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流石の凪良作品。893ものと聞いて読んでみました。
前回、893繋がりで『お菓子の家』を読んだ時も感じたんですが、主人公キャラとの心境のシンクロ率が、半端無い。
もう、自分がグラグラするくらい中身の人になってしまう。
だから、先にある物語が知りたくて、一気読みしてしまいました。
ある意味、一つの人生を味合わせてもらったくらいの重さ。
荒んだ背景や、相手を慈しむ情景、他愛無い会話の端々に色を見せてくれてます。
丁寧な心情の描写は痛い程で、まるで自分がそう感じているように混同し、答えなんて出ないのに、やるせなさや不条理に、自分だったらどうする・・を何度、考えさせられたか。
クライマックスに差し掛かると、始めの二人のすれ違うような出会いが、ここまでの運命を辿るものに変わるのかと、出会いのシーンが映画のプロローグのように絵が頭の中に浮かびました。
前回もそうだったから、読む前に少し覚悟してはいたんですが、途中で読むのを止める事が出来ない程息苦しかった。
ラストは、脇役893の人情味にホッとし、自然と口元が弛んでしまいました。
一種、読み終えれた事に安堵。
そして、オマケの、気になる脇役893のSS。これご褒美です。色んな意味でv
このSSで、この物語のいくつのエピソードに救いがあったかw
ここまで引き込まれたら、文句無しの★5つ。
いい意味で心を掻き乱された作品。
ただ、私が期待していた893モノではなかったのが・・orz
893が(エッチな意味じゃなく)絡んでくるお話でした(笑)
電子書籍で読了。挿絵なし。あとがきなし。
「うわー、読んでない凪良さんの本がある。ラッキー」と、前知識なしで読みまして、今これを書く前に皆さんのレビューを読みましたら、みんな九条が気になっているのね。そうですか。私はこのお二人、良かったですけどねぇ(やっぱ、少数派なのかな、しょぼん)。
高校を中退し家を出てピンサロのスタッフをやっている一也が闇金で出会ったのは、高校時代に教育実習生だった夏生。今は役所に勤めている夏生が、そんな場所にいたのは、借金をして風俗に落とされそうな婚約者の妹を助ける為でした。自分とは違う『ちゃんとした世界』に住みながら、自分をを決してバカにしなかった夏生に、一也は思慕の念を抱いていました。美しいものを美しいままで守りたいと思った一也は闇金のオーナー、仁志田に目をかけられている事を利用してその場をとりなし、夏生には知らせず自分が肩代わりをしようと決意します。夏生に対しては、月々の返済金を少なくするよう話をつけてやる代わりに、婚約者と結婚するまでの間、自分に抱かれるよう要求するのですが……
金の工面のためにどんどんヤバイ橋を渡らなければいけなくなる、その描写が凄いんです。追い詰められて堕ちていくのが、なんて言うか、酸素がどんどん少なくなる感じ?本当に息苦しくなるんですよ。
それでも一也は夏生を捨てることが出来ないんです。
命綱なんでしょうね。
『こうであったら良いな』とか『こうしたい』と思い描いていた過去が自分にもあった事を確認するための。
一也にとってそれは何よりも大切な事だったんだろうと思うのです。
「自分の中には何もない」と思ってしまったから「何かの為に生きよう」とする人はいます。一也はその典型の様に思えるのです。そして、そういう風になっちゃう理由もわかる。このお話を『裏社会もの』として読むなら、確かにちょっと無理がある部分も少なくないと私も思います。でも、機能不全家族の話として読むと……泣けてくるんです。
一也が『美しいもの』と思っていた夏生も、物語の途中で『そういうものではない』事が明らかになります。
そしたら、共犯者になるしかないじゃないですか。
私にとってこれは、親に疎まれてしまった子どもが叛逆をするお話です。
ラスト近くでバタバタと大団円的に終わってしまった事で、それが薄まってしまった感は否めないですけれど。
でも、バッドエンドだったら『俺たちに明日はない』になっちゃうもんね(古くて申し訳ない)。
今、自分的に熱い作家・凪良ゆうさんの新作は
シリアスモノ。挿絵が石原理さん。
夏生のことが好きで一也は、どこまでもどこまでも堕ちていくお話。
攻めがとにかく健気です。
どチンピラだけどピュア・・・
もう読んでいて次の展開がわかるというか
「あー!だめっ!!!たぶんこうなるっ!!!」と言った感じで
どんどん裏社会に飲み込まれていってしまう一也。
ほんとに馬鹿。
こんな風にしか愛し方を知らないんだろうな。
もう少し頭使えよ!って思いつつ読みました。
もともと沈みかけていた一也の人生は、夏生との再会で
どん底まで沈むわけですが、第三者からみて、どん底でも
一也にとっては“生きている”充実感に溢れているんだろうな。
ほんとに馬鹿。
そこまで夢中にさせる要素が、夏生にあったのかというのは
正直わたしにはわからなかったな。
ふたりとも成人してるのに、思考が子供っぽかった。
この本を読んだ人の大半が惹かれるのは
松岡組の九条という男なんじゃないでしょうか?
インテリヤクザ風のスーツに眼鏡。
仁義をかいた酷いヤクザでサドっ気たっぷりw
登場人物としてはグンを抜いて魅力的でした。
巻末のSS『葉書』を読めば
『落花流水』は、もしかしたら九条の物語の序章にすぎないのではないかと???
そんな風に思えました。
スピンオフを希望します。
凪良ゆうさんの作品で神以外の評価をつけたのはコレがはじめてです。
リアルな雰囲気なのにいまいちリアリティがないんですよね。
一番好かんのが、受けの婚約者姉妹。妹もだけど、姿を見せない姉のほうにもイライラしました。何かを背負うとしたらオマエらが背負うべきだろー!と思いました。冷たいようだけど、妹の自業自得の借金。「この姉妹がソープでもなんでも行けよ。OLや学生をしながらたくましく明るく働いてる女性なんて、いっぱいいるぞ」と思ってしまう私は冷たいのカシラ。さらになぜ受けがこの姉妹のためにそこまで頑張るのか、さらになぜ攻めがそれを背負うのか、まったく説得力に欠けている。
とくに受け。「社会的地位や信頼をめちゃくちゃ大事に思ってる」という初期設定なのになぜ、ヤクザの事務所に乗り込んでくるという大リスクを犯したんだろう。そこまでこの姉妹を大事に思ってるようにも恩があるようにも思えなくて。
最低限、お話のなかで、この姉妹にも「なにか」を背負わせるべきだと思いました。
この、攻めがズルズルと堕ちていく原因となる最初の段階でモニョモニョしたから、最後までモニョモニョしっぱなしでした。
たぶんストーリーの中で受けや攻めに根本的な罪があることにはしたくなかったんだろうな。でもそのせいでぬるくなってしまった気がする。根本的な罪が主役カップルにあることにしても良かったんじゃないかなーと思ったりもしました。
ヤクザもなぁ。こんな、警察や弁護士絡まされたらすぐにオジャンになるような稚拙なやり方で脅しをかけて女を風俗で働かせようとするヤクザなんていねぇぞと思いました。
感動的な大円団ですが、私も先にレビューしてた方が書かれてるような甘さやぬるさを感じました。影でヤクザの九条に庇護されて南の島でラブラブって…。九条が彼らを守ってやりたくなるような「動機」がもっとちゃんと欲しかった。与えられっぱなしやん、と。
「アホアホ姉妹をアホアホ主役カップルが助け、アホアホ主役カップルを九条が助ける」という構造なのですが、常に「なぜ助けるのか」という部分での説得力を欠いてる感じでした。
良かったのは九条ですね。
彼は良かった!
すべての魅力が彼に凝縮されてる感じ。スピンオフに期待です。大好きです。
あともちろん、基本的な文章力などなどはさすが凪良ゆうさんで、読みやすいです。
教育実習生と生徒だった頃の過去話も良かったな。
うわうわ、文字数が足りなくな
このお話は、一也が好きな人を助けたいが為に間違った道を歩んでしまう…というものでした。一人の人間を守りたいが為に、ヤクザに魂を売るかのような行為を繰り返し繰り返し…、正直、夏生のなにがそこまで彼を引き寄せたのか…というのは、謎のままかなと思います。
彼は昔の思い出に引きずられているだけかも知れない。そしてそれが再会後のセックスで加熱し、溺れただけかも知れない。ただ解るのは、一也は高校生の夏に自分を “可哀相ではない” と言った夏生の虜になってしまっていること。
基本的に一也は感情が行動に出やすい男だなと思います。夏生への思いと彼の行動は、ものすごく太い神経回路で繋がっている。それは夏生が目の前から居なくなってしまったことから始まった悲しみのあと、卒業を目標にしていた高校を中退してしまう点でも見受けられると思います。
体全体…一也の総てが、気持ちによって左右されているのだと思う。若さという理由付けももちろん出来るかと思いますが、それでも彼は溺れる気質を持っていたのだと思うんです。新しい恋人が出来、亡き主人の仏壇を処理してしまった母親に、彼は図らずとも似てしまったのだと感じました。
恋愛の相手しか眼に入らない。恋人を思うゆえ、どんな無体もしてしまう。誰かを傷つけてしまっている。恥もなにもかも捨ててしまう姿は、方向性こそ違えど同じものを見るようで…どんなに悲しみを抱いたって、血の縛りには抗えない一也が切なかったです。
一也が背負ったものに対し、夏生があまりにも無知というか…考えが甘かったのがどうも引っ掛かりますが、一也の良いところは 「あなたのために」 という精神では決してなかったことです。
「あなたのため」 って、一見優しいようですごく押し付けがましくて乱暴な考え方だと思うんです。でも、一也にはそれが全く感じられないんです。自ら辛い道や間違っていると理解する道を歩んでしまうし、夏生には絶対にそれを悟らせない。むしろいつも夏生に逃げ道を作りながら接していたなぁと感じました。ヤクザと話を付けてあげた代償として抱かせろ、そう言って夏生に関わって、夏生はあくまで自分の行為の被害者であるようにしていた。
もうね…、こういうところ。
どうして夏生をそんなに好きになっちゃったの?と、思わずにいられなかったです。どうしてそうやって下手にしか生きられないんだよと思った。一也って、すごく悪い奴で良い奴でもあり、それから怖い奴だと思う。恋ゆえにたくさんの罪を犯して、恋ゆえにたくさんの無理を受止めて、それが総て恋という原動力から生まれるということが、すごく怖いなと思いました。
きっと一也にとっては夏生は、もう自分の命なんじゃないかというくらい大切なんですよね。言葉のアヤなどではなくって、ほんとうに命なんだと思う。
終盤になっても一向に報われる兆しが無くて、というよりもっともっと泥沼に嵌っていって、もしかしてバットエンドなんだろうかと思ったほどです。
実際、これがもしバットでも私は全然受止められただろうと思います。
でも、最後の最後に拾う神が現れたんですよね。その神は、愛したいのに殺したい、会いたいのに殺したい相手を探し続ける男なんですけれど、もし一也がこれほど引っ張ってくれなかったら、私は九条が気になって仕方がなかったと思います。
そのパラドックス的な思いは、彼の本心なのか?
それが気になって気になって…凪良先生があとがきで 「九条のお話がある」 とおっしゃってくださらなかったら、きっと私はこのレビュで延々と悶々していたと思います。←
拾う神がそんな難しい男だからか、やっと一也と夏生に訪れた幸せも、甘いのに痛いようなものでした。五年前のあのとき、夏生が逃げなかったら…もっと幸せだったかというと、そうではないと思う。なんと表現すればいいのか判らないんですけれど、出会うべきときに出会い、逃げるべきときに逃げ、再会すべきときに再会したのだと思わされる。どこまでも蛇行でしか生きれず、失望したはずの母に似ながら一也を見ていると、ゆかりだとか…そういったものを感じずにはいられませんでした。
でもそれらのゆかりを最後に纏め上げたのが、運命の神ではなく拾う神だったのが…なんだか不思議です。