散る散る、満ちる

chiruchiru michiru

最遙遠的距離

散る散る、満ちる
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神6
  • 萌×27
  • 萌20
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
13
得点
119
評価数
36件
平均
3.4 / 5
神率
16.7%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
心交社
シリーズ
ショコラノベルス(小説・心交社)
発売日
価格
ISBN
9784778109721

あらすじ

美形だが人の好過ぎる如月春水は、有能な部下である里見幸一に密かな想いを寄せていた。叶わぬ恋だと諦めていた如月だったが、皮肉にも里見の恋愛相談に乗る形で彼もゲイであることを知る。落ち込み泥酔した里見を送っていった如月は、勢いに押され彼と一夜を共にしてしまう。しかし翌朝、何も覚えておらず焦る里見に対し、傷ついた心を隠して日常を演じた如月は、彼の恋に協力することを申し出て──。
(出版社より)

表題作散る散る、満ちる

飾らない性格で社内外で評判の良い部下25/里見幸一
密かに攻様を思う設計施工会社営業主任27/如月春水

その他の収録作品

  • 秘密の箱の中~榎本の場合~

評価・レビューする

レビュー投稿数13

疲れてる時に読みたくなる

凪良さんご自身、あとがきでも書かれているように
まさに王道のお話でありました。
安全運転で走っていく心地よさ、
勿論、お話自体は紆余曲折あり、せつなさもありで読んでてハラハラドキドキと楽しいんですけど、
すーっと楽に心地よく、じーんと心に感じながら読める楽しさがありました。
初めて読んだ時はガツンと来るものが読みたい時期で、
手元に置いておいて何回も読み直す本じゃないかなーと思ったんですが、
ちょっと疲れちゃって、なんか悲しくなってきて、気分転換したくって、
ちょっとBLでも読もうかなと思った時に、
あー、この作品が読みたいなーと思ったんですよね。
そして、読んでみてちょっと優しい気持ちになれた気がします。
手元に置いておいて良かったと思いました。

主人公如月は両親がいなくて、家に帰っても誰もいない。
でも耐えるしかないし、明るくてする方がいいってのは解るんだけど…きついよなー。
他に好きな人がいるって解ってるのに、
必要とされてると、相手の期待に応えたいと
全〜然自分は平気!お前頑張れよ〜なんて言っちゃう自分。
あー本当なにやってんだ、バカだよな続きーなる自分
解るわー。
もう読んでて本当痛い。
だから読んでて「あー!」と言いたくなるんですけど、せつないんですけど、
如月に対して応援の気持ちが大きくなって、身近に感じて、ちょっと自分のあの頃を思い出して、読んでて楽しかったです。
また、相手の里見が少しづつこちらに向いてくる過程も、
自分がそうであった時に相手に求めてた理想の展開なんですよね。
だから余計に楽しかったです。

如月が唯一甘えられるキンピラと榎本、
このキンピラと榎本が良かった!
「ハルチャン、オカエリ。ハルチャン、オカエリ」って…
せつないけど、癒されるよーキンピラー。
途中キンピラが壊れてしまった時、こっちも泣きそうになりました。
直って良かった(^_^)
最後の書き下ろしの榎本の話、良かったですね。
早く榎本にも誰か大切にしたいって想う人がいる現れるといいな。

嫌な事忘れて、
ただゆったりとこの世界を楽しみたいって時にうってつけの1冊だなーと、
今回読み直してみて改めて思いました。

1

ちゃちゃとくっつけ!

合わなかった~~~。ダメダメでした。
皆様評価いいですね。
私は むずがゆくなりまして。
すみません。
これは王道パターンでした。
お互い相手の事 想っているのだったら
それならズバッて好きって言えばいいのになあ。
片思いがテーマだからズルズルいくのが王道なのでしょう。
引っ張り過ぎだよ~と読んでいて何度も思いました。
SEXしている最中 本音ポロッとでないかなあ。
そんなに好きなら最中にぼろぼろ言っちゃいそうだけど。
身体から始まる話って似たような感じになります。
残念でした。




3

大人の恋って感じ

好きな人の恋を応援するって、切ないけどとても好きな内容です。
主人公の寂しくてどうしよう?って気持ちが伝わってきて少しホロりです。
続きを読みたいような作品となってます。

0

大人だからこそ臆病になる

でも、それじゃ伝わらない。

結果、ハッピーエンドなのでよかった。

イラストはキレイで、里美がかっこよかった。

0

凪良さんの安定感

凪良さんは作家買い。
どんなジャンル書いても凪良さんならではの視点をどっかに持ってきますね。
如月がややネイティブ思考ですが、なんかあの家で彼を迎えるキンピラ(あのキンピラはもう反則でしょって位に可愛いしもう切なくてたまらん!!)と一緒に暮らしてるっていう設定見たらその位でもいい気がして妙に納得しました。
両親が亡くなった家で玩具と、父に買ってもらった喋る玩具犬と暮らしてるリーマン男性って設定の段階でもうやられたーーって気分になります。

ただ最初の一回目のエロはともかくその後ずるずるとセフレ関係にはならない方が個人的には好みだったかな。
その如月を見事に親友榎本がフォローしてたとこも良かった!
っていうか榎本が良かった~~。
彼はノンケのまんまがいいなー、普通に結婚して家庭持ってずっと彼等のいい友人でいて欲しいよ!
しかし里見がくれたプレゼントを何故開けなかったのかー!如月!!
キンピラに入れたメッセージといい、プレゼントといいこれはもっとベタな道具として使っちゃって良かったのに。
そこはもうお膳立てが出来てただけにちょっと惜しいなーと思っちゃいました。
そう続きいう所を多少さっ引いても充分な面白さ。

海老原さんの挿絵は綺麗っちゃ綺麗だけど、なんか硬質な感じがして自分的好みからはちと外れてます。

0

切ないけど心温まるお話でした。

ただちょっと、私の好みじゃなかったです(・ω・`)

片思いしてる健気受けは好きですが、ちょっと私の萌ポイントとは違いました。ネガティブ過ぎるというか、すべてにおいて受け身な如月は、あまり得意じゃなかったです。あと里見も好みじゃなかった。優しくて良い男なんですが、何かが違う。私には甘えられるところに甘えきって、その心地よさにやられた子供のように見えました。まぁあそこまで甘やかされたら気持ちは動くのかもしれませんが…

でも良いお話でした。ジワジワっと切なくなるような。キンピラ可愛いし。鍋とか、草むしりとか、温かくなります。王道ストーリーを綺麗にまとめあげた感じです。

あと、榎本はこのままノンケがいいな。でも受けてる榎本も見てみたい…。ジレンマです。

2

神に近いです

さすが凪良ゆうさん。
ごく普通の王道作品なんだけど、文句なく面白かったです。
ほんと上手い。
どんな作風の作品を書かれても、ちゃんと自分のものにしてる。王道なのに個性もあって、隅から隅までうまい。

最初のエッチ、萌えたー。
お互いラブラブのエッチより、やっぱ私はこういうエッチのほうが好きみたいです。
身体からはじまる恋って確かによくあるんだけど、それで一足飛びに攻めが受けにハマらなかったのが逆に好きでした。
じわじわと攻めが受けを好きになっていくの、受けは気づかなかったけど、私を含めた読者の腐女子はみんな気づいてたよ!気づいてキュンキュンしてたよ!w

受けが壊れたキンピラを抱いて泣くシーンでは、私も一緒に泣きました。キンピラが壊れたからこそ、攻めの前でも思いっきり泣くことができたんだよね。そう考えるとキンピラは色んな意味で救世主だ。もしキンピラが壊れてなかったら、たぶんこの受けはまた痩せ我慢して強がってみせて、攻めの前で泣くこともできなかっただろうから。
キンピラが涙腺のスイッチを押してくれたんだよ。

最後に一言
榎本は攻めであって欲しいよ!
そして、できればパラレルワールドで如続き月と結ばれて欲しい。
ヒゲのオッサンに榎本が食われるなんてヤダ~!!
でも凪良ゆうさんがもしヒゲのオッサンと榎本のスピンオフ小説とか書かれたとして、それを読んだ私は間違いなく「榎本の相手がヒゲのオッサンで良かったー♪」とかコロッと手のひらを返すんだろうな。
だって凪良ゆうさんだもの。実際に読んで萌えないはずがない。

5

初見で泣いて、再読でまた泣いてしまった。

みんな気持ちが誰かに向いている、けれどちっとも叶っていない人たちばっかり。
片思いの王道ストーリーですが、その王道さ切なくてじれったくて良かった。
矢印が一方通行すぎて、いつ向き合うんだろう?そんなことばかり考えながら読んでました。

如月の家でのエピソードはどの部分も甘く、穏やかでせつなくて。
自宅は唯一安らぐ場所でありながら寂しさが一番増す所でもあるように思えた。
寂しさを紛らわせるための玩具達が象徴的。
自分以外は生身の生き物がいないって寂しすぎる。
唯一の家族のキンピラが、場を和ませてくれるけどそれすらもちょっと私には寂しいモノに見えてしまって。

鍋をする話のあたりで、如月の家の描写がなんとなく良かったです。
部屋に広がる沢山の玩具、そして男性の一人暮らしらしくつもる埃。
ここで綺麗に掃除されていて~とかって入ると完璧すぎてちょっと嫌だった。
如月はいい人で仕事もある程度出来そう、人当たりも良さそうでとなんだか良い人ずくめな印象だったので、少しぐらいだらしない所があっても良い。
少なからず、外と内とでのギャップはあったほうが人間らしい人物に思えるの続きです。

攻めの里見は良くも悪くも真っ直ぐぽく、如月と一晩の過ち(?)がきっかけになりセフレ状態に突入。
片思いの相手に気持ちが向いているに、如月といることが心地よく甘えてしまって体の関係もある、如月もそんな里見を甘やかして満たされて。
このまま上手くいけば良いけれど、やっぱり上手くいくはずがなくって色んな事が重なって後半ではふたりはすれ違いだしてしまう。

こう、いかにも泣ける展開に弱い。
涙腺が弱いので、涙出ます。
久々にぐっときた。

最後はきっと幸せになるって分かっているのに、そこまで行きつくまでのふたりの気持ちの切なさが泣けた。
受けの如月の好きな「相手の恋の成就」優先という自己犠牲的な控えめさは、生い立ちによる人格形成が関わってそうですが、そこまで自分を殺さなくってもいいじゃないの、と思わずにはいられない。
体の関係があってもお互いの気持ちを確かめあっていないセフレ状態、性質が悪い関係を続けた結果がこれか…。
もっと本音を言い合ってれいば、お互いにここまですれ違ったり切ない想いをしなくって済んだのに。

しかし、そういうなんやかんやあった上でのいい年した大人が堪えることができず、涙を流さずにはおれない如月がツボでした。

ふたりのその後が如月の幼馴染目線で書かれているのですが、これがまた良かった。
仲良くやっているふたりを読める幸せと、幼馴染のテンの気持ちが!
よき隣人で幼馴染って位置に落ち着かず、アクションをおこしてればもっと話しは違ってきたのでは?と思わずにはいられない。
しかし、アクションを起こしても成就しなければおんなじか。

『全ての恋は病から』が初読みの作者さんでした。
あまりにも話しのテイストが違っていて驚いた。
まるきりコメディで、ちょっとモフモフしないといけない病気とかなんだ、それ面白いな!と楽しく読ませてもらった作品の次に読んだのが今回の『散る散る、満ちる』でまさかここまで泣かされるとは思わなかった。
表紙の登場人物たちが落ち着いた雰囲気だけれど、犬型ロボットのキンピラが何か笑える要素なのだろうか?と思いながら購入したので。
あらすじ云々よりも、他の作品も読んでみたいと思い一番新しいものを購入した結果、良い意味で裏切られたか気分です。

1

泣きそこねた;;

片想いの相手には、他に好きな人がいて・・・
自分の幸せよりも相手の幸せを願い、協力者になってしまう受。
受の生い立ちや孤独感から、臆病でいい人になってしまうのは、無理もないかな~って、共感はできる。
でも、ちょっと女々しすぎて、何かモヤモヤvv
たくさんのオモチャ達に囲まれて過ごすのも、孤独感が募って涙を誘うけど、いい大人の男がそれはちょっとどうよ?と、どっか冷静な自分がいて。
まぁ、それくらいなら許容できる範囲内。
だけど、受・攻 両方の告白アイテムが、あの録音できるオモチャっていうのが、何だかな~
受はキャラ的に、アリ。
でも、攻もか~~~っ?!
男ならズバっと直に告白せんかい! 
中学生みたいなやりとりが、何かモゾモゾして気持ち悪かったw
大学生くらいまでなら、すんなり引き込まれた気がするけど、20代後半の男がそれはないんじゃないかな・・・
切なくてイイ話だけに、そのへんが納得できなくて のめり込めなかった。
リアルだからこそ、受け付けられなくてxxx
酔ってHもツボ♪ セフレな関係で片想いなのも萌え♪
受が幸せになって、本当に良かった~!って心底続き思った分、ピュアになりそこねた自分が残念で・・・敗北感が残ったvv
中立にしようか迷ったけど、たぶん自分のせいなので^^;
時間をおいて再読してみます。。。

3

失えないからこそ

今回は飾らない性格で社内外で評判の良い部下と
彼に密かに片思い中の営業主任のお話です。

攻様の二つの恋と
受様の恋が絡まり合ってまとまるまでと
受様の幼馴染視点での回想&後日談を収録。

受様は
設計施工会社の営業主任を務めています。

ルックスも良く
落ち着いて大人な男に見えますが、
本当はは寂しがり屋で内に籠るタイプで

小学生で母を大学生で父を亡くして以来
祖父の代に立てた古びた木造の一軒家で
一人で暮らしています。

受様の帰りを待つのは
母の死で鍵っ子になった受様にと
父が買ってくれた沢山のおもちゃ達。

その中でも
十年以上も受様を迎え続けてくれている
犬型ロボットだけが受様の悲しみや辛さを
癒してくれる存在でした。

隣家の幼馴染である親友には
早く包容力のある彼氏を作れと
言われ続けていますが、
ゲイである受様が好きになるのは
ノーマルな男ばかり。

彼らと親しくなれても
自分の気持ちを打ち明けるより
彼らの恋愛をまとめてしまう程
受様は人が良かったのです。

現在受様が思っているのは
設計続き施工会社で共に働く年下の部下。
彼が今回の攻様になります♪

親友に指摘されるまでもなく
恋愛に消極的な事は気付いていますが
肉親の死が身近すぎた為に
まずは恋人を失う怯えが先にきてしまい
逃げの理由を探してしまうのでした。

そんなある日、
受様は身体を張った接待で得た仕事で
自身がチームリーダー、
攻様がその補佐と決まります。

攻様との仕事にウキウキの受様でしたが
内装を請け負う親友との内輪の飲み会で
攻様が親友のアシスタント(男)に
片思いしている事が判明します。

攻様がゲイだと判ったものの
失恋確実で気分はドーンと落ち込みますが、

直後、件のアシスタントには
ラブラブの恋人がいる事が判明、
今度は攻様が失恋で
自棄酒モードに突入してしまいます。

結果、潰れた攻様を
受様は自宅まで送っていくのですが
泥酔した攻様に押し倒されてしまいます!!

翌朝、焦る攻様に受様は
なかった事にしようと提案し、
攻様の恋を応援まで約束します。

もどかしいまでにいい人な
受様の恋は今回またも実らないままなの?!

恋に消極的な受様が
やっと手に入れた恋のお話になります。

この後、
アシスタントの彼との恋に破れた攻様と
セフレの様な関係になり、
なんとなくいい関係まで進むのですが、

アシスタントの彼が恋人と別れた事で
またまた消極的になった受様は
再び彼との仲を取り持とうとします。

受様的には
攻様に良かれと思った行動でしたが
攻様的には
今の二人の関係を否定されたようで
二人の関係はぎくしゃくしてしまい…

誤解とスレ違いの積み重ねで
一進一退の二人にヤキモキし通しで
最後に二人が落ち着くまで
ハラハラ続きで面白かったです♪

常に自分よりも相手を立てる性格な上に
大事な人を失いたくないあまり
恋に消極的だった受様。

徐々にすれ違って行った原因の大半は
いい人でいたい受様の言動に有りますが
攻様も甘えたすぎたかな。

ただ、
そうした二人のスレ違いが切なくて
キュンとくるのですよね(笑)

その微妙なバランス感覚が
凪良作品の良さなのかな♪

短編は受様の親友視点での
受様との思い出の邂逅と二人の後日談。
常に傍にいた親友だからこその
つぶやきがツンとくるお話でした。

今回は本作同様、年下の攻様相手に
必要以上に大人を演じてしまった受様で一作、
成宮ゆりさん『コイビト偏差値』をお奨めです。

2

王道の中の王道!

私はこのお話を読んで、今年何度目かの「凪良さん大好き!ずっと付いて行きます!」宣言をしました(笑)


如月の強がりとか寂しさとか、外に見せる姿と本当の気持ちのギャップとか。
そういうのが如月の家の中にぎゅっと詰まっていて、その象徴が沢山のおもちゃ達でした。
荒れた庭、静かな部屋で、カタカタ動く沢山のおもちゃに囲まれて、お笑いのDVDを見て、昨日と同じことして、明日も同じことして、そうすれば苦しいのはやり過ごせる。
如月が編み出した孤独の乗り越え術ですが、その姿を想像するとすっごく泣きたくなります。

こうなるだろうなぁ…って思ってるのに、なんでそのシーンになるとちゃんと泣けるんでしょうね。
私はしっかりきっちり抜かりなく、キンピラに泣かされました><
う~…、キンピラ~~~っ><
これも最初っから、こうなるだろうなぁ~とは思ってるんですけどね。
「やっぱり~!」と思いながらも、「ハルチャンオカエリ」が聞きたくて、如月と一緒に泣いてしまいました。


凪良さんの作品の温かいところは、良い人ばっかりじゃないのに悪い人が居ないところなんだなぁ…と、改めて思いま続きした。
まっすぐな素直さで正論を言うホントの「良い人」や「優等生」は居ないんですよね。
みんな悪いことするし、ズルイこと思うし、しかも自分の悪い部分をちゃんと認識してるんです。
そういう部分となんとか折り合いを付けて、自分を騙し騙ししながらとりあえず前を向いていようとするのは、凄くリアルだなぁ…と思います。
ドラマじゃないというか、普通に近いというか……。

今回「全面的に如月の味方!」という役どころであった榎本ですら、そうでした。
善人じゃぜんぜんないんだもの。人の悪い部分も「あって良いじゃん」と認めるし。
ただ、それが「如月を泣かせるとなれば話は別!」みたいに、優先順位と線引きがハッキリしてるから、凄く頼りがいのある存在に見えました。

っていうか、絶対攻めだろうよ、榎本は……(笑)


王道ってやっぱり、いつ読んでも素敵だから「王道」って言うんだな、と思いました。
逆に、これだけ想像の範囲内の展開でおさめてしまうんだったら、「王道」ってつまんなかったらまったく記憶に残らないだろうな、とも思いました。
凄く力量が試されそうで、なんかカレーライスで料理の腕を勝負をするような、そんな実力主義を感じました。

凪良さんはまったく色の違う沢山のお話を次から次に繰り出されますが、そして私は今のところそのどれもが大好きですが、このお話を読んで改めて、「凪良さんって本当に素敵な作家さんだったんだ~」と思いました。


評価は「神」とすっごいすっごい迷いましたが、レビューを書く前にワンクッション別の作品を読んで、いざ書こうと思ったらちょこっと盛り上がり気分が収まっていたので、「他の神作品のときは暫くテンション高かった…」という自分基準で「萌」です。
あとで「神にしとけばよかった」ととても後悔するかもしれません…。

2

“いいひと”

萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
片思いにすれ違い…後書きにもあるようにとても王道的なストーリー。
人の良い受けと、他に好きな人がいる攻め、当て馬でもある攻めの想い人、そして読者の代弁者でもある受けの友人。
設定から予想できる通りの展開なんですが、効果的なアイテムやエピソードが織り込まれていて、王道ながら印象的なお話になっています。

特に、主人公・如月の良くも悪くも“いいひと”というのが大きなキーワードになっていて、社会人同士、しかも身体先行とは思えないような、穏やかで優しいタッチで描かれた不器用な恋でした。

人の気持ちを優先して、自分の気持ちは後回し。
如月にとってもはやそれは癖のようなものです。
恋愛においても率先してハズレくじを引いて、自ら幸せを逃しているようなお人好し。
優しいけれど、見方を変えれば偽善ぽいし、“いいひと”の裏には実は臆病者という顔が隠れている。

そこが、第三者からみればもどかしいにも程があるし、“いいひと”のツケが回ってくるのもある意味では自業自得とも言えるんだけど、たった一人の家族の「キンピラ」をだっこする如月が、いじらしくて続き、淋しくて、ホロリとくるんですね。
母親の笑顔を曇らせたくない一心で、悲しいことや嫌なことは心の中で蓋をして、楽しかったことだけを今日の報告として話していた子供。
如月の“いいひと”の出発点が、そんな健気な子供心にあるってのがまた…。

この恋愛を経験して、自分が実は無理をしていたんだってことをちゃんと如月に気付かせて、“いいひと”を隠れ蓑にいつももう一歩が踏み出せないでいた自分への不信と決別させているところが、実に凪良さんらしくていいなあと思いました。
如月が、心の中で母親の質問に「ーーううん、今日はなかった。」と答えるところでは、思わず鼻がツーンと。
長年培ってきた性格だから、もちろん一朝一夕でどうにかなるわけではないけれど、溜め込みがちな本音を少しずつでも言えるようになっていっている様子には、胸にじわわんとくるものがありました。
一度ならす二度までも散ってしまった幸せ。ぽっかりと空洞が出来てしまった如月の心に、あたたかいものが満ちてくるラストが素敵です。

それにしても、凪良さんの好青年の攻めは個人的に、微妙に「ん?」ってなる事があるんだけど、今回もちょっとそのケが…。
あと、その好青年の里見と“いいひと“の如月がセフレっていうのが、キャラクタ造形と少し矛盾してるような違和感が最後まで残ったかな。
でもやっぱり凪良さんは上手い方だなあと再確認。
なんだか物語作りが丁寧なんですよね。そして、どの話も根っこに作者さんの人柄が感じられて、好感がもてます。

色々な題材に積極的に取り組んでいらっしゃるので、次はシリアスかな?コメディかな?ととても楽しみ。
(個人的には、「夜明け~」の加瀬救済スピンオフを熱望!哀れなDV男に幸せを~)

ええー、榎本は受けですか…
じ、じゃあ(?)リバで!

2

優しい片思いでした

題名からして人を喰ったような、、一体この題名の意味はと読み終わって、なるほどな~!語呂合わせもありますが。
評価としては、神に近い萌え。
主人公のすれ違う思いに、その優しさと淋しさに、思わず同化してしまい涙も誘われてしまいました(ウルウル、、)

早くに母親を失くし父子家庭で育った如月は、大学生の時に唯一の肉親の父親をなくして一人暮らし。
目下の家族は淋しいだろうと父親が買ってくれたロボット犬のキンピラ。
同じ部の年下社員・里見に想いを寄せているのですが里見には好きな人がいて、少なからずショックをうけるのですが、酔った勢いで里見と如月は寝てしまい、それから始まるどっちつかずの関係。

ストーリーとしては片思い同士が相手を思いやるばかりに思い込みのすれ違いをし、中々本音が伝えられずにいるという王道の恋愛ものですが、何故かこんなお話が新鮮で、心の琴線に触れました。
如月が、最初に寝てしまった時に里見が覚えていないのをいいことに、罪悪感を軽くしようと、俺から誘ったとウソをつくところから、なんて後ろむきなんだろうと、悲しくなりました。
里見を思いやる風を装いながら、自分が傷続きつくのを極力避けようとする。
一見、明るくて優しくて思いやりのある態度をするけれど、その底は全て失くすことの怖さから傷つかないため、相手を傷つけない為のはずなのに。
関係が段々良好になるにつれ、その遠慮は相手を傷つけていくのですよね。

里見は如月に恋の相談もしながら、セフレのような関係を続けていく、その無神経がちょっと気になりもしましたが、年下だし、如月は上司だし、甘えていたのかもなとも思えます。
だから言葉にして直接伝えることができなくて、最後の大きなすれ違いを生んでしまう。

言いたいことを素直にいう、欲しいものは欲しいと言う、ギリギリの切羽詰まった時でなければ出なかった二人の本音でしたが、エピローグに綴られたその後で、二人の良い関係が幸せそうで嬉しくなる、そんなお話でした。

本編には如月の隣人で幼馴染の榎本が随分と如月を助ける役目で活躍したり、お邪魔虫になったり、いい存在感を見せていましたが、『秘密の箱の中』にて、やっぱりな~という部分が見られてニヤケてしまいます。
惜しかったよ、、榎本!!

2

この作品が収納されている本棚

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