愛を知らない青年は、極上紳士に磨かれる。

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表題作呪文をかけるレシピ

貴嶋暁久,レストランオーナー
佐藤悠斗,22歳,わけあり貧乏

あらすじ

「容姿も才能。きみはそれを磨く必要があると思う」
綺麗すぎる容姿のせいで辛い目に遭い、常に顔を隠して生きてきた悠斗。だが、レストランオーナー・貴嶋は、悠斗の悩みなど気にせず果敢に向かってきた。凍りついた悠斗の心も、彼の店で働くことで目標ができ、次第に溶け始めていた。貴嶋の求愛を受け入れ、磨かれていく自分。今度こそ幸せになれるかという矢先、ある知らせが悠斗のもとに届く。それは、悠斗と貴嶋の間に亀裂を生じさせて!?
とりえのない自分を変えてくれた、しあわせの呪文――。
(出版社より)

作品情報

作品名
呪文をかけるレシピ
著者
義月粧子 
イラスト
サクラサクヤ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773099966
3.5

(10)

(1)

萌々

(4)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
34
評価数
10
平均
3.5 / 5
神率
10%

レビュー投稿数6

野良猫はアヒルの子でシンデレラだった

義月さんにしては珍しいスイートなシンデレララブストーリーなのではないかなと思いました。

誰もが見とれてしまうような美貌が人生を躓かせる原因となり社会の底辺でようやく生きてきた悠斗が、レストランオーナーの貴嶋に出会い幸せなっていくお話です。

悠斗は騙されてヤクザが関わる最低な労働条件で働かされていたが、証拠を集め弁護士に相談し摘発されたことで恨みを買いリンチにあっていたところを貴嶋に助けられた。
その後美貌を買われ経営するレストランにスカウトされる。
これまでの人生で、顔の良さでいいことのなかった悠斗なのでは何をされるかと不信の目で見たいたけれど、仕事ができ従業員の信頼も厚いうえ、無体な要求も強引な接触もないことから徐々に信用できる人へと変化して行きます。

貴嶋視点の思いによると、美人で頭もいい悠斗にぞっこんで人馴れしない野良猫を餌付けし少しずつ自分に慣れさせようという作戦。急げば驚いて逃げるのでゆっくり。そして餌で釣って捕まえて閉じ込めるのではなくここが居心地のいい場所であることわからせるように甘く甘く追い込むのだそうです。
彼が鬼畜な調教師でなくてよかったです。本当に甘い愛で包むように愛されてゆくのですから。
それは、悠斗が育った施を守るのに必要な大金を稼ぐため自分に内緒でモデルになってしまったことに腹を立て嫉妬のあまり酷いことをいってしまうくらいに。なんだかんだ言っていてもやっぱり独占欲はあるわけですから。
悠斗も急なことで焦っていたし貴嶋は長期海外出張中でしたしね。
だからと言って恋人に何の相談もなくというのはいけませんよ。
その上モデルクラブのマネージャーが囲い込むため嘘をついて連絡が行き違うようにされてしまったから、両方で連絡できないのは心変わりのせいと思ってしまったのですから。
でも最後は誤解が解けて、貴嶋の結構ヘタレた部分や嫉妬深いところもさらけ出しそんなところも好きと言わせたのですから満足でしょうね。

二人の出会いのきっかけとなったリンチ事件の首謀者が逆恨みで貴嶋を傷つけようと会社にやって来たけれど簡単に返り討ちに合い警察送りになったので今後は安心です。

下手な小細工をしたマネージャーにもしっかり釘を刺し今後は悠斗がコントロールできそうです。

貴嶋の助力もあり、高校時代のレイプ犯疑惑事件も冤罪が判明したし、それを偽証し悠斗を学校から追い出した人たちも見返したのでスッキリしました。

これからはモデルとしても成功し今まで不幸だった人生の分も甘い幸せな日々が続くのでしょう…と思わせる終わりですごく気持ちよかったです。
めでたしめでたし。

1

前向きにがんばれば

シンデレラストーリーです。

美貌であるがゆえに辛い過去を背負っている、施設育ちの青年・悠斗と、彼をどん底から救い上げたレストランオーナー・貴嶋のお話です。

半分くらいまではまさに、悠斗が辛い過去を乗り越えて立派なレストランの店員になり、貴嶋とも幸せに暮らしましためでたしめでたし・・・といった展開で、それはそれで悠斗が頑張り屋なのでなかなか好感の持てるお話だったのですが、後半がありました。

貴嶋の留守中にトラブル発生です。
ある事情で悠斗はモデルの仕事をすることになり、あれよあれよと売れっ子なってしまうのです。
そのことにより、貴嶋に隠していた秘密も知られることになり・・・

前向きに生きることによって幸せはやってくる。
そんなお話だったと思います。

貴嶋が悠斗を本気で好きになった経緯などは、なんだか漠然としているし、エピソード毎の視点があまり規則性がなく、多少の読みづらさがあったのです(義月さん、どうしちゃいました?って思いました)が、貴嶋の経営方針とか悠斗の真面目さとか、周囲の人たちの動き方などは大好きなシチュエーションだったので、相殺されて余りありました。

1

苦労症受け

容姿に恵まれているのにその容姿が原因でトラブルに巻き込まれる事ばかりで人に素顔を見せたくない悠斗。
仕事についてもその容姿のせいで辞める事ばかり。
駐車場でリンチされている所を貴嶋に助けられ、貴嶋がオーナーを務める店に働くことになり…。

施設育ちで貧乏で苦労してる卑屈な受けを懐柔して磨き上げる大人な攻めっていう設定は凄く好きなんですよね~
美容院行って高級スーツ着せて見違える見た目になった悠斗を周りに見せびらかして悦に入る所とか。
基本こういう包容感ある攻めには余裕があって欲しいからそれだけに後半の流れがちょっと残念でした…。
貴嶋が出張に出ている間、悠斗が育った施設を助けるためにお金が必要で、モデルとしてCMに出ることになった。
携帯取られて新しい携帯もらったものの、教えてもらった貴嶋の番号は間違ってて行き違いになり連絡が取れない。
貴嶋は悠斗の経歴が嘘だったのとモデルになるために利用されたと思い込み怒り、悠斗の元から去ってしまう。
最終的には電話に出なかったのは悠斗のせいじゃないし経歴は生きるためにしょうがなかったと明かし、刺されそうになった貴嶋を助けた事で関係が修復するのですが…。
短い間でも愛し合ってた恋人なんだから直接会った時にちゃんと悠斗の話聞いてあげてればここまでこじれなかったんじゃ。
悠斗もお金の事貴嶋に相談すれば良かったのになー
最後は丸く収まったし良かったと思うのですが、今まで店で一緒に頑張ってきた人達からも煙たがられて、しかも最後まで関係が修復してなかったのが気になる…。

1

恵まれているのか不憫なのか

綺麗な顔のせいで不敏な目にばかりあってきた主人公悠斗。
身寄りも仕事もなく、マイナスくらいからのスタートですが、勝ち気で短気な生活がなかなか面白かったです。
言い寄る人が後をたたないくらいの美貌で、人よりはるかに優れた記憶力もある。うまくやれば成功する人生を送れそうなのに、運が悪く不遇なめにばかりあいここまできたという感じでした。

偶然助けてくれた貴嶋の経営するレストランで働くことになりますが、そこのスタッフ達がみんないい人です。
貴嶋がほとんど最初から悠斗に好意を持っていて口説いてきますのでその辺軽い感じがして、もう少し説得力があればよかったと思います。何しろ悠斗が絶世の美貌という設定なので、こんなに最初から口説かれちゃうと顔だけが好みなのかな?て思ってしまう。

前半の悠斗が慣れない飲食店で頑張る展開がよかったので、てっきりここでずっと働いていくのかと思ったら後半から怒涛の展開になります。
とてもいいお店だったし、タイトルも表紙もこのお店での恋物語を示唆してるのかと思ったら、実際はこのお店でのエピソードってあまりない気がしました。それがちょっともったいないかと。

後半、主人公がモデルに転身してからは本当に駆け足で最初がじっくり描かれていただけに、残念に感じました。
居心地のいいお店だったし、周りのスタッフも個性的だったのに前半だけだったのか~と。
しかし、今まで足を引きずってきた容姿が自分を助けることになっていく展開はよく考えられていてよかったと思います。
しかしながら、悠斗を助けて手を指し述べてくれたや店のスタッフに対して裏切りとまでは思いませんが、「裏切った」と貴嶋に言われても否定もできないのではないかと思いました。理由があったにせよ、ナイショでモデルに転進して退職届を郵送してきたなんて、貴嶋が怒るのも無理ないと思います。
このへんがスッキリしなくて、さっきも書いたように駆け足だったために何だか全体的にもったいなかったと思います。

それと、蛇足なのですが、同じ作者さんの「琥珀色の誘惑」という作品にちょっと設定や雰囲気が似通っていたので何となくどっかで読んだことがあるな~という感じが最初から最後まで抜けませんでした。
主人公の性格や細かな展開は全然違いますが、主人公が頼る家族や帰るところのない独り身の不遇な境遇で、仕事をなくして攻めに拾われ、攻めの経営する飲食店で働くことになる・・・冒頭の展開や借金など、全く別の作家さんの作品なら気にならなかったかもしれないですが、デジャヴュがあり、そっちを読んでいなければこのお話はもっと楽しめたかも知れません。

1

お腹を空かせた子に弱いわ…

後半の展開が少し好みからズレたので抑えめ評価ですが、
概ね楽しく読みました♪

もらい泣きした箇所がいくつかあるのですが、
萌え的にとか感動してではなく、受けが不憫で…(;///;)
お腹空かせた子(といっても20は越えてるけど;)が
初めて見る料理を前に美味しい美味しいと味わう姿が切ないやらキュンとくるやら。

オーダーミスの料理を「食べていいよ」と渡されただけで
(縁のない幸運に)明日死んでしまわないかという発想に至るほどw
もっとお食べ…と美味しいモノを与えたい~(;///;)
逆に言えば、そんなことすら経験することなく殺伐とした生い立ちになるわけで…。

そんな不幸慣れしてしまってる子が
次々と色んなモノを与えられ、愛され、華やかになっていくストーリーです。

とはいえ、受けは見た目も能力も潜在的ポテンシャルがバカ高いので、
攻めはキッカケを与えただけなのですね。
受けは受けなりに努力して成長していくので好感が持てました。

攻めは経営者としての能力が高いです。
店の経営方針を読むとブラックとは真逆の世界で、働いてる人が皆輝いている。
人望も包容力もあって素敵な人でした。

が!しかーし!!
受けの説明が足りなかったとは言え、
勝手に誤解して受けを詰るシーンは解せぬ!!!
まず相手の話を聞けやコラ~(#`皿´)

勝手な思い込みでよくそこまで酷い言葉をぶつけられるな、と。
結局受けの見た目だけを気に入ってて
中身をなんも見てなかったんだなと感じてしまいました。

なのに一通りのトラブルがおわったあとの受けが
「俺を信じてくれて、ありがとう」と。
え?肝心な場面で信じてなかったデスヨネ…?(゚д゚;)

誤解させる行動をとった受けにも非はありますが、
受けの不憫さに同情しながら読んでたので攻めにムカついてしまいました;

まぁでも誤解もとけて、今度こそ受けは幸せを手にしたようで一安心。
いっぱい美味しいモノ食べさせてもらいなね~!

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