あんたはとっても強いけど 寂しいときは俺が慰めてやるよ

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表題作法医学教室の美女と野獣

倉持幸臣 捜査一課の刑事でバイオリンが趣味 28才
久住明紀 法医学者 28才

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

ストレスが原因で吐血してしまった法医学者の久住は、カウンセリングで趣味を持つよう勧められ、顔見知りの刑事・倉持からヴァイオリンを習うことに。だが温和だとばかり思っていた倉持は、とんでもなく嫌な奴で――!?
(出版社より)

作品情報

作品名
法医学教室の美女と野獣
著者
うえだ真由 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
ムービック
レーベル
LUNA NOVELS
発売日
ISBN
9784896017809
3.2

(8)

(1)

萌々

(1)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
25
評価数
8
平均
3.2 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数4

うえださんのお仕事もの(?)

ホントにひさびさ~の新刊です。

うえださんのお仕事ものは、仕事描写が多くてもなぜか好きです。それどころかこの作品に至っては、『BLじゃなくてもいい』(『こんなのBLじゃねえよ!』ではありませんので)と思うくらい、ラブ抜きでも面白かったです。

うえださんらしく、事件ものでも淡々とストーリーは進んで行きます。ただ、作中の『事件』(とはいえ、法医学者から見た形ですから、傍観者的ですが)にまつわるわりと凄惨な描写もあるので、『肉体的な痛さ』が苦手な方はご注意を。回想というか、想像・推理ですので、ワンクッションおいてはいますが。

法医学者である明紀(受)の仕事上、解剖とその背景にある事件に、結構な分量が割かれています。それに加えて、明紀が幸臣(攻)と仕事以外に関わるきっかけとなるヴァイオリンのレッスンもですね。その分、ラブの比率は下がるのですが、キャラクターの掘り下げがきちんとしているので、作品としては面白かったです。

でもやっぱり、恋愛という点ではちょっと物足りなかったです。ラブの分量よりも中身が。幸臣が明紀に恋愛感情を抱くようになったあたりが、どうも納得しきれなかったんですよ。唐突とまでは行きませんが、なんとなく消化不良な感じです。明紀の気持ちの変化の方がわかりやすかったですね。まあ、明紀視点だから当然なのかもしれませんが。

でも、トータルとしてはよかったです。好きですね。

1

口の悪い女王様だと思ってたら・・・

同い年の法医学者と刑事のラブストーリーなんだけど、捜査や検死と言った仕事を
通して互いの考えや生き方、そして双方がどうして現在の仕事に就いたかなんて
事が、過去のこだわりを互いに親しくなる間に互いに知る事になり、
受け様視点で描かれる、情緒的な成長をしていくようなお話でした。

受け様は過去の出来事が原因で、他人への関心を示さないクールな仕事人間
一見すると高飛車で傲慢なタイプに見えるのですが、相手に気を使わずにストレートに
物事を言うかわりに、自分への気遣いも不要って感じなんですよね。
攻め様は、仕事で検死の立ち合いで受け様と知り合うのですが、
攻め様は検死にかなり興味を持っていて、勉強しようと言う向上心があるんです。
それは、攻め様の過去と大きな繋がりがあります。

仕事で接点があるわりに、同い年でも一切プライベートでは付き合いの無かった
二人なんですが、受け様がストレスを解消する為にカウンセラーに勧められた楽器の
演奏、バイオリンを流れで、攻め様に教えて貰う事から次第に付き合いが出来ます。
真面目で勉強熱心で好青年のような攻め様にレッスンを受けるようになってから
受け様は攻め様が結構イジワルな事に気が付き、言い合いをするうちに距離が近く
なって行くのです。
受け様はバイオリンを習い、攻め様は法医学の教えを乞う、ギブ&テイクな感じ。

でも、互いに名前で友人のように呼びあう仲になって、距離が縮まると受け様は
逆に離れた方がいい様に思ってしまうのです。
それは受け様が過去に未だ縛られていて、他人を信用できない事が理由
攻め様の気持ちを知った後は、気持ちに応えられないと言いながらも抱き合ってしまう。
受け様は攻め様の好きな気持ちを信じられないと・・・

でもほんとは信じられないのではなく、信じたくない、臆病なんですよね。
永遠にならない思いに応える事が不安なんです。
攻め様と出会った事で受け様が変わって行く様子が人間臭くていいです。
攻め様の無理に気持ちを押し付けない寡黙な感じもステキでした。

3

野獣っぽくないのが残念

法医学者の久住(受け)が、刑事の倉持(攻め)にヴァイオリンを習うことから話は始まります。

久住は父親が不倫相手と無理心中をしたことから不信になり、人を寄せ付けない生活をしています。趣味を持てばと精神科医に勧められたことからヴァイオリンを習うことにしましたが、自己流では上達しない。そんなとき、上司である大川内が倉持に教えてくれるように勝手に頼んでしまいます。

互いに真面目なので、不承不承ながらレッスンを続ける二人。ちょっとずつ近づき、いつのまにか・・・という展開です。

ベタではあるのですが、随所に検死解剖やそれにまつわる事件の概要なんかがあり、興味深いです。きちんと仕事している(しかも有能な)二人に好感が持てます。

久住目線なためか、久住が惹かれていく過程がちょっと読みづらいです。久住が倉持の怪我に気づいて慌てる場面がポイントかなぁと見当はつけるのですが。倉持があまりに淡々としているように思えるのですよね。もっと熱くても良かったかも。

あと、一番惜しいところは、倉持は「長身で体格が良い」というような描写はあるのですが、野獣らしさがなかったこと!久住にはゴリラだと呼ばれていても、周囲はそんな感じじゃないですし。礼儀正しいし、ベッドでは豹変するということもなく。「美女と野獣」の曲を演奏はするものの、単にそれだけで。題名倒れっぽく感じたのが残念でした。

あとがきの後にあった、長野さんが意外と可愛らしく、金ひかるさんのイラストで見たくなりました。そういえば、後半はイラストが一切なかったのにビックリでした。普通ベッドシーンが1枚はあるものなのですが。

2

美女? 野獣?

うえだ先生の2時間ドラマっぽい話は好きです。
ロマンスの黙秘権とか、楽しく読める人にはおもしろく読めると思います。

法医学とか、医者とか、シリアスな設定でも、重苦しくなりすぎず、深刻になりすぎることもなく、かといって、トンチキなところまでぶっとばず、BLらしいあたりでとどまってくれるので、とてもありがたいです。

美女と野獣とタイトルに入っているので、そういう話とかキャラクターなのかと思ったら、作中で練習するのが、美女と野獣のテーマ曲?というだけで、ちょっと拍子抜け。でも、攻めは受けからゴリラ扱いされているので、野獣だったんでしょうか? 金さんのイラストだと、とてもゴリラには見えませんが。

1

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