ここは後宮[ハレム] お前を捕える牢獄

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作砂漠の蜜愛

アーディル・アル=ザイディー 第三王子 32歳
三浦樹 NGO団体職員 27歳

その他の収録作品

  • 寵姫は獣に狙われる
  • あとがき

あらすじ

NGO団体の職員である樹が、資金援助の依頼に向かったのは、来日中のエルディアの第三王子・アーディルの許。ホテルを訪ねた樹に王子が要求したのは――樹が担保となること。強引に攫われた樹は、後宮に囚われてしまう。天蓋付きのベッドも、美しい家具も樹にとっては、豪奢な牢獄でしかない。そこで毎日のように凌辱されるが、彼の孤独や想いを知り次第に絆されていく。そんな時、兄とも慕う人が危険な目に遭っていると聞いて!?

作品情報

作品名
砂漠の蜜愛
著者
松幸かほ 
イラスト
祐也 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773085273
2.5

(4)

(0)

萌々

(0)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
2
得点
9
評価数
4
平均
2.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

後宮が舞台、砂漠

元外交官で現在はNGO団体で発展途上国へ医療団を派遣する職についている三浦樹。
彼がこの職に就いたのは兄とその親友・樫尾の夢を支援する為。
内紛の続く国に病院を建て、少しでも多くの人を助けたい。自分の夢は働く兄たちを支援して支え、兄たちの夢を現実にする手伝いをすると。
しかし、資金難に陥る所属団体の資金調達のため、外交官時代面識のあった砂漠の国の第三王子・アーディルにアポイントを取ることに。
なんとか資金援助をしてもらえないかと要請すると、樹が担保になるならばという条件を出される。
樹は優秀だから自分の役にたってくれれば良い、という言葉にまんまと騙され、商談成立のあかしにと出されたワインに一服薬盛られてアーディルの国にお持ち帰り。
もちろん、プライベートジェットでひとっ飛び。
樹はもちろん着の身着のまま連れ出されてしまったので、パスポートなし。しかし出入国も王族の顔パスで『特別な取り計らい』発動、さすが王子様です。

樹が連れて行かれたのは、アーディルが譲り受けたハレム。
そのハレムをアーディルは住みかとして構え、樹を許し無く出ることの叶わない豪奢な檻の中へ閉じ込めてしまったのでした。
逃げようとしても出口は見つからず、窓はあるものの手の届かない高い場所にしかない。それでも何とか逃げ道はないかと探すのですが見当たらず…
ハレムが出ると砂漠のアラブものぽさがぐっと押し出されます。
しかも、ハレムですることと言えばひとつしかありません!
樹はそこで毎夜のごとくアーディルに挑まれヘトヘトに。昼間はなんとか体力を回復することに努めるもののまた夜になれば二度三度と付き合わされ…
描写的にはありませんが、それだけで濃いな・・・と突っ込みを入れずにはおれません。

病院を建てるという夢の為に、抱かれる。とはいえ悲壮感があるのではなく樹はあんがい強気な性格だったので、自分が我慢すればいいんだと開き直る強さも持ち合わせている受けさんでした。

アーディルは幼いころの境遇などから、欲しいものを素直に欲しいと言えない性質で。
手に入らなかった時の失望を考えると、どうにも手に入れたいものに対して捻くれた接し方をしてしまうという寂しい人で。
樹に対しても昔、初めて会った時から欲しいと思ったのに、ちっとも自分に気のない樹相手にアクションを起こしても…と。しかし諦めることもできず、アタックすることも出来ずにせずにずるずるとここまで来てしまったという経緯もありました。
後半になって明かされるのですが、なんというヘタレ!と思わずにはいられない。
傲慢なんだか、ヘタレなんだか?
たった数行でアーディルのイメージがガラッと変わってしまった。
なので、ひょっとして樹からの資金援助の申し出は渡りに船?
自国に連れ帰りなんとか自分のものにしてしまおうという千載一遇のチャンスだったのかも?

樹はとにかく、兄の親友の樫尾を心配し気にかけていて、とにかく樫尾さん、樫尾さんは、樫尾さんが・・・と事あるごとに名前を出す。
アーディルはすっかり面識もない樫尾相手に嫉妬しまくりで、樹は樹でそんなアーディルの気持ちに気が付かずなんて鈍いことだろう。
自分を目の前にして、他の男の名前を連呼されるアーディルお気の毒さまです。
そりゃいったんは近づいた心の距離も離れようってもんです。

本編その後の短編ではお互いに気持ちを確かめあった後なのでかなり甘々なお話で、樹がアーディル以外の男に触れられるようなことになれば、その前に死にます、ときっぱり自分はアーディルだけの者ということを彼に伝えていました。
アーディルの樹を好きだという気持ちが報われて、良かった良かった。

アーディルの侍女で樹の世話をしてくれる年若いザーラがなかなかお茶目で可愛い人で、樹との会話のやりとりがほのぼのとしていてクスっと笑わしてくれるものでした。

邪魔ものが出てきたり攫われたり陰謀渦巻く物語ではなく、話が聞けない傲慢ながら不器用な攻めと向こうっ気の強い一直線で攻めのことももっと考えてあげて!な受けの、ちゃんと話をしようよふたりとも!な砂漠BLでした。

4

これが『アラブものの王道』だとしたら、

私には『アラブものの王道』を楽しむのは無理だ、と痛感しました。

いやもう、ただひたすらにツラかったんです。苦痛で堪らなかったんです。早く読み終わりたくて必死でした。

元外務省勤務で、今は途上国に医療支援を行うNGO職員の樹(受)が、かつて面識のあったアラブの王子様・アーディルが来日したと聞いて、資金援助を頼みに行きます。
いったんは断られますが、なんとか再度会うことができ、そこでアーディルに援助と引き換えに『樹は優秀なので、私のためにその力を発揮して欲しい』と、しかもそれに専念することを求められます。

承諾した樹は、お約束通り騙されていて、そのままプライベートジェットで国へお持ち帰りですよ(パスポートもなしに。王子さまやりたい放題・・・)。で、ハレムに閉じ込められて、夜のお相手を、という流れです。

もともと『俺様・傲慢攻』も『無理矢理から始まる(→絆される受)』も心底ダメなんです。大キライ。

身勝手で傲慢な王子さま(アラブの場合)が、『好きだから・自分のものにしたいから無理矢理~』ももちろんうんざりですが、それよりも私は『凌辱されたのに(少なくとも私には読んでてもよくわからないというか納得できない理由やきっかけで)あっさり絆されてラブラブになっちゃう受』が許容不能なんです。なんでそうなる!?

あえて言うなら、樹がただ我が身の運命を嘆くだけ~じゃなかったあたりでしょうか。意外としっかりしてて男前でした。でも、それだけで帳消しにはならなかったな。

私の精神衛生を思えば『アラブものの王道』は読んじゃいけないんだと思います。好き作家さんの作品だから、と避けきれずに読んでしまった私がすべて悪いんです。でも、まだ他にもあるのできっと繰り返す・・・

ただ、『アラブものの王道』(これがそうだとすれば。数を読んでいないので確信が持てない)という目で見れば、可もなく不可もなくというところなんじゃないでしょうか。
『アラブものが好き』あるいは『特に抵抗ない』という方なら、物足りないと感じるかもしれませんが、問題なく読めるんじゃないかな。

あとイラスト。私、祐也さんの挿絵作品はたぶん初めてなんですが、う~ん、あんまり好みじゃないです。上手い下手じゃないですよ。
ただ、アーディルがいかにも『傲慢!』って感じでいやらしくて、それはよかった、のか?

0

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP