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表題作優しい芥子の花

居酒屋バイトの大学3年生 冨田政文・22歳
バツイチ公務員の居酒屋常連 戸井田春時

その他の収録作品

  • 桃色天使と芥子の花

あらすじ

大学生の政文は、バイト先の客、戸井田に思いを寄せていた。不良から足を洗ったばかりの政文にとって、謎めいた魅力を持つ社会人の彼は憧れの対象だったが、つい昔の癖が出て彼を蹂躙してしまい…。
(出版社より)

作品情報

作品名
優しい芥子の花
著者
小川十子 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592876335
3.1

(11)

(1)

萌々

(0)

(10)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
35
評価数
11
平均
3.1 / 5
神率
9.1%

レビュー投稿数7

特殊、でもやっぱり公務員らしさがいい

作者さんの初単行本。
大型ワンコの年下攻めと、謎の公務員の年上男性ですが、初々しいというか、文章や作りに丁寧さを感じて、とても好印象。
おもわずじっくりと読んでしまいました。
エチもあるけれど、色気を余り感じなくてそれが物足りないというより、この登場人物達に合っていて雰囲気がいいんですよね。
この話の重要ポイントになるので、公務員の仕事は秘密にしておきます。

主人公の大学生・政文は高校時代からヤンチャをやってきて、その名残で肩から腕にかけて大きな芥子の花の刺青を入れています。
大学生になって、遅いけれど少しずつ大人になろうと努力している子なんです。
そのバイト先に来る常連の戸井田が、自分の作るお通しを誉めてくれたのがきっかけで、彼に会うのを愉しみにしてバイトに励んでいるのです。
バツイチで公務員で、ということくらいしか知らないけれど、それでもとても気になる人で、大学の友人達にも会えば戸井田の話ばかりする、一途ぶり。
そんなある日、珍しく酔った戸井田を送った折に、辛抱たまらず抱いてしまう政文。
そんな時、戸井田が何者かに脅されているという話を聞いて・・・

政文がものすごく等身大の若者です。
心の中で、ヤンチャだった頃の自分と変わろうとする今の自分との葛藤をするあたり。
そして、特別頭がいいわけでもなくちょっとヌけてるというか、自分がこれからどうあったらいいのかと、周りの大人の声に耳を傾けて真摯に聞こうとする姿勢が、若者らしくて作られたキャラクターっていう空々しさがなくていいんです(ある意味、現実的理想?)
また、戸井田もある特殊職業なんですが、それは公務員らしく意外に淡々と、ひょうひょうとして、ハードボイルドさはなく、本当に普通の公務員なんだな~っていう部分に親しみが。

二人のラブの部分にしても、戸井田の大人のズルさという部分がありながらも、政文が見えてないだけかもしれないが、読者にもうまくボヤかしてそれとなく言葉にして言わせている(あとでネタばらしになる時、あ、そうだったのか!と思わせる)、そのぼかし方が上手い。
一見、政文が一方的に熱烈コールを送っているように見えて、実は・・・な部分がおいしいのです♪
エチの絡みも何だか甘さは余りないんですよね。
幾分、若さから来る政文の暴走は見られるものの、それでも対等な感じ。
書き下ろしで、鏡プレイなどもあったりしますが、色気は薄い。
これも彼等のキャラクターのせいかもしれませんね。
そして、お約束通り気になる脇キャラ、政文の友人二人、、何かありそう?
そしてバイト先のマスターも、政文に協力的で何か気になる?

そんなで、好感度高い本作でしたが、新人賞の投稿作品だったということで、色々と制限したり、考えて作られたのだとは思いますから、今後掲載される作品というのはどんな方向へいくのか気になりますね。
イラストに小山田あみさんという人気どころをつけてもらえたということで、出版社からもプッシュの作家さんなのかな?と思います。

1

年下攻め良いなぁ!

初めて読む作家さんだなーと思ったら、新人作家さんらしくちょっとびっくりしました。
なにせ、とっても読みやすかったのです。

大人になりきれない大学生・富田政文と穏やかで地味めな外見の公務員の戸井田春時。
昔は不良で、今はそんな昔の自分から抜け出した、抜け出そうとしているという政文の足掻きが良かった。
今の自分は違うんだ、でもこうやって強引になっている所なんてやっぱり昔の自分から抜け出せてないじゃないか、と思ったり、そうだよやっぱり自分は昔の不良だった頃の自分から変われてないんだ、何やってんだろう。と思ったり。
自分は変われていないのに、昔一緒に馬鹿をやった友人は自分よりも一歩先へ大人になっている、と思えば焦りも出てきてしまうもの、色々将来への葛藤もあり自分の行動に後悔したりする様子に、人間的に成長しようという足掻きを感じました。

戸井田は良くも悪くも大人で、そして穏やかな人物であるのにどこか鋭さを持ち合わせている。
それは「公務員」としか明かされていない職業の話が関係しているのですが、物語的に分からずに読んだ方が楽しいかと。
無理やりイタされてしまったのに、どこか被害者であるという悲壮感もなかった。
眠る政文を置いての去り際「なんていうことを」という台詞から感じられるのは自分がまるで悪いような、加害者側のようなつぶやきに聞こえてしまったので、なんでだろう?と思ってしまいましたが、読み進めていくうちになんとなく「あぁこういうことなのかな?」と思えました。

読んでいて、ああココとココがつながるのか!という所が何箇所かあり、伏線と回収が分かりやすかったので読んでいてすっきり!
実は政文と戸井田との出会いも、政文のアルバイト先の「よいのくち」での店員と客というのが始まりではなく、ずっと以前に出会っていた、という経緯があります。
そのあたりもかなり後の方になって明かされるし、そういった素振りも戸井田が見せない。かわりに政文の友人が戸井田に職業について質問したりして「あれ?」と思わせる役目をさせています。
この辺も上手に使われていて、色々と分かってきた時に「なるほど」と思わせられました。

年下ワンコ(というか猛犬?)攻めが好きな方には楽しめる作品かと思われます。
そして、振り回されてるようで、実は振り回しているのかも?というズルくも優しい大人受け好きさんにもオススメです。
私は戸井田のほんのりとしたズルさがツボでした。

1

この先が楽しみな作家さん

前半すごく面白かったんですが、後半になってややもたついた感じ。
お話そのものはめちゃくちゃイイと思います。
キャラもいい。主役カップルはもちろん、脇役の友人二人含めてみんな個性的で魅力的で。
元不良の攻めが、天使と悪魔の葛藤に負けてレイプにおよぶ場面あたりまではワクテカが止まらなかったです。

ただ後半が。
まず、攻めの後悔が足りないこと。大好きな相手をレイプして悩み苦しむ場面で、もうちょい萌えさせて欲しかったんですが、意外とあっさりで肩透かしだったかなと。
あと、後半で明らかになる受けの側のヒミツの明かし方に、下手さを感じてしまいました(読み手に対しての明かし方と攻めに対しての明かし方の両方で)。ここ、もうちょい工夫したらめちゃくちゃワクテカ盛り上がっただろうにな~と残念でした。

でも本当にかなり好きなストーリーとキャラです。
この先が楽しみな作家さんだなって思いました。

1

イラストとギャップありすぎな乙女受

恒例のごとく、小山田あみさんのイラストに惹かれて買いました。
おそらく小山田あみさんの男前イラストじゃないと好きになれなかった
であろう乙女受の戸井田は、バツ1三十路のごく一般的なサラリーマン
設定らしいんですが、あみさんが描くとど~頑張っても男前になって
しまうので、あみさん挿絵の時はいっそのこと受も攻も超イケメン
設定にして下さい、って思っちゃいました。

ストーリーは珍しく攻(政文)視点だったんですが、
これが結構かわいかったなぁ~
わたわたしたり、ストーカーになったり、あせあせしたり、
かわいいワンコ攻の行動がいじらしくさえ思えたりww
多分受視点だと、戸井田のウジウジした乙女脳にイラついてたかも...
それに、職業バレちゃうから敢えて政文視点にしたのかも...
とにかく、攻が肉食系なのに案外純粋で、でも遊んでた頃の名残で
芥子の花のタトゥーしてたり、おバカだったり、もろワンコキャラな
性格がかわいいんですww

冒頭からすでに政文は戸井田にベタボレ状態からスタートしてるので、
カタブツメガネの公務員をいかにしてオトすかって話です。
酔った戸井田を無理矢理抱いてしまった政文のフォローをすべく、
友達の岩野が『もう一回チャンスを』と戸井田に直談判に行くのですが
何かと世話焼きで頭のキレる岩野の方が戸井田より魅力的に見えて
仕方ないんですけど...

とそれはさておき、若い女性と歩いてる戸井田を見かけイラ立つ政文は
戸井田をホテルに誘い、彼もあっさりそれに従っちゃう...
で、このエチの時のイラストがエロくてエロくてwww
戸井田のお尻に顔をうずめてる政文&フェラする戸井田の図なんですが、
あぁ~割れ目に埋まってる~感アリアリの、あみさんのイラストで、
これ見れただけでも自分的に満足かもwww

結構早い段階で戸井田も政文のことを好きだとわかる態度を見せるので
ちょっと盛り上がりに欠けるかなぁ~?
戸井田の職業をマトリにした意味もイマイチなかった気もするし...
せっかくの男前職業を生かせてなかったような...
あまりにあみさんのイラストがカッコ良くて、男前受だと思ってたのに
想像以上の乙女受にちょっと萎えてしまったり、
政文の友達2人(岩野と大泉)がいいとこ取りしたナイスキャラで
この2人に萌えちゃったりww
受に愛着湧かない代わりに、脇キャラには萌えました♪

『桃色天使と芥子の花』
両想いになったその後の2人のお話。
マトリと言う職業がいかに危ないかと不安になった政文は、
戸井田を尾行してしまう。
一方、「桃色天使~」という風俗店の割引券を政文のポケットから
発見した戸井田は、自分の体では満足出来てないのではないかと
不安になる。
結局はラブラブで、お互いが過剰に心配し過ぎって話なんですが、
ただ単に作者さんが鏡の前でのエチシーンを描きたかったみたいです。
いやぁ~そのおかげでまた美しいイラスト拝見出来たので幸せです★

0

元ヤンチャの攻め

元ヤンチャをしていた攻めが真面目な公務員に恋をするお話です。
今は大学生でバイトも真面目にしている攻めですが、過去には相当なワルをしていた前歴があります。
そういう攻めがいかにも真面目で地味、でも優しい優等生のような受けに懐いていくのですが、憧れている人に「いい子」だと思われたくて頑張ってるのが可愛い^-^。
でも、ある日を境にタガが外れてしまい、昔のワルの性格が出てしまい、無理矢理体を奪ってしまう。
それからはかなり強引に攻めるのですが、戸井田を心配して付けて回るなど、健気なところもあったり、年下攻めの可愛さ一杯でした。
二人を取り巻く友人や居酒屋の店長も性格がしっかりと描かれていて魅力的。
挿絵の小山田さん、大好きなんですが、タトゥー入りのちょっとワルな男が素敵ですね。

0

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