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表題作ゆがんだ純愛

アルベルト・ライオネス イベント会社社長
成瀬千聡 イベント会社専務

その他の収録作品

  • ゆがんだ純愛~アルベルトの場合~

あらすじ

大手イベントプロダクション「ユニゾン・シフト」で専務を務める成瀬千聡は社長のアルベルト・ライネスと身体の関係を持っている。大学時代に出会い、親友だった二人。ささいなきっかけとはいえ、互いに真意を確認せず続けてしまっている今の関係に、千聡は不安を抱いていた。いつまでも続くはずはないと、彼への思いから目を逸らそうとして……。
(出版社より)

作品情報

作品名
ゆがんだ純愛
著者
眉山さくら 
イラスト
御園えりい 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラノベルス
発売日
ISBN
9784778110482
3

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萌々

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
9
評価数
3
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

友人関係から『セフレ』という関係に縺れ込むと切なくなる話が多い

ふたりの関係がじれったい。
友人であり、上司と部下であり、セフレである。
本当はもっと、違う関係になりたいんだろうなという雰囲気をふたりとも漂わせている。
千聡側の視点で進む話ではアルベルトは随分と傲慢で強引で酷く身勝手な男に思えるのだが、それは本当は違うんだというのが段々と見えてくる。
もちろん、傲慢で強引な所も本質的にはあるのだろうけど・・・も。
ふたりの関係が変わったのは、というか千聡がアルベルトとの関係にラインを作ったのはアルベルトと父親の確執に巻き込まれた事が原因。
親の決めた婚約者と結婚はしない、自分で選んだ人と添い遂げる。そのために立ち上げた会社を『ママゴト』だとか言えないぐらいのものにする。そんな啖呵を切ったアルベルトに仕事のパートナーである千聡は自分も彼を支えるにふさわしい人間にならなければと思う。
一緒に会社を興した友人ではなく、上司と部下という関係で、アルベルトを立て支えるのは自分という真面目な考えが、二人の関係をややこしくというか表面上はどうであれ、思惑のすれ違いをおこさせるのです。

実はアルベルトがこの時父親に言った自分が選んだ人云々の言葉は、千聡に向けた言葉だったのだけど・・・
気がつかない、それどころか千聡が違う方向へと思考を巡らせてしまったのがこのふたりが『恋人』という関係へ辿りつくのに遠回りした原因なのかも?

途中、かなり唐突とも思える社員達の下卑た行動で千聡が襲われるというシーンが、少し話の流れを寸断したようにも思え一瞬冷めそうなるが、かねてから千聡に好意を寄せるナイジェルを絡め、そこから繋がるふたりのすれ違いや相手の事を深く考えたり追いかけたりという流れは、物語の中でかなりはらはらさせられ話が動くシーン。
ここがあったから、二人はお互いの気持ちや関係を再確認したりできたので無駄なシーンとは言い切れない。
とりあえずはちゃんと気持ちが確かめ合えて良かったのハッピーエンド。

続編の『ゆがんだ純愛~アルベルトの場合~』ではアルベルト視点で物語が進みます。
休暇を取ったアルベルトが千聡と一緒に旅行に出かける話で、曰く「ハネムーン」。なのでデロ甘なお話でした。
恋人同士になったと言っても、まだまだ社長と専務、部下と上司という拘りを捨てきれない千聡をなんとか『恋人』という甘やかな関係に慣らしたい。せっかく通じ合ったふたりの想いを、気持ちを確かなものにしたい。そんなアルベルトの溢れている愛情を一身に受ける千聡。

本当に気持ちが通じ愛し合って、幸せの連続。本編ではなかったアルベルトの茶目っ気や千聡をからかい、笑い合えるような子供っぽい下ネタあって(そんなに下品ではない)、随分と心が晴れやかな解放された感のあるふたりの休暇は読んでいてこちらにも幸せに。
しかし頁も残り僅かこのままハッピーエンドと思いきや、まさかのトラブル発生!ここまで来て、ふたりに試練を与えるとは!作者さんにちょっとSを感じる。
どう解決するのか?ととても不安になったのだけれど、最後は綺麗にまとまっていて「あー良かった!」と安堵です。
本編では解決していなかった、アルベルトと父親の確執、親の決めた婚約者との関係。このふたりの存在が本編で千聡を苦しめていたので、放ったらかし状態が少しばかり気になっていた。それが千聡の不安な気持ちに上手く絡め、またアルベルトがそれを取り除き、心からの告白によって丸く収められているのでとてもすっきりした読後感を味わえました。

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