おとぎ話のゆくえ

おとぎ話のゆくえ
  • NOT BL
  • E-BOOK ONLY
  • R18
  • 神16
  • 萌×23
  • 萌12
  • 中立3
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
10
得点
131
評価数
39件
平均
3.6 / 5
神率
41%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
シリーズ
幻冬舎ルチル文庫(小説・幻冬舎コミックス)
発売日
価格
¥571(税抜)  ¥617(税込)
ISBN
9784344820067

あらすじ

つまらない事情で東京から逃れてきた隼人。世が世ならお殿様の高校生・湊に出会って懐かれ、そのまっすぐさを大切に思うが……?
(出版社より)

表題作おとぎ話のゆくえ

無職不定 来杉隼人・25歳
東北の旧家の若様 野衣湊・18歳

その他の収録作品

  • ハッピーエンドのゆくえ
  • ハッピーエンドのゆくえのゆくえ(あとがきにかえて)
  • 共犯者のゆくえ

評価・レビューする

レビュー投稿数10

おとぎ話とは

あ、自分はこういう無垢な受が苦手なんだな、と気づいてしまいました。なんだろうな…二人の温度差がどこで縮まったのかよく分からず、お互いに「この人じゃなきゃダメなんだろうな」という気がしませんでした。

あと、この作品には竹美家ららさんのイラストはマッチしてないんじゃないかな~。特に、隼人が普通の優しいお兄さんにしか見えませんでした。表紙絵の感じもこう、優しいしね。

作家買いしそうなほど好きな一穂ミチさんの作品に「しゅみじゃない」を付ける日が来るとは思いませんでした。「自分の趣味じゃない」のであって「悪い」のではないです、こればっかりはどうしようもない。それだけ作風の幅が広いということで改めて好きになりましたが。

2

若様との恋

田舎の小さな城下町、その故郷に帰ってきた慎と、それにくっついてきたチンピラめいた慎の友人・隼人〔攻〕
慎の家に居候する形で隼人はその町に居つくのですが、そこで出会うのが慎の知り合いでありこの町の「若様」でもある湊〔受〕
湊は、この城下町の殿様の血統の跡継ぎで立場的にも、あと町の人々にも「若様」と呼ばれていてまた若様な存在でもあります。
勿論、現在では殿様などというものは存在はしていないのだけれど、この田舎町ではまだその血統が尊ばれ敬われているのですなー。
「田舎の城下町の若様」ともすればトンチキな設定にもなりがちなこの設定を無理なく、読み手にひょっとしたら日本にはまだこういう人達が居そうな気がするという現実味を帯びて書いている匙加減は流石と言うべきか。
そんな「若様」を敬う田舎町であるから、そこへ東京からやってきた素行の悪い隼人は異分子として歓迎はされない。
そんな中でも、湊の飼い犬の散歩を接点として彼ら2人は少しずつ近付いて行く。
田舎にありがちな閉塞感が陰湿ではなくむしろ心地良くさえ書かれていて、まさにある意味そこは「おとぎの国」であり、本来ならおとぎ話で終わったであ続きろう隼人と湊の恋愛は、そのおとぎの国を飛び出して現実の話となるのです。

7

間違いなく神!!

一穂さんと竹美家さんのゴールデンコンビふたたび、なこの作品。登場人物たちのひとりひとりが生きてる、いる、という感じがして胸に迫ってきました。

そのなかでも攻めくんのすさんでだらしなく、だけど芯のあるキャラクターが、受けくんに出会いいっしょにいるうちにかわっていく過程が丁寧に書かれているので、ふたりにしあわせになってほしくてたまらないという気持ちにさせられました。

攻めくんの成長物語であると同時に、受けくんもまた、攻めくんに出会い、純粋なところはそのままに、でも成長していく。
あのラストに近いシーンのキスと抱擁は最高っ!いとしいおとぎ話となりました。

2

現代のおとぎ話

根無し草の来生は知り合いにくっついて彼の実家のある田舎町にやってきた。
そこは都会暮らしの彼にとっては未知の世界とも言える場所。
昔からのお殿様が存在し、息子である若様はみんなから慕われる。
その良くできた若様、奏に懐かれうっとうしく思いながらもいつのまにかそんな毎日が楽しくなってきた来生だったが……

城下町で現代の若様としてまっすぐに育った少年と、都会でふらふらと生活していたアウトサイダー。
正反対の二人が出会って、お互いの持っていないものに惹かれて恋をする。
かけがえのない一瞬一瞬の空気感の鮮やかさは見事の一言。

中盤からもっとロミジュリ悲恋な展開になるのかなあと思いきや、意外とあっさりくっついてしまいました。
おとぎ話にはハッピーエンドが必要なので仕方ないのかなあ。


4

睦言よりも雄弁な言葉

寄せては返す波のように、さざめく感情が静かに
満ちてゆく過程と、飾らない言葉が魅力だと思う作家です。
一穂先生の作品にはそれぞれに色を感じる事が多く、
それは情景や風景の描写が感情の流れの奥に
佇んでいるからかもしれません。
今作は長閑でも緩く閉ざされた曇天の街、
薄墨色のイメージでした。

世が世なら殿様一家であるやんごとない育ちの湊と、
人にも物にも一切の執着を持たない根無し草の隼人の、
身分違いも甚だしい恋の道行きが、旧家の因習や
それを背負う者たちの様々な思いとからめて語られます。

どうしようもなく粗野で下品なのに、
その自由奔放で何にも依らず媚びない姿は
男女を問わず惹きつける隼人。
あらゆるものが煩わしいと思ってきた彼が、
自身の感情に惑い他者と向き合う変化には
可愛気が見え隠れします。
一穂先生がちょっと崩れた人物を書くのは新鮮で、
その口の悪さと無頓着さは結構魅力的です。

いつの間にか満ちていた想いを一度は諦めようとした隼人が、
一転、まさにその身を翻す場面が好きですね。
今までの作品では、緩やかな恋情の昂りが主だった続きのが、
感情が理性を突き破る瞬間をやっと書いてくれたな、
という気がしました。

甘い言葉もムードもないエッチシーンに大っ変萌えたのは、
大好物の噛みつきやら軽い罵りがあったからでして、
最中の「バカ」って言葉にはどうしてこうギュンギュンくるんでしょう。
素っ気ない言葉とは裏腹の貪るような求め合いが
もっと読みたかったです。

自ら共犯者となった酒屋の息子、慎が幼馴染たちと
いつまでも輪でありたいと望む胸中には、
どんな秘めていたのでしょうか。
彼は地味ながらも気になる人物で、きっと語られない
物語があるのでしょう。

2

辛口かも。一穂さんゆえに辛口なのかも

辛口です。
すいません。

萌えたのはエレベーターのシーン。
あそこ良かったー。
流れが完璧。
神シーンでした。

で…ここから辛口です。
まず、野衣家の人間をみんな「物分かりのいい人」にしちたことに違和感。性善説で作品を構築するのがダメという意味じゃなく。
茶鬼さんの感想とちょっとかぶるのですが、脇役がみんな「いい人」なら違和感を覚えなかったと思う。「いい人」と「物分かりのいい人」、この二つは似てるようで絶対的に違うのだ。
そのせいで、受けが長年抱えてきた葛藤に説得力がなくなるような気がしました。
受けをジワジワ追い詰めたのはいわゆる「田舎の因習」なんですが、そちらの側にきっちり立つ、次元の違う価値観を持つ登場人物が必要だったんじゃないかな。両者はけして解りあえないんだけど、どちらの価値観も間違いではない、みたいな。或いはどっちも正しくどっちも間違ってる、みたいな。
このストーリー、ド田舎出身者としてちょっと悲しい。
そう思ってタイトルを見ると「おとぎ話」
そうか、おとぎ話ならokなのかも。

あと攻めも私の趣味じゃない。
「本当はいい人」ってオチがくるのは最初から分かってたのですが続き、それにしてもなァ…。
初対面の人間やら世話になってる相手に対する最低限の礼儀は必要だと思う。不幸なおいたちだからって、あの態度はない。私も弟のいる身ですが、あんな紐男に可愛い弟が傾斜していってたら…ひえええ絶対ヤダ!いびり倒してやる!排他的な田舎者になってやる!弟の目を覚ますため、あの攻め誘惑してエッチしたっていいぞ!(すいません、ブラコン病なもんで、想像して思わず取り乱しましたw)
あんな態度で受け入れてくれる世界なんて、田舎だけじゃなく、夜の世界にもないと思うよ~。
性格の悪い攻めは大好物なんだけど、こういう攻めは好きじゃないんだよね。

あと保険証がないという話のときの記述で、作中、「病院に行かないか、借りるか、そうじゃなかったら後ろ暗い医者に行く」みたいなことが書かれてたんですが、そこは普通に実費で解決では。わざわざ後ろ暗い医者に行ってぼったくられずとも。
夜の世界を紋切り型の「悪い世界」にしてるのも、おとぎ話たるゆえんなのか。

ただこの本、苦手ではあったけど、前作までにあった文体へのモニョモニョが減ったのは嬉しかったです。
過剰な修飾が削がれ、『雪よ~』のテイストが仄見えて「オッ♪」と思ったりもしました。

6

ずっとこのままでいられますように。

現代でも、まだ、お城の若様として、地方の城下町で暮らしている湊。
定職も持たず、人の空気を読むことだけで渡り歩いていた隼人。

それにしても、なんでこんな二人が出会っちゃったのかね?

という、根本的な疑問は持ってはイケナイ。
それこそがおとぎ話だから。

吾川という地方の城下町での暮らしは、紛れもないおとぎ話のよう。
なにも持たない、なにも持つ気がない隼人が、そんなおとぎの国に迷い込んで、大事な物を見つけてしまうけど、それは夢の中の宝石、現実に手に入れられる物ではないと、夢の国を後にします。
ところが、おとぎの国の若様は、思いがけない前向きさで、国を出てきて隼人を見つけ出してしまうのです。

おとぎ話のそれからは、
ずっとこのままでいられますように。
と願う事で続くのでしょう。

2

性善説・・・ですよね

何日も前に読み終えているので、記憶も曖昧になりつつありますが、キュンキュンさせてもらったお話でした。

持ち前の世渡りの上手さで、東京の底辺で生き延びてきた来杉が、なんとなく友達の帰省に着いてきた田舎町で、殿様の子孫・湊に出会ったことにより始まるお話です。

何につけ冷めていて、自分の気の向くまま“今”だけを生きている来杉と、おっとりとしながらも芯は強く、“若様”としての公の立場も保ちながら、自分としてはどう生きていきたいかを模索している高校生の湊。
まるで正反対なのに引き合うものがあり、二人の関係はどんどん近づいてくるのですが・・・

どう足掻いても来杉は湊にふさわしいような人間ではなくて、それが分かっているからこそ離れようとするのに、湊は慕ってくるのです。
来杉の内側の暖かい部分を掘り起こすように・・・
そして、来杉もどんどん湊に傾いていくのですが・・・

結果はハッピーエンドなのですが、来杉が湊をあきらめることにしたとき、裸足の湊を担いで「駆け落ちでもすっか」と言ったところが一番好きなシーンです。
最終的に、来杉がいい感じに更生してくれたところも好感が持て続きました。
あとは慎ちゃん(来杉のともだち)の幸せを願うばかりです。

2

久々に、一穂マジックにかかった気がします。

何も持ちたくないアウトローの大人と、生まれながらに色々なものを持たされて、それを大切に抱えようとしている子供が、そっと寄り添うようなお話でした。

本当に一穂マジック!
最初から2人が積み重ねる日常が淡々と描かれるだけ。これといってなにか事件があるわけでもなくて、思いや考え方が変わる大層なきっかけがあるわけでもなくて、本当にどこにでもある日常の積み重ねです。

よくBL読んでいると、恋愛未満の感情の自覚を、地の文で「ドキッとした、なんだこれ」的に表現することがあるけど、この作品は本文中で「こんな大人初めて。ドキドキ」とか「なんだあの子供。ドキッ」的な感情表現があるわけではないんです。
なのに、2人が初めてキスをしようとする場面では、読み手も2人も、お互いに惹かれ合っていると分かっています。
それまでまったく、恋愛に発展するようなことはなかったのに。
だから、全部すっ飛ばしていきなり「駆け落ち」に発展しても、ぜんぜん唐突だとは思わなくて、ただ、ああ、そこに行き着くのか、とか、本当は出来ないって分かってるくせに、とか思って切なくなるんです。

2人の距離は、「知らない人続き」⇒「なんか気になるあいつ」⇒「超気になる。好きかも」⇒「好き!」と発展するわけじゃなくて(というか、そういう表現まったくなしに)、でも気付けば、積み重ねる時間の中でちゃんと近づいてるんだって後で気付くんです。
すごく不思議。
2人の別れのシーンで、「一穂マジックにやられた!」と思いました。


読み返せば、あんなに沢山の、どこにでも転がってそうなエピソードの山だったのに、無駄なものは一切無かったと思います。
アロエとか、矯正とか、お好み焼きやさんとか。
一穂さんはホント、こういう誰かの日常に当たり前にあって、当たり前すぎて目にもつかないようなものに、ほんのささやかな意味を持たせるのがお上手だと思います。
大層な意味じゃなくて、本当にささやかな意味ってところがイイ!
本人同士以外にはまったく無意味だけど、本人たちにはなにかの小さな証や足跡のようなものだからこそ、あったかい気持ちで見守れるんだと思います。


素敵なお話でした。
隼人のバックボーンが希薄だったなとは思うし、目線や時間軸が行ったり来たりする構成はちょっと読みにくかったりもしたので、正直評価は「萌」と迷いましたが、あの月夜の別れのシーンで「やられた」と思ったので、ぜーんぶ吹っ飛んで「神」です。


それにしても…ホント一穂さんのお話は評価がしにくい。
どこが良いとか、どこが好きとか、そんなのがいざ書こうと思うとなかなか出てこなくて、「作品ぜーんぶの印象」としか言いようが無いんですよね。
どこか一箇所を取れば、本当に取るに足らないシーンでしかないんだもの。
「全部で一本の作品」の見本だと思います。

12

今回は絵師の選択ミスのような・・・

今、映画の撮影で東北の城下町がクローズアップされているからでしょうか?
今回の舞台は、そんな古さを残した城下町が舞台の、まだ城主の子孫が「お殿様」として別格の扱いを受けている町で、そのお殿様の若様と、都会からやってきた風来坊なアウトロー男のお話でした。
読み終えて、いつものキレイな文章はあるものの、殻をぶち破りたいと願う少年の不安定さが、文章にも現れていて、読んでいて不安にさせられる部分もいくらか見えたものの、これは挿絵がかなりマイナスイメージを作っている、今回は選択ミスだな~とおもわざるを得ません。

隼人は定職も決まった家もない、その日暮らしをしている世渡りのうまい男
のようですが、自分に素直でストレートでTPOをわきまえないもの言いをするものの、決して悪い人ではありません。
湊は、その家柄と生まれから町の人々に若様と呼ばれ、特別扱いをされていて、一見それに馴染んでいるようですが、それを打ち破りたいと願っていると思うのです。
だから、都会から来た何の偏見も持たず接してくれる隼人になつくのですね。
湊の飼い犬が、すぐ隼人に懐いたという描写が冒頭すぐに登場するのは、常識続きはずれだけど、本当はイイ人というのを表現するためだったとは思います。

隼人に近づきたいけれど、特別扱いの自分の身分が(こんな今どき!)邪魔をして、周囲の人々が隼人を良く思わない。
それなりに、隼人は周囲と馴染んでいるようではあるのですが、湊絡みになると隼人を排除しようとする動きが働くのは、閉鎖的な田舎の町ならではの特徴だとは思います。
それで、湊を思い隼人は町を出ることになるのですが。。。

不思議なのは、自分というものをしっかり持ち、隼人に最初はよい印象はないものの、彼の良さを認める湊の姉・桜。
どんなに厳格なんだろうと予想したら、意外にフランクで砕けていた湊の両親。
なのに、どうして湊の悩みとかを理解して助けてあげないんだろう?
その役割が隼人であることに不思議を感じてしようがありません。
みんなイイ人設定にしてしまった為でしょうか?
また、湊も態度や口調を使い分けている設定なのかもしれないのですが、子供のように無邪気で無垢な時、男らしいちょっとツンとしたもの言いの時、そんな部分が混在するので、一体誰がしゃべっているセリフなのか見分けがつかなくなる会話が何か所か発生してきました。
そこが湊の不安定を表現する部分なのかもしれないと、思った時に、この挿絵が邪魔をするのです。
竹美家さんのかわいらしい、はかなげな絵で表現される湊は、御坊ちゃま風な少年。
だけど、違うんです。
変わろうと、強くあろうと、男の部分もちゃんと持った剣道の強い高校生男子なんです。
だからこの一見ショタっぽい少年では弱さが目立ってしまって、頭の中に浮かぶ各シーンの絵がイメージにそぐわなくなってくる。
もっと凛とした青年で描いてほしかった、そういう作家さんにするべきだっと思います。

全体の小説のカラーは、重苦しい曇天のイメージ。
決して明るいモノではなかったと思います。
特徴である、子供っぽい会話の描写の仕方が、どうしても気になりますが、
「連れて~逃げてよ~」な演歌的世界だったな、とふと読み終わった感想を持ちました。

デビュー作が印象的で高評価の作家さんだけに、見る目がかなり厳しくなってしまうので、辛いところでしょうが、やはりもっと男臭いドロドロを表現できるようになれば、雰囲気のメリハリがついてもっと広がるのでは、と思いました(やはり、ちょっとキレイすぎて、、)
全体としては悪くないけど、評価に悩みます~~~

4

この作品が収納されている本棚

PAGE TOP
  • 電子書籍
  • レビューを見る
  • 評価レビューする
  • 関連作品
  • 攻受データ