現れたわけです。
憧れと好奇心と依存心がない交ぜになって惹かれるってのも、よーくわかります。
タバコや酒、家を抜け出しての夜中のドライブなどの、ちょっとした悪い遊びを覚え、次第に成長していく路彦は、大学生にもなると背も信二を追続きい抜き、様々な知識を得て大人の男になりつつある。
その間信二はといえば、田舎の小さなヤクザの組から東京の組に移り、スーツを着込み、組長の息子の秘書もどきの仕事を任せられと、表面だけは出世したようには見えるけど、下っ端ヤクザという地位は変わらず、実はなにひとつ成長してはいない。
臆病なのは信二のほうで、強かったのは路彦。
人の心の弱さや本人さえも気づいてなさそうな脆さ、窮地に追い込まれ、誰も味方になってくれないとわかったときの敗北感や、なんとかならないかと必死に足掻く焦燥感。
こういった感情を、巧みに描いて愉しませてくださるのが、木原さんなんだな~。

読み終わって、上下巻の表紙を見比べると、またじわりとした感動が。
おそらく10年経った二人なのかなと思うのですが、信二が同じスタジャンを着ていることに泣きそうになったりして。
梨とりこさんのイラストは、これ以上ないと思うほどのイメージどんぴしゃな二人でした。でしゃばることなくお話を引き立てて素晴らしかったです。
イラストってほんとに大事だなあ。

1

良い。

(ヤクザ)や(事件)などの系統が、あまり好きではないので
読み始めるまで時間が掛かりましたが、めちゃくちゃ良かった。
中学生~大学生までの、路彦の視点は、成長と見事に横並びしていて
切り替わっても違和感を全く感じない。自然に変っていくのですごく読みやすかった。
背伸びをしながら、大好きな信二を、追いかけてる路彦はすごく可愛い。
信二の視点でガラッと雰囲気が変り驚いたけど、
言い回し、表現、文句までもが、いちいち面白しろかった。

0

猫なのに犬に発情することに戸惑いを覚える。 猫に育てられた犬は、その違いに戸惑わない。

社会から捨てられたようなチンピラヤクザの信二と
いじめられっこの路彦は、同じような劣等感や孤独を抱え
つながっていくお話でした。

私には、信二が猫のようで路彦が犬のように思えて
猫なのに犬に発情することに戸惑いを覚える信二。
猫に育てられた犬は、その違いに戸惑わない路彦。
そんな風に感じました。

ガツンと暴力的な文字と文字の間に
どこか心温まるような雰囲気が漂っていて
ちょっとかっこ悪いところが愛しいと思える登場人物たち。

挿絵を担当されている梨とりこさんのイラストが妙に色っぽくて
人生の底辺の血なまぐさいところを生きているのに
どこかクールで無臭な感じが私には後味がよく、心地よく読めました。

人が生きていくうえで必要なものは、人のぬくもりなのかもしれない。
でも人が死ぬ原因になるのも、やはり人なのかもしれない。

けっこう考えさせられます。

1

お月様が見てる、それはへぼんの常套句ですが…

ヤクザといじめられっこか… 痛みの予感に身構えていたら、
あれ? 痛くないぞ。 しかしBLにおけるヤクザって大体
インテリヤクザで派手にきったはったを繰り広げるのに、
妙に地に足のついたチンピラに毛が生えたようなヤクザで
苦笑を禁じえない。 木原音瀬の作品に共通するテーマのひとつに、
どうしようもないひとを好きになっちゃった苦悩があると思う。
皆が彼を悪く言う、でも俺にとっては彼は宝物なんだ、という
開き直りが私は凄く好きで、この作品にもそのテーマは流れている。
でも『HOME』や『黄色いダイヤモンド』と違って優しく流れる。
刑事に向かって、路彦がタンカを切るシーンが好き。
路彦の成長が嬉しい。 お互いがお互いの居場所になる、
大事に関係を育んでいくその経過を丁寧に追っている。
上下巻のボリュームは納得。下巻まで読み終えるとタイトルの意味が
ストンと落ちてきて爽やかな読後感に浸れました。

1

イマドキの子供と昔ながらのチンピラのちぐはぐな組み合わせ

父親が医者だ、というだけでいじめられ
さらに、クラスでいじめられてた女子が自殺をしたために
クラス単位でのいじめの次のターゲットになってしまった路彦。
そんな路彦のいじめの現場にたまたま居合わせ
気まぐれで路彦のことを助けたチンピラの信二。

一見全く共通点などなさそうな2人ですが
自分にはいじめられる理由はないはずなのになぜかいじめられてる路彦と
ヤクザの上下関係ゆえ、同居している兄貴分の男に
その日の気分で殴られたり蹴られたりする信二は
「理不尽」な目に遭っているという部分のみが重なっていて
でも、そのことに2人とも気づかないまま
なくてはならない存在になっていく。。。そんな物語です。

この上巻では
2人が出会った頃から、信二の所属していた組が解散する事になる頃までの
2人のちぐはぐな関係と、彼らを取り巻くさまざまな出来事が描かれています。
路彦は、自分を変えるきっかけをくれた信二に懐きつつも
信二と同じ道を辿るでもなく、自分のペースで生活してて
それが逆に「イマドキ」の子供ならではの割り切りにも見えるし
信二の方は、組では下っ端でしかない続き自分に初めて出来た「舎弟」のような路彦が
何だかんだいっても可愛くて仕方ないのが良くわかるんですが
まだその気持ちが何なのか、自分でも気づいてない感じが
2人のいい感じの距離感を保たせてて、ちょっとだけ微笑ましかったりします。
そんな2人なので、エッチなことも
お互いのモノをさわりっこする程度w
路彦の方は、きっともっと先にことも望んでたんじゃないかと思いますが
信二が、路彦に対する気持ちをまったく自覚出来てないから
そこから先へ進めなかったみたいですね。
それでも時折「おまえ、何でチンチン付いてるんだよ」って言ってるのを見ると
かなり路彦のことを気に入ってるんだろうなと思うんですけどね^^;

彼らの回りに居る面々も、妙に人間臭くて
お話としてはシリアスなんだと思うんですが
それほど重さを感じずに読み進めることが出来ます。

下巻では、信二が東京の大きい暴力団に入るところからスタートになります。

2

上巻

今回のお話は、元イジメられっ子×ヤクザ!!
なんともときめく設定ではないですかヽ(*´Д`*)ノww
どうしても、小説って最初に挿絵を見てしまいたい!なところがありまして。
そんでもって、エロシーンだけ最初に見ときたい!なところがありまして。
ヤクザなおにいちゃんが受けている!そして背中に刺青!
それだけでちょっと悶絶してしまいました。
なんといっても、木原作品ですし?
お話としては、イジメられ~な路彦とそれを助けてくれる形になったヤクザ山田の出会いから~なお話。のっけから、クラスメイトが夜の教室で飛び降り死亡。
陰湿なクラスのいじめ。クラスメイトからいじめられ、暴力をふるわれ・・・
重っ・・・(´Д`;)/ヽァ・・・
だんだんと、ヤクザな山田と仲良くなってほのぼの~してきたかとおもえば、これまたこんどは山田が兄貴にフルボッコされた挙句・・・・助けを求めたマンションの住人。すがりついた警官の対応、そしてつれていかれた警察署での言動。路彦に感情移入していたせいもありますが、世間世知辛いなとおもってしまった。所詮世の中こんなもん・・・とちょっぴり切なくなってしまいまし続きた。「僕が転校して死にたくなるまでいじめてやる」このシーンちょっと重いけど好きでした。身にしみる。はっ!その前の、ほのぼの~な路彦と山田のイチャイチャ振りがいちばn好き。「信二さんの子供をうむの?」に思わずキュんとしてしまった。
フルボッコ~再会。あんなに重たいシーンだったのに、山田のあのコザッパリとした対応というか、反応にはなんだかちょっとポカーんとしてしまいました。
いいかげんで気分屋。それがまさにと出ている部分。この作品を重たくしていないのはこの山田のキャラクターにもあるのかな~と思いました。

ストーリーとは別になりますが、攻守がわかってしまっている状態で、攻がケツいじられてたりとか、受とわかってるキャラが攻のケツをいじってたり。
妙な萌ツボがたっぷりで堪能させていただきました。
この地点での山田はかわいすぎてツボ。なによりも萌キャラでした。フフフ

1

痛くない方のコノハラ

いじめられっ子のチビの中学生・路彦が、ある晩、偶然に、ヤクザに追いつめられたクラスメイトが死んでしまうところを目撃して、、、
という、スリリングな始まり方をする本作。
前半は、いじめはどんどんエスカレートするし、
死んでしまったクラスメイトのことをかぎ回るチンピラ・信二は出てくるしで、
どんな痛い展開になるのかと思いきや、、、

路彦は、公園でいじめのボスに暴行されている所を、偶然通りかかった信二に助けられます。
そこから始まった二人の関係、
路彦は、信二を唯一無二の救済者としてどんどんのめり込みます。
信二も、自分の気持ちが何かはわからないままですが、路彦を大事にしたいとは思っています。

この信二が、チンピラヤクザではあるのですが、心の根っこの所が、とっても素直で、真っ当で、ポジティブなので、路彦がどうしてそこまで信二に惹かれてしまうのかが、結構すんなり納得できる。
ストーリーの展開そのものも、暴力シーンや、シモネタが出てきても、全体の印象は不思議と明るく爽やかです。

「コノハラ=痛い」をいい意味で裏切るこの作品。
路彦の成長につれて、二人の関係が徐続き々に変わっていく後編まで、読み出したら一気に読んでしまうおもしろさ。
BLのお約束をことごとくはずしたキャラクター達は、普遍的な小説としても最上級のおもしろさ、
2冊通して、まとめ読みをオススメ

4

時々ニヤリとする

ヤクザの世界にしか居場所が無いと言い切る信二は、暴力もゆすりたかりも平気でできる、決していい人間ではないのですが、基本が優しいというか義理と人情を重んじているような昔気質な部分があります。
また、裕福な家庭に育ち学力は問題ないものの、心を通わせる友人や家族がいない路彦は、いじめられながらもそこに居場所を見出そうとしている寂しい中学生でした。

ある日恥ずかしい格好にされいじめられていた路彦を、信二が助けたような状況になり、信二をただひたすら慕う路彦が誕生するのですが、始めのうちはなぜ路彦がこんなにも信二を慕うのかわからないままお話を読み進めておりました。
しかし、たとえば家族や親友に毎日の楽しい話を聞かせ、悩み事を相談し、時には親に内緒の下世話な話もできるのが普通としたら、路彦はその普通の部分を持っていなかったわけで、初めて信二と出会った時にはすでに恥ずかしい自分をさらしていたということは、始めっから信二とは裏事情まで知っている仲になっていたのだから、14歳といってもまだまだ幼い思考の持ち主の路彦が、彼を慕ってしまうのも仕方が無いなと・・・

チンピラとの付き合いですから、続き好ましいことなどほとんど無く、犯罪すれすれのようなこともしないわけではないですが、お互いが本当にハマってはいけないことに関しては相手を守ろうと必死になるのです。
信二は、いつヤクザな世界に飛び込んでしまってもおかしくないくらい不安定な路彦を、ひたすら「カタギ」として扱おうとし、路彦はヤクザな信二は認めても、犯罪に手を染めることは許せなくて・・・

うまい具合に、大人しい女子中学生とヤクザの関係した覚せい剤事件を絡め、信二は瀕死の重傷を負うのですが、そこに居合わせ警察の事情聴取を受けた時の路彦の言動に、彼の今まで抱えてきた理不尽な思いが詰まっているなぁと思いました。

高校生になっても大学生になっても、ただひたすら信二を慕う路彦。
信二の方は組が解散したり別の組に移ったりと状況が大きく変わります。
自分の気持ちにはっきりとした理由がつけられないけれど、ひたむきに関係を続けようとする路彦を受け入れ、時には頼りにしている信二と、人間的にも体格的にもどんどん成長していく路彦の立場がなんとなく逆転しだします。

いじめやヤクザの世界など、暗くて痛い始まりでしたが、路彦が成長するにつれ、どこかニヤリとしてしまうような、曖昧な感じの優しさのあるお話になりました。

つづく

3

居場所のない二人、野良猫と仔猫

萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
ヤクザの下っ端チンピラ・信二と、いじめられっ子の中学生・路彦の、出会いから9年の二人の遍歴を、上下巻でがっつりと。

ヤクザといじめられっ子。
弱肉強食のヒエラルキーでは明らかに最上と最下の組み合わせなのに、予想と違って泣き虫で幼い路彦こそが、ヤクザの信二を「守りたい」と思うのが面白いです。
おかげでどっちが受け攻めなのか、読みつつやきもきしちゃいました。こういう受け攻めの枠に嵌めようとする癖はよくないなあ~と、わかっちゃいるんですが。まあそれは置いといて。

あらすじの印象ではハートウォーミングな感じかな?と予測していたのですが…やっぱり違いました。笑
いじめに犯罪、人は死ぬし、暴力シーンは結構な頻度で発生するし、チンコだなんだの下ネタもどんどこ。でも作品の印象はなぜか下品じゃないし、さほど重くも感じられなかったのが不思議といえば不思議。(あくまで個人的にです)

自分の居場所がないという共通点が、全く違う二人を磁石のように引き寄せています。そして、やがてお互いこそが自分の拠り所になっていく。
上巻ではまだその繋がりにはっきり続きとした名前がなく、友情の延長線上のようにも見えます。が、恋愛感情にも見えなくもないという、その際どさにかなりどきどき。
また、信二がヤクザであることも二人の未来に影を落としそうで、二重の意味で続きはどう転ぶのか気になるのが必至。
ということで、下巻も一緒に買った方がいいと思います。

話が少し変わりますが、斉藤さんの事件はかなりショックで、ここまで容赦なく描かれていることがかなり後味悪かったです。が、あえて挑んでいるんだなあと、刑事と路彦のやり取りで感じました。

それにしても表紙と帯がナイス!
下手な煽りが透けて見えないし、上下での年月の経過による二人の対比も良い感じ。並べてうっとりしました。まー、信二がかなり美化されてる気もしますが。笑

3

まだ序章、これからどうなっていくの!?

今回は上・下巻と長編の作品です。
まず、上巻を読み終わって不思議な感覚に囚われています。
木原作品に大体登場すべき痛い人々はいずこ?
確かに、ヤクザが登場して(だが派手なものでなく地味で弱小なのが現実味を帯びている)、いじめだの、人が死んだりと、暗い要素があり、主人公の少年は、どこか欠如しているような、でもこんな子いるかもしれないと思わせる人間だし。
いじめのシーンにしても、こんな感じだよね、とやけにリアル感があり、痛さとは違う感じです。
これが始まりの始まりであるからかもしれませんが、ひょっとすると痛い人は主人公達ではなくて、周りの人達なのかもしれません。

「1」は中学生の路彦の視点から。
高校生になった「2」と大学生になった「3」は信二田の視点からです。

夜に学校に忍びこんだ路彦が見たものは、男に追いつめられて窓から飛び降りたいじめられていた同級生の女子・斉藤。
クラスのいじめの矛先は、次は路彦になる。
彼は飛び降りて亡くなった斎藤のことを聞いて回る、ヤクザだとう信二と知り合う。
いじめっ子を蹴散らす信二を多分路彦は、強くて守ってくれる人と思ったのだろ続きうか?
そして、彼のように強くなりたいと思ったのだろうか?
犬の子のように信二に懐く路彦だが、信二も路彦を冷たく突き放すでもなく、路彦と一緒にいることを楽しんでいる気がする。
学校ではじかれたモノ、社会からはみ出たモノ、友達がいない者同士、そんな親近感が二人には芽生えたのだろうか?歳の離れた友達、そんな風景さえ見せる。
疑問形でしか書けないことが自分にももどかしいのだが、その気持ちの描写がないので、推測するしかないのだ。
路彦の初めての自慰は信二によって、それから路彦は信二に固執するようになる。
信二と攣るんでいることが警察沙汰から親に知れ、全寮制の高校へ行くことになる路彦。
しかし、路彦と信二の奇妙な友情(?)はずっと続いていて、この時にはもう路彦は信二を好きという気持ちが生まれていて、きちんと挿入したセックスをしてもいいとさえ思っていたのです。
信二は路彦を、女の代わりにしたくないと思っているのですが、そうすることで路彦に嫌われたくないと思っているのです。
そういう気持ちが働く分、信二は臆病な大人なのですね。
そして彼は組の解散に伴い東京に出ることになります。
どこまでも信二についていく路彦。

路彦の粘着気質と、それを嫌がらず受け入れる信二。
まだ海の物とも山のものともわからない、そんな段階の上巻です。
下巻で二人の葛藤と怒涛の展開が待ち受けています。
線の細い梨とり子さんの絵は木原作品に不思議な雰囲気を醸し出しています。

5

この作品が収納されている本棚

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