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自分はこの男の何を知っていて、何を知らないのか――待望の続刊発売!
イラストレーターが変わるとこうも与える印象も変わるのかと思うほどに、重苦しさが押し寄せて、胸がつぶれそうになる。
1作目も切なさが押し寄せて苦しかったが、今作もどうしようもない、やりきれない2人の想いがひしひしと迫ってきて、思わず悲しくなってしまう。
そこまでして、2人が追い詰められるほどに警察と一般人の溝は深く、自分の中に気持ちを抑え込んでいる黒澤が、どうにかしたいのにどうしようもできない雪人が、、、悲しい。
前作と同じに今回も兄弟が事件として2人に絡んでくる。
そして、誰かを守りたい優しい気持ちが事件を複雑にしているのだが、
それに黒澤の妹・澪子の事件の真相を探ろうとしている核心部分を匂わせて次第に近づいていっているのです。
もう、とにかく黒澤が切ないよー!!
雪人への気持ちを過去の暴走以来押し込めて、探偵という職業柄人を助ける役割をしている為にどうしても警察とかちあってしまう。
自分で何とかしようと、雪人の知らないところで行動する黒澤は、きっと自分も誰かに優しくされて心のよりどころを得たいと思っているはずなのに、それをストイックに抑えつけている姿があるから、それが胸が苦しくさせるのですね。
雪人も何とかしたいと思っているのに、”なかったことにした過去”をほじくり返すのをわざと避けているんだけど、ことあるごとにそれはしこりになってわだかまっている。
思わず黒澤が雪人にキスをするシーンには涙が出てしまった、、苦しい、、
今回登場した元公安の鴉と呼ばれる鷹取の存在は不気味で、敵なのか味方なのか?まるで何もかも知っているような、それでいて雪人を動揺させ、黒澤を挑発しているような、その存在が気になると同時に、今後の関わりに不安を抱かせます。
物語の展開部分の中心となった事件は、兄弟・友人という関係を通して優しさ、弱さが招いた悲しい少年事件でしたが、作者さんは気がついたら姉弟だった、と言われるように意図してそういう設定になったわけではないようですが、その設定の仕方は、黒澤と澪子、黒澤と雪人、それぞれの立場と関係を表わすような関係であったとも思えました。
読むほどに奥が深い!
ああー、もう続きがきになって仕方ありません!!
早く黒澤の心が晴れて、青空を思わせるきれいな風景を見たいと思います。
BLとエロは切っても切れないもの。そもそもエッチシーンなしでBLが成り立つのか?
そういう議論になるといつもこの作品のことを思います。この一冊の中で主人公の2人、櫂谷と黒澤の接触はキス以上には進みません。シリーズ前作「天使の傷痕」では、一度だけ関係を持つシーンがあります。裏表紙の作品紹介では「甘い一夜の記憶」とあるけれど、私には到底「甘い」とは思えませんでした。
当時2人の関係は、もっとも信頼しあえる同僚であり、櫂谷は黒澤の想いに気付いてもいたけど、恋人同士と呼べるようなものに進展してはいなかった。櫂谷のためらいを黒澤が慮って、あえて踏み込まずにいた感じでしょうか。
でもあの夜は、そんな悠長なことを言ってられない事情があった。ふたりともせっぱつまっていた。唯一の肉親である妹の澪子を突然の事件で喪い、自らも重傷を負った黒澤は、それこそ櫂谷が身体を投げ出してでも繋ぎ留めなければ、あっという間に二度と手の届かないところに去って行ってしまいそうで。
そのシーンの描写は、甘いというには余りに痛々しく、2人ともに快感よりも苦痛の方が上回っているような感じ。恋愛の端緒にもなり得ず、成就とも呼べないファーストナイト。そしてそれは、本当に一夜限りで封印されてしまう。「2人で暗い穴の底に落ちて、そこから爪を立てて這いあがってきた」なんて、甘い一夜の後に言う台詞じゃありませんよね。
「天使の」から5年の歳月を経て出た続編の本作。澪子の事件の謎は解決に向かうどころかますます深まり、警察の奥深くうごめく怪しい面々も登場して、ミステリーとしてはいよいよ佳境の一歩手前らへんに。でもBL的に2人の関係にのみスポットを当てると、現職の刑事とOBという立ち位置の壁にも阻まれ、進展どころか足踏み状態、下手すりゃ立ち往生のもどかしさ。相変わらずオンナっ気のない櫂谷に対し、警察時代からモテまくりの黒澤は、ここでも迫られてます。
それも顔も気立てもとびっきりのいい女。黒澤にとっては、失くした家族をもう一度与えてくれる可能性もある存在。その据え膳を振り切って、じゃあ櫂谷の元へ奔るのか?と思えばそれもなし。作中の2人の絡みは本当にキスだけ。「一つだけ本当のことを言え」それだけは信じてやるから―と櫂谷。「愛してるよ」まるで冗談のようにさらりと告る黒澤。「知ってるんだよ、そんなことは!」激昂して殴る櫂谷。色気なんてあったもんじゃない。なのに雨の中で一瞬合わせた口唇は熱くて。それまで互いに押し殺してきた様々な思いがぶつかり合って火花を散らすように。それは身体をかさねる行為とどれほどの違いがあるというのだろう。
恋も、謎解きも、to be continued・・・のままふたたび5年が過ぎました。待てと言われればいつまでも待ち続けるのがファンのあるべき姿かとも思いますが、そろそろジェットコースターが急降下を始めてもよい頃あいではないでしょうか。次回最終巻(ですよね?)を出される際のイラストは是非とも雪舟薫さまにお願いしたい。茶屋町さんの絵も雰囲気があって素敵でしたが、なにしろ旧版の表紙の黒澤の流し眼に私の心は持って行かれちゃってるので。
BL小説のなかで最も続きを熱望している作品の一つです。
元刑事で現在は探偵の統一郎と、刑事の雪人が織り成す物語。
探偵事務所に持ち込まれた事件を解決に導くパート、統一郎の妹である澪子の事件の核心に迫っていくパート、そして二人の関係性を主にするパート。
三つの主要な軸が絡まりあって複雑で味わい深い物語を形成しています。
サスペンスや警察小説としても充分に面白いのですが、やはり肝は二人の切迫した関係性にあるように思います。
少し語弊があるかもしれませんが、私には大人の男性二人が真剣に鬼ごっこをしているように見えて仕方ない。
掴まえたい、掴まえたくない、掴まりたい、掴まりたくない。
性愛込みの情動で動くのは統一郎のように感じるけれど、心が最終的に逃げを打つのも統一郎な気がする。
雪人の方が心を決めて決断したらぶれない強さがあるな、と。
今回、雪人は統一郎に対して“自分は統一郎にとって特別でありたいと望んでいる”ことを自己認識できたところです。
おそらく統一郎さえ強く望めば、雪人は刑事である己の立場や倫理を振り切って統一郎と共に在ることを選ぶでしょう。
駆け引きもできない。
知らない振り、なかった振りももうできなくなってきている。
二人して限界がきていて、心の奥底に沈めてあったものが姿を見せ始めている。
沈みこませていたものが一瞬溢れでて飛び出してしまったのが、あの雨のシーンであったように思います。
雪人が統一郎に対し、一つだけ本当の事を言えと迫り、長く逡巡したのちに「愛してるよ」と。
雪人は愛されていることは以前から知っていて、でもそのことに触れることなく敢えて二人で知らない振りをして過ごしてきたある種の共犯関係。
そこを踏み越えて言葉にした統一郎に驚いたけれど、瞬間的に冗談にしようと逃げる統一郎を許さず「知ってるんだよ、そんなことは!」と言い、尚且つ拳で返す姿に二人の拮抗した関係性を見てとれた気がします。
その後のキスシーンは非常にドラマティック。
甘やかなシーンではなく二人のギリギリの切迫感や痛みが滲むけれど、それでもどうにもならない愛しさや狂おしさが迸る名シーン。
今作のなかで最も覚悟と愛を感じた台詞は雪人の「おまえの行くところに行くよ。どこへでも」
私にはこれ以上ない愛の告白に聞こえました。
澪子の事件も二人の関係性もこれから大きく動く!というところで終わっていて一読者としては「続きを!!」と願うのみです。
何年経とうと、いつの日か続きを読めることを強く信じてその日を待ちわびております。
「世界の果てで待っていて」第二作、今回は前作にも出てきた、円山芸者さんの以知子の弟の事件を軸に、黒澤の謎の部分がより深まる展開になります。
前作の双子は中学生でどこか現実離れした、いい意味でおとぎ話のような事件でしたが、今回の以知子の弟、三崎双葉は高校生でぐっと現実的になり、、よりシビアな展開になっていきます。
というかですね、今回は本当にセックスの場面はありません。なのにエロさは前作よりも増している感じなのです。
黒澤の家の描写がまた和の雰囲気があっていいのですが(庭の藤棚とか、家の間取りとか)、そこで夏の雨の夜に二人はキスをします。これは、私が今まで読んだ中で一番熱く、エロく、ぐっとくるキスシーンでした。
このキスの場面がクライマックスで、双葉の事件も解決しますがこれまた実に続きが気になるところで終わっているのです。黒澤の謎と澪子ちゃんの事件の核心に掠めたところでエンド。で、悲しいことに未だに続きが出ないんですよねぇ。
大人の事情があるようだと、どこかで見たのですが熱望しているファンは決して少なくないはず。まあ、いつまででも待ちますがどうか続きをプリーズ!とレビューの片隅で叫んでおきます。
自分と同じく、この作品にボコボコにされた苦悩に満ちた知性あふれる先人達の、切実なレビューが良いです!
2005年に一作目、2010年に新装版と続編が出た後、未だ続編はでていません。…クッ…
もう待ちくたびれて萌えどころか、妄想と苦悩にのたうちまわること七年。それでも常時自分のベストスリー内のこの珠玉の作品。
私にとっては、BLの真打ち。
待つ意味がある以上は、いつまでも待ちます。が
獲得した読者層の苦悩に対して出版社に社会的責任の自覚はないのか❓
………とまでは言いませんが、次の完結編( ですよね? ) を早くお恵みくだされ。
「 求めよ! さすれば与えられん。」 以下。
男前美人受けの真打ち・現職刑事雪人と、対する攻め・統一郎は男惚れするようなおおらかな性格の元刑事ナイスガイ。
しかしながら、この2巻目では、統一郎のイメージは、 雪人視点では、信頼し合っていたはずの男のイメージが覆り、危険な匂いを持つ、不安を誘う未知の部分のある人物として、読者視点では、人柄の良さだけでは測れない何か謎と、冷たい熱情を秘めている人物として、書かれています。
心の闇と謎を秘めた統一郎は、より一層セクシーで、危険な魅力を倍加させています。
多少のネタバレありますが、
多分、読者の視点は以下に集約されているところでしょう。
① 雪人が妹を殺された統一郎の暴走をどうや って止めるのか。( 実は暗部に潜む警察組織内部犯罪がからんでいた。)
警察内部犯罪に切り込もうとする統一郎に、はたして救いは、あるのか? 雪人は
救いを与える事が出来るのか? ② 互いの想いを自制する事に限界を感じる両者がその壁を踏み越えたとき、2人が選ぶ道にハッピーエンドはあるのか?
今作( 2作目 )では、統一郎に対する受け・雪人の感情に自覚めいた変化の兆しが表れます。 別件の事件が緊迫状態を迎えるなか、「 自分は、彼にとって特別でありたい。」 という想いを証明するかのように、統一郎のキスに思考は停止してしまい、2年前のたった一度のセックスの記憶が一気に蘇ります。
その時苦痛だったはずの行為の記憶は、今、統一郎の腕の中で一気に鮮明に官能の嵐となって雪人を襲い、分別は崩壊しかけ、肉体も脱力しそうになります。 ( が、ここでジャマがはいり……バカバカ馬鹿馬鹿馬鹿バカ馬鹿野郎っっ❗️)
………………。
作中1回きりの、このキスシーンにはセックス以上のエロティシズムがある。互いに堪えていた二人の想いが激しい火花のように飛び出してきたかのような、狂おしく悲愴なまでの切羽詰まったキスがどれほどの感動を持って胸に落ちたかは、読んだ者にしか分からない事を承知で書いてます。
いつになく感情が昂ぶった雪人に触発されたのか、軽く便乗するかのように冗談まじりの「愛してるよ」 を飛ばして殴られたあとのこのキスが私には雪人がその行為を実は無意識に待っていたように思えたのです。
「統一郎を失いたくない。………ならば、」と覚悟する雪人の思い詰めた気持ちがそうさせたんですね。きっと。そして、思考の片隅で生じた「 もう 後戻りはできない」 という
思いとともに。
そして、他人の感情に敏感な統一郎は、雪人の返す、「 知ってるんだよ、そんなことは!」 の言葉の真意をすぐさま直感で嗅ぎ取り、あたかも、それに呼応するように、そして引き寄せられるかのように雪人に与えたキスはつまるところ、雪人が長いあいだ、望んでいたものでもあったと。 確信の末のセリフのように思えました。
そしてその時のキスシーンはまるで、そのままセックスになだれ込んでいるような、激しい行為に思えました。あまりにも深くて複雑な、だけど決して揺るがない信頼以上の、愛としか言いようのない想いのたけの激しいぶつかり合いがしっかりと、そこにはあったからです。
セックス以上の、魂の触れ合うような、こんな激しいキスを私はその時まで他に知りませんでした。 衝動的ではあるけれど、持てる全ての感情と情欲を込めたような、これが最後かもしれない痛みをも伴うまさしく一投入魂、乾坤一滴の、キス。
2年間、封印した想いがその終着点を探して、荒れ狂うように相手に吸い込まれていくような。
二人して「 なかったこと」にした2年間の葛藤と拮抗した関係もようやく先の展望が見えてきて今後の妄想に歯止めがかかりません。
現職刑事とOBという立場上、どうしても不安要素としてクローズアップされてくるのが、統一郎の「 復讐という名の、究極のリスクある計画 」です。 その計画は警察内部と密接な関係性を孕んでいる以上、物語の動向と二人の関係性は雪人の選択に委ねられているようにみえるのだが、統一郎のそれこそ命をかける悲願への執着を断ち切ることが出来るほどの強い信念と愛情が雪人にあるのか? 空洞化した彼の虚無に光を取り戻してあげられるのか?
今作、終盤で得た確信は、「 雪人は何があろうとも統一郎を裏切らない」と、いうこと。 「 世界の果てまで統一郎について行く」 だろうと。
そして二人して選んだ「世界の果て」が統一郎が選んだ場所なのか、雪人が選んだ場所なのか、作者以外には知るよしもないのだが、一読者としては、二人が共に選ぶその日を目に出来ることを信じている。 ずっと、信じてる。
タイトルの「 世界の果てで待っていて 」の解釈は、人により差異を生み出すけれど、タイトルの言葉通り、深く美しい響きを読者に残したまま、未完結のままで現在に至っています。
最後の刊行から10年、これ以上待つのはキツい。
ご事情があっての事とご推察の上、あえて読者としての本分越えを承知で申し上げます。
どうか、高遠先生の情熱をください‼︎
失速し切らないうちに。 でないと、
いつまでも「 世界の果てで待って 」 いて、干からびてしまいそうです。 ワオ!
追記:
友人が出版社に聞いたところ、「 希望は持たれても良いかと 」と、色良いお返事を頂いたそうです。ありがとうございます! 期待しています!