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表題作甘い運命

樫崎一。パティシエ
湯原和弘。教師

その他の収録作品

  • 甘い運命
  • チョコレート・ホリック
  • あとがき

あらすじ

フレンチレストラン、ル・ジャルダン・デ・レーヴのパティシエ・樫崎一は元担任の湯原と彼の姪と同居中。人の好い湯原は一の想いに気づかないが…。
『愛と混乱のレストラン』、番外編!

作品情報

作品名
甘い運命
著者
高遠琉加 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
愛と混乱のレストラン
発売日
ISBN
9784576100173
3.9

(60)

(28)

萌々

(11)

(16)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
17
得点
234
評価数
60
平均
3.9 / 5
神率
46.7%

レビュー投稿数17

無口なロマンチスト

「愛と混乱のレストラン」でのパティシエ・一のお話です。
……やっぱり高遠さんはすごいです。

お話は一が高校生だった頃からスタートします。母親との確執がすべての切欠となり、とどめの傷害事件が起き、どこにも居場所のなくなった一。冬の夜の公園で元担任・湯原と再会し、そのまま湯原宅へ住むようになります。
それから始まったのは、湯原の亡くなった姉の子ども・海との3人の同居生活。この3人での日々が、一を生き返らせていきます。
ずっと3人で過ごしたい、それ以上はもう何も望まない。
そんな一の願いと、3人での生活は反比例してしまいます。亀裂の入る幸せ。誰一人悪役がいないというところが、苦しみに拍車を掛けます。

徐々に徐々に燻りだした一の湯原への想いは、海がいなくなってしまった後で一気に加速します。ある出来事が切欠で、湯原の元を離れた一。そうなってしまって寂しかったのは多分、湯原の方。このすれ違いは切なかったです。

紆余曲折ありまくりの上で、くっ付くまであと少し!というところで、同時収録の「チョコレートホリック」へ。こちらは湯原視点で進みます。
一の先生を口説き落とすための手段はなかなかに凝っていて、エロい。一気に落とそうとせず、じわじわと攻め立てていく一。その手管に見事に捕まって、湯原を手に入れます。
自分を「ずるい大人」だと自覚している湯原もよかった。元生徒に振り回されている先生だということも分かっています。一歩を踏み出せて本当によかったです。笑

帯にあった湯原の台詞に、親父萌えの(経験の)ない私は一瞬ためらいましたが、その不安は杞憂に終わりました。しかも久我の弟・雅紀とくっ付くものかとぼんやり思っていた私…。無粋でした。
あと作品を読み終わった後に口絵を見ると、胸にくるものがあります。

シリーズ既読ですが、読んでいなくても問題はないかと思われます。ただ、シリーズ後の久我と理人をちょっと読めただけでも嬉しくなっちゃいました。小冊子も是非応募したいと思います。

3

幸福の甘さ

愛と混乱レストラン番外編。
1巻の最後に短編で載っていた二人、パティシエの一(いち)と先生のお話です。

母に愛されなかった一、母親を亡くした海ちゃん
そしてそんな二人に優しい愛情で接する先生。
世間的では一般ではなくても、3人にとっては幸せな家族のかたちだったと思います。

甘いもので幸せになれる。
そんな思いが一を最高のパティシエにしているんですね。

先生への思いを気付かれ、家を出た一が切なかったです。
ちょっと不器用な先生も良かった。
切ないけど、甘くて素敵なお話でした。

3

こんなおじさんの体を触りたいなんて、、、

あああ萌え!じゃない神!

元々すごく期待して待っていた作品だけれど、帯見て、
「ああ、これはやられる。」
と読まずして判断致しました。

『こんなおじさんの体を触りたいなんて、君、本当にどうかしてるよ』

案の定、悶えました。
悶えすぎて、本を持ちながら体がよじれました。
*一の生き方、考え方にシンクロする部分が多々ありまして、ボロ泣きでテンションがおかしくなっていたのかもしれません。

まだ一歳にも満たない女の子を庇って、
『まだ嫁入り前だから!!』と必死でオムツ変えを阻止するお父さんぶりもあり、
元生徒にこんなことされて…っていちいち最中に考えては羞恥している せ ん せ い。。。
イラストもね!ちゃんとおじさんで良かった!どこにでもいる柔和なおじさんだ!!((



メインストーリーは傷害事件をおこした一の人生と、彼の健気な想いなのでしょう。
一の孤独と恐怖。切実な分だけ水分持ってかれます。
だけどあえて先生/おやじの魅力をおすすめしたい!
(メインは他の方が細かく書いていらっしゃるので割愛)

オヤジオヤジしていない綺麗なおじさん?ではありますが、
私は満足です。
ありがとうおじさん。

2

一(いち)の運命を決定づけた『甘い』との出会いと別れ

『愛と混乱のレストラン』シリーズで
ル・ジャルダン・デ・レーヴのパティシエをやっている樫崎一と
彼の高校時代の担任で、現在の同居人・湯原“先生”とのお話です。

『愛と混乱のレストラン』の書き下ろしで
彼らのある日のひとコマが描かれていたので
彼らがどういう経緯で
小学生の女の子・海(うみ)を含めた3人暮らしをする事になったのか
とても気になっていたのですが
物語は、一が高校生の時のお話から始まっています。
子供に暴力をふるう事でしか子育てができなかった母親のせいで
すべての感情を押し殺すようになってしまった一に
「甘いものは人を幸せに出来る」と教えてくれた
アパートの隣りの住人・ゆきの存在は
悲しい結果を生んだものの
その後一が進むべき方向を決める大きなキッカケになったと思います。

それは、あることがキッカケで始まった湯原とワケアリの赤ん坊・海(うみ)との生活で
さらに確実なものとなっていくんですが
そんな2人が、海の子育てを一から協力してやっていくことで
本当の家族になっていくのは微笑ましく
彼らだけではなく、この幸せがずっと続くように祈らずにはいられませんでした。

湯原も、海を育てる事になった経緯はとても悲しく
それだけでも自分を責めてしまうようなことなのですが
そんな湯原を立ち直らせたのも、赤ちゃんの海だったわけで
この小さな女の子は
一のことも湯原の事も救った救世主だったんだと思います。

それだけに、その後に待っていた別れは
湯原も一も、そして海も誰も悪くないのに
避ける事が出来ない別れで
3人それぞれの気持ちを考えると涙が止まりませんでした。

しかし、海がいなくなって関係がギクシャクしてしまっていた湯原と一が
再びきちんと向き合えるようになったのも海のおかげだったんですよね。
海が、他人のことを思いやれる優しい子供に育ってて本当に良かった!

ラストは、この3人にとってこれ以上ない幸せなものだったと思います。

最後に収録されていた「チョコレート・ホリック」では
一の年相応の部分も垣間見れたし
湯原が、戸惑いつつも
自分と一の気持ちを受け入れていくのが可愛くて(オジサンだけどw)
タイトルとは別の意味の「甘さ」を堪能出来てとても満足でした。
そして、最後のギリギリまで湯原の事を「先生」と呼んでいたのも結構萌えましたw

1巻目の書き下ろしも含めて
BLとか恋愛とかだけじゃなく、さまざまな人間模様を見せられ
考えさせられる事も多かったですが
その分読み応えもある作品でした。

2

ごちそうさまでした

海がいなかったら、この二人は結ばれなかったんだなと、しみじみ思いました。
子供が登場する作品って大好きなんですが、その取り扱い方を間違ってると一気に地雷になります。
さすが高遠琉加さん、本当に素敵な「子はかすがい」モノでした。

キュンキュン切なくて、なにげないシーンでちまちま泣かされて、どうしようもなかったです。
エピソードを重ねることによって積み上がっていく信頼関係が愛しい。
恋愛と関係ない部分でもツボが多くて、たとえば海の実の父親が、海に「髭が怖い」と言われてすぐさまコンビニで剃刀を買って髭を剃るエピソードとか。
どちらかというと間抜け──っていうかスマートさの全くないエピソードなんですが、ゆえに泣かされた。
この父親の気持ちも分かるし、それを嬉しいような悲しいような気持ちで見てる一と湯原の気持ちも分かるし。
キャラの性格を、セリフやら説明やらではなく、エピソードそのもので示唆してくれる作家さんって、意外と稀有なんですよね。なにげないことだけど、高遠琉加さんはこういうのが本当に上手いと思います。

しかし一よ、チョコレート大作戦は、アンタのキャラ的に恥ずかしくて仕方なかったぞ!w
たまらないムズ痒さなんだけど、やっぱり萌えてニタニタしながら読んでしまいました。
年下攻めのまっしぐらっぷりは萌える。
で、もちろん湯原にも萌えました。非常にかわいらしいオヤジ受けっぷりで。

ごちそうさまでした。

2

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