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表題作華蜜の斎王

疾風の国の王子 青嵐・70
華蜜の国の華子 イリス・150

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

疾風の国の王子・青嵐は、國の密命を受け、幻の国といわれる華蜜の国へと旅立った。辿り着いた華蜜の国で、青嵐は人目を避けるように幽閉されていた一人の佳人と出会う。イリスと名乗るその青年は他人と交わる事を禁じられていた。世間知らずで純真無垢なイリスを愛おしく思う青嵐。秘めた逢瀬を重ねるうちに、イリスもまた闊達な青嵐に惹かれていく。だが、疾風の国からの帰還命令やイリスに課せられた過酷な運命が二人の前に立ちはだかって・・・。
壮大な世界で繰り広げられるデスティニーロマン!

作品情報

作品名
華蜜の斎王
著者
谷崎泉 
イラスト
稲荷家房之介 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
瑠璃国正伝
発売日
ISBN
9784796400350
3.5

(13)

(2)

萌々

(4)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
45
評価数
13
平均
3.5 / 5
神率
15.4%

レビュー投稿数6

天空の蜂蜜国が舞台 

2010年 谷崎先生の初期の初ファンタジー。
関連作の 2011年9月発刊「瑠璃国正伝1-3巻」を先に読んで、今作を読了。
瑠璃国は、海子の家
華蜜国は、天空の浮島 
・・海と天の御伽噺は、どちらも未完の完結。続きを読みたい。


華蜜の国/ビーハイブ(養蜂箱の意):
伝説の空に浮かぶ岩国 竜巻と共に出現 粉蜜の原料の糖蜜は、華蜜の国で生産されている 

オロフ:華官長 イリスを幼い時から養育した神官


青嵐:70才 風の民 疾風の国王子 長身で逞しく、空を飛ぶ
「真蜜」を得る密命を受け、雲海と共に華蜜の国に向かう
華蜜の国の500年ぶりの訪問者

イリス:150才、寿命は500年 
森の塔に幽閉
華蜜の国のフリチラリアに仕える華子(カシ) 
「選ばれた者」=華子はフリチラリアの栄養素になる運め (女王蜂?)

華子の事情をオロフから聞いても、諦めきれない青嵐に、イリスは「私を穢して欲しい」と言い、青嵐と共に国を出る 

・・ロマンチックな台詞が詰まったファンタジーだった



1

設定の練りこみ具合が良かった~!

帯『私を穢してくれますか?』

実は自分はファンタジーってそんな得意なジャンルじゃなくて、更にパッキン美形受はちょっと苦手だったりもするんですが、なんかがっつり読みたい気分だったので、あえて自分的には読みにくそうな作品を選んでみました。
そしたらあーーら何と面白いではないですか!

世界観や設定がよく練られててその設定段階で面白いです。
正直これ一冊で終わってしまうのは勿体無い、上下巻にしても良かったと思うなあ。

舞台はファンタジーで色んな種族や国が出てきます、それぞれの種族は特徴も寿命も違う。
自分は完全に脇キャラなんだけど草原に住むトト族という小さい種族が気に入りました、傘とか被ってて可愛いの。

疾風の国の民は風に乗って空を飛ぶことが出来、それも王族に近い程にその力が強い。
第五王子にあたる青嵐〔攻〕は王子らしからぬ振る舞いながらも魅力的な男、彼が共を連れ、「華蜜の国」で帝の赤ん坊の病に効くという真蜜を貰って来る様に命じられます。
その「華蜜の国」は大陸が空に浮かんでいて居所がなかなかつかめないというまるでラピュタの様な大陸。
青嵐は華蜜の国にはたどり着くも、真蜜は特殊なもので手に入れるまでに時間がかかるというのですね。
その時間に暇を持て余し、元々好奇心旺盛な青嵐は近付いてはいけないと言われていた森の上を飛んでいる内に沼で沐浴をしている青年を見つけます。
彼の名はイリスで10年も誰とも会わずにこの沼と木で暮らしていると。
青嵐はお供の目をぬっては毎夜イリスの元へと通い続け、そして2人は種族をも超えた愛へと落ちてしまうのです。
最後がかなり駆け足でそこがどうにも残念でした。
うーん、やっぱ上下巻でたっぷりと読みたかったなあ。そしたら神評価だったと思うんだけどなー。
設定が面白かっただけにもっと読みたかったというのが正直なところ、面白かったんだけどもっと読みたかったー!

稲荷家さんの挿絵にかなりのこだわりを感じました。
トト族のデザインとかホント可愛いのだ~~!

5

2人のお話をもっと読みたい

谷崎さんの作品を読んだのは初めてでした。
きっかけは挿絵を描かれている稲荷家さん。豪華で美麗な稲荷家さんの絵はこういうファンタジーや時代物にピッタリだと思います。

ファンタジーということで、独特の種族や特殊な能力を持った人達、聞き慣れない地名が登場します。
あ、メインキャラの2人の年齢を見て、「えっ?おじいちゃん?」と思われた方はそこで手に取るのを止めないでくださいね!
この世界の住人たちは長寿の者が多く、70歳や150歳というこのは彼らの間ではまだまだ若輩者なのです!(笑)

主な登場人物の数はそれ程多くなく、世界観の設定もそんなに複雑なものではないので、理解はしやすいと思います。
帝位後継者の一人である青嵐は自由でやんちゃですが男らしく、この世のものとは思えない美貌を持ったイリスは純粋で奥ゆかしい。
恋愛ストーリーとしては割とあっさりなのですが、美しくて甘々な2人はとても仲睦まじくて、2人の間にある障害はお話に切なさを加えています。
1冊で終わるにはちょっともったいない、主人公の2人や青嵐の御供の雲海のお話をもっともっと読みたいと思いました。

4

稲荷屋絵がもたらす効果が絶大な作品でした。

この本は谷崎さんの初めてのファンタジーだそうで、また挿絵の稲荷屋さんも初めてのファンタジーということでお初づくしの本です。
ファンタジーというよりおとぎ話のような作品でしたが、どても夢にあふれていてフワフワした感じのするお話。
それがまた、稲荷屋さんの絵がとても素敵でぴったりマッチしていて絵本で読んでもいいかな、と思うくらいに文章も絵もよかったのです。

疾風(はやて)の国の第五王位継承権を持つ王子・青嵐が、第一継承の王子が病弱なことから、病を治すという”真蜜”をもらうために「華蜜の国」(ビーハイブ)を伴の雲海と一緒に訪れます。
その国には色々な秘密があり、決して近づいてはならないと言われた森の向こうの塔へ出向いたことから、イリスという佳人と出会うのです。

華蜜の国は竜巻とともに現れる空中に浮かぶ国、その国へ行ったものは数少なく未知の国・・・
あれ、ラピュタか?それともエウレカ7か?な設定に思わずワクワク。
そしてその国は花の国で、そこから取れる蜜が・・・ということでビーハイブという名前と共にイメージはミツバチの国でしたね。

ファンタジーものだけにその設定や、国や民族の解説などが頭に浮かび想像力をたくましくしてくれます。
ちなみに疾風の国の民の寿命は300年くらいで、現在青嵐は70歳
華蜜の国の民は不老で1500年近くということでイリスは150歳。
人間で考えると年寄りですが、架空なのでまだまだひよっこといった年齢設定?
華蜜の国への道を案内する草原の民トト族が、まるで子泣きじじいみたいで可愛かった!

物語は、イリスに与えられた役目と運命、それを外から来た青嵐が打破して新しい運命を切り開くという作りになっているのですが、決して国から出てはいけない、出ると死んでしまうというイリスを、それでも外の世界を見せてやりたいと願う青嵐にも、それなりの事情があるのです。
未来へ向かってという希望あるエンディングが造られていますので、きっと何らかよい将来が二人にはあるのかもしれないと思いました。

塔に閉じ込められたお姫様を王子が救うという骨格を持ちながら、それに男×男でありうる条件をつけ、互いが魅かれあう設定を用意し、派手で複雑な部分はなく素直に作られた物語になっているので、とても読みやすく、場面を頭で想像するのが楽しかったです。

3

世界観が魅力

谷崎さんの初ファンタジー&稲荷家さんの挿絵というだけで
そそられる人も多いのでは?という作品。

作り込まれた世界観の、かなり詳しい描写で始まる本作。
ファンタジー本に時折見られる地図が欲しい……!
(ええ、ないので、自前で描きましたとも!)


まるでラピュタのように空に浮き風に乗って現れる国「華蜜」。
伝説のように語られるその国を、使命をもって訪れた疾風の国の王子・青嵐。
何故か森の中の塔に囚われるように孤独に暮す美しいイリスと知り合い……

二人の恋愛話は、比較的シンプル。
生け贄になるべく捉えられている姫君を救い出す、勇者のパターンか。
と言っても捉えている方も善人で、戦う訳でもなく案外アッサリ。

むしろこの話の見所は、この世界観だろう。
世界観を描くのに使われている分量と、ストーリーの分量がアンバランス。
折角の設定が勿体ない!
5冊くらいの長編シリーズで書いて欲しかったなぁ……

華蜜を出て生きる事を決めた二人の行く末も見たいし、
ということで、続編を期待です。


2

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