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いつまでも子どものままの睦と、どんどん大人になって変わっていく来栖の長い長い、恋の話です。ずっとずっと、相手のことが好きなのは二人同じ。でも、周囲への影響など思い至れない睦はただただ素直に気持ちをあらわすのに、大人になっていく来栖は色々考えすぎて遠回りばかり。成長することの残酷さを、取り残されていく睦とともに感じます。睦の子どものような純粋さに何度も泣きました。悲しい話じゃないところでも、なぜだか泣けて泣けて、読み終わる頃には自分の心まで洗われてしまったような。
でも、残酷に思えた「成長していくこと」こそが、また二人を繋げてくれます。来栖が本当に大事なものを睦といることで思い出し、二人が寄り添って生きる方へ歩き始めるようになるのです。そして変わっていく来栖を思い続けるだけに見えた睦も、少しづつ、少しづつ成長していました。二人の「成長」は、互いへの愛情と優しさを基盤としていて、二人の会話の端々にそれを感じるたびに、また涙してしまいました。
来栖も人間らしいいい男です。完璧に見えて完璧じゃない、きれいなだけじゃない魅力があります。この来栖が睦を離したがらない気持ちがとてもわかります。最高の結婚相手は「そうありたい自分」でいられる相手、なんてことをどこかで聞きましたが、来栖を見ているとまさにそれだなと思うのです。
大人になって、大事にしていたもの、好きだったものが取るに足らないものになってしまうのは誰しも経験のあることだと思います。睦は来栖にそのことを思い出させてくれる存在なのでしょう。ついでに私も、素敵なものを思い出させてもらったようです。
これは蛇足かもしれませんが、純粋なものほど、本能的な場面が引き立つのでしょうか?この作品ではキスだけでも指先がピリピリするくらい萌えを感じました。決してエロくはないのですが、なんというか、萌えとしか言えない。
長いレビューになってしまいましたが、いい小説を読めて、いま幸せです。
砂原糖子さんの小説はだいたい読んでいるのですが、やはり発行部数の多い作家さんはたまに取りこぼしがあります。
で、取りこぼしに気づいて読みました。
すごく重いテーマだと思うんです。
障害を持つ人で恋愛、ましてやBLを描くというのは。
萌えという部分は、全くなかったけど、これは私の希望かな。
私の甥っ子も何もかもがわからないというほどではないものの、発達障害があります。今は5歳。まだ可愛いで済ませられるけど、大人になったらきっと恋愛も仕事も大変だと思う。
彼も睦みたいに、周りの人に支えられつつも優しさを与えて、生きていってほしいなぁと思いました。
だから、個人的にすごくいいなぁと思う作品でした。
現実はそう簡単にいかないとしても……
上記の出版社からのあらすじだけでは、手に取らなかった本だと思います。みなさまのいろいろな意見・ネタバレ・レビューを読んで、購入したいと思いました。
あらすじは、他の方が綺麗に話して下さっていますので、個人的な感想を書かせて頂きます。
他の方と同じですが、難しいテーマだと思います。
何度も泣きたくなったり、心臓の裏辺りがドロリと痛んだり、手が震えたりしました。最初の睦の彼女(?)は、殴ってやりたくなりますが、彼の良さも彼のことも何も知らないからだと思いたいです。でもきっと知ってても差別や拒絶する人は、たくさんいるのだと・・思うと・・悲しいです・・。
それでも読んで、この作品に出会えて良かったです。萌えの部分は、膨大では無いですが確かに有ったと思います。そして萌えでは無い、他の大事な部分をたくさん貰えたと思います。
睦(受け)のことを理解してくれる、両親・友達・隣の家の家族(攻め様の家族)、初めは恐く感じた攻めの彼女。そして愛してくれる攻め。希望がたくさんあったように思えます。
そして小説の描かれ方が、受けの視点・攻めの視点と交互に書かれていたのが分かりやすくて、好きでした。なので、攻めが約束を破って連絡を寄こさなくても、睦を選べない理由も、痛いほど分かります。その分切ない気持ちも伝わるので、この二人がくっつかないのは、何が悪い訳ではないのだな。と思えてしまいます。
上手く説明が出来ませんが、睦が常に一方的にみんなに愛され、守られてるわけではなくて、苦労するシーンも何度か出てきます。それでも頑張ってる睦に、そして彼の純粋な部分から、攻めも含めて周りの人も忘れていた大事な宝物をもらえてるのだと思います。
個人的な自分の話ですが、引越しのたびにランドセル、勉強机、昔描いた絵、お母さんが作ってくれた洋服、友達から貰ったぬいぐるみ、手紙、宝物だったはずのものを捨ててきました。大人になるんだからと前を見てるふりして、手を繋いでいたものを離していきました。これは正しかったのか。今、手元にあるものは何か。大人とは何なのか。
本を読んで気づかされました、こういった自分が守って大切にしてきた宝物、嬉しかった思い出、悲しかった記憶、そういった忘れたもの・忘れなかったもの全ての集合体が今の自分なのだと思います。
攻めのクルちゃんも言っていましたが、睦という存在がそういったものを思い出させてくれます。
本編の後半で、睦が「クルちゃんは、じゅんすいなんだね。」というシーンが有るのですが、
自分は随分汚れてしまった・・と思っていたクルちゃんには、衝撃的な台詞だったと思います。
クルちゃんの背中が震えたという書かれ方がとても好きでした。わたしの背中も震えて、嗚咽がでそうでした。
以前の仕事だったり、他の理由でも自分の周りでハンディを持った方と接する機会があります。
色んな意味での、こうであって欲しい、現実でもこういう考えの人がたくさん居て欲しい。
自分の希望も詰まった本ということで神評価をさせて頂きます。
これは最初からちょっとホロリと涙もろもろ~で読ませていただきました。
受がちょっとした障害を持っているために~な部分もありますが
作品は作品として私は読ませていただきました。
とりあえず、これ何があれって、攻がシャキっとしないからいけないと思うねんっっ(ノ`Д´)ノ キィィィ
な部分が多かったww
年を重ねても、心が一途に子供のまますすまない 受。
その受を大事に思うがあまりに、自分の邪な気持ちで怪我してはいけない。
まっとうな道から受を外したくないという気持ちが抜きん出てしまい、最終的に、受をほっぽりだして逃げてしまうという攻がいただけない作品なのでありますが、それによっての、葛藤であったり、受が「恋」を知っていくまでの流れがゆっくりと、丁寧に描かれている作品だなと思いました。
子供のまま変わらない受。
好きなものは、ずっと好きで、大事なものはずっと大事。
けれども、攻は、小さい頃好きだったものは嫌いになり
大事だったものも大事でなくなってしまう。
攻の言いつけを守り続けていた受は、攻の成長にともなう変化に戸惑っていく。自分のことを可愛がってくれた攻。自分のことも、嫌いになってしまったのだろうか、自分の位置はいまどの変なのだろうか。
葛藤していく姿に思わず涙してしまいました(*ノД`*)・゚・
最近めっきり、涙腺がよわくていけない。
泣すがる受。泣すがる攻。
年めぐって、同じことを逆パターンで繰り返すという構成が面白かった。なのだけれど、もうひと押しあってもよかったかなと思ってみたり。
後半に向けて~のバタバタっとした展開も良かったです。
ご両親にもきっちりバレてそうなのがいいですな(笑
なんにせよハッピーエンドなら全てよし。
砂原先生の実力を感じられる作品でした。読み応えアリ!
ただ、究極にじれったい。
すごい内容だったな~とじわじわ後から感動がくる作品でした。
高純度の幼馴染みラブです。とにかく純度が高いです。普通の幼馴染みものとの大きな違いは、受(睦)が攻と一緒に大人にならないところです。心が子供のままなのです。一般社会で生きるにはハンディキャップというのかもしれませんが、恋愛の障害にはなっていないし、彼自身そのことで不幸ではなく、かわいそうという視点もないのがいいです。本当はこういう風にいられたらいいんだろうなとも思いました。また、睦を特別視せずに対等に接する仲間たちが集まる素敵なコミュニティで、主に睦の視点から描かれているせいか、そこから改めて社会や人の奇妙なところが見えるようで、いろいろ考えさせられました。
来栖(攻)ですが、睦に対しての気持ちが、ただの劣情なのか恋愛なのかわからなくて葛藤→大人で汚い自分はキレイな睦にふさわしくないと葛藤する様子にじれったさを感じました。そうしてモダモダする彼に「クルちゃんはジュンスイなんだね」と、スルっと睦に言わせる演出が素晴らしいです。変わらず無垢であり続ける幼馴染に対して、変わっていく自分とのギャップに苦しみながら、本当は睦の心と同じでありたいと願う来栖の気持ちこそが、実はイノセンスなのかなと思うのでした。