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表題作松前先生と美貌の作家(ぼく)

松前千草,33歳,挿絵作家
櫻井春之(小櫃由布),23歳,旧華族の覆面作家

あらすじ

渋谷は松濤に屋敷を屋敷を構える元侯爵櫻井家の若様、春之は人もうらやむ美貌の持ち主だ。末っ子として家族中に甘やかされ、友人たちからちやほやされ、気づけば負けず嫌いで、我が儘で、そのうえ傲慢な若様になっていた。そんな春之にはひとつだけ、誰にも知られたくない秘密があった。それは覆面作家、小櫃由布であるということ……。憧れの挿画家・松前千種にいつかは絵をつけていもらいたいと思っていた春之だが、ある日、紳士倶楽部で出逢った見知らぬ男に松前千種の悪口を言ってしまう。ところが、その男こそが松前千種だった!?
(出版社より)

作品情報

作品名
松前先生と美貌の作家(ぼく)
著者
遠野春日 
イラスト
木下けい子 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
シリーズ
由利先生は今日も上機嫌
発売日
ISBN
9784813012115
3.3

(19)

(0)

萌々

(10)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
9
得点
61
評価数
19
平均
3.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数9

『由利先生シリーズ』が気になってしまった・・・

イラストの木下けい子先生のコミックスの『由利先生シリーズ』
よりゲストで六車くんが出演なさってるのですが
私は読んだことがないので、そっちが完全に気になってしまった!
どうせ読んじゃうんだろな~面白そうだもん。
遠野先生はちょっと苦手な系統のお話の時もあるのですがこちらのお話は
好きでした。
このお話は美貌の若様の精神的成長記録でもあります。
世間しらずで傲慢ちきでプライドの高い受様が恋を通じて成長していく様は
BLを読んでることを忘れてしまう程でした。
結構自分1人でぐるぐるしてますがそれも肥やしにして大きくなっていきます。
若様は純真無垢なので松前先生はいくら気持ちが高ぶっても最初のエッチくらい
ベットでしてあげてくださいっ。10歳も年上なんだから。
このお話で出てくる春之の美貌の兄のお相手を知っている方がいらっしゃったら
教えて頂きたいです!

4

出版関係BLにハズレは少ない気がします。

由利先生シリーズ(?)が好きなので、帯付きを探して購入。
わーい!由利先生と平蔵だ!(あ、才蔵って…笑)
六車くんも愛らしく、それだけで満点あげたい気分です。
そういう目的で購入いたしましたが、それがなくても私は好きなお話でした。個人的に出版関係の話にハズレは少ない気がします。

俺様受けの春之さんが、あほ可愛いです。
ひねくれてそうで実は結構素直だったりするところが、ああ、この人は育ちがいいんだなあと思いました。
プライドだけは異常に高いですけれど(笑)
松前先生も意地っ張りで、この二人が徐々に近づいていく感じが自然でよかったです。

で、兄上のお相手って一体誰だったんですかね?
多分、男性な気がいたします(笑)

あと、非常に読みやすかったのですが、「触手」って………………誤植?

3

古きよき昭和BL

”由利先生”シリーズからこちらにたどり着いた読者です。
なんとなくお正月は古きよき日本の情緒を味わいたくて本作に取り組みましたが、かなり好きな感じでした!そして、昭和前期の時代設定って、女性の社会進出がいまいちだったので、男だらけの社会に違和感がなくて、するっとBでLにもっていけるなーと、新たな気づきがありました(笑)。

遠野先生のあとがきに曰く”己の美貌に厚かましいばかりの自身をもっている、生意気だけどどこか憎めない受キャラ”が作家(ぼく・春之)です。このキャラ設定が私の性癖のストライクゾーンに入ってきました。世間知らずな旧華族の深窓のお坊ちゃま、お兄様からも甘やかされちゃってる無敵の次男坊です。我儘も傲慢も世間知らずなところから出てるので、なんだか上滑りしていて(アホっぽくて…)可愛い。そんな彼が恋に落ちる相手が人気の画家・松前先生。互いをリスペクトしながらも、なかなか素直になれない昭和の男たちの気持ちのすれ違いモダモダに萌えました。大人の松前先生にリードされて若様・春之が大人になる…ラブストーリーです。軽々しく”好き”と言わない、出し惜しむような感情表現も昭和っぽくて好きでした。

今回ゲスト出演している六車君が、いい仕事をしています。違う作家様のキャラクターなのに、”そうそう、それが六車君だよね”って小説のなかで活き活きとしていました。また、春之のお兄様の存在がめちゃくちゃ萌え~で匂わせ~なので、お兄様編の作品もあったらいいのにな、と思いました。

2

豪華ゲスト出演で楽しさが増しました

本の絵は木下けい子さん、帯には六車君と由利先生と平蔵、そして「六車くんも応援中~」なる文字が・・・
『由利先生シリーズ』大好きとしては見逃せません!
遠野さんが由利先生シリーズのファンなことから、その時代と出版業界を背景にして出来上がったこの作品、もちろん特別ゲストで六車くんも出演。

自分が美貌であることを承知していて、家柄もよく、何の苦労もなく人気作家になった櫻井若様が天の邪鬼なことから、ツンデレ具合もよろしく、本当は好きな挿絵作家である松前先生と意地の張り合いをしていく様は、読んでいて噴き出すこと多数、とっても楽しい作品に仕上がっています。

そもそも出会いが最悪だったのですよ。
自分がライバル視している作家の作品が話題に出たので、自分が作家であることをかくしている春之は、その作品をけなし、勢いで、本当は自分の作品にも絵を書いて欲しい松前までけなして、、
そこに松前が居合わせてしまったことから初対面の印象は最悪!
絵を書いてもらえることになり、対面して驚く二人!
天の邪鬼の春之だから心にもない正反対の発言をすれば、怒った松前も態度を崩さず。
それではプライドが許さないとあの手この手を使って、ご機嫌を取ろうとする春之。

春之を溺愛するこれまた美貌の兄の存在が楽しくてww
カフェで兄といるところで、ライバル作家と松前が打ち合わせにやってきて再び鉢合わせ。
そこでの大人げない松前の発言やら、兄の訳知りの呑気な態度も相まってクスクス笑いが止まりませんでした。

松前は根っから男にしか興味がない人だったっていうのと、春之は童貞でまったく恋の経験がないっていうのが、このお話の恋愛部分のミソですね♪
絵をかいてもらえるなら何でもする、と言いきって体を張る春之。
最初は逃げ出しちゃうも、日にちを置いて、再び最後までやってくださいって言いに行く姿。情熱はあるのですね。
松前も、頑固者で春之の天の邪鬼対決は愉快ですが、やはりそこは大人の男。案外一度ほだされれば素直だったりして。

六車くんが出演するのは、松前の誤解を解くシーンです。
きっかけを与える役目って結構重要ポジション?
由利先生も名前だけでも出てこないかな?と思いましたがそれは叶わず。
春之溺愛の兄もいいキャラでしたので、ひょっとするとこの話続きが期待できるかも?でありますよ♪
プライドの高い天の邪鬼と、頑固で意地っ張りの対決カプは、上手くないと無理が目立って萎えてしまうこともあるのですが、この本はとても素直に楽しめました。
やはり、作家の力量かな?ともチラリと思ってみたり、、、

6

若様は小悪魔

時代は…戦後でしょうか。まだ携帯もテレビも流通していなくて、人々の関心の多くが小説に注がれていた頃。
春之は友人と居た紳士倶楽部で、彼等の話す大衆文学について厳しい意見を発します。それは春之自身が、彼等の話の中に出た倉橋という作家をライバル視し、また憧れの挿絵家である松前千種が絵を担当した倉橋の本が、世間で大人気だったらです。
要は嫉妬、羨望。
ほんとうは春之も倉橋の力量を認めています。松前千種の絵が大好きです。でもそういうときに素直になれなくて、批判してしまうのがとてつもなく可愛い~…! (もだえ
この春之というお坊ちゃまは、このお話を通じてすごく可愛いヤツでした。「傲慢」や「我が儘」は、必ずしも彼の本音とは一致していないからです。いつも照れ隠しなどで憎まれ口を叩いてしまうし、素直に気持ちを言えない。もちろん周りの人はそんな本音には気付いていませんから、高飛車なヤツだと感じてしまうんです。その齟齬が可愛い。簡単に言うと、生き方が不器用なんですよね。それで、偶然その場に居合わせた松前千種当人も彼の言葉に怒ってしまうのです。

倶楽部ではお互いを 「小櫃由布」 「松前千種」 と知らなかった2人は、そのあとすぐに小櫃の挿絵の件で仕事を通し再会します。挿絵を担当する前に必ず作者と話すという松前は、春之を見て即座に辞退を申し出ます。でも春之にとっては、ほんとうは大好きな挿絵作家。なんとかお願いしたくて食い下がります。
そのときの彼の行動も…ほんっとに可愛くて仕方がない…っ
春之があくまで高慢ちきに行動に出るならば嫌な奴だなぁと感じてしまうところですが、彼はいたって一生懸命に考えて行動するから、どんな非常識も全然憎めません……っ

失敗しながらも、春之は松前に再アタック。元はいと言えば自分で蒔いた種だけれども、必死に食い下がっている春之はすごく良いと思う……のは、高慢ちきな彼を可愛いと思ってしょうがない、親バカならぬ読者バカだからでしょうか。
春之が無防備にも程があり、なおかつ可愛く(ぁ)「何でもします」 なんて言うから、松前先生もついつい乗っちゃいます。こんなのふつうだったら絶対におかしいのに、世間知らず+未経験の春之にはそれが分からないみたいだから性質が悪いです!悪戯されているときも、声や反応を我慢できていないし、いい意味で恥を知らないんだと思います。
もうね、一種の小悪魔ですよね。
ここで松前先生も絶対に罠にかかったと思う…、春之の無意識の罠。
松前先生がいったいいつから春之に惹かれて行くのかというのは明確ではなかったけれど、私はここの、春之が泣いて抵抗するところが決定的だっだと思います!
すごく浸透してるけど、泣いて抵抗ってやっぱり可愛いですよね…v
しかも春之の場合は口先だけではなくて本当に萎えちゃっているわけだから、ほんとうに怖がって泣いている…とか、すごく萌えます…!こういう時、相手の男はさらに嗜虐心を煽られるか、罪悪感にさいなまれるかだと思うんですけれど、松前は……ほんとうはどっちだったんだろう。どちらにせよ可哀相だから逃がしてあげたのは分かる。なんだかもうたまらないです…もう大好きじゃんか…っ!

もういい、もうこのあと話の流れ無視で両思いでいいから、はやくこのウズウズ感をなんとかしてください…っ…という気持ちでいっぱいだった…。 ←
でも、そのあとのもどかしい段階踏みは、また別の意味でもどかしかったです…。
豪華でも華やかでもないデートだとか、寝ている間のキスとか…創作の世界ではありふれたパターンなのに、それがすごく愛おしいです。その一つひとつが春之の心を確かに震わせていて、春之の中の恋が育っていくのが分かるから。
春之自身も可愛いけれど、春之の恋もすごく可愛いです。
初めてだから、というかそれ以前に人との接し方をあまり知らないから、気持ちがすごく敏感なんですよね。キスの意味を何日も何日も…月が替わるほどまで意識しているし、そのあとの一悶着…情報の欠落で生まれた誤解に、とてつもないショックを受けてしまうし。好きだから意識する、好きだから悲しくなる…っていう当たり前なことを、すごくストレートに見せてくれます。
彼のそういう素直なところが、ほんとうに可愛いです。

誤解の解けた春之の涙の告白に、どれだけ胸を締め付けられたことか……。だって、最初の頃は本音の裏返しに傲慢と上から目線を貫いていた子が、泣きながら好きだと言うんですよ…!
もうたまらないです。
松前先生もたまらなくて、だからこそ自分は好きだと言えなくて…さらにときめいてしまいました。思い起こせば松前もけっこう可愛い男だったな…。こんな年下のお坊ちゃんに怒ってみたり、茶化してみたり、喧嘩したら会いに行ったり…。
実際リードできるのはエチのときくらいしかないんじゃないかな?だから最後の、ようやく両思いになってからのでは、春之を翻弄していてたぎりました。
そのうち春之が上に乗っかることを覚えたら、たぶんそのまま尻に敷かれるんだと思います。 ←

それにしても…肌着着用の習慣がないという春之には少し驚きました。
君のビーチクをシャツの上からつねりたい…! (最後の最後に下ネタかよ

4

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