名作「言ノ葉ノ花」スピンオフ登場!!

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表題作言ノ葉ノ世界

他人の“声”が聞こえる男・仮原眞也(25)
M大学理学部生物学科准教授・藤野幸孝(31)

その他の収録作品

  • 言ノ葉ノ世界
  • 言ノ葉ノ光
  • あとがき

あらすじ

生まれつき人の心の声が聞ける仮原は、それを利用してずる賢く生きてきた。
ある日、車と接触してケガをする。その車に乗っていたのが大学准教授の藤野だった。
仮原が初めて出会った心の声と口で発する言葉が全く同じ人間。
まるで輪唱のように響く藤野の“声”と言葉を心地よく感じ、そんな自分に苛立った仮原は、
藤野がゲイであると知り、偽りで彼に「好きだ」と告げるが……。

作品情報

作品名
言ノ葉ノ世界
著者
砂原糖子 
イラスト
三池ろむこ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
言ノ葉ノ花
発売日
ISBN
9784403522406
3.7

(121)

(41)

萌々

(28)

(36)

中立

(7)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
25
得点
432
評価数
121
平均
3.7 / 5
神率
33.9%

レビュー投稿数25

信じたいと願えば願うほどなんだか切ない

(by宇多田ヒカルさん)…と、思わずにはいられない作品です。
もう、すっごく良かった~~~~~~~ですっ!!!!!
私は雑誌掲載分である前半を既に拝読していたのですが、こうして文庫化となると、一層一層より一層!!!!!大好きになりました。後半の書き下ろし 「言ノ葉ノ光」 で、何倍も仮原がいとおしくなりました…。

前半の雑誌掲載分では、仮原が砂原先生作品でも稀に見る?いやな奴だという印象を得ました。人の心の声が聞こえるということを悪用しているし、それを悪いとも思っていないし、自分よりも弱い人間を平気で詰れるような奴だったんですよね。
本音を言わないことであったり、手の内を明かさないことで成り立っているモノを平気で壊しにいくんです。コノヤロゥ…!!!! と思ってしまうくらいに人にチャチャを入れる奴だったのですが、藤野に出会い、藤野に恋をしてからの彼はほんっとうに可愛かった~ 。゚(゚´Д`゚)゚。

積極的に人の心に踏み入っていった頃とは反対に、藤野の心の声が怖くなってしまう。それはきっと、自分を愛していながらも自分の能力を受け入れてくれなかった母親に由来しているんですよね。
息をするみたいに心の声を読んでしまう仮原に、「うんざり」 しながらも 「ごめんなさい」 と思っていた母。それはどちらも本音だったし、だからこそ仮原も母を恨みきれないのだと思います。でも藤野は仮原の母親ではない他人だから、「うんざり」 したらそれっきりになってしまうんですよね。
仮原の能力を知った藤野が、必ずしもそれを良しとは思っていないらしいのは前半の方で分かっている。だから仮原は、なんとかして心の声が聞こえなくならないかと考え出すのだと思いました。

藤野に嫌われたくないから…という理由で能力を失いたいと思う仮原の気持ち、とても素敵でした。
でも、もしほんとうに聞こえなくなったら…仮原はきっと余村よりも参ってしまうのではないでしょうか。余村(前作「言ノ葉ノ花」の主人公)は大人になってから聞こえ、また聞こえなくもなりましたが、彼は先天的なんですよね。生まれてからずっとそうであったものがきゅうにそうでなくなったら、たぶんもう “自分” ではなくなってしまうんじゃないかな。
藤野のことを好きになったのは 「心の声が聞こえる自分」 だし、藤野が好きになった相手も同じです。だから、彼は、子供のころから迷子みたいに彷徨っている自分自身を受止めてあげるべきなのだ…と、拝読中にとても感じていました。

結果、仮原の願いはやはり叶わずに終わるので良かったです。
自己主張をあまりしない藤野が、はっきりと仮原を認めているのだと示してくれる場面が素晴らしかった。前半からは考えられないくらい、すっごく強くなっていたなと思います。
替わりに仮原は、お話が進むにつれてどんどん弱くなっている気がします。周りの人間に散々幻滅していながらも、仮原が一番信じられなかったのは自分自身だったのだと思いました。本気で人と関わりあいたいと思ったとき、ほんとうは心の声が聞こえるなんて無意味…あるいはマイナスの要素なのだと知ってしまってから、仮原は可哀相なくらいに迷っていました。
心の声はいつまでたっても聞こえるし、藤野とどれだけ繋がっていられるか分からないし…、他人の心の声が聞こえるからこそ、一人だけで完結させてしまおうとしているのかな、と感じました。

仮原ってほんとうにほんとうに寂し男…というか、寂しんぼだったんだなぁと思います。相手から言葉による反応が返ってくる前に諦めてしまう…、心の声が聞こえるってそういうことなんですよね。仮原はそうして総てを諦めてしまう前に藤野の差し出した手を掴んだわけですが、もしそれを突っぱねてしまったら……、その未来が 「アキムラ」 なのだと思いました。
砂原先生曰く 「余村ではないが限りなく彼である存在」 だそうですが、余村も、あのとき修一が掴んだ腕を振り払ってしまっていたらアキムラになっていたんですよ、きっと。

心の声が聞こえるという能力に意味を与えるとしたら、私は 「人を信じる強さを学ぶ」 ためだと思います。
それを学べた人だけが独りぼっちではなくなるのだと思います。
アキムラも…、最後には強くなれたのでしょうか。

11

伊吹亜弓

茶鬼さん☆

はぅっ
ちるちるさんに投稿するコメントは、だいたい後になって恥ずかしくなるテンションなのですが…今回も例外なく愕然としております… orz
恥ずかしいテンションのコメ、大変しつれいしました…っ(ナイアガラの汗
そして茶鬼さんにいただいたコメで更にパトスが…!
そう、そうなんです! 「信じること」 なんですよねっっ
良い作品て、ほんとうはレビュという描写を超えるものだと思います。
もう…、いまだに茶鬼さんのレビュのタイトルを見つめていると涙が出ます。
おかしいくらいインスパイアされました。
素敵レビュありがとうございます!!

茶鬼

伊吹亜弓さま

激しいパトスのほとばしり、波動になって伝わってまいりましたぁぁぁぁ~!
もうすでに、多数の方がレビュされていたので、簡潔にと思ったら、
たった一言「信じること」という言葉しか出てこなかった(大汗)
まさか1行で済ますわけにいかず苦労したという裏話、、
ありがとうございましたっ☆

流れに逆らってみた(´・ω・)ノヨシヨシ

はーい(--;)ノ
私は、前作『言ノ葉ノ花』よりもコッチのほうが好きですо(ж>▽<)y ☆

なんたって、攻め受けともに性格がいいb

攻めは「心の声が聞こえる」という自分の力を使って独り者の老人をだまし、金を稼いでる……というのですが、どうみても偽悪者にしか見えない。
さりげなくおばあさんの落し物を拾ってあげたりだとか、どう見てもいいやつだろ!
受けは、完璧ないい奴☆
心の声と実際の声が同じって言は、裏表が無いってこと。人を疑わないし、なにしても怒らないし、お人よしだし。確かに、偽善者っぽい。でも、偽善者じゃないってことが攻めには分かる(もちろん読者にも分かる)。そこがいいんだなぁ~(*^^*)
とにかく、二人とも性格がいいんだ!!

それと、「心の声が聞こえる」ってゆう設定が最後まで生かしてあるのも良かった!

前作だと、途中でなくなっちゃうし。まぁこういう設定の話にありがちなパターンだったけど……力が無くなった後の葛藤とか。
でも、私としてはもっと「心の声が聞こえる」っていう設定を生かして欲しかった!!
前作では、恋に落ちるきっかけってことぐらいにしか印象に残らなかったし。

でも今作では力はずーーーっと消えない☆
どころか、ずーーーっと心の声が聞こえてる!!もうそれだけで「神」決定だし♪
タイトルに「言ノ葉」ってつけるくらいなんだから、生かさなきゃもったいない(>_<)
力を受け入れながら、どうやって折り合いをつけていくのか……っていう過程を見るのが楽しかった!ってか切なかった~(;д;)

そりて、攻めが受けにすがり付くっていう画もいい!ポイント高い☆


あと、皆様もいっている「アキムラ」ね。
「アキムラカズヨ」って聞いたとき、「えっ?もしかして余村?なに?なにがあったの?」と混乱しましたが、何となくパラレルかなぁと途中で思ってはいました(願望だったかも)。
私的には、この「アキムラ」の存在も含めて「神」評価です。
彼の存在と、彼の恋……「あったかもしれない」余村のもう一つの人生を思わせる切ないストーリーはプラスポイントでしたо(ж>▽<)y ☆

5

私、好きです

 雑誌で読んだのにね、また買っちゃった。

 2回目だから、泣きはしなかったけど(1回目は泣いてしまった)、やっぱり好きかな。

 心の声が聞こえようが聞こえまいが、ひととのコミュニケーションは難しいよね。人と人とは完全に分かりあえることはないけど、だからこそ切なさと喜びがあるんじゃないかな~~~なんて思ってしまった。

 私、この方の書く小説が大好きなのですが、好きな要素が庶民的なところ! 設定は変わってるのに、雑貨屋のボロさとか、攻めのダメっぽさとか(ほんとは優しいんだろうけど)、リアルなところが好き。逆にお金持ちの社長(すごいダメなところがあると萌えるけど)とかアラブの石油王とかは興味のない人間なので、私と同じような嗜好の人にはいいかも?

 それにしても、前の「言丿葉丿花」でも思ったけど、心の声が聞こえると……エロいよね!!!!
 

3

エピローグに涙腺崩壊

やられた、エピローグに全部持っていかれた( ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )
本作の攻めは悪い奴でしたねー
ラストまであまり好きになれなかった。
ただ、心の『声』が聞こえるということは、人を孤独にさせるんでしょうね。

心の声と実際の声に差がない藤野。
仮原は藤野の『声』を輪唱みたいだと表現したけど、気持ちと言葉に齟齬がない人間て奇跡だと思う。
とても素直で正直だということ。
だからこそ仮原は惹かれたのでしょう。

お年寄りに擦り寄って騙し、人を見下し、何も期待しない男。
そんな仮原が初めての恋を知り、藤野に必死に追いすがる。
突き放しては追いかけて、また突き放しては縋り……この繰り返し。
もどかしくて苛つくし、馬鹿な男だとも思いました。
それでも憎みきれないのは、生まれた時から『声』が聞こえる仮原が孤独で寂しいから。
心のどこかで幸せになってほしいと思ってしまうから。

このシリーズで砂原先生が言いたいことは、『声』が聞こえる人の苦しみじゃなく、『言葉』で伝えることの大切さなんだと思うのです。
言葉を以て、信じる気持ちを以って、人は心を通じ合わせるのですよね。
とても素敵なメッセージだなと思いました。

そして何より私の心を揺さぶったのが、アキムラとシュウ。
二人の再会に涙が止まらなかった。
仮原ありがとう。藤野(の学生さん)ありがとう。
二人を会わせてくれてありがとう。

0

「言ノ葉ノ花」とセットで

◾︎仮原×藤野
「言ノ葉ノ花」と「相手の心がわかる登場人物が出てくる」というところだけ共通した別のCPです。こちらだけ読んでも話はわかるけれど、前作を読んでいた方が良いところが一点あり、その一点が人によってはものすごく重要だったりします。セットで読んだからこその良さ。

ゲイバー行った後のエッチシーン、藤野のお尻にすんなり指がはいるのは、やっぱりゲイバーいくから綺麗にしてきたからなのかしらと思うとエロいですね。
「言ノ葉ノ花」でも割とスルッと入っていたので、ファンタジーお尻ってだけな気もするけど、そう捉えると自分は嬉しいからそう思っておこう笑

こちらも「言ノ葉ノ花」と同じく、いつの間にか仮原の方が藤野へ縋りたくなるほど好きになっている。大好きな展開再び。余村と違って普段強がっていた分、また長谷部と違って藤野が明確に仮原を突き放した分、絶望が凄まじいです。彼は"アキムラカズヨ"にならずに済んだ…

10年ぶりぐらいで読み返してるので、すっかり忘れてましたこの恐怖を。"アキムラカズヨ"が"余村和明"のアナグラムなの、震えるほど怖い。あとがきでも語られてますが、「言ノ葉ノ花」も恐ろしいものに思えてくる。彼が、家もなく女子高生を唆し土下座をする世界が確かに存在するんですよ。仮原と藤野の幸せな世界の存在を肯定することは即ち"アキムラカズヨ"の悲劇を肯定することになる辛さ。この発想が砂原先生にあると言う事実が恐ろしい。一方エピローグがあるところも砂原先生らしい。

萌2〜神

0

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