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スイート&キュートなガテンラブv
久しぶりに英田サキさんのお話を手に取りました。
何せ、人気作が多いのでそちらで手一杯だったのです(苦笑)
で、単独のこのお話をTwitterで見て読んでみようと。
鳶色の二人。攻めさんは歳上の現場のリーダー。棒芯と言うそうな。受けちゃんは失恋に親友も無くし、失業までしてしまい、自暴自棄になりかけていた子。出会った職人に(後から振り返れば)一目惚れしてしまい、鳶職の世界へ入ります。
お互いにノンケであるものの、惹かれあってくっつくところまでは意外とスムーズに。
男っぽい、過去には女泣かせなタイプの攻めが、受けを可愛がる様子が萌えます!
もうホントに甘やかして可愛がると言うお話で。
過去の話にはお互いが嫉妬したり誤解するんですが、それすら恋愛のスパイス的な扱いで(笑)、ひたすら仲のいい関係です。
書き下ろしに出てきた浜野さん、彼のおかげで、あわや飲まされて正気を失っている受けちゃんが襲われるのを阻止できて、ラブラブシーンで終わります。
でも、浜野さんにもよい男が出てきて欲しい妄想に取りつかれます!
立ち去り側もカッコよかった。
お話的には軽いですが、なかなか面白かったです。
あれれれ……なんかみなさん意外に低評価?
いやまぁ、それもわからなくもないんだけど。たしかに「エス」とか「デコイ」とか
重厚かつ広がりのある世界を書く人がこんな超・王道で……ってことですよね?
しかし、自分的には、こういう王道の作品だからこそ英田サキの底力見せつけられたなというか(笑)
これって、中堅未満の作家さんが書いちゃったら、こんな安定感は出ないかもしれない。
しょっぱなから最後まで読ませる力たるや、やっぱりハンパじゃないです。
しかも完璧といっていいほどのリーダビリティ、無駄なセンテンスが極端に少ない。
ちょっとピンとこないかもしれないけれど、ある意味、「美文」です、ここまでくると。
毎度、英田作品で短編~中編を読むと、BL小説の教科書か!?と思うほど
おそろしくキレイにまとまっていますが、これもその一つでしょう。
BL作家目指す方は英田作品を100回ぐらい書写したらいいんじゃないか。いやマジでw
さて、変な褒めたたえ方をしてしまいましたが、肝心の中身もそう悪くはないです。
工事現場のガテン同士のラブ!
いやー、以前「許可証をください」でも書いたかも、ですが、モノ作る現場って
いろいろ楽しいんだよね、大変だけど。
英田先生って、どちらかというと職人的な作家さんのような気がいたしますが、
それゆえか、職人魂や仕事の基本に共鳴している視線が見える点、ここがいい。
ガテン同士で恋に落ちるプロセスが「うわ、予定調和だっ!」と思いつつも、
適度な「あるある感」を持って書かれています。
派手な読者裏切りこそないものの、ちょびっとずつドキッとする。
地味な良作。
私もリブレ系の英田サキさんにどうも違和感を感じてしまう。
英田さんだけじゃなく、こないだ某作家さんの作品でも同じことを感じたんだけどさ。
なんていうか…個性的な長所殺し、みたいな。個性的な長所を殺して何を持ってくるかというと、「BLのお約束」。
「えーっ。何故そこでBLのお約束!?」って思う箇所がいくつかあって。
まあでも、個性的な長所というのは裏返せば短所(かも)なわけで、作家さんのディープなファンには不満でも、一般的なBLファン(?)にはウケるの…かも。
でも萌えです。
なんだかんだいってもやっぱり英田サキさん大好きだし、面白いし、萌えました。
とくに受けのストレートな性格が可愛くて大好きでした。
後半の攻め視点での焼きもちっぷりにも萌えたし。
ただ後半はもう一歩踏み込んで欲しかったなー。
当て馬が「ザ・当て馬」なのが残念すぎる。行動もBLテンプレの「いきなりレイプしようとする」一辺倒で、しかも常に攻めが助けられる場所にいるのが読み手には見え見えなので、いまいちハラハラしない。
元親友の良介なんて、「親友」だったわけだし、スペックは高いし、美味しい当て馬になる要素を兼ね備えまくってるから、登場した瞬間にキター!と思ったんだけどなw
私が英田さんのファンになったきっかけはエスシリーズでもデッドロックシリーズでもなく『バカな犬ほど可愛くて』で、今もこよなくこの作品を愛してて、読み返してはニヨニヨしてるもんで、こういう普通(?)のBLを描く英田さんをたくさん読みたいんだよね。
英田さん愛してます。
英田さんって、こんな芸風だったっけ?
ツルッと普通におもしろいけど、英田さんの本としてある種の期待して読むとちょっと肩透かし。
まあ、このタイトル、この表紙、この粗筋からして、そもそもその種の期待はしてないけど…。
受けの子が、なんに付けても前向き、変にひねくれたた考えしない、素直なイイ子。
その子が、いろいろ弱っていた最悪な朝に、ちょっとやさしくしてくれた鳶のオヤジに一目惚れして、鳶の世界に飛び込んで、ついでにオヤジの胸にも飛び込んで、オヤジをメロメロにしちゃうお話。
2話で、お互いの過去絡みでちょっとごたごたするけど、それも何だか「いい話やなぁ」的な毒のないエピソードだし。
オマケの第3話に至っては、浜野ってキャラクターをおいしく出しておきながら、朋也のいい子さ加減と、オヤジメロメロっぷりを溢れかえらせてる。
つか
「……そこは、修志さんに触ってもらう~以下略~」
とか、そんなかわいいこと言って、オヤジ殺す気か!!って、
甘甘BL小説としては、間違いなく充分おもしろいけど、あまりの甘さに、「真夏に読む話じゃねーよ」と思わずやさぐれてしまった。
寝る前、あまり時間がないんだけど…。
読後、すっきり寝たい…。
面白いものが読みたいけど今日はとても疲れてるの…。
そんな方にとてもおススメです。
最近、私は王道な展開や登場人物がよくあるような発言をしたりという、そんなお話のものは途中で読み捨てるか、予め手に取らないようにするかのどちらかでした。
この話も英田さんではなかったら途中で読み巣捨てていたと思いますが、何と言いましょうか。
掛かってしまったのですよ、英田マジックに。
読み進めていけばいくほどベタだ。
何だこの発言をする受けは。
こんな発言をする社会人がいるのか、学生じゃないんだから。
ツッコミたくなるのですが、それ以上にそれらが嫌じゃなかったのです。
展開なんかも分かってしまうのですが、それ以上に面白いと思わせられてしまいました。
英田さんの腕にねじ伏せられてしまった感じです。
こんな職場いい!
葛城さんのような面倒見のいい人がいて、浜野さんのようなまた別の腕の立つ職人さんもいて、暖かい空気の流れる現場…!
難しいこと考えず、さらっと読めます。